「煽動者」 ジェフリー・ディーヴァー
文藝春秋 2016.10.15
原題は Solitude Creek
この題のままが、良かったような……。
今回はキャサリン・ダンス。
彼女は捜査で大きなミスを犯し、停職は辛うじて免れたものの、刑事のバッジと拳銃を取り上げられる。
そんなとき、満席のナイトクラブで、
将棋倒し事故が発生した。
きっかけは、かすかな煙の臭いだった。
火事だーー観客はそう気づくやいなやパニックに陥り、我先に出口へと押し寄せて、多数の死傷者が出る大惨事となった。
現場を訪れたキャサリンは、不可解な事実を発見し、これは不幸な事故ではなく、何者かが意図してパニックを煽動した事件だと確信する。
物証らしい物証がなく、なにより犯人の目的にまるで見当がつかない。
手も足も出せずにいる捜査陣を嘲笑うかのように、次々と事件が発生する。
パニックのさなかにある群衆の描写にゾゾッ!
ーー集団になると、人は別の生き物に変わる。人間ではなくなる。
ーーただの一人も、他人のことなど考えてはいない。人々は恐怖から理性を失った獣の群れと化していた。自分のことしか考えていない。自分が助かることだけを考えている。
ーー進む方向を、体の動きを、足を下ろす先を、自分ではコントロールできない。
因みに、キャサリンの車は
日産パスファインダー。
海外で販売されていて、
ティラノと同じようなSUVらしい。
指輪物語、ハリー・ポッターが一瞬登場 (笑)
セーラームーンとデスノートも。
あと、アナ雪は、何度か (^-^)v
日系の議員がつくった非営利法人が
コドクノオガワ有限責任会社。
つまり、原題の日本語。
彼は言う。
「日本語の"孤独"は、孤立、わびしさ、疎外といったニュアンスを持ちます。しかし英語の"ソリチュード"には、前向きなイメージ、再生のイメージがありますね」
いつもながらのどんでん返し。
そうきたか!
やはり、ディーヴァーは面白い。