ま、いいか

日々の徒然を思いつくままに。

「長く高い壁」

2018-07-11 23:01:30 | 

 

「長く高い壁  The Great Wall 」 浅田次郎 KADOKAWA 2018.2.28

 

1938年秋。

流行探偵作家の小柳逸馬は、従軍作家として北京に派遣されていた。

だが、突然の要請で、前線へ向かうこととなる。

検閲班長の川津中尉と共に、北京から半日がかりで辿り着いた先は、万里の長城、張飛嶺。

そこで待っていたのは、第一分隊10名が善因善果死亡という大事件だった。

なぜ、戦場に探偵作家が呼ばれたのか。

10名は戦死でなないのか。

分隊内での軋轢、保身のための嘘、軍ならではの論理ーー。

 

この戦争に大義はあるのかーー。

 

小田島曹長は言う。

「戦場においては、時として事実と真実は別個のものとされます。それが戦争です

「こいつらは、みんな赤紙一枚で引っ張られてきとるんですよ。親もあれば、女房子持ちもおるんです。そんな兵隊が、毒を盛られて殺されたなど、どの口が言えますか。だが、真実は究明しなければならん」

 

川津中尉は考える。

 単一民族であり、陸上の国境を持たなかった日本は、実に平和な国であったと言ってよかろう。何にも増して「和」を貴んできたのである。そうした歴史が、「そうであってくれればよい」という希望的観測を、いわば共通の国民性として形成したのであろう。


軍隊にはそもそも「ヨコ」の概念がないので、意見は「タテ」に遡上して頂点で命令となって下達される。


登場人物のキャラや会話が良い。

謎解きを通じて、日本軍の闇を描こうとしたのか。


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