しろくま

軟い雑感、とりとめなく。

中也なピアノ

2015-03-29 | 音の棚
白鳥は帰ったし、桜はまだ
川沿いは、がらんとしていた。

♪「春の野を行く」 村松健 - YouTube

もうちょっと先、5月がいいのかもしれないが、
今頃もイイ。
なぜか中也がダブる。

春の日の夕暮/「山羊の歌」より

トタンがセンベイ食べて
春の日の夕暮は穏かです
アンダースローされた灰が蒼ざめて
春の日の夕暮は静かです

吁(ああ)! 案山子(かかし)はないか――あるまい
馬嘶(いなな)くか――嘶きもしまい
ただただ月の光のヌメランとするままに
従順なのは 春の日の夕暮か

ポトホトと野の中に伽藍(がらん)は紅(あか)く
荷馬車の車輪 油を失い
私が歴史的現在に物を云(い)えば
嘲(あざけ)る嘲る 空と山とが

瓦が一枚 はぐれました
これから春の日の夕暮は
無言(むごん)ながら 前進します
自(みずか)らの 静脈管の中へです

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