形

菊池寛　再読。
“文豪”とかそういう人たちの作品は
あらすじだけでも「参りました」というのがあるが
これは1700字、原稿用紙4枚程だから
ぱっと見ログの私でも、ものの5分で“つまびらかに”*読める。

おおまかに
摂津の国の主松山新介の侍代将、中村新兵衛は『鎗(やり)中村』の名で通り
その猩々緋(しょうじょうひ)の服折と唐冠纓金(えいきん)の兜は
戦場の華・敵に対する脅威であり、味方にとっては信頼の的であった。
ある日、「初陣で敵の目をおどろかしたい」という若士(さむらい)に服折と兜を貸し遣り、
中村は黒皮の縅(おどし)の鎧と南蛮鉄の兜で戦(いくさ)に立った。
そして、猩々緋の若者の活躍を目にして、自分の「形」に誇りを感じたが
敵陣は猩々緋の『鑓中村』に突き乱されたうらみを、この黒皮縅の武者に向けた。
普段と勝手が違う。相手にいつもの怖気(おじけ)も狼狽(うろたえ)えもない。
手軽に猩々緋や兜を貸した後悔がよぎった刹那、鎗が中村を貫いた。

ひらたく言えば、水○黄門**の印籠
菊池自身も重なってフムフムと思う(私感)

スケルトン日本
すべからく、形だけ
素人で間に合うものが
大金払うとデザインになったり…

もひとつ
どこぞの国の70周年軍事パレードも形と言えば形だなあ。
ケチな私のペンは及ばないが、
威と維持コスト、よっぽどだろうに?

	恩讐の彼方に・忠直卿行状記 他八篇 (岩波文庫)
	クリエーター情報なし
	岩波書店

*今年の私のツボ、流行語大賞。
**お忍びで諸国漫遊中なので仮名
控え居(お)ろ　印籠忘れて　フルボッコ　(＾＾)
ポカ!　(トラ姐)