しろくま

軟い雑感、とりとめなく。

虫がいっぱい

2011-11-01 | 本棚
昆虫記
ファーブルのは生態の観察に優れている。
だけど、虫嫌いはウゲッとなるかもしれない。

そんな人でも
マンボウのならだいじょうぶかも(私のは中公文庫) *。
虫たちだけでなく、愛すべき虫馬鹿たちも。

もちろん昆虫の生態の“まじめな”ウンチクもおもしろい。
(有藤寛一郎の昆虫図にそそられる人もいるかもしれない)。
詩人の蝶で詩神 アポロ蝶の紹介は季節と生態の描写がイイ。

また 蛾という詩を訳してみて
「花かげから “ビュッと”とんだ」という描写から
天蛾スズメガと推理するあたりは、なるほど虫好き、よく観てる。
銅の時代/マンボウ青春記で山登り・山小屋・道すがらの黄葉の乱舞の描写の鮮やかさも、うなづける。

それだけでなく、わき道もいい(むしろ、むしぎらいはわき道だけでもいいかも)。
(なじみ深い佐々木侃司の画のすっとぼけ風味というか)
『私設博物誌』(筒井康隆’76)同様、小市民ウォッチングでニタニタできる。

前にすずむしの文章書いたとき、米露コオロギ合戦も頭にあった。
当時のロケット打ち上げ競争そのまま、国の威信をかけて早鳴き競争…
どくとるが とるのはわらい どくでなく

博物誌/ルナールの蟻の引用やらネタの気楽さが なんとも心地よかったり
→蛾の記述もぬかりはない。
曰く、女たちはみんな蝶のつもりだから、蛾を嫌ったり、憎んだりするんだそうな^^。

ホウフクゼットウなエッセイ エトセトラは 
昆虫学者と浮浪人の『虫の生活』(チャペック)の冒頭を引用して
虫馬鹿ぶりで結んでいる。少々照れながら。


捕るもの飼うものだった昆虫が、
今や売るもの買うものになって久しいが

今頃
彼の名を冠した新種コガネムシ学名キタモリオイ(和名マンボウビロウドコガネ)を眺めて
北杜夫さん、ニコニコしてるかもしれない。
合掌。


*話/登場人物の心の機微よりも頭の体操・話のタネが好きだから
小説よりエッセイ、特にこう言ったタイプがおもしろい。


付箋omake(11/2)
『手塚治虫博物館』(手塚治虫+小林準治)によれば
ヒョウタンツギは草花、有用作物に
治虫氏は哺乳類に分類されている。

手塚治虫と北杜夫
かたや画で、かたや言葉で 表現するものも違うが
かぶる部分も多い。
生れは一年違い、虫好き。ともにどくとる。
本の虫でなくとも、感じるだろう。ペンの走りのよさ。
あらためて 合掌。