かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『泡宇宙の蛙』の一首鑑賞 121

2022-08-19 09:42:55 | 短歌の鑑賞
  2022年度版 渡辺松男研究2の16(2018年11月実施)
    【樹上会議】『泡宇宙の蛙』(1999年)P80~
     参加者:泉真帆、岡東和子、A・K、T・S、曽我亮子、
         渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:泉真帆   司会と記録:鹿取未放


121 かがやきて木から木へ飛ぶ看護婦のようなる鳥にあいさつをせり

      (レポート)
 この一首の鮮やかさには驚かされた。看護婦さん(1999年出版時はまだ看護師とは言っていなかった)がさわやかに患者さんへ声をかける、そんな鳥に作者は挨拶をしたという一首だ。作者が入院していた病室でのことか、通院していたときのことか、看護婦さんを見て鳥のようだと思った体験があり、その体験がもとになっているのかもしれない。「看護婦のような」が抜群に輝いている。(真帆)


     (当日意見)
★ナイチンゲールってありますね。(慧子)
★この歌は好きです。入院とか通院とかの話ではなく、まだ樹上会議の続きの歌だろうと思
 いますが、生き生きと輝いて、木から木へ飛び移りながら誰にでもやさしく声を掛けてい
 る気配りのできる鳥なんですね。〈われ〉も鳥なのでしょうけど、そんな彼女(看護婦で
 すから)には安心できるし心を開ける、だから嬉しくて挨拶をする。こういう輝くような
 女性って職場にいそうですね。(鹿取)
★「看護婦のようなる鳥」が飛躍していなくて低い次元だけどとても素直な直喩になって
 いる。(A・K)

        (後日意見)(2022年)
 看護婦の呼び名が看護師に変わった。この間にジェンダーの視点も世間に随分浸透した。そういう観点からすると、この歌の〈われ〉は男性だろうから、やや女性に対して期待しすぎかという気はする。(鹿取) 
コメント
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