かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『泡宇宙の蛙』の一首鑑賞 104

2022-08-02 11:18:30 | 短歌の鑑賞
  2022年度版 渡辺松男研究2の14(2018年8月実施)
    【はだか】『泡宇宙の蛙』(1999年)P69~
     参加者:泉真帆、A・K、T・S、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:泉真帆   司会と記録:鹿取未放
  

104 おんなのこは鮠(はや)男の子は鯰鯰のゆめはどきどきと鮠

     (レポート)
 鮠(はや)はコイ科の淡水魚で、細身の中型魚だ。一方、鯰(ナマズ)は鱗が無くぬるぬると粘液でおおわれた肉食魚。女の子は身も美しい鮠、男の子は同じ淡水に生きる魚でも肉食の鯰に喩したところが捉えの妙だろう。男の子が女の子の夢をみる思春期を暗示するのか、ドキドキするがぬるぬるの様が哀しくもユーモラスだ。(真帆)


     (当日意見)
★男の子はこんなふうに女の子にあこがれるんですね。自分はちょっと劣等感を持ちなが
 ら。思春期って女の子の方がちょっと成長が早くてしっかりしていますよね。(鹿取)
★思春期のまっただなかの男の子と女の子の特質をよく捉えていらっしゃると思う。鯰が夢
 を見るって普通の常識にはない。動物愛護とか自分はこの動物が好きとかいうレベルじゃ
 なくて、鯰が夢を見るかって。作り物では渡辺さん、歌作らないから。(A・K)
★子どもの頃に鮠をとったりしたんでしょうね。(T・S)
★鯰がどきどきしながら鮠の夢を見ているのね、楽しいなあと思います。(鹿取)

コメント
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