かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『泡宇宙の蛙』の一首鑑賞 118

2022-08-16 15:27:31 | 短歌の鑑賞
  2022年度版 渡辺松男研究2の16(2018年11月実施)
    【樹上会議】『泡宇宙の蛙』(1999年)P80~
     参加者:泉真帆、岡東和子、A・K、T・S、曽我亮子、
         渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:泉真帆   司会と記録:鹿取未放


118 ワープロは嘴で打つ君とぼくぴーちゅるりゅるる花の木の上

       (レポート)
 前の一首「ネクタイをつけたままでも翔びたちて樹の梢にて会議をやろう」を受け次の一首「カーソルをドラミングする君の背にからっと琢木鳥(ケラ)の空がひろがる」へとつなぐ場面説明のための歌だろう。登場人物には君と僕とがいますよという。さらに「ぴーちゅるりゅるる」というオノマトペで読者を楽しませてくれる。「花」が咲いている背景でこの君と僕には恋心が芽生えていることがわかり、「ぴーちゅるりゅるる」は甘い恋心を含んだ音にひびく。樹上会議には職場恋愛というロマンスもあるのだ。(真帆)


      
         (当日意見)
★やっぱり若い人の恋の歌の気がします。「花の木の上」の辺り。(M・I)
★米川千嘉子さんが松男さんのオノマトペの特殊性についてどこかで書いていらっしゃった
 のですが、ここも独特のオノマトペで、恋の気分かどうかはおくとしても、戸外の花の木
 の上で仕事をする心地よさが出ていますよね。(鹿取)


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする