Danchoのお気楽Diary

高校3年間応援団だった「応援団バカ」の日記。スポーツ観戦や将棋等の趣味の他、日常感じる事を、「ゆるゆる」綴ります。

諸刃の剣

2007-07-20 22:38:28 | 健康・福祉
今日は、将棋界では順位戦B級1組の3回戦が一斉に行われています

小生が応援する渡辺 明 竜王は、前期A級入りした、阿部 隆 八段と対局しています。

渡辺竜王にとっては、A級昇級という目標に対して「ピンチ」の状況に立たされており、今日の対戦相手も元・A級棋士ですから、決して油断はならないと思いますが、ここはなんとか踏みとどまって欲しいと願っています

でも、動向が気になりますね…

薬剤師免許を持つ小生にとって気になる…といえば、今週初めに報道された、睡眠導入剤19品目の全てに、「重篤」もといえる副作用があることが判り、添付文書の見直しが迫られていることですね。
(その記事は、先方が削除するまでは、こちらから読むことができます。)

今は、免許を持つ身でありながら、「調剤に従事していない」薬剤師ですので、小生から申し上げるのはちょっと気が引けますが、実は医師が病院で処方する医薬品のほぼ全ては、「治療域」にあるからこそ、小生達の健康を守ってくれる「薬」として作用してくれます。
しかし、医薬品にも「薬」として作用する「閾値」が存在しますから、これを超えてしまえば、実はただの「厄介な毒」に過ぎません。

そんな、小生達の健康を守ってくれる「薬」は、実は「諸刃の剣」のような存在なのです。

さて、読者の皆さんの中には…

「漢方薬には副作用がない」

と思っていらっしゃる方も多いのではないかと思います。
数日前に、家内とも本件に関してちょっと話をしたのですが、家内は「副作用はない」と思っていました

ところで、遡ること3ヵ月半前の、4月1日の日曜日…。

この日の、「gooトレンドランキング」で1位に輝いたのは、なんと『漢方セラピー』でした。

『漢方セラピー』と聞くと、確かに「聞こえ」は良いですよね

家内の話からも容易に想像がつきますが、恐らく「漢方薬には副作用はない」という考えが大勢を占めたから、「トレンドランキング」で1位に輝いたのだと思われます

ところが…これが、大きな落とし穴なのです

漢方薬にも、実は「重篤な」副作用があります

その傾向に「警鐘」を鳴らそうと小生は考え、その日のうちに草稿して、陽の目を見るタイミングでエントリーしようと思っていた記事があります。

今日は、ちょうど良い機会ですので、余分な箇所は可能な限り削って、その草稿記事を紹介したいと思います

タイトルは、『漢方セラピーに思うこと』とつけて、エントリーする予定でした。

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小生、大学4年時は、生薬学や天然物化学を専門にしてましたし、漢方薬にはそれなりに興味があったので、かなり勉強しました。

今は、学生時の専門分野とは別の業界に携わっていますが、学生時に勉強した知識を、頭の隅から引っ張り出して、『漢方セラピー』に対して、感じていることを綴ってみたいと思います。

漢方薬は、1種類以上の生薬の配合量を調整し、東洋医学に基づいて作られた、立派な「医薬品」です。
(例えは悪いかもしれませんが、配合レシピがあるという点で「カクテル」に似ていますかね。)

効能として、特に女性の方が気になる「冷え性」や「便秘」や「手足のむくみ」…さらにエスカレートすると、先日の“納豆”ではないけれど、「ダイエット」にもある程度は効果があるので、興味をそそられるのだと思われます。
中には、メンタルヘルスにも効能を示す漢方薬もあります。

しかし、漢方薬は立派な医薬品ですから、「OTC薬」として指定されているもの(その代表例として、「葛根湯」など)以外は、漢方薬専門薬局に相談の上、処方していただくか、医師の処方箋がなければ、購入できません。
中には、健康保険対象外の漢方薬もあったりします。

また、漢方薬は、対処療法的に投薬して疾病を治療せしめる「西洋医学」と異なり、『気・血・水学説』に基づいた「東洋医学」の観点から、患者の『証』を確定し、その『証』に合わせて処方される医薬品ですので、趣がかなり異なります。

ちなみに『気・血・水学説』とは、人間の体に流れている、『気』(メンタル面)や『血』(文字通り血液)や『水』(汗や尿など)の全てが、流れに滞りがない状態を「健康体」とする学説です。

イメージしやすくお話しすると、漢方薬は、「患者の体力」に合わせて、「疾病を克服するための体力を回復させる」目的で処方される医薬品なのです。

その証拠に、『証』は、医師や漢方(東洋医学)専門医が、お腹の張り具合、脈の強さなど、多項目を触診等して判定し、『実』と『虚』に、患者の『証』を分けます。

つまり、10人が「風邪」の症状で、全員が漢方薬の処方を希望していたとしても、10人とも同じ漢方薬が処方されるとは限らないのです。
極端な話、「10通り」の漢方薬が処方される可能性だってある…ということです。
風邪だから…イコール「葛根湯」とは、決してならないのです。
ある人は「小青竜湯」が、ひょっとしたら処方されるかもしれません…。

ですから、「漢方薬は副作用がないか、あっても弱い」というのは、実は間違いです。
副作用が表れないのは、患者の『証』に合った漢方薬が処方されているからなのです。
別の言い方をすれば、例えば癌のQOL(Quality of lifeの略:疾病治療における生活習慣の質のこと)改善目的で「補中益気湯」が処方された患者は、「東洋医学」の見地から診断を下すとすれば、『補中益気湯証』という疾病を発症している…ということなのです。

風邪の症状だからといって、『証』が合っていないのに、むやみに「葛根湯」を服用すると、かえって症状が悪化するケースや、最悪、死に至ることすらだってある、実は「恐ろしい医薬品」なのです。
(漢方薬について、もう少し知りたい方は、こちらからどうぞ。)

医師の中にも、症状だけを患者から聞き出し、患者が漢方薬の処方を希望するからといって、『症状』に合わせて、「対処療法」的に安易に漢方薬を処方してしまう方が散見されますが、これは、実はとんでもない間違いです。

そうです。漢方薬にも、立派に『原理原則』があるのです。

「漢方薬は、天然物由来の薬だから、安全」
「ダイエットに効きそうだから、漢方薬を試してみようかしら…」
「『漢方セラピー』がどうも流行っているらしい…試してみたい」

となると、結局、「納豆ダイエット」と同じ結果を招くことになるのではないかと、正直小生は懸念を抱いています。

『タミフル』の問題でも、記事をエントリーして述べましたが、漢方薬も、同じ「医薬品」であることを忘れることなく、自分自身の身体と良く相談しながら、医薬品とも上手に付き合って、健康体を取り戻す…これが、『原理原則』ではないかと、小生は感じています。

『漢方セラピー』…この表現は、本当に良いのだろうか?
小生は、やや否定的に捉えています。

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いかがでしょうか

これで、「薬」とつく化合物のほとんど全てが、「諸刃の剣」のような存在であることが、読者の皆さんに、少しは伝わったかな…と思います

この度の睡眠導入剤の問題は、ちょっと前に大問題となった、タミフル服用による異常行動多発の際に、監督省庁(厚生労働省)が、医師や薬剤師を巻き込み、医薬品情報(略してDI)業務の徹底管理をする方針に切り替えたことが、早期発見に繋がったという見方が、ポジティブにとらえたらできます。

ただし、遡れば、小生が薬学部の学生になるかならないかといった当時は、睡眠導入剤のハルシオン(化合物名は、トリアゾラム)は、医師の処方箋がなくても購入可能だった時代でして、その時から重篤な健忘が現れることは判っています。
その背景から、『麻薬取締法』が、『麻薬及び向精神薬取締法』に改正もされています。
なので、潜在的に、現在ラインナップされているハルシオンも含んだ19品目にも、こうした「重篤な」副作用は、孕んでいた可能性は充分あります。
実際、睡眠導入剤は、向精神薬に指定されています。

ですので、今一度、「薬物は諸刃の剣」の意識を高めて、医薬品情報の収集と徹底管理を、襟を正して行う必要があるのかもしれませんね

小生も、薬剤師免許を持つ身の上ですので、アンテナを上手に張って、「調剤に従事する」薬剤師の友人達と、情報交換していきたいと思っている次第です
Comments (4)
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