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ルシアン・ブテ対リブラード・アンドラーデ(2008/10/24)

2008-10-26 19:51:16 | ボクシング
IBFスーパーミドル級タイトルマッチ

カナダのモントリオールで行われた注目のIBF戦。無敗の王者ルシアン・ブテ選手(Lucian Bute)とメキシコの強豪リブラード・アンドラーデ選手(Librado Andrade)との一戦は、ポイントで劣勢のアンドラーデ選手が最終回終了間際に逆転のダウンを奪ったものの、レフェリーのロングカウントによって救われた王者ブテ選手が判定で勝利するという、かなり揉めそうな結末となっています。(体格比較)

カナダに住むルーマニア人王者ブテ選手はアマチュア仕込みの堅実な技巧とスピードを持ち味とする選手。対するアンドラーデ選手は驚異的なタフネスとスタミナを武器にするエネルギッシュなファイター。
対照的なスタイルを持つ実力者同士の興味深い一戦は、期待に違わぬ熱戦となりました。
初回からスピードのある左ストレート、右ジャブなどのリードを的確に決めるブテ選手。足も使いながら慎重に距離をキープし、接近戦ではホールディングでアンドラーデ選手の攻撃を封じる戦いで試合の主導権を握っていきます。
しかし、いくらクリーンなショットを決めても相変わらず全然効いたそぶりを見せないアンドラーデ選手の前進とたまに貰う重いパンチに対して序盤からかなり脅威を感じているように見えた王者ブテ選手でした。
4回にはアンドラーデ選手の右アッパーのボディブローをカウンターで貰って動きを止められ、その後顔面への左フックでピンチに陥ったブテ選手。続く5回にもアンドラーデ選手の攻撃がチャンスを演出。
非常にタフなアンドラーデ選手に対し、パンチを喰うごとに弱っていくように見えた王者の耐久力の無さが目に付いた中盤戦までの流れでした。
6回以降、より足を使いながら鋭く的確なストレートパンチやアッパーなどの攻撃で再びペースを引き戻していったブテ選手の戦いぶりは見事なものではありましたが、ブテ選手がパンチを伸ばしてくる際に相打ち覚悟で放つアンドラーデ選手のパンチや、クリンチ間際でなりふり構わず打ってくる挑戦者の攻撃にじわじわとダメージと疲労を蓄積させていったブテ選手。
10回にはブテ選手の左ストレートでアンドラーデ選手がダウンを喫しますが、この場面でもより体力を残していたのはアンドラーデ選手でした。
ダウンを奪い一気に攻勢を強めたブテ選手。鋭い攻撃が何発も挑戦者を捕えますが、何発パンチを喰っても構わず返すアンドラーデ選手の反撃が最終的に上回ります。この攻防で完全に体力を使い果たしてしまったようにも見えたブテ選手。
そして最終12回、完全にガス欠に陥った王者を挑戦者のハードな攻撃が襲います。フラフラになりながらもなんとか耐え抜いていたブテ選手でしたが、最終回残り30秒の時点でブテ選手は自らの体を支えることもままならないほどに消耗していました。
そして試合終了直前、ロープにもたれながら立っているのがやっとの状態の王者にアンドラーデ選手の渾身の右ストレートが決まってついに崩れ落ちたブテ選手。
深刻なダメージを負ったブテ選手でしたが、レフェリーがカウント途中でアンドラーデ選手に注意を与えたりしている間に、本能でなんとか立ち上がり試合再開が認められた場面で最終回のゴングが打ち鳴らされています。

117-109,115-111x2という公式の採点結果はフェアなものだったと思います。シロート採点は最終回を10-7として114-111。
ただこの最後の場面は大いに論議を呼ぶものになりそうです。
残り30秒からノックダウンの場面までで、レフェリーによっては試合を止めていたであろう場面が何度かありました。ダウンの場面で止めても良かったでしょう。

CompuBox Punch Stats: Bute vs Andrade Fight 1


このレフェリーの措置が地元の王者を救うための露骨な肩入れだったとは私は考えません。非常に難しいレフェリングだったとは思いますが、これは揉めるでしょうねぇ。(レフェリーのカウントは24秒間だったそうです。)

試合動画(dailymotion)

問題の場面(youtube)


ブテ選手は23勝(18KO)。アンドラーデ選手は27勝(21KO)2敗。

Bute survives Andrade!
Lucian Bute Decisions Andrade, A Controversial Ending
Bute vs. Andrade - The Post-Fight Report Card
Bute Outlasts Andrade, But Not Without Controversy
LIBRADO ANDRADE KO'S LUCIAN BUTE IN 12TH BUT LOSES DECISION!
Brawl in Montreal ends in unwarranted controversy
ANDRADE vs BUTE: MR. WRIGHT WAS OH SO WRONG! - PART 2
Bute Keeps Title With 24 Second Count
写真
Bute holds on to belt!

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3 コメント

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Unknown (プクー)
2008-10-27 20:29:07
アンドラーデ選手はまた見てみたいですね。技術が足りなくてもここまで追い込めるのだからすごい体力です。応援したくなります。ブテは一皮向けてさらに強くなるのかこの苦戦のダメージが残りそうでもありこちらも今後注目です。
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Unknown (b.f)
2008-10-27 23:47:45
15ラウンド制の時代であれば間違いなく、王者になれたでしょうになあ・・>>アンドラーデ
懐古厨と言われるのは百も承知ですが、この結末はちょっと・・・
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Unknown (管理人)
2008-10-28 22:52:17
>プクーさん
アンドラーデ選手には必ずもう一度チャンスは訪れる事でしょう。
この日の戦いぶりを見て、ケスラー選手ってやっぱ凄いんだな、との感想を強めました。(同じような事ばっか言ってますがw)

>b.f
15ラウンド時代だったら・・という声に対し、いや12ラウンドならばそれに応じて戦い方も変わるから
との異論が出ることが多いですが、この日のこの試合に関して言えば、あと1ラウンド、あと数秒あれば勝敗は確実に逆転していたであろうと強く思わせるものでしたね。
ブテ選手がポイントで確実なリードを奪っていましたから、仮に最後の場面でレフェリーが止めていたとしたら、それはそれで紛糾したのかもしれません。

この時のアンドラーデ選手の動きを映像では把握できなかったので是非を問う事はできませんが、ロングカウントがちとアレですが・・・

再戦するしかないでしょうね。楽しみです。
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