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ビクトル・オルティス対マルコス・マイダナ(2009/06/27)

2009-07-10 20:19:08 | ボクシング
WBAスーパーライト級暫定王座決定戦

先月末にカリフォルニア州ロサンゼルスで行われた注目の暫定王座決定戦、トップホープのビクトル・オルティス選手(Victor Ortiz)とアルゼンチンのKOセンセーション、マルコス・マイダナ(Marcos Rene Maidana)との一戦は、ダウン応酬の激戦の末に6回開始早々オルティス選手が続行を断念するTKOでマイダナ選手が暫定王座を掴む番狂わせとなっています。(体格比較)

強打の新鋭同士の激突は初回からヒートアップします。
ガードを決めてじりじりプレスを掛けていくいつも通りのオルティス選手に対し、手数が少なくディフェンシブに見えるマイダナ選手の様子からはオルティス選手の強打への警戒が伺えます。
マイダナ選手の右ストレートや左フックなどの攻撃からは非常にパワーが感じられるもので緊張感に溢れる攻防だったのですが、強気に出るオルティス選手が徐々にペースを掴みつつあった流れの中、見事なカウンターの右フックでオルティス選手がノックダウンを奪います。
両者の力の差、特に技術力の差が顕著に出たノックダウンシーンだったのですが、試合再開直後にマイダナ選手の右ストレートを浴びて今度はオルティス選手がダウンを喫してしまいました。
すぐに立ち上がったオルティス選手でしたがこのダウンでのダメージは深刻に見えました。
この回はなんとかラウンド終了のゴングに救われますが、2回に入っても下半身の踏ん張りが効かない感じ。ダメージの残る動きながらも積極的に攻撃を仕掛けていきまたその攻撃は正確にマイダナ選手をキャッチしていくのですが、不安定な下半身からの攻めで攻撃にウェイトが乗り切らず攻め切れません。
また先手先手に攻めを出しながら徐々にダメージからの回復を図っていたオルティス選手でしたが、常に「酔い」が抜け切らない状態で、1発強いパンチを食うととたんにガクガクしてしまう感じで、非常に苦しい展開を強いられていました。
初回に奪ったダウンと同じパターンで(右フックカウンター、右アッパーカウンター)この回2度のダウンを奪って見せたのは流石という他はないのですが、これが精一杯でした。
正確な攻撃を先に繰り出しヒットさせていくことでマイダナ選手の強打を封じる戦いでなんとかペースをキープしていたオルティス選手でしたが、その動きから疲労の色が感じられた3回途中からは徐々にマイダナ選手の攻めに追い詰められていきます。
左ストレートが流れ出し、かなり疲労がきつくなっていた5回終了間際にはマイダナ選手の強烈な右を2発浴びた場面でオルティス選手の戦意はほぼ萎えてしまっていたようです。続く6回はマイダナ選手の攻めに後退のステップを踏み続けコーナーに詰まり、左目下を大きく腫らされた右の強打を浴びマイダナ選手の猛攻から逃れるようにしゃがみ込み、立ち上がったものの続行の意思を見せずに試合はストップしています。



初回のノックダウンが全てに見えました。マイダナ選手の詰めが鋭ければ初回、あるいは2回でストップできていた試合のように私には見えました。それほど効いていたオルティス選手を詰め切れず、さらには2度ダウンを食ってしまうマイダナ選手の技術的な稚拙さを非常に強く感じた試合でした。
コテルニク選手とやったときのような良い意味での奔放さってのとは違って、この日はとにかくワンパターンで下手糞な選手に感じました。
ただオルティス選手がかなり効いていたから狙いすぎになってしまったという面もあるのかもしれませんが・・?
オルティス選手は強烈に効いたパンチを食ってしまったのが痛かったです。そこから徐々に回復を見せたものの、ダメージに加えてペースをキープするために攻めがオーバーペースになってしまったこともあって5回には完全にスタミナが切れてしまっていました。
プロ初の挫折を味わった22歳の今後に巻き返しに期待したいです。




マイダナ選手は26勝(25KO)1敗。オルティス選手は24勝(19KO)2敗1分。

試合動画(megavideo)

試合動画(nico)~コメントは画面右下のアイコンで消せます
ボクシング マルコス・マイダナ vs ビクトル・オルティス 1/2

ボクシング マルコス・マイダナ vs ビクトル・オルティス 2/2



Maidana TKOs Ortiz in classic!(Francisco Salazar and Edgar Gonzales/fightnews)
Marcos Maidana Upsets Victor Ortiz in a Six Round War(Mark Vester/BoxingScene)
Experience Conquers Youth As Maidana Stops Ortiz In Six(Jake Donovan/BoxingScene)
Marcos Maidana-Victor Ortiz: The Post-Fight Report Card(Cliff Rold/BoxingScene)
From the corner: Inside Maidana's upset(Sebastián Contursi/ESPN)
写真
Ortiz TKO'd by Maidana(Francisco Salazar and Edgar Gonzales Photography by “Big” Joe Miranda/fightnews)



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9 コメント

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Unknown (涼しい木星)
2009-07-10 21:34:14
お帰りなさいませ。

私はどういうわけかWOWOWでオルティスを2回連続で見逃している一方で、コテルニクvsマイダナは今でも見返すぐらい気に入っているので、米メディアが予想するようなオルティス戴冠、新星誕生!みたいな絵は全く思い浮かびませんでした。持って生まれた能力では両者遜色はないでしょうが、敷かれたレールを順調に走ってきたオルティスと、無名ボクサー同士で切磋琢磨しあってきたマイダナとの差が出たのですかね。私はフィニッシュシーンだけ某動画共有サイトで観ましたが、オルティスは完全に戦意喪失してましたね。シントロンとマルガリートの初顔合わせのように、「・・・こいつと戦おうとしたのがそもそも間違いだった」みたいな感じでした。

マイダナみたいに知名度があまりなくて強い、っていうのはボクシング界では厄介な存在ですね。時々単調に見えますが、己のパンチを信じて突き進むのみ、というスタイルは魅力的です。
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Unknown (管理人)
2009-07-10 22:33:07
>涼しい木星さん
ただいまであります。
結構なんだかんだ長かったです

記事に書いたことの繰り返しになってしまうのですが、この試合は初回のマイダナの右一発で決した試合に見えました。

コテルニクとの試合では良い意味での奔放さ、強いパンチを強くヒットする天性の勘(内藤選手っぽいと私は感じた)みたいなものを感じさせたマイダナで、私的な評価も低くは無かったのですが、この日の内容は、勝ったのですが評価ダウンしてしまう内容に私には見えました。

最後は仰るとおり完全にオルティスが戦意喪失しての試合放棄による決着でしたが、ダウン食って以降はずっと下半身の踏ん張りが効いてない状態で2度ダウン奪った2ラウンド目もオルティスはアップアップでした。
5回が終わった時点で既にオルティスの残り戦力は果てていたように見えました。

オルティスが打たれ弱いのか、はたまたマイダナのパンチが強いのか、多分その両方なんでしょうが両者の次の試合が色々な意味ですごく楽しみです。
まずはマイダナはコテルニク対カーンの勝者とすぐに試合をやって欲しいです。
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Unknown (Unknown)
2009-07-11 01:32:01
帰ってきたんですね

分かりやすい解説なので毎回更新されるのを楽しみにしてたんですよ。

留守とは知っていたのですが時々、チェックしてたのも事実なんですけどね。

今日、更新されていた時はなんか嬉しかったですよ。

でも、まずはゆっくり休んで下さいね。

僕が言うのも、おかしいんですが。
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Unknown (Unknown)
2009-07-11 13:33:08
帰ってらしたんですね。僕はそろそろ出発です

いやぁこれにはがっかりしました。
僕としてはオルティスに勝ってほしかったですね。
初回のダウンで、これほど効いているオルティスは見たことがなかったので、僕も正直、これで終わってしまうと思いました。
それだけに2回に2回ダウンを奪った時には興奮度MAXでしたねwこいつは天才だとw
僕としては初回のダメージとマイダナの打たれ強さがこの試合の決め手になったかなと思います。
コット×マルガリート以来、久しぶりにセンチメンタルな気分にさせられた試合でしたw
まぁこういう気分を味わえるのも醍醐味でしょうか?
オルティスはまだ若いんで今後に期待です。
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Unknown (管理人)
2009-07-11 17:15:14
>Unknownさん
今までが休みみたいなものだったので、ガンガン行きたいと思ってます。
息切れするかもしれませんが・・

>noraさん
結果を知らずに見たかった試合でした・・・
試合展開も知った上で見ていたので、初回のオルティスのダウン、さらに2回でのダメージの残ってる様子から、こっからどうやって2度もダウンを奪えるんだ?とか思いながら見てました。
2回に逆転のダウンを奪う直前にも右を食ってガクガクになってましたよね。
あの状況でダウンを奪えるオルティスの凄さに驚くのと同時に「マイダナまじかよ・・」みたいなガックリ感もかなりデカかったです。
マイダナは1発食うとすぐにストンと腰を落ちてしまって打たれ強いんだか打たれ弱いんだかよくわかりませんでしたw
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Unknown (プクー)
2009-07-11 20:07:07
ダウンのダメージとスタミナが完全に切れてしまったのでしょうかね。倒すか倒されるかの乱戦になってしまいました。マイダナに上手さは感じずカーンやモーゼスみたいな速い選手には通じないんじゃないかともおもいましたがプロらしい圧力がありますね。意外とこの両者には大きな力量差があったんではないでしょうか?技術というよりは体力差、精神力の差を感じました。オルティスの弱点を見た気がします。
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Unknown (管理人)
2009-07-11 22:01:12
>プクーさん
くどいようですが、私には初回の右一発で終わった試合に見えました
2回以降は結末が早いか遅いかだけであってその内容を見て両者の戦力どうこう言えるモンではない気がします
あえて言うならば、あの状態のオルティスは誰相手にも勝つ事は難しかったでしょうし
そのピヨピヨのオルティスから2回もダウン奪われちゃうマイダナって何なの…てな感想で
この試合を見て両者の力量差を計るのならば、私はかなりの差でオルティス>>>マイダナだと感じました
ただボクシングはどちらがより優れているかを競うんじゃなく結果が全てですからね
勝った方が強いんですしリマッチがあったとしても同じ結果になりそうでもあって、このあたりががボクシングの面白さなんだと思います

マイダナに失望した内容でもあったのですが
上記の通りあの状況下での両者の戦いを見て何か論ずるのはナンセンスだとも考えています。
コテルニクとの良い試合も見ていますし。

敗北を喫したオルティス同様マイダナの次戦の内容に非常に興味があります
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Unknown (おす)
2009-07-12 08:17:50
うーん、どっちもダメダメと言わんばかりの記事ですな、実際ダメなんだろうけど
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Unknown (管理人)
2009-07-12 08:40:33
>おすさん
この試合の展開と結果、その後のメディアの反応などを知った上で見た試合で書いた記事でした。

オルティスの不甲斐無さを攻める声&マイダナが怪物だったみたいな意見・記事を私は多く目にしてたんですが、実際試合を見てみたらそれは全然違うなと感じたので、そのことを伝えようと書いた記事でした。

試合を決した右を食った場面でのオルティスの軽率さ、2回に右で大きなチャンスを掴んだ直後に慌てて攻めようとしたところで逆転のダウンを食ったマイダナには経験不足を感じました。

マイダナはカーンとやれば勝てるでしょうがコテルニクには何度やっても善戦するけど届かない、ような気がします。
ただカーンとコテルニクだとカーンが若干有利なんじゃないかと予想していて、ここでもじゃんけんの関係が見れて(というか感じてるだけですが)面白いです。
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