なんくるないさ~、沖縄での研修医生活

臨床研修のメッカ沖縄にあって忙しさNo.1を自負する中部徳洲会病院。スーパー研修医がリレーでつづる研修医ブログ。

忘れられない一言

2010-02-05 20:51:33 | Weblog
連日Kです。

僕が医者になってこの心構えでいこうと思った一言なんですが。

中徳の院長は心臓血管外科の専門で、それはそれは恐ろしい人だったと聞いております。
当時は鬼軍曹と呼ばれていたとか。
全ては患者さんが良くなるためには鬼にでもなるという意味かもしれません。
想像するには。
いまは仏のような院長ですよね☆

その院長が言っていたことなのですが、
院長は心臓を手術する外科医なわけです。
院長職にまでなると、自分が手術をするより、
後輩の育成のため自分は教える側にならないといけないと言っていました。
じゃあ、どんな後輩に教えるかというと、

『1回目の手術より、2回目の手術が上手くなければ、そいつに教える必要はない。』

ですって。
もちろん心臓を扱うため、非常に繊細に、そして手術も上手くなければできない話ですが、
つまり言いたいことは、1回目より2回目が下手であれば成長するわけがないと。
そんな向上心のないやつに心臓の手術をさせるわけにはいかないと。

そりゃそうだなぁと思いましたが、
僕がはっとさせられたことは、つまり何の手技や物事においても、
1回目より2回目、2回目より3回目、
10000回目より10001回目が少しでも何か上手くできなければ意味がない。
つまり毎日の手技を常に上達するように考えていないといけないんじゃないか。
そして、命と向き合う僕らは常にこれを意識しなければ!と思わされました。

なんや簡単やないかと思われるかもしれませんが、
これは大変なことです。
今日の採血は昨日の採血より上手にできただろうか。
今採った血ガスは今朝採った血ガスより上手にできただろうか。
考えてください。
明日やるCVを、前のCVより上手にするためにはどうすればいいだろうか。
なぜ今日のライン確保は以前より上手くできたのだろうか。
全てなんです。全て。

これができないと、次の新しいことをやることすら無意味。
僕らペーペーは、手術うんぬんの前に、
基本的手技も全てにおいて前より今上手くなっていかなければいけないのです。

何も外科に限ったことではありません。
今回使用する抗菌薬は以前より上手に使えているだろうか。
前回と同じような患者さんが来たけど、今回の方がたくさん病歴を聴取できるだろうか。
先週のCTより今週みたCTの方が、色々読めるようになっているだろうか。
あーやること多すぎ。

書けば書くほど頭が痛いですな。
しかし言えることは、1回1回のことを必ず次に生かすこと。
向上心を決して絶やさないこと。
今できないことは、次できるようになればいいし
次よりも次の次はもっと上手くなっていればいいし
しかしその一つ一つが常に患者さんのもとに僕らの成長があることを
決して忘れてはいけない。
僕が診た、触った、話した患者さんの全てがいまの自分を形成していて、
そしてその全ての患者さんから得たことを生かして、
次に会う患者さんにさらによい医療を行っていく。


『1回目より2回目が上達していなければ、やる必要がない』


絶対忘れられない、忘れない言葉です。いまでも。



PS:熊本に行った後輩の病院HPをみました。すごい頑張っているみたいで励まされました。自分ももっと頑張らなければ!