なんくるないさ~、沖縄での研修医生活

臨床研修のメッカ沖縄にあって忙しさNo.1を自負する中部徳洲会病院。スーパー研修医がリレーでつづる研修医ブログ。

肥満 はり治療 耳つぼ ダイエット

2008-10-31 17:30:53 | Weblog
以前、減量に対して針治療を単独で用いるべきではないという教科書の記述をご紹介したが、今回は2003年のInternational Journal of Obesity という雑誌に掲載された論文をご紹介します。

出典は、「Acupuncture for the treatment of obesity: a review of the evidence J M Lacey, A M Tershakovec and G D Foster」International Journal of Obesity (2003) 27, 419–427である。この医学雑誌はnatureと同じ出版グループからだされたもの。それまでに出された論文を横断的にまとめた、「総説(Review)」である。

これまでの報告に対して、「まだ十分な評価はなされていない、試験期間が短い、対照群の設定が難しい、プロトコルの標準化がされていない」などの問題点を指摘しながらも、ダイエットの補助手段としての有用性が秘められているのでより詳しく研究されるべきとしている。なんだかすっきりしない論文だが、はり治療を行う部位が詳しく記されており、私には有益であった。

これまでの肥満治療研究で主として使われているはり治療の部位は3つある。「Hunger(飢点)」「stomach(胃)」「shenmen(神門)」の3つである。最初の2つはともに満腹に関係するポイントで、3つ目はイライラを改善するポイントだそうだ。

「Stimulation of auricular acupuncture points in weight loss」Dean Richards, MBBS, MDMA John Marley MDという論文では、「stomach」と「shenmen」を一日2回、4週間刺激して効果が出たと報告していた。この報告は鍼ではなく電気的なつぼ刺激のようだ。

肥満に対するはり治療の効果は、有効とする報告は数多くあるものの、総説を読む限りでは、はっきりした結果はまだ出ていないというのが現状のようだ。
   ダイエット外来  今西康次

こども 肥満 ダイエット ローカーボ食の適応は?

2008-10-28 21:23:19 | Weblog
JAMA、NEJMといった世界でもっとも信頼されている医学雑誌に報告された最新の論文を中心に、低炭水化物食が有効であることを紹介してきた。現在の最大の関心事は、肥満小児のダイエット食として最適なのはどれかということである。

小児には成長・発達という最も大事な側面があるので、成長・発達に悪影響を与えない栄養を考えなければならない。文献を調べていると、やはり賛否両論があって、大人以上に結論を出しにくいのが現状のようだ。

まず論文以外からひろってみると、
BBCのニュースに、”Put fat children on Atkins diet"と題する記事があった。著者はInstitute of Cancer Research の Professor Julian Petoである。これは肯定派の意見。
反対派の意見としては、”Should I Feed My Kids Fewer Carbs"という題で、Northwestern Univ. Prof. Daniel Kirschenbaum。

これから最新の論文を調べてみて、私なりの方針を出そうと思う。これらは後日報告します。

閑話休題。私と席が近いM先生は先週からひそかにローカーボ食を開始し、1週間で2kg減ったと笑顔で話していた。おなか周りが楽になったのが、この1週間での一番の違いなのだそうだ。

ダイエット外来 小児科 今西康次

Road to NAHA  練習報告

2008-10-26 17:18:26 | Weblog
朝夕は涼しくなってジョギングには最適の季節になった。
NAHAまであと40日あまり。職場の仲間もそろそろ練習の話題で盛り上がるようになった。

先週末は伊良部島の当直応援で診療所に缶詰状態だったので、先週末は走れなかった。週半ばに4km走っただけ。今週は、5kmを2回、プールで1km水泳、そして今日は18km走ってきた。今日は日曜なので朝の病棟回診だけで仕事はおしまい。浦添の自宅からバスで出勤、バス停からまず2km軽く、そして帰りの16km。

通勤時間にジョギングするのがいいなあと思っていたので、やっと実現しました。バスのダイヤが心配だったのですが、日曜で道路がすいていたので、バスが遅れる事もなくスムーズでした。
            今西康次

長距離陸上選手のカーボローディング 周期性四肢麻痺症候群 大福餅症候群

2008-10-24 15:30:23 | Weblog
NAHAマラソンまで50日を切りました。道行くジョガーも日に日に増えているようです。

今回はダイエットの話題から離れますが、ジョガーの私がびっくりした炭水化物に関する話題です。

「小児科臨床」という小児科医向けの医学雑誌の2008年7月号は「食育」特集です。
日本オリンピック委員会強化スタッフの一員でもある静岡県総合健康センターの井本岳秋先生が担当された、「運動部活と食生活・栄養」という章からのご紹介です。

マラソンランナーなどの長距離選手は大会前の1週間に「カーボローディング」という特別な食事をすることが多いそうです。これは食事のバランスで炭水化物を90%という超高炭水化物食にして糖分をたくさん摂取し、グリコーゲンなどを筋肉や肝臓により多く蓄えることを狙った戦略だそうです。

このカーボローディングをおこなった選手Aが、本番直前に体調不良を訴えた。手足がしびれ、動悸や呼吸困難を訴えたそうです。結局自己ベストに遠く及ばない惨憺たる成績だった。このときは気温30度、湿度20%と湿度が予想外に低いのが原因とされていたが、その後の検討で実は周期性四肢麻痺症候群だったのではないかというのである。

周期性四肢麻痺とは血中のカリウム(K)に異常が生じて発症するもので、通常は遺伝の関連する先天性疾患です。今回のマラソン選手のケースでは、低カリウム性の周期性四肢麻痺と同様な病態が生じたのではないだろうかということです。

理論はこうです。
1.カーボローディングにより糖をたくさん摂取すると血糖値が上昇し、インスリンがたくさん分泌される。
2.インスリンの働きで、糖は血液から筋肉や肝臓に取り込まれますが、このときカリウムも一緒に移動します。
3.移動するカリウムが多いと、血中のカリウムが不足して低Kになります。
4.低K状態になり骨格筋は収縮力を失い、マヒ様の状態となる。

高K血症の治療に、GI療法というのがありますが、これはインスリンと糖を注射して、上記のような仕組みで血中のカリウムを筋肉や肝臓に移動させ、血中のカリウムを正常化させる治療です。

件のマラソン選手は、不必要なGI療法をしてしまったことになります。糖尿病のない健康な人だからこそ、インスリンもバンバン分泌されるし、インスリンへの反応も良好だから起こってしまうのでしょう。果物などでカリウムを補っていれば防止できたかもしれません。

アスリート系の雑誌を見ていると、大会前の食事は炭水化物を多めにという記事を目にします。度が過ぎるととんでもないことになってしまうということを知り、正直なところ驚いています。スポーツ選手は体重管理も厳格であり、時として過度になっていろいろなトラブル、女性では無月経・腰痛・貧血・骨密度低下、男性では生殖機能低下・女性化、があるようです。気をつけねばなりませんね。
周期性四肢麻痺症候群には「大福もち症候群」というあだ名があるそうです。知らなかった。

                  小児科  今西康次



糖尿病治療 カーボカウント法 ダイエット

2008-10-23 11:36:53 | Weblog
糖尿病にはインスリンが出なくなる1型糖尿病と、インスリンの効きが悪くなる2型糖尿病があります。1型糖尿病(場合によっては2型でも)ではインスリンを注射で補う必要があるのですが、量を決めるのがとてもむずかしいのです。血糖値を目標値(たとえば100~200程度)に保つには、食事の量と活動量にみあった量のインスリンが必要なのですが、食事量も活動量も常に変化しますので、常に一定の量を投与していたのでは血糖値をうまくコントロールできません。ここに難しさがあるのです。

欧米で最近主流になっている方法に、「カーボカウント法」というのがあります。これは食事に含まれる炭水化物の量に合わせてインスリン量を決める方法です。炭水化物の量を推測するのはやはり面倒ですが、ご飯茶碗一杯なら○○カーボ、というように目安が示されているので、指導を受ければ推測できるようになります。

このカーボカウント法では、インスリンの量を決めるのは炭水化物だけです。炭水化物とは主に糖分のことで、ご飯・パン・麺・芋などの主成分です。血糖は食事中の炭水化物(糖)が消化吸収されることで上昇します。したがって炭水化物の量に応じてインスリンを決めるという理屈です。

日本でも、徐々にカーボカウント法が広まってきているようですが、糖尿病の教科書を見てもあまり記載はありませんし、推進している医者もまだ少ないと思います。欧米ではすでに主流になっているようです。大阪市立大学の小児科の先生たちが本を出しています。わかりやすい解説文書が公開されていましたのでリンクしておきます。

実はカーボカウント法を紹介したくて書いたのではなく、カーボカウント法が意味するところを紹介したいのです。すなわち、糖尿病で重要なのは炭水化物であるということ。さらにいえば、メタボやダイエットにおいても重要なのはやはり炭水化物であるということです。カーボカウント法は糖尿病の治療法ですが、その考え方はメタボリックシンドロームやダイエットにも応用できるということです。なぜなら肥満の原因の内臓脂肪は過剰摂取された糖から作られるからです。ダイエットでまず注目すべきは炭水化物の摂取量です。

いくつか気になったページがありましたので紹介しておきます。
後藤由夫(東北大学名誉教授) 私の糖尿病50年 糖尿病医療の歩み No. 60 食事療法から夢の実現へ

糖尿病ネットワーク トリグリセライド(中性脂肪)コントロールの重要性

カーボカウントな日々(糖尿病患者さんのblog)

11月からのダイエット外来もすでに数名の診察予約が入っているようです。
がんばりましょう!!
               ダイエット外来 今西康次

8名がマッチング 来年度の新研修医

2008-10-20 11:34:09 | Weblog
先日、来年度の研修医マッチング結果が発表になりました。
当院をご希望になった卒業予定者は8名で、今春の10名には及びませんでしたが、旭川医大、秋田大学、宮崎大学、琉球大学と全国から集まってくれました。スタッフドクターはもちろん、外部講師の先生方、若い研修医達も皆さんが来春やってくるのを心待ちにしています。少しでもよい研修ができるように準備しています。

今回の特徴は女性が過半数となったことです。
18年度4名、19年度1名、20年度3名の女性研修医が研修を開始しましたが、彼女達がいきいきと研修生活を続けているのをみて、多くの女子医学生が当院での研修を決めてくれたのだと想像します。

新臨床研修制度が始まってから、毎年1~4名の女性研修医が入職し、皆さん研修を無事終了されて各方面でご活躍中です。男性、女性ともに脱落者が一人もいないのが当院の自慢です。しかも、他院で後期研修を受けてから戻ってきてくれたり、活躍の様子を連絡してくれる卒業生も多く、研修にかかわる者としてはうれしい限りです。研修医新聞のSmileSmileの次号からは卒業生特集を組んでいく予定です。ホームページからごらん頂けますので楽しみにしてください。

なお、来年度の募集枠は12名なので若干の空席があります。研修先がまだ決まっていなくて、沖縄での研修をご希望の方は、研修事務担当者に相談ください。
       副研修委員長 今西康次

伊良部島当直

2008-10-17 22:44:26 | Weblog
週末の当直応援で、伊良部島診療所に来ています。実に3年ぶりです。
伊良部島と宮古島は研修医時代に何度も勤務したので、とても懐かしいです。

宮古島から高速船で15分。あいにく天候が悪く、海は荒れていました。
3年ぶりですがあまり変わっていないのでホットしています。
夕方から仕事に就いていますが、最初の患者さんは3ヶ月の赤ちゃんでした。
小児科医ですので、子供が来ると来た甲斐を感じます。
最初、発熱と聞いていたので心配したのですが、幸い熱はありませんでした。
感冒症状のため、痰ごろごろしていて、喘鳴もあり、いわゆる喘息様気管支炎という状態でした。小さいお子さんではよくみられる病態です。吸入と吸引をすることで、見違えるように呼吸も安らかになってくれました。自宅でも鼻を吸ってあげてくださいねとお話ししました。ベテランの看護師さんが、昔は直接口を付けて吸ったもんですよ、と言っていました。そういえば、母乳点鼻という昔からの治療法があります。母乳には様々な免疫物質も含まれているので、点鼻してあげることで、鼻閉感が和らぐそうです。私はどちらかというとこういう自然な治療法が好きです。

さあ、夜はどんな患者さんが来るのかな?
 伊良部島にて  今西康次

ダイエット 炭水化物の割合はどれくらいがいいのか?

2008-10-15 20:55:42 | Weblog
食物に含まれる栄養素。学校の家庭科などの教科書にも紹介されている。
3大栄養素といえば、炭水化物、たんぱく質、脂肪である。
このほかに、ビタミン、ミネラル、(食物繊維)などがある。

食事では、これらの栄養素をバランスよく摂取するように指導されている。
これまで一般的に指導されてきたのは、たとえば、
 炭水化物   60-65%
 脂肪      20-25%
 たんぱく質  15%
のようなバランスである。
この割合は、摂取エネルギー(カロリー)でのバランスである。

このblogで紹介してきたが、これまでのバランスに異議を唱えるような研究報告が相次いでいる。
特に、メタボリックシンドロームの人には要注意である。

日本医師会雑誌の2007年別冊「メタボリックシンドローム up to date」 によると、
「食事療法の実際」という章で次のように書かれている。

「摂取エネルギー制限食において炭水化物の理想的摂取割合を55-60%とすることが、
メタボリックシンドロームの食事療法としての妥当性を支持するエビデンスは見当たらない・・・・・」

ちょっとわかりにくい表現だが、炭水化物はもっと少ないほうがよい、ということである。
炭水化物とは、ご飯、パン、麺類などである。
さらに、最近話題の低GI食についても触れており、
ぶどう糖、果糖、砂糖などの糖類や白パン、ポテト、パンケーキなどは
高GI食品であり、食後高血糖や高インスリン血症が生じやすいので、
玄米、胚芽パン、豆類など低GI食品が望ましいと述べている。

この章は、最近の研究成果を取り入れた画期的な内容であり、
ダイエットに携わるすべての人が理解する必要があると私は思う。
エビデンスのない古い常識にとらわれていたのでは、効率的なダイエットはできない。
私達も、医師、栄養士、看護師などすべてのダイエット外来に携わるスタッフが
最新の文献を読んで日々勉強しています。

しかし、このような有益な情報も、一度にまとめて提供されるとたまらない。
ダイエット外来では、折を見て、少しずつ、無理なく、理想的な方向へ誘導していこうと思います。

           徳洲会ソフィアクリニック ダイエット外来 今西康次

Road to NAHA この1週間の練習報告  ダイエット外来の準備

2008-10-13 21:21:11 | Weblog
日中は暑いものの朝夕は過ごしやすくなりました。
北谷のアラハビーチも夕暮れ時にはすっかり秋の様子。
監視員の台も夕日を背に少し寂しい感じになりました。

NAHAまで2ヶ月をきり、道行くジョガーの数が少しずつ増えている気がします。
グループでジョギングしている姿も見られました。

週の半ばは夕方の外来や医局での英会話クラスがあったりして、帰宅が遅くなります。なかなか練習ができません。今週は金曜日にラグナのプールで1km泳ぎ、今日は北谷まで15km走ってきました。ペースは大して上がりません。1km7分くらいです。私にはこのペースで十分です。このペースで最後まで走りきれればいう事なしですが...現実は甘くないですね。

ダイエット外来の準備は、体重日記用のグラフを作成しました。一日1回計るものと、理想的な4回計測用のものを作りました。水曜日はプロジェクトチームの打ち合わせがあります。東京西徳洲会病院の小児科も肥満外来を開こうと準備を始めるそうです。お互いに情報交換をしながら、効果が上がる方法を見つけていきたいと思っています。
                今西康次

小児の肥満 全国比較

2008-10-13 10:34:24 | Weblog
表示したグラフは成人男性の肥満率の比較である。
沖縄県の突出ぶりが恐ろしい。
このグラフの出典は社会実情データ図録というサイト(下記)で、公式機関からのデータを加工したものだそうです。新聞記事などで見る限り、沖縄県の成人の肥満率が高いのは言うまでもありません。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/7310.html


では、沖縄の子供には肥満が多いのだろうか?
文部科学省が発表している「平成19年度学校保健統計調査」を調べてみた。

「都道府県別肥満傾向児の出現率」という章があり、たとえば11歳(小6)では、

 全国平均 10.91%
 沖縄県   11.97%   とやや高めである。

 ちなみに上位は、宮城16.08%、福島14.97%、岩手14.91%、青森14.62%と東北に多い。
 沖縄県は16位である。

 5歳~17歳で、全国平均より低いのは、14歳・15歳・17歳だけである。

とっても多いというわけではないが、全国平均よりも肥満傾向のこどもが多いといえる。
思春期の肥満の7割はそのまま成人肥満になると報告されているので、小児期から肥満に対する知識を持つことは肥満予防のために大切である。
                            小児科 今西康次

うえまあつこの旅日記~マレーシアの巻き~

2008-10-06 20:07:13 | Weblog
 一年に一回の命の洗濯、夏休み期間がやってきました。家で好きなだけ寝るのもよし、ダイビング三昧するのもよし、たまにはまとめて勉強でもしてみようか。旅に行きたくても、毎日06:00出勤、帰宅は23:00、当直平均11回の中、旅行会社に行く時間もないよう…いやいや、行けばきっと何とかなる
というわけで、マレーシア行きの航空チケットを3日前に購入し、ほんとチッケトだけ握り締めて飛行機に滑り込み。先行き不安な旅が始まりました
 飛行機の中では、ビールしこたま飲んで爆睡。機内食の時だけかろうじて起きている。機内食って好きなんですよ。コンパクトな中にぎゅって文化が濃縮されていて。あ、こんなところにこんなものが、って発見が楽しいよね。昔、シルバニアファミリーのハウスセットを見て、こんな小さい所までこんなに凝っている、て感動したものだけど、同じような感動を覚えるよ。
 ソウル経由でコタキナバルへ。コタキナバルは青い空も海もただ青いとても力強い土地で、最初の2日間はそのエネルギーにただただ圧倒されて、日がなボーっとしていました。ほんとにボーっと。海の側のホテルに泊まって、朝食食べたら本読んで、ジントニック飲んでは昼寝して、夕方起きてはビール飲んでウトウトすると。波の音聞いているだけで満足して、泳ぎもしなかったなあ。充電期間だったのかな
 そのうち、そうやって死んだふりするのも飽きてきて、どこか行こう、って思い立った時に、ホテルの人からボルネオ島北部のジャングルにドラゴンがいる洞窟の話を聞きました。こんな情報ってほんとタイミングよく入るものだ。早速コタキナバルからミリという町まで飛行機で40分、さらにそこからセスナで30分かけて目的の場所へ。セスナから眼下に広がる原始のジャングルに興奮。日本の森も繊細で密やか好きだけど、熱帯の森は荒くて、力強くてガツーンっと衝撃を受けっちゃった。あそこに人間って行けるのかしら
 ここのジャングルはムル自然公園といって世界遺産に登録されており、ジャングルのど真ん中にある「ムル国立ホテル」と少し離れた、なんちゃってリゾートの「ムルリゾート」があるんだけど、前者は5ヶ月待ちだとか。私はと言えばそのなんちゃって…の方に泊まったんだけど、夜のカラオケ大会以外は概ね満足ここのホテルは川沿いにあるのだけど、従業員はボートで出勤。ジャングルに行くのもボートで川を上って行きます。楽しい
 ジャングル目指して川を上って行く途中で、赤十字の旗の立った小屋を発見。案の定診療所と言うことで、見学できないかとおずおずと尋ねたところ、快くOK。午前中は診療所を見学することに。診療所には看護士さん2人と医者に準じる資格を持った助手さんの3人で回して、医師は月に2回来るのだとか。診療所の中は概観からは想像出来ないくらい清潔にしていました。感染症が圧倒的に多いらしく、次にお産が多いらしい。重症患者はヘリや舟で隣の大きな町に運ぶのだとか。お薬もNSAIDsや抗生剤くらいはあるらしくて、困ることは月に2、3回みたい。来年は私も小さな島の診療所に勤務する予定だけど自信ないっす、ってカタコトの英語で伝えたら、風の人にならないで土地の人になって下さい、って言われました。うふふ~
 午後からはいよいよジャングルへ。舟を川にくくりつけ、吊り橋を渡って奥に進んで行きます。ジャングルは命の宝庫です。葉っぱの振りした虫とか、タバコサイズの毛虫とか、びっくりするくらいでかいナナフシとか。いちいち驚いて前に進めません。カンドーの嵐でした。くぅ~
 ジャングルの中を2時間くらい歩くと、岩壁にたどり着きます。そびえ立つ岩壁の高いこと。阿呆みたいにポカーンと口を開けて見ちゃう感じです。その岩壁の真ん中より下くらいに、大きな洞窟があって、この洞窟に無数のこうもりが住んでいて、夕方になると列をなして飛んでいく。その数の多いこと。これが長くて太いものだから、地元の人は竜に例えて「竜の洞窟」と呼んでいるみたい。竜の正体はこうもりでした
 洞窟は地の底を這うように続いていて、世界の秘密の1つを知ってしまった気分です。東京ドームくらい余裕で入るんじゃないかな。東京ドーム、行った事ないけど。ガイドしてくれたフロックさんはこの洞窟の最初の探検隊チームの一人だったようで、洞窟にある岩や生き物の性質などを一つ、一つ丁寧に教えてくれ、また当時の冒険も教えてくれました。洞窟の一番底のまで来ると、大きな川が流れていて、高い高い天井には自然に出来た割れ目から陽の光と地上からの水が絶え間なくキラキラ落ちてきて、このキラキラをずっと眺めていました。
 私は旅が大好きです。過去も未来もなく、今の自分だけで必要な分だけ人と関わる感じが大好きです。言葉が通じなくて、通じないから目を見ていっぱい時間をかけて話す感じも大好きです。生命に溢れたボルネオ島で私も楽しかった。また来年もボロボロになった体を引きずりながらどっか行っちゃうのだろうな。
 忘れないよ、ボルネオ(by田口ランディのパクリ)
 

Road to NAHA 先週の練習報告

2008-10-05 15:40:35 | Weblog
NAHAマラソンの申し込みもついに締め切られた。
当院の研修医の先生たちもほとんどが申し込んだようである。

先週は仕事が忙しくて週後半まで練習できなかった。
金曜日はプールで1km、土曜日は10km走ってきた。

今日日曜は悲しいかな一日勤務である。
病院の隣の中学校では体育祭をやっている。応援の太鼓の音が響いている。
100m競争とか走ってみたいなあ。
こどもが小学生だったら、運動会の保護者競技なんかに出られるんだけど、高校生だと保護者は関係ないしね。
NAHAまで2ヶ月を切り、練習にも熱が入ってきました。
                                      今西康次

朝食 バランスのよい朝食は本当に必要なのか?

2008-10-05 12:59:54 | Weblog
小児科医が読む日本語医学雑誌の定番「小児内科」、2008年9月号は食育の特集。
気になった記事を拾ってみる。

「小児の栄養をどう考えるか」という論文では、1996年以降の世界中の文献を対象に「朝食欠食」に関するメタアナリシス(≒論文の総まとめ)をしている。

この論文では、
「朝食の摂取状況と肥満との関係については十分なエビデンスは得られていない」
「朝食の欠食が栄養・身体的問題にどのような影響を与えているかを検討した論文は少ない」
といった説明がなされていた。

すなわち、朝食は大切だと言われてはいるものの、科学的な実証はほとんどされていないのが実情のようだ。


同じ号の、「家庭での食事を考える」という論文では、朝食の揃え方に関して、
「子供が気持ちよく午前中に活動するには、朝食をバランスよくとる必要がある」
と述べている。一見、すごく当然のような内容であるが、本当にそうなのだろうか?
この記述に関しては論拠は示されていない。疑うまでもないということか?

この論文に限らず、食事のバランスの重要性はいろんなところで強調されている。
新聞、雑誌、テレビ番組、教科書など、いろんなところでこういった記載を目にする。
あるテレビ番組では、実際の食事献立の写真を集めてきて、
あんぱんと牛乳だけの朝食に対して、こんな朝食は大問題だなどと説明していた。

はたして、毎食バランスをとる必要があるのだろうか?その証拠は?

毎回バランスのよい食事をしている人など、実際どのくらいの割合なのだろう?
大して気にしていなくても、たいていの人は元気に育っているのではないだろうか?

栄養バランスは大切なのは間違いないが、どれだけのスパンでバランスをとる必要があるのかを
明らかにする必要があるのではないだろうか?そのためには、体内での栄養代謝の仕組みが詳しく解明され、摂取した各栄養素がどれくらいの期間、体内で有効なのかを検討する必要があるだろう。

いろんな文献を調べれば調べるほど、これまでの栄養に対する考え方は根拠に乏しいなあと感じてならない。
                     小児科 今西康次

ダイエット 咀嚼法 グラフ化体重日記 行動療法

2008-10-04 16:22:39 | Weblog
ダイエットに関する情報が溢れているが、一般の方が医学的に有益な情報を選別するのはひと苦労だと思います。
科学的根拠のある情報をこのblogで紹介するのが日課になりつつあります。
あまり手の内を明かしてしまうと、外来を開く必要がなくなってしまいますね....

11月からはじめるダイエット外来では、先日このblogで紹介した渡辺先生のダイエット法を基本にする予定ですが、きょうは、渡辺先生が実践している咀嚼法に関する文献をご紹介しましょう。

日本歯科医師会雑誌2007年4月号に掲載された「肥満症治療のストラテジー」と題された論文です。著者の吉松教授は肥満に関連するレプチンという遺伝子を研究されていた先生です。私も学生時代に内科学の教えをうけました。

日本語の文献ですので、詳細は直接お読みいただくとして、論旨は、生活習慣の改善には行動療法的なアプローチが大切であり、咀嚼法やグラフ化体重日記に有用性があるということである。この論文で解説されている手法をなんとか実践したいと考えています。行動療法なので、患者さんへの動機づけを如何に高めるかが勝負だと思い、腐心しているところです。

            徳洲会ソフィアクリニック(沖縄市) 今西康次

ダイエットに対する針治療    耳への針治療は効くのか?

2008-10-03 10:55:01 | Weblog
針治療はダイエットに効果があるのか?
ダイエット療法の一つとして耳針や耳つぼ刺激がありますが、本当に効果があるのでしょうか?

針治療に関してもアメリカでは盛んに研究が行われているようです。針治療は英語でacupuncture。鎮痛領域では多くのevidence(証拠)が出されていて、治療に応用されています。一方、ダイエットに対する治療効果はまだ明確な証拠はないようです。

一例をご紹介します。2007年出版の教科書、Rakel: Integrative Medicine, 2nd ed.からの引用です。
「統合医学」と訳すのがいいのかな?

chapter 39 - Obesity(肥満)
Diana Cullum-Dugan, RD, LD Robert B. Saper, MD, MPH(ボストン大学準教授)

Acupuncture
Although many acupuncture studies have been perfomed for weight loss, most have been of poor quality.
Nonstandardized treatment protocols, lack of adequate controls and blinding, and short duration (<12 weeks) make these studies difficult to interpret. A pilot RCT of 40 obese adults found no effect of acupuncture on BMI. Although relatively safe, acupuncture should not be used alone in the treatment of obesity without nutritional and purposeful activity interventions.
要旨を訳すと、
減量に関した針治療の研究はたくさん行われてきたが、どれも研究の質が低かった。最初の二重盲検試験ではBMI(肥満の指標)は改善しなかった。減量に対して針治療を単独で用いるべきではない。


食事や運動と組み合わせるのは価値がある、と解釈していいのかもしれない。まだ本格的な研究は途上であると考えるべきで、今後の研究に期待したい。私は、耳針というのは治療法のひとつとして取り入れていきたいと思っている。医師が行う針治療は、医療行為としては認められているが、診療報酬は請求できないようである(なんか矛盾しているなあ)。
                                   今西康次