押しても駄目なら

風が吹けば、と共に非線型現象の第二例でしょう。

中国「反日」運動ーその4/迫り来るチャイナ・クラッシュ

2005-06-22 22:58:05 | きのうきょうの話題
中央公論2005年7月号特集対日強硬の中国に潜むリスク 迫り来るチャイナ・クラッシュ 山崎養世(やすよ)著 の記事は資料としては説得力を持っていると感じた。

中国では安いのは労働力だけで、生産効率は他の面では極めて悪いそうだ。ある意味で資源浪費型経済国という。一番の例が石油消費量である。同じGDPで日本の七倍の石油を消費するという。そうしたお陰で世界的な石油価格の高騰である。六年前には1バレル10ドル台であったのが、今や60ドルに迫っている。日本との領海地域で試掘を始めている。

石油価格の高騰が燃費の悪いSUVを敬遠する米消費者の行動を生み出し、GMを初めとする米自動車会社の不況を招いた。また、航空業界の不況もあらわになりつつある。こうした経済的な悪影響から米国は人民元の切り上げの要求を強めている。

日本で円が変動性になったのは1970年代半ばであったが、中国の人民元は今その時期に相当するらしい。日本では変動性に移行する前に円の切り上げ要求に対し、ドル買いをして、対価の円が市場に回り、列島改造ブームに乗って、不動産の「狂乱」を招いた。そして、円切り上げ、変動性となり、不動産と株の暴落があった。

中国のバブル崩壊は丁度これに相当するだろう、が山崎氏の推論である。しかも、中国の国内資本が少ないためにバブル処理は国内で賄い切れないだろう、と予測する。日本と中国とが協力してこの南極に立ち向かわなくてはならなくなるだろう、が彼の提言である。更に、その事を可能にするには情報公開を中国に対して日本は要求しなければならない、とも提言する。しかし、一党独裁共産主義政権にそれが通じるだろうか、理解されるだろうか。

私はこの点に関しては悲観的である。ならば、どうするか?只今の所答えを私は持たない。それこそ欧州統一のこれまでの百年近い運動の中にこれに類似する局面があるかもしれない。また、ソ連崩壊とその後の分裂過程の中に学習すべき事象があるかも知れない。

弥生文明と南インド 大野晋著 岩波書店

2005-06-22 16:23:23 | 気になる本
著者の熱意が充分伝わってくる面白い本。今問題になっている東アジアの稲作文化の創世期のお話の具体的根拠を提供した、と言う意味で画期的なものだと思う。しかし、世の中、学会で受け容れられるにはまだまだ時間が掛かりそう。
この学説を足掛かりに東アジアの時間的空間的な文化の相互依存、相互流通について研究が進むことが大変望ましい。

最近のほんの百年足らずのギクシャクした関係は私は多分に政治的な要素があると思う。これは決して日本の侵略行為、植民地政策を正当化するものではない。しかし、今後の東アジア経済圏の構築構想などを長期的に想定した主導権争いの一面があるような気がする。

欧州の単一化構想は百年近くの歴史があるようだが、それにもかかわらず、5月末から6月初めのオランダ、フランスでの統一憲法の否定、その後の仏、独、英首脳の相互批判、などなど道はなかなか険しい、と感ずる。