知らない世界へ帰りたい(日本探求)

自分の祖先はどんなことを考えていたのか・・・日本人の来し方、行く末を読み解く試み(本棚10)。

「あの舞をもう一度〜原発事故と民俗芸能」(NHK)

2016年09月10日 14時56分54秒 | 震災
2014年6月7日放送 ETV特集





解説
 福島の民俗芸能が存続の危機に直面しています。数百年前から受け継がれ、地域の人々を結びつけてきた祭り。ふるさとの神社に奉納してきた唄や舞。そんなかけがえのない民俗芸能の担い手である住民を、原発事故が散り散りにしてしまいました。文化庁の調査によると、原発事故が生活に大きな影響を及ぼした地域では、9割近くの民俗芸能が復活できないでいます。しかし、地域がバラバラになってしまった今こそ、自分たちのルーツともいえる唄や舞が必要なのではないか。すがる思いで民俗芸能の復活に奮闘する福島の人々を追いました。
 集落の大半が津波にのまれた南相馬市・北萱浜(きたかいはま)地区。天狗(てんぐ)と獅子の闘いを描いた珍しい天狗舞は、地元の男たちが受け継いできました。男たちは鉄の結束で結ばれていましたが、原発事故後はバラバラになり、町も活気を失っていきます。去年、残されたメンバーが天狗舞を3年ぶりに復活させようと立ち上がります。しかし、人々を引き裂いた原発事故の影響は想像以上に大きいものでした。かつての絆を取り戻そうと舞の復活に挑む男たちの姿を追います。
 一方、故郷に住むことができないにもかかわらず、伝統の踊りを復活させている地域もありました。浪江町(まち)請戸(うけど)地区です。住民は散り散りになりましたが、それぞれの避難先から集まっては全国各地で田植踊などを披露しています。なんと、震災後に生まれた2歳の女の子が踊り手に加わるという奇跡もおきました。しかしメンバーのなかには、故郷の神社で昔のように踊りたい、という切なる願いがありました。しかし、故郷には住むことができず、神社は津波に流されてしまっています。そこで、仮設住宅に故郷の神様を呼び込み、祭りを開催しようという計画が持ち上がりました。前代未聞の試みは、果たして成功するのでしょうか。


 福島県の神社に属する民俗芸能は、避難民の流出と共に消えつつあります。
 県内にはなんと800もの民俗芸能があり、それを採集し記録していた民間学者も出てきました。

 神社は地域の寄り合い所であり、その祭りは地域の絆の肝です。
 そして神社は自然信仰の象徴ですから、自然に左右される第一次産業(農業・林業・漁業)の衰退と共にその存在感も小さくなります。
 都会の神社はビルの谷間にひっそりと鎮座しているのを見かけますね。

 自然豊富な福島県では神社は健在でした。
 が、原発事故を機に一転し、消滅の危機を迎えました。
 一部の人々が民俗芸能を復活させようと動き出しました。
 番組の中で2つの例を紹介しています。

 ひとつは南相馬市・北萱浜の天狗舞。
 男達の絆を取り戻すべく奮闘します。

 もうひとつは浪江町請戸地区の田植踊。
 もともとは若い男女が舞っていましたが、原発ができてから農業から原発に転職した男女は農閑期がなくなり、踊りの担い手が子どもになった経緯があります。
 有名な踊りらしく、全国から声がかかり田植踊を披露してきましたが、その度に集まっていた子どもは成長しだんだん集まりが悪くなり将来消えてしまう不安がありました。
 やはり本来の姿である、地元の神社の踊りとして奉納したい、という思いから、福島県神社庁に相談し、仮設住宅に故郷の神様を迎えることにより田植踊を復活させたのです。
 おおっ、神社庁も粋な計らいをするもんだ(^^)。

 変遷を経ながらも生きる日本の信仰を垣間見ることができました。
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