知らない世界へ帰りたい(日本探求)

自分の祖先はどんなことを考えていたのか・・・日本人の来し方、行く末を読み解く試み(本棚10)。

福島県飯舘村の神社

2011年08月08日 22時30分48秒 | 神社・神道
 原発事故の被害で有名になった飯舘村。
 先日、放射能汚染と向き合う村人達の苦悩を特集番組でみました。

 農業・畜産を生業とする人々は、生活が成り立たなくなりました。
 今年の稲作をあきらめて土地を離れる人、あきらめきれずに田んぼに水を張って放射能が洗い出されるかどうか試す人、等、さまざまな村人の思いを映し出していました。
 都会の人々の利便性と、自分たちの補助金のために失ったものはあまりにも大きかった。

 さて、番組の中で私が注目したのは「神社」です。
 農家の人たちの集会所は、400年来祈りと語らいの場であり続けた村の鎮守様である神社。
 小さな社ですが、御神木の巨木(樹種は不明)が遠目でみても見事でした。

 さびれるばかりの市街地の神社と異なり、第一次産業が盛んで自然と向き合っている土地では、今でも自然に感謝し神に祈る生活が当たり前のように続いていることを垣間見ることができました。

 その拝殿に集まり、宮司が祝詞を歌い上げます。
 毎年、豊作を祈願する内容なのに、今年は原発事故に言及し、皆悲痛な面持ちで聞いています。
 年老いた農民達は「ここに皆が集まるのはこれで最後かもしれない」と心の中で思っていたのでした。

 福島原発が完成したときに宮司を呼んでお祓いをした映像を見たことがあります。
 原発と神様?
 今回の事故に関しては、その神頼みも無効でした。
 というより、神の怒りを買ったのかもしれない。
 人間の力では制御できない、手を出してはいけない神の領域に踏み込んでしまったのではないでしょうか。

 原発事故はひとつのふるさとを消してしまいました。あまりにも大きな、大きすぎる代償です。