本作はTCBからのリリースです。ご存知,スイスのジャズ・レーベルで,アルバムをタイプ別にシリーズ化し,わかりやすく4つに色に分類されています。Red Line, Green Line, Yellow Line, Blue Line の4種類ですが,本作のようなstraight Ahead なジャズはRed Lineに分類されています。
さて内容ですが,アメリカのハード・バップ志向の強い比較的素直な演奏です。取り上げている楽曲も,ウエイン・ショーターの<Children of the night>, <United>や,ホレス・シルバーの<Song for my Father>, セロニアス・モンクの<In walked Bud>などで,そのコンセプトもうなずけます。要は,アメリカン・ハード・バップを聴いて育ったスイスの若者,マイケル・ハマーが,有名なアメリカ人と一緒に憧れのミュージシャンの曲を演奏したくて作っちゃったアルバム,てなことでしょうか。
際立った個性的なアルバムではないですし,テナーのマッキャスリンは正直あまり上手くない上,鼻づまりのような伸びのない音色で,いまひとつです。ベースとドラムもこれといって特徴がありません。やっぱり耳はソスキンのピアノに向いてしまいますが,なかなかバッピッシュな軽快なソロを聴かせてくれます。4曲で参加しているカートS・ワイル?というビブラフォンも新鮮な響きがありイイ感じです。
まあ,それほど取り上げる程の傑作ではありませんが,ショーターの2曲,モンクの<In walked Bud>,それに最後のジルベルトの歌で有名なボサノバ,O Pato (アヒル)など,曲が僕の好みなんですね。極端に言えば選曲の妙だけでもっているアルバムではないでしょうか。そんなわけで,なんとなく最近,聴く機会の多いアルバムです。