今年も残すところ後6時間あまりなのに,慌てて今年の愛聴盤を棚から引っ張り出して並べてみました。
某ジャズ誌で高評価を得られるようなありきたりのベスト10ではなくて,ことし1年,実際に我が家のCDトレイに頻繁に乗った嘘偽りのない愛聴盤を,世間的評価を度外視して選盤してみました。厳密には今年に発売されたものではない作品も含まれますが,全て今年に購入したものです。まずはピアノ篇です。
左上から右下へ
1)Enrico Pieranunzi 『 Ballads 』 cam jazz
エンリコの数多くの作品中,最も柔らかく優しい彼の内面が表出した秀作です。録音も優れていて特にマーク・ジョンソンのベースが素晴らしい。高価な装置で聴いてみたい録音です。エンリコの入門盤としても最適かも。
2)Theo Saunders 『 Three For All 』 blue chip jazz
はじめに彼らの2枚組みライブ盤『 Live ! 』を聴いて惚れこみ,VENTO AZUL Records さんから本作も購入。切れのいいスウィング感,オリジナル曲の出来の良さなど,ピアノ・トリオ・ファンを唸らせるに十分な才能を持ったピアニストです。
3) Sai Ghose 『 Fingers and toes 』 summit records
DUの山本氏がジャズ批評No.133で紹介していた『 India Looking West 』共々,とっても楽しいB級名盤。この子供の足ジャケを真似して,我が家の息子の足を撮影した写真を以前アップしたのですが,よろしければ
こちらをどうぞ。
4)Paolo Di Sabatino 『 Paolo Di Sabatino 』 around jazz
サヴァティーノのアルバムではジョン・パティツーチ参加のトリオ盤『 Threeo 』も良かったけど,本作にはバティスタが参加しているのでつい手が伸びちゃう。ラテン・タッチの灼熱のハード・バップが気持ちいい。今年の夏は聴きまくった。2001年の録音なので新譜ではないです。
5) Jim Watson 『 The Loop 』 reese records
タイトル曲の《 The loop 》はもちろんチック・コリアのオリジナル。僕はこの曲がチックの曲の中では一番好きなのですが,この曲をカヴァーしているアルバムを見たことがありませんでした。チックの演奏が完璧なので,だれもカヴァーする勇気がないのでしょう。と,思っていたら,ジム・ワトソンというピアニストが大胆にもカヴァーしているではありませんか。はたして,洗練されていないちょっとドン臭い《 The loop 》に仕上がっちゃいましたが,なかなかの好演。アルバム全体としても緩急自在に巧みな技を随所に散りばめながら,しっかりした作風の快作に仕上げました。今後の活動にも期待したいですね。
6)Ivan Paduart 『 A Night In Tokyo 』 P.J.L.
パデュアの最新盤はGatsからの『 My French Heart 』ですが,フランスのヒット曲集という企画物で,個人的には今ひとつの出来でした。このBody&Soulでもライブ盤は彼のオリジナル美曲満載のパデュアを知るには恰好の名盤。ちゃんと《 Igor 》も入ってるし。この1曲で泣いてください。やっぱりパデュアはエエな~。
7) Jean-Philippe viret 『 L'indicible 』 atelier sawano
ベーシスト,ジャン・フィリップ・ヴェレのリーダー作で,ピアノはエドゥアール・フェルレ。ややアブストラクトで守備範囲外かと当初は思いましたが,聴き込むうちにツボにはまり,今では近年の澤野盤では一番のお気に入りです。澄んだ星空を見上げながら,ビール片手に聴いているとホント,幸せな気分になってきます。
8) 西山 瞳 『 I'm Missing You 』 自主制作盤(
2006年11月7日UP)
Spice of Life から今年発売になった
『 Cubium 』よりも,この自主制作盤の方が好きになってしまいました。仕事のBGM, ベッドの中(もちろん眠る時ですけど),運転中,と今年一番聴いたピアノ・アルバムかもしれません。《 Passato 》に彼女の類稀なるメロディー・センスを感じます。超美麗歌。
9)Baptiste Trotignon 『 Flower Power 』 naive(
2006年12月29日,30日UP)
昨日紹介したばかりですが,このところ毎日聴いているアルバムで,すっかりはまってます。やっぱりエルトン・ジョンの《 your song 》がベストですね。これ1曲だけでも聴いて欲しいな~。
10) Aaron Goldberg 『 Worlds 』 sunnysaide communications(
2006年7月11日UP)
アーロン・ゴールドバーグとしてはOMA Trioとしての作品の方が好みですが,まあ,本作もゴールドバーグの“静”の側面が窺える好盤です。