雨の日にはJAZZを聴きながら

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Sofia Pettersson / That's Amore

2008年10月30日 22時27分26秒 | JAZZ
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≪ 今夜はこんなの聴いてます ≫

スウェーデンの歌手、ソフィア・パターソンの2004年の作品。
最近、通算4作目となる『 In Another World 』というタイトルで新作をリリースしていますね。
ジャズ・ヴォーカルではないのでしょうが、ノラ・ジョーンズ以降、
こういうフォークとジャズの混血ミュージシックが流行ってますね。
この人の持ち味は、やはりキュートで愛くるしい歌声でしょうか。
ノラ・ジョーンズを一晩、冷凍庫で凍らせたような涼しげな歌声です。

 2 songs upload

百々 徹 / Do You Like Cappuccino ?

2008年10月30日 20時02分33秒 | JAZZ
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百々 徹(どどとおる)さんの2年ぶり、通算5枚目の作品。じつを言うと、つい最近まで彼の音楽を聴いたことがありませんでした。ちょうど3年前に、相互リンクさせていただいているブログ『 海辺で気まま日記 』のドラム小僧さんや、 『 Peopletime 』のなおきさんらが百々さんを大推薦されていたのね。 さらには『 電車で轟 』のfunky_alligator や『 My Secret Room 』のSuzuck さんもいいよ~って言っていたから、ずっと気にはなっていたんだけど…。 どうせ買うならドラム小僧さんが推薦していた自主製作盤である99年のデビュー作『 Melancholy Cats 』を手に入れたいと思って、それなりに探していたのですが、全然お目にかかれず3年が過ぎてしまったわけです。しかたなく2作目の『 DODO 』を1か月ほど前に中古で購入(けっこう高値だった)。この2作目もなかなか市場に出回ってないように思うけどね。 3作目と4作目は今でも容易に手に入るけど、それじゃ、なんだか嫌なわけです。 で、この『 DODO 』があまりにも素晴らしく、この1か月間、mp3プレーヤーに入れて、毎日のように聴いていたのだけれど、いまだに飽きない。正直、この1か月間、ピアノ・トリオ物はこれしか聴いていません。 そんなわけで、そろそろ3作目と4作目も買おうかと思っていたら、なんとタイムリーなことに、5作目となる新作がリリースされたので、そちらを先に買ってきました。 『 DODO 』を聴いたときは、その恐ろしいほど確かな演奏力に腰抜かしました。こんな凄いピアニストが日本人にもいたのか、と。 NYで活動しているだけあって、いかにもダウンタウンあたりを遊び場にしているジャズ・ファンが飛びつきそうなちょっと難解なラインと複雑にうねるリズムは、どことなくアーロン・パークスを彷彿とさせました。ベースがルーベン・ロジャーズですから、そういった音楽です。 今回の最新作は、『 DODO 』よりも曲風が多彩になったようです。モンクがこの曲を参考にして ≪ Evidence ≫ を書いたことで知られるM-1 ≪ Just You Just Me ≫などでは、都会的な大人の洒脱感に溢れており、一方で、昨年他界した彼の親友であるドラマー鳥山健明さんに捧げた M-4 ≪ My Love Song ≫ ではチェロのデイヴィッド・エッガーを迎え、透徹な音で静謐な空間を演出。さらに坂本九の名曲 ≪ 見上げてごらん夜の星を ≫ ではレコードのクリックノイズをわざとかぶせ、エインシャントなスタイルでピアノソロを披露したりと、多彩な試みを行っています。ちなみに今回は百々さん初のセルフ・プロデュースで、自己レーベル“ DO&DO ”からの発売です。 とにかく、曖昧なタッチが全くなく、自信に満ち溢れたフレーズが次々と溢れ出る様は圧巻です。そしてどこを切り取っても彼の個性が浮かび上がってきます。 やっぱり生存競争の激しいNYジャズ・シーンで生きていくためには、高度の演奏力だけではなく、どんなスタイルの楽曲でも、独自の世界観を提示することのできる真の独創性も必要不可欠なのでしょうね。 というわけで、新作発売記念ジャパン・ツアーが来週から始まります。全国14か所のライブハウスで行われる予定ですが、僕は11月5日にお茶の水NARU に観にいこうと思ってます。 百々 徹 / Do You Like Cappuccino ? 2008 DO&DO 百々 徹 (p) 中村 泰史 (b) ジョセフ・ルポール (b) ロドニー・グリーン (ds) デヴィッド・エッガー (cello)

Bohuslan Big Band feat. Nils Landgren @ B flat

2008年10月28日 19時53分35秒 | JAZZ

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Bohuslan Big Band feat. Nils Landgren & Jaqee
Friday, October 24, 2008. at B flat Akasaka, Tokyo
19:30~

2nd set
1) Watermelon man ( Herbie Hancock )
2) Walk Tall ( Joe Zawinul )  
3) Sticks ( Cannonball Adderley )
4) Little Lullaby ?
5) Fragile ( Sting )
6) Red Horn ( Nils Landgren )
7) アルゼンチンの曲?
8) There was a Time ( James Brown )
9) Blues ( Everything I Have is Blues ~の歌詞で始まる曲 )
10) Soulful な曲
Encore
11) Nils' solo

休憩をはさんで第二ステージ。一曲目が始まる前にちょっとしたハプニングがあり会場が大いに盛り上がる。一曲目はハンコックの ≪ Watermelon Man ≫。BBBはラーシュ・ヤンソンとの活動が長かったためジャズ・ファンクを演奏するイメージがなかったが、やはり何をやらせても巧いもんだ。

二曲目から今回の主役、ニルス・ラングレンが登場。キャノンボール・アダレイ・クインテットの名曲 ≪ Sticks ≫ と ≪ Walk Tall ≫ を立て続けに演奏し、観客は全員大興奮。ニルスは96年に FUNK UNIT 名義で『 Paint It Blue 』というタイトルのキャノンボール・アダレイへ捧げた作品を制作しているくらいキャノンボール好きである。二曲目の≪ Walk Tall ≫ と 六曲目のニルスのオリジナル≪ Red Horn ≫ では観客として観に来ていた村田陽一氏が飛び入り参加してニルスと熱いバトルを披露してくれた。美しいバラードやスティングの ≪ Fragile ≫ でお得意のヴォーカルを披露するなど緩急付けながら観客を飽きさせないステージは、トロンボーン奏者として一流であるばかりではなく、エンターテイナーとしても素晴らしかった。全体としては FUNK UNIT のビッグバンドアレンジ版といった趣向のステージだった。

アンコールではニルスのソロを披露してくれた。演奏しながらベル管を外し、ついでスライド管を外し、さらにマウスピースだけで演奏し、最後には口唇だけを震わせ音をだすという、まあ、大道芸人的なパフォーマンスで観客を沸かせた。このパフォーマンスは You Tube でもほとんど同じ映像が見ることができるところをみると、おそらく、いつもやっているお得意の十八番なのだろう。大きなホールと違って、B flat に集まるような観客はけっこうコアなファンなので、休憩時間には「誰々のトロンボーンはウイリアムス製みたいだね」とか「 彼の楽器は62年製らしいよ」などといった楽器ネタの会話があちこちで聞こえていた。ビッグバンド・ファンやアマチュアのトロンボーン奏者も大勢観に来ていたのだろう。だから盛り上がり方も凄くて、やっぱりジャズは生が一番! をあらためて実感させられた。

そもそも、ビッグバンドなどは、CDというパッケージに収めることは不可能なのだろう。何千万もするハイエンド・オーディオと完全防音室を持っている人ならまだしも、僕のようにマンションの隣人を気にしながら、陳腐な装置で聴いていたら、ビッグバンドの醍醐味の十分の一も享受できないのだろう。やっぱりビッグバンドだけはライブ・ハウスに行かねば駄目だね。でも、都内でいつでもビッグバンドが聴けるところなんて東京ディズニーシーの「ビッグバンドビート」ぐらいしかないからなぁ。

余談だけど「ビッグバンドビート」は子供だけでなく大人も楽しめるよ。最後にミッキーマウスがドラムソロやるんだけど、結構上手くてびっくりする。あんな動きにくい着ぐるみ着て、よくバスドラのキックとか、できるよなぁ。僕はもうすでに4、5回観ているけど、いつ観ても興奮する。踊り子さんも可愛いしね。

ということで、今回のライブに関連したCDをちょっと紹介しておく。

  
Nils Landgren with Funk Unit  ( A Tribute to Cannonball Adderley )
『 Paint It Blue 』  1996 ACT
今回のライブでも演奏した≪ Walk Tall ≫が収録されたキャノンボール作品集。
ニルスの Funk Unit は94年に結成され、現在までに2枚のライブ盤を含む計7枚の作品がリリースされている。本作は96 ( 97 ) 年にリリースされた第2作目。
キーボードを弾いているのはE.S.T.の故エスビョルン・スヴェンソン。
ファンキーで強烈にグルーヴするフェンダー・ジャズ・ベースを弾いているのは、なんとラーシュ・ダニエルソン。めちゃくちゃカッコいい。
ゲストでブレッカー・ブラザーズが参加しているのも本作の魅力。
≪ Walk Tall ≫と、ブレッカー・ブラザーズ+ニルスの3管フロントが超レアな≪ You Dig ≫ を Anywhere.FM にアップしておきました。

   
The Cannonball Adderley Quintet ( Live at Operation Breadbasket )
『 Country Preacher 』 1969 Capitol
ニルスが演奏している≪ Walk Tall ≫ ( ジョー・ザビヌル作 )の原曲が収められているキャノンボールの後期の作品。キャノンボールというと、どうしても Riverside あたりに人気が集中してしまうが、Capitol 期にもなかなか良い作品を残している。
名盤 『 Mercy, Mercy, Mercy 』 の3年後のやはりライブ盤。
当時マーティン・ルーサー・キング・Jr の後継者として目されていたジェシー・ジャクソンの主催による 『 ブレッドバスケット運動 』 ( パン籠運動 )という民権運動大会でのライブ。ジェシー・ジャクソンの演説が冒頭に収録されている。ニルスの作品にもこれが使われているし、詳しくは知らないが、クラブ・ジャズ系の方にも声ネタとして抜かれたことがあるようだ。
このジェシー・ジャクソン氏、最近、あのオバマ氏にテレビのインタビューで、
Obama. He's talking down to black people. I want to cut his nuts off.
と言ってしまったことで大騒動になったのが記憶に新しいところ、ですね ( 記事はこちら )。


Bohuslan Big Band feat. Jaqee @ B flat

2008年10月27日 22時34分40秒 | ライブ
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北欧一の実力を誇るスウェーデンのビッグバンド、Bohuslan Big Band ( ボーヒュースレン・ビッグ・バンド ) のライブを10月24日、赤坂 B Flat で聴いた。

7時30分開演のところ7時に入店。客席はほぼ満員。メンバーが徐々に店内に入ってきて、店の奥で各自思い思いの時間を過ごしている。スケール練習するミュージシャン、記念撮影をしているミュージシャン、家族同伴で来ているミュージシャン。僕の大好きなアルトのヨハン・ボルストレムはバナナに食らいついていた。

今回のB flat でのライブは、2ステージ制、入れ替えなしで7000円。なんと良心的なことか。しかもどこかのライブハウスのようにお客を詰め込めるだけ詰め込むようなことはせず、ゆったりとテーブルに座って食事もできる。

注文したピザとハイネケンを飲みながら、待機するミュージシャンたちを眺めていたが、お目当てのテナー、Ove Ingemarsson ( オーベ・インゲマールソン ) がいない! 森氏によると、今回は都合により来日できなかったとのこと。と、何処かで見たことのあるイケメン君がいるかと思いきや、なんとトランペットのKarl Olandersson ( カール・オランドルソン ) ではありませんか! サミュエル・オルソンが育児休暇のため代わりに加入したようだ。

定刻10分遅れでスタート。第一ステージはアフリカ(ウガンダ)生まれ、スウェーデン育ちの黒人女性歌手、ジャッキーをフューチャーしたライブ。華奢で小柄な女性だ。ネットで検索した限りではジャズだけを歌っているわけではなく、R&Bやポップスなども得意のようだ。声質は確かにあまりジャズ的ではない。美しいメロディーの曲を可愛らしくキュートに歌う美人歌手を好む日本のジャズ・ヴォーカル愛好家には、たぶんそっぽを向かれるであろう歌手だ。確かに巧いのだが、高音域での絶叫しながらの金切り声は個人的には受け付けなかった。

まず1曲目は昨年BBBがスティーブ・スワローと制作した『 Swallow Songs 』 の中から、スワローの名曲 ≪ Eiderdown ≫ を挨拶がわりに演奏した。

2曲目からはジャッキーが加わり、ビリー・ホリデイの愛唱歌を7曲歌った。彼女とBBBは昨年11月にビリー・ホリデイ集 『 Letter to Billie 』 を吹きこみ、つい最近発売したばかり。ライブで彼女の歌声を聴き、帰りにまだ日本には入ってきていないというその『 Letter to Billie 』を買ってきて何度か聴いたが、、、う~ん、何というか、巧い下手の前に、この声ではどうしても感じない。

BBBの演奏は、したがってオールドスタイルなので、それほど面白みはないが、バリサクのニクラス・リードとバストロのアルベルト・ピントンのヘビー級格闘技のような掛け合いがすごくスリリングな ≪ Lady Sings The Blues ≫ はよかった。≪ God Bless The Child ≫ でのカール・オランドルソンのソロも切れ味鋭く、ファンキーな歌い回しで驚いた。チェット・ベイカーを彷彿させるマスクと歌声でSpice of Life から売り出しているカールだが、どちらかというと歌に比重をおいた作風のため、いま一つ彼のトランペットの巧さが伝わりにくい作品ばかりだった。しかし、彼は非常にトランペットが巧い。チェット・ベイカーというよりリー・モーガンのようだ。すっかり惚れ直してしまった。


『 Letter to Billie 』 Jaqee & Bohuslan Big Band  2008 Vara Konserthus


Bohuslan Big Band feat. Nils Landgren & Jaqee
Friday, October 24, 2008. at B flat Akasaka, Tokyo
19:30~

1st set
1) Eiderdown ( Steve Swallow )
2) God Bless The Child ( A Herzog / B Holiday )
3) Me Myself and I ( Gordon / Roberts / Kaufman )
4) Speak Low ( K Weill / O Nash )
5) One for My Baby ( H Arlen / J Mercer )
6) Strange Fruit ( A Meerpol, B Holiday )
7) Lady Sings The Blues ( H Nichols/ B Holiday )
8) My Man ( C Pollock / M Yvain / A Willemetz / J Charles )

2nd set
1) Watermelon man ( Herbie Hancock )
2) Walk Tall ( Joe Zawinul )  
3) Sticks ( Cannonball Adderley )
4) Little Lullaby ?
5) Fragile ( Sting )
6) Red Horn ( Nils Landgren )
7) アルゼンチンの曲?
8) There was a Time ( James Brown )
9) Blues ( Everything I Have is Blues ~の歌詞で始まる曲 )
10) Soulful な曲
Encore
11) Nils' solo

最強ビッグバンドの来日が目白押し

2008年10月24日 17時49分42秒 | JAZZ
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Jazz Orchestra of The Concertgebouw のライブの興奮も冷めやらぬなか、早くも次のビッグバンドのライブが迫っています。まず、昨日(10月23日)から25日まで、スウェーデンのボーフュスレーン・ビッグバンドがトロンボーン奏者のニルス・ラングレンをゲストに迎えて来日しています。10月23日(木)と24日(金)は赤坂のB flat 。25日(日)は武蔵野市民文化会館です。さらに11月4日から8日まで、ウエストコーストのエンターテインメント系ビッグバンド、ゴードン・グッドウィンズ・ビッグ・ファット・バンドがBlue Note Tokyo でライブを行います。彼らの来日は2008年1月以来、2度目となります。そして、なんと来年の1月には Tokyo TUC にチャールス・トリバー・ビッグバンドが初来日です!  ボーヒュースレン・ビッグバンドは、夏にスティーブ・スワロー集『 Swallow Songs 』を出したばかりですが、今回はジェームス・ブラウンをテーマにしてライブを行うそうです。 ゴードン・グッドウィンズ・ビッグ・ファット・バンドもつい最近、4作目となる新作『 Act Your Age 』をリー・リトナーのプロデュースで出したばかりですが、率直な感想としては、旧作に比べて幾分上品になってしまったのが残念かな。チック・コリアやデイヴ・グルージンらなどの豪華ゲストが参加した分、美しい作品には仕上がっているけど、同バンドのデジタル臭のプンプンした超ハイスピードの楽曲がほとんどなくなってしまったようだ。エリック・マリエンサルやウエイン・バージロンの馬鹿テクは健在なので、その点は満足しているけど。近いうちに4作品全部のレビュー書きますね。 チャールス・トリバー・ビッグバンドは以前から生で聴きたいとずっと思ってたバンド。スタンリー・カウエル、ビリー・ハーパー、ビル・サクストン、ブルース・ウイリアムス、ジーン・ジャクソン、etc. と、信じられないくらい豪華なメンバーを引き連れてやってきます。狭いTUC がニグロ臭で充満こと必至。絶対行くぞ!  というわけで、仕事も片付けたので、これから B Flat 行ってきます。

浅草ジャズ喫茶 『 がらん ( 伽藍 ) 』 閉店

2008年10月22日 18時08分12秒 | JAZZ

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ママ(有楽町)、ディグ(新宿、渋谷)、ファンキー(吉祥寺)、モダン(国分寺)、タウンホール(西荻窪)、門(神保町)、きーよ(新宿)、シャルマン(日暮里)、ポニー(新宿)、ジャズヴィレッジ(新宿)、オパール(有楽町)、木馬(新宿)、ろーく(銀座)、ダンディ(上野)、ニューポニー(歌舞伎町)、デュエット(渋谷)、オスカー(渋谷)、ジャズミン(新宿)、ブルーノート(渋谷)、スイング(水道橋)、ニカス(立川)、響(神保町)、ニューポート(お茶の水)etc.

60年代に都内でジャズが聴ける店は有名なところだけあげてもこれだけあった。あれから約50年あまり経った現在、都内で営業しているジャズ喫茶は吉祥寺の『 MEG 』や高田馬場の『 マイルストーン 』など、十件たらずとなってしまった。全盛期の何分の一かは知らないが、ジャズ喫茶が滅亡の一途を辿っていることだけは明らかだ。そしてここにまた一軒の老舗ジャズ喫茶が14年の歴史に幕を下ろした。

外国人観光客で賑わう江戸情緒を今に残す街、浅草。その街の中心地、雷門前の交差点すぐ傍の古びたビルの地下1階にジャズ喫茶『 がらん 』はある。『 がらん 』がオープンしたのは14年前。当時会社員(出版か新聞関係にお勤めだったと記憶している)であった里井幸康氏は58歳で退職し、この地に店を開いた。15人も入れば満席になってしまうほど小さく狭い店内に鎮座するのはJBLエベレストDD5500。この巨大な箱を駆動するのに里井氏はマッキントッシュC34V+MC7300 を選んだ。プレーヤーはオラクルのDELPHI MKII ( のちに別のものに変更になったかも)。

私が初めて『 がらん 』を訪れたのは確か5年ほど前だったと思う。それ以前から存在は知っていたが、見知らぬジャズ喫茶に入るのはそれなりに勇気がいるもので、なかなかドアを開けることができないでいた。たまたま浅草のすき焼き屋『 ちんや 』で食事会があり、その会の後に酔った勢いで入ったのが最初だった。以来、年に3~4回のスローペースでジャズを聴かせてもらった。そんなわけで常連としてカウンターに座ることはなかったため、氏とは話をする機会はとうとうやってこないまま閉店してしまった。

高価な酒を飲ませて儲けるわけもなく、ライブで集客し儲けるわけでもなく、あるいは執筆業でアピールするわけでもない。14年間ひたすら無心に好きなレコードに針を落とし続けた。里井氏はそんな人だった。だから経営的にもきっと厳しかったであろう。しかしそれよりもまして70歳を過ぎた老体は限界にきていた。特に膝と腰の痛みはひどかった。彼は遺憾千万の思いを胸に9月12日、店を閉じた。

実は氏は『 浅草ヘラクレス 』というブログを2006年2月より運営していた。氏らしく、ジャズの話にはほとんど触れずに、淡淡と日常を綴っていく静かなブログだ。どこにも『 がらん 』 の名前が出てこないので、まさか管理人がジャズ喫茶のマスターだなんて、誰も思わないだろう。そんなブログを昨日、数か月ぶりに訪れたところ、閉店の告知が掲載されていたので驚いた。この半年ほど、忙しさのあまりお店に行っていなかったのである。知らないうちに閉店していたなんてショックだった。せめて閉店前に浴びるほどジャズを聴いてみたかった。

前田マリさんが書かれた 『 猫はジャズが好き 』 の中にこんな件がある。

≪ 浅草には『 がらん 』というジャズ喫茶がある。雷門のまん前だ。ここもやっぱり地下にある。はじめて店にはいるとき、階段を下りていくというのは、ミステリアスな反面、ちょっと勇気がいる。≫
≪ 『 がらん 』を知って、また浅草に行く楽しみが増えて嬉しいけど、がらんがらんで、閉店なんてことのないように心から祈っている。≫


前田さん、非常に残念ながら、あなたの祈り虚しく、『 がらん 』は閉店してしまいました。


いつもカウンター内の壁にこれが飾ってあった。もちろんLPで。
常連さんがリクエストした時、たまたま居合わせて聴かせてもらったが、
鬼気迫るもの凄い演奏で、腰を抜かした思い出がある。


Jazz Orchestra of The Concertgebouw @ Blue Note

2008年10月20日 18時01分18秒 | JAZZ
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2008年は日本とオランダの外交関係が樹立してからちょうど150周年にあたり、さらに2009年は両国の通商関係が400周年を迎える年であることから、現在 “Nederland in Japan 2008-2009(日本オランダ年2008-2009 ) ”と題した祝賀行事が行われている。そのイヴェントの一環としてこのたびオランダの新鋭ビッグバンド“ Jazz Orchestra of The Concertgebouw ”が初来日を果たした。

10月12日のホテルオークラをかわきりに、13日の三島文化会館(静岡)、15日のBlue Note Tokyo の計3回の公演が行われた。

私が観たのは15日のBlue Note Tokyo の 1st set 。ホテルオークラの公演は、6月にオープンしたばかりの本館1階の新宴会場である曙の間を使用して、2ドリンク、2オードブル、サービス料込で16000円。オークラにしては良心的な値段設定だったので、Blue Note にするかオークラにするか迷ったが、オークラはたぶんオランダ大使館の招待客で堅苦しい雰囲気だろうと思い、結局Blue Note のライブを観ることにした。

さて、いつものように30分前に入店したのだが、客席はすでに満員に近い状態だったため、不本意な席に案内されてしまった。予想以上に人気があるようで( ただ、ほとんどの客はヴァン・ルーラー目当てだと思うが )、ライブ開始時には超満員となり、立ち見のお客さんもでるくらいだった。

このビッグバンドはトランペットが5人の上にジェシー・ヴァン・ルーラーのギター、それに指揮者のヘンク・ムトーヘルトもステージに立つので、計18人の大所帯BBであり、ホーン・セクションの一番はじの人が小さなステージからこぼれおちそうなくらいだった。余談だが、ヘンク・ムトーヘルトのメンバー紹介を聞いていると、ヴァン・ルーラーは“ ジェシー ” ではなく 、 “ イェセ ”と発音されているように聞こえた。

選曲は昨年発売されたJOC の『 Riffs’n Rhythms 』から2曲。今年発売された JOC featuring Jesse van Ruller の『 Silk Rush 』から5曲と、ヴァン・ルーラーにスポットライトをあてたライブであった。 アンコールの“ Tokyo Jazz Party ”という曲は単純なテーマのB♭ブルースなので、即席で作った曲であろう。

圧巻は最後に演奏してくれた ≪ The Secret Champ ≫ だ。キーCのI-VI-II-V の循環コードによるブーガルーっぽい軽快な曲で、ヴァン・ルーラーの 『 Circles 』 や 『 Catch 』 でも演奏しているが、断然このビッグバンドのヴァージョンがカッコいい。まさにフィナーレに相応しい熱い演奏であった。

ヴァン・ルーラー以外にもソリストはみな凄腕そろいで、しかも非常に個性的なミュージシャンばかりだった。たとえば、アルトサックスで言えば、淡く憂いを含んだ乾いた音色をもつヨルク・カーイに対して、艶やかでスピード感溢れるマルコ・ケーゲルの対比。トランペットで言えば、メロディアスで抒情的なフレーズが持ち味のヤン・ヴァン・ダウケレンに対して、メカニカルで瞬発力のあるルート・ブルルスの対比。しかし、そんな超個性的なミュージシャンが個を殺して、一致団結して一つの曲を作り上げることに全神経を集中されることから生まれる強烈なスイング感は、どうしようもなく魅力的だった。

ヴァン・ルーラーを観るのは初めてだったが、期待どおりに素晴らしいテクニックを披露してくれた。注意深く音を追って聴き入ったが、ミストーンは皆無だったと思う。音色もクリアで太く、ホーン陣に負けない力強さがあった。また、ピーター・ビーツの体のデカさには少々驚いた。体型はもちろん違うが、オースカー・ピーターソンが弾いているようにピアノが小さく見えた。残念だったのは、ドラマーのマタイン・フィンクではなく、ロイ・ダッカスという人に変わっていたことか。

Jazz Orchestra of The Concertgebouw
Wed. October 15 in 2008 at Blue Note Tokyo 19:00~

1) Riffs & Rhythms ( Henk Meutgeert )
   solo :  Ruud Breuls ( tp ) Bert Boeren ( tb ) Jorg kaaij ( as )
            Peter beets ( p ) Simon Rigter ( ts )
2) Amsterdam ( Jesse van Ruller )
   solo : Jesse van Ruller ( g )
3) Silk Rush ( Jesse van Ruller )
   solo : Marco Kegel ( as ) Jesse van Ruller ( g )
4) Vienna Night Express ( Jesse van Ruller )
   solo : Jesse van Ruller ( g )
5) Here Comes The Sun ( Jesse van Ruller )
   solo : Jesse van Ruller ( g ) Bert Boeren ( tb )
6) Somewhere Between The Stars ( Jan Van Duikeren )
   solo : Jan Van Duikeren ( flh )
7) The Secret Champ   ( Jesse van Ruller )  
   solo : Jan Van Duikeren ( flh )  Jesse van Ruller ( g )
<ENCORE>
8) Tokyo Jazz Party  
   solo : Peter beets ( p ) Juan Martinez ( bs ) Hansjorg Fink ( tb )
           Frans van Geest ( b )

Orchestra of The Concertgebouw については過去に拙ブログで二回取り上げているのでこちらをご覧ください。
『 Riffs’n Rhythms 』  2008年6月28日掲載
『 Silk Rush 』  2008年9月2日掲載