≪ 今夜はこんなの聴いてます ≫
スウェーデンの歌手、ソフィア・パターソンの2004年の作品。
最近、通算4作目となる『 In Another World 』というタイトルで新作をリリースしていますね。
ジャズ・ヴォーカルではないのでしょうが、ノラ・ジョーンズ以降、
こういうフォークとジャズの混血ミュージシックが流行ってますね。
この人の持ち味は、やはりキュートで愛くるしい歌声でしょうか。
ノラ・ジョーンズを一晩、冷凍庫で凍らせたような涼しげな歌声です。
2 songs upload
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Bohuslan Big Band feat. Nils Landgren & Jaqee
Friday, October 24, 2008. at B flat Akasaka, Tokyo
19:30~
2nd set
1) Watermelon man ( Herbie Hancock )
2) Walk Tall ( Joe Zawinul )
3) Sticks ( Cannonball Adderley )
4) Little Lullaby ?
5) Fragile ( Sting )
6) Red Horn ( Nils Landgren )
7) アルゼンチンの曲?
8) There was a Time ( James Brown )
9) Blues ( Everything I Have is Blues ~の歌詞で始まる曲 )
10) Soulful な曲
Encore
11) Nils' solo
休憩をはさんで第二ステージ。一曲目が始まる前にちょっとしたハプニングがあり会場が大いに盛り上がる。一曲目はハンコックの ≪ Watermelon Man ≫。BBBはラーシュ・ヤンソンとの活動が長かったためジャズ・ファンクを演奏するイメージがなかったが、やはり何をやらせても巧いもんだ。
二曲目から今回の主役、ニルス・ラングレンが登場。キャノンボール・アダレイ・クインテットの名曲 ≪ Sticks ≫ と ≪ Walk Tall ≫ を立て続けに演奏し、観客は全員大興奮。ニルスは96年に FUNK UNIT 名義で『 Paint It Blue 』というタイトルのキャノンボール・アダレイへ捧げた作品を制作しているくらいキャノンボール好きである。二曲目の≪ Walk Tall ≫ と 六曲目のニルスのオリジナル≪ Red Horn ≫ では観客として観に来ていた村田陽一氏が飛び入り参加してニルスと熱いバトルを披露してくれた。美しいバラードやスティングの ≪ Fragile ≫ でお得意のヴォーカルを披露するなど緩急付けながら観客を飽きさせないステージは、トロンボーン奏者として一流であるばかりではなく、エンターテイナーとしても素晴らしかった。全体としては FUNK UNIT のビッグバンドアレンジ版といった趣向のステージだった。
アンコールではニルスのソロを披露してくれた。演奏しながらベル管を外し、ついでスライド管を外し、さらにマウスピースだけで演奏し、最後には口唇だけを震わせ音をだすという、まあ、大道芸人的なパフォーマンスで観客を沸かせた。このパフォーマンスは You Tube でもほとんど同じ映像が見ることができるところをみると、おそらく、いつもやっているお得意の十八番なのだろう。大きなホールと違って、B flat に集まるような観客はけっこうコアなファンなので、休憩時間には「誰々のトロンボーンはウイリアムス製みたいだね」とか「 彼の楽器は62年製らしいよ」などといった楽器ネタの会話があちこちで聞こえていた。ビッグバンド・ファンやアマチュアのトロンボーン奏者も大勢観に来ていたのだろう。だから盛り上がり方も凄くて、やっぱりジャズは生が一番! をあらためて実感させられた。
そもそも、ビッグバンドなどは、CDというパッケージに収めることは不可能なのだろう。何千万もするハイエンド・オーディオと完全防音室を持っている人ならまだしも、僕のようにマンションの隣人を気にしながら、陳腐な装置で聴いていたら、ビッグバンドの醍醐味の十分の一も享受できないのだろう。やっぱりビッグバンドだけはライブ・ハウスに行かねば駄目だね。でも、都内でいつでもビッグバンドが聴けるところなんて東京ディズニーシーの「ビッグバンドビート」ぐらいしかないからなぁ。
余談だけど「ビッグバンドビート」は子供だけでなく大人も楽しめるよ。最後にミッキーマウスがドラムソロやるんだけど、結構上手くてびっくりする。あんな動きにくい着ぐるみ着て、よくバスドラのキックとか、できるよなぁ。僕はもうすでに4、5回観ているけど、いつ観ても興奮する。踊り子さんも可愛いしね。
ということで、今回のライブに関連したCDをちょっと紹介しておく。
Nils Landgren with Funk Unit ( A Tribute to Cannonball Adderley )
『 Paint It Blue 』 1996 ACT
今回のライブでも演奏した≪ Walk Tall ≫が収録されたキャノンボール作品集。
ニルスの Funk Unit は94年に結成され、現在までに2枚のライブ盤を含む計7枚の作品がリリースされている。本作は96 ( 97 ) 年にリリースされた第2作目。
キーボードを弾いているのはE.S.T.の故エスビョルン・スヴェンソン。
ファンキーで強烈にグルーヴするフェンダー・ジャズ・ベースを弾いているのは、なんとラーシュ・ダニエルソン。めちゃくちゃカッコいい。
ゲストでブレッカー・ブラザーズが参加しているのも本作の魅力。
≪ Walk Tall ≫と、ブレッカー・ブラザーズ+ニルスの3管フロントが超レアな≪ You Dig ≫ を Anywhere.FM にアップしておきました。
The Cannonball Adderley Quintet ( Live at Operation Breadbasket )
『 Country Preacher 』 1969 Capitol
ニルスが演奏している≪ Walk Tall ≫ ( ジョー・ザビヌル作 )の原曲が収められているキャノンボールの後期の作品。キャノンボールというと、どうしても Riverside あたりに人気が集中してしまうが、Capitol 期にもなかなか良い作品を残している。
名盤 『 Mercy, Mercy, Mercy 』 の3年後のやはりライブ盤。
当時マーティン・ルーサー・キング・Jr の後継者として目されていたジェシー・ジャクソンの主催による 『 ブレッドバスケット運動 』 ( パン籠運動 )という民権運動大会でのライブ。ジェシー・ジャクソンの演説が冒頭に収録されている。ニルスの作品にもこれが使われているし、詳しくは知らないが、クラブ・ジャズ系の方にも声ネタとして抜かれたことがあるようだ。
このジェシー・ジャクソン氏、最近、あのオバマ氏にテレビのインタビューで、
“Obama. He's talking down to black people. I want to cut his nuts off.”
と言ってしまったことで大騒動になったのが記憶に新しいところ、ですね ( 記事はこちら )。
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ママ(有楽町)、ディグ(新宿、渋谷)、ファンキー(吉祥寺)、モダン(国分寺)、タウンホール(西荻窪)、門(神保町)、きーよ(新宿)、シャルマン(日暮里)、ポニー(新宿)、ジャズヴィレッジ(新宿)、オパール(有楽町)、木馬(新宿)、ろーく(銀座)、ダンディ(上野)、ニューポニー(歌舞伎町)、デュエット(渋谷)、オスカー(渋谷)、ジャズミン(新宿)、ブルーノート(渋谷)、スイング(水道橋)、ニカス(立川)、響(神保町)、ニューポート(お茶の水)etc.
60年代に都内でジャズが聴ける店は有名なところだけあげてもこれだけあった。あれから約50年あまり経った現在、都内で営業しているジャズ喫茶は吉祥寺の『 MEG 』や高田馬場の『 マイルストーン 』など、十件たらずとなってしまった。全盛期の何分の一かは知らないが、ジャズ喫茶が滅亡の一途を辿っていることだけは明らかだ。そしてここにまた一軒の老舗ジャズ喫茶が14年の歴史に幕を下ろした。
外国人観光客で賑わう江戸情緒を今に残す街、浅草。その街の中心地、雷門前の交差点すぐ傍の古びたビルの地下1階にジャズ喫茶『 がらん 』はある。『 がらん 』がオープンしたのは14年前。当時会社員(出版か新聞関係にお勤めだったと記憶している)であった里井幸康氏は58歳で退職し、この地に店を開いた。15人も入れば満席になってしまうほど小さく狭い店内に鎮座するのはJBLエベレストDD5500。この巨大な箱を駆動するのに里井氏はマッキントッシュC34V+MC7300 を選んだ。プレーヤーはオラクルのDELPHI MKII ( のちに別のものに変更になったかも)。
私が初めて『 がらん 』を訪れたのは確か5年ほど前だったと思う。それ以前から存在は知っていたが、見知らぬジャズ喫茶に入るのはそれなりに勇気がいるもので、なかなかドアを開けることができないでいた。たまたま浅草のすき焼き屋『 ちんや 』で食事会があり、その会の後に酔った勢いで入ったのが最初だった。以来、年に3~4回のスローペースでジャズを聴かせてもらった。そんなわけで常連としてカウンターに座ることはなかったため、氏とは話をする機会はとうとうやってこないまま閉店してしまった。
高価な酒を飲ませて儲けるわけもなく、ライブで集客し儲けるわけでもなく、あるいは執筆業でアピールするわけでもない。14年間ひたすら無心に好きなレコードに針を落とし続けた。里井氏はそんな人だった。だから経営的にもきっと厳しかったであろう。しかしそれよりもまして70歳を過ぎた老体は限界にきていた。特に膝と腰の痛みはひどかった。彼は遺憾千万の思いを胸に9月12日、店を閉じた。
実は氏は『 浅草ヘラクレス 』というブログを2006年2月より運営していた。氏らしく、ジャズの話にはほとんど触れずに、淡淡と日常を綴っていく静かなブログだ。どこにも『 がらん 』 の名前が出てこないので、まさか管理人がジャズ喫茶のマスターだなんて、誰も思わないだろう。そんなブログを昨日、数か月ぶりに訪れたところ、閉店の告知が掲載されていたので驚いた。この半年ほど、忙しさのあまりお店に行っていなかったのである。知らないうちに閉店していたなんてショックだった。せめて閉店前に浴びるほどジャズを聴いてみたかった。
前田マリさんが書かれた 『 猫はジャズが好き 』 の中にこんな件がある。
≪ 浅草には『 がらん 』というジャズ喫茶がある。雷門のまん前だ。ここもやっぱり地下にある。はじめて店にはいるとき、階段を下りていくというのは、ミステリアスな反面、ちょっと勇気がいる。≫
≪ 『 がらん 』を知って、また浅草に行く楽しみが増えて嬉しいけど、がらんがらんで、閉店なんてことのないように心から祈っている。≫
前田さん、非常に残念ながら、あなたの祈り虚しく、『 がらん 』は閉店してしまいました。
いつもカウンター内の壁にこれが飾ってあった。もちろんLPで。
常連さんがリクエストした時、たまたま居合わせて聴かせてもらったが、
鬼気迫るもの凄い演奏で、腰を抜かした思い出がある。