雨の日にはJAZZを聴きながら

FC2 に引越しました。http://jazzlab.blog67.fc2.com/

Eric Legnini Trio @ Apple Store, Ginza

2008年08月27日 23時17分34秒 | JAZZ
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一昨日はベルモンド兄弟、昨日はニコラ・フォルメル、そして今日はエリック・レニーニと、連日、仕事帰りのライブ三昧です。 ところで、『 FRENCH JAZZ QUARTER 2008 』 という日仏交流150周年企画なのに、ベルギー人のエリック・レニーニが出ているのはどうして? まあ、ほとんど母国での活動よりもフランスでも活動に軸足を置いているようなので、よしとしましょう。 開演7時。メンバーはいつものレギュラーであるマティアス・アラマンヌ(b)とフランク・アギュロン(ds)。最新作『 Trippin' 』 からのナンバーを中心に1時間たっぷり演奏してくれました。個人的には前回のライブ同様、フランク・アギュロンの手数の多い乱れ打ち的奏法に無条件で圧倒されっぱなしでした。いや~、この人は今更ながら巧いです。

Nicholas Folmer Quartet @ Marunouchi Building

2008年08月26日 23時27分50秒 | ライブ

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仕事帰りに丸の内の丸ビルで行われたニコラ・フォルメルのミニ・ライブを観てきました。

メンバーの事前告知はありませんでしたので、どんなメンバーを連れてくるのか楽しみにしていたのですが、ベースとドラムはベルモンド兄弟のバンド・メンバーであるシルヴァン・ロマーノとドレ・パルメルトでした。で、ピアノはローラン・フィッケルソンかと思いきや、なんと、椎名豊さんが座っているではありませんか! これには思わず雄たけびを上げそうになりましたが、回りに座っているOLさん達に変な人と思われそうなので、叫ぶのだけはやめました。

椎名さんと言えば、ライブは何度も観ていますが、アルバムでいうとレジナルド・ヴィール、ハーリン・ライリーと組んだ『 Hittin' The Spirit 』 なんかは愛聴盤の一つです。全然話は横道に逸れますが、来月、大西順子さんがこのレジナルド・ヴィール、ハーリン・ライリーと組んで、Blue Note でライブやるんですよね。絶対、行きたい。なんとかせねば。

というわけで、馬鹿テクぶりを遺憾なく発揮して、丸の内美人OLさん達を魅了したニコラですが、演奏曲目は、これまでのリーダー作3枚から比較的スローテンポで美旋律をもった聴きやすい楽曲を5曲ほど演奏してくれました。まあ、TPOを考慮した選曲と言ってよいでしょう。壁一面のガラス窓に反射する綺麗な街中のイルミネーションを眺めながら、ニコラの超美メロを聴いて、一日の疲れも癒されました。

[ 演奏曲目 ]
≪ Iona ≫  from  1st album 『 I Comme I Care 』
≪ Le Chateau de Guillaumes ≫  from 2nd album 『 Fluid 』
≪ You Must Believe In Spring ≫  from 3rd album 『 Plays Michel Legrand 』
など。


Belmondo Quintet @ Apple Store, Ginza

2008年08月25日 22時20分46秒 | ライブ
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8月29日から3日間、恒例の『 東京JAZZ 2008 』が東京国際フォーラムで開催されます。それに先立ち8月から、関連イベントである 『 東京JAZZ CIRCUIT 2008 』 が丸の内エリアで開催されています。特に今年は、日仏交流150周年にあたり、それを記念してフランス人ミュージシャンが数多く出演する 『 FRENCH JAZZ QUARTER 』 というプログラムが、丸の内の丸ビルや銀座の Apple Store などで今週月曜日から開かれています。 『 東京JAZZ 2008 』 に出演する大物アーティストよりも、このフレンチ・ジャズのイベントの方が個人的には興味をそそられるというのが、正直なところです。 というわけで、今日は仕事帰りに銀座に寄り道して、ベルモンド兄弟のライブを観てきました。場所は銀座松坂屋の向かいにある Apple Store の3階イベント・フロアです。ベルモンド兄弟は、“ フランスのマルサリス兄弟 ” などと呼ばれ、母国ではかなり有名らしいのですが、日本ではほとんど知られていません。兄のリオネルはテナー、クラリネット、フルートなどを操るマルチリード奏者。弟のステファンはトランペット奏者です。ステファンは去年の銀座・インターナショナル・ジャズ・フェスティバルにエリック・レニーニのカルテットで来日しています。 ライブは午後7時開演。開始前に会場を見渡すと70席ほどの半分ほどしか埋まっていません。すいているのはうれしいのですが、これじゃあまりにミュージシャンが可哀想です。スタッフの方が部下に、「店先でライブ・イベントがこれからありますよ~と、宣伝してこい」と指示していました。とにかく、Apple Store の1階フロアには全くライブ・イベントの掲示がされていませんでしたので、僕も不安になり店員に本当にライブがあるのかどうか聞いたくらいです。これじゃ、通りがかりの音楽ファンは獲得できません。もうちょっとアピールすればいいのにな~。 メンバーの事前アナウンスはありませんでしたが、驚いたことにピアニストはShaiの幻盤『 Secret Mood 』で一気に知名度をアップさせた Laurent Fickelson ローラン・フィッケルソン!!でした。ベースはシルヴァン・ロマーノ、そしてドラムはバート・ヨリスやバティスト・トロティニョンらとの共演が記憶に新しいドレ・パルメルト! なんと贅沢なメンバーなんでしょ。ベルモンド兄弟は最近、ミルトン・ナシメントと新作を発表しているので、そこからの楽曲を演奏するのかと思いきや、やはりナシメントのヴォーカルがないと演奏できないようで、実際に演奏したのは40分にも及ぶ組曲形式の曲でした。基本的にはモード系ハード・バップですが、コルトレーン後期や60年代のマイルス、あるいはハンコックの『 処女航海 』あたりを彷彿とさせるテイストを持った楽曲でした。アンコールは≪ Round About Midnight ≫ を演奏してくれました。 スタイル的には決して新しいわけでもなく、また別段驚くほどの技術力の持ち主ではありませんが、二人とも優しさのなかに芯の強さを秘めた音色、メロディーは十分鑑賞に堪えうるものを持っていたと思いました。また、ローラン・フィッケルソンの随所に散りばめられた硬質的な美フレーズにも理屈抜きに惹かれるものがありました。

猫ジャケ 素晴らしき “ ネコード ” の世界

2008年08月22日 23時03分52秒 | JAZZ書籍

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今日、仕事帰りに近所の大型書店に寄って、スイングジャーナルの9月号を立ち読みしていたら、目の前にこんな新刊が平積みされてた。

『 猫ジャケ 素晴らしきネコードの世界 』

レコード・コレクターズの増刊号として発売されたようだ。ちょいとめくってみるとけっこう知らない猫ジャケがあって、それなりに目を楽しませてくれる。モンティー・アレキサンダーのMPS盤『 Love Strains 』や、フランク・ザッパが猫を抱いている『 London Symphony Orchestra Vol.II 』など、まったく見たことも聞いたこともない作品が載っていた。遠藤賢司のインタビュー記事もあって懐かしくなり、スイングジャーナルそちのっけで思わず見入ってしまった。しょうもないと言えばしょうもない本だが、猫好きの息子を喜ばせようと買ってきた。でも結局、息子はあまり興味を示さなかった。彼にとっては本物の猫しか興味の対象ではないらしい。

本書はジャズに限らずロック、和フォーク、シャンソンなど、あらゆるジャンルからチョイスしているので、ジャズの作品はあまり登場していない。ジャズに関して言えば、いくらでもほかにありそうだが。

そんなわけで、突発的になんだか猫ジャケ作品を聴きたくなり、棚から引っ張り出して先ほどから聴いている。最近の猫ジャケといえば拙ブログでも紹介したマイク・スターンの最新作『 Who Let The Cat Out ? 』やウルフ・ワケーニウスの『 In The Spirit of Oscar 』 などがすぐに思い浮かぶ。個人的には以下の3枚が猫ジャケ愛聴盤だ。


Tina Brooks  『 Minor Move 』  1958 Blue Note

幻のテナーマン、ティナ・ブルックスは、Blue Note に4枚のリーダー作を残したが、彼の存命中に発売されたのはご存じ『 True Blue 』 ( ST-84041 ) のみ。残りの3枚は発掘盤として後に日の目を見ることになるが、この黒猫の 『 Minor Move 』は、80年代にマイケル・カスクーナの尽力により発掘され、King Records が『 キング世界初登場シリーズ: GXFシリーズ 』 として発売したもの。アルフレッド・ライオンがなぜ 『 True Blue 』 以外の3枚をボツにしたのか、その真意は分からないが、今、4枚を並べて聴いてみると、確かに『 True Blue 』 の出来が一番イイ。ブルックスのオリジナル曲も哀愁味溢れていてイイ感じだし、フレディー・ハバードも乗りに乗っている。『 Minor Move 』 もリー・モーガン、ソニー・クラークと、役者揃いだが、いま一つ散漫とした印象を受ける。本作は King からTOSHIBA EMI に発売元が変わってもLPで再発され、さらに2000年には米Blue Note から ≪ Connoisseur cd series ≫ としてCD再発もされいる。



Shelly Manne & His Men  『 More Swinging Sounds 』 1956 Contemporary


Contemporary には、バーニー・ケッセルの “ うし” や、ハンプトン・ホーズの “ ワニ ” など、動物のイラストを用いた作品がいくつかあるが、本作もその一つ。よく見ると髭もないし、ニクキュウもないし、犬にも見えなくもない。でも、なんだかとっても楽しい音楽が詰まっていそうなことだけは伝わってくる。大学時代、必死にウエスト・コースト・ジャズを収集したが、現在はそのほとんどが倉庫の段ボールの中で眠っている。そんな中、本作は今でも愛聴し続けている数少ないWCJ の一枚だ。特にB面の組曲がイイ。


Gil Evans Steve Lacy  『 Paris Blues 』  1988 Owl

ギル・エバンスが1988年に亡くなる3か月前に吹き込んだ盟友スティーブ・レイシーとのデュオ作品。ギルはアコースティック・ピアノとエレクトリック・ピアノを弾き分けている。オーケストラを率いたときの壮大で幻想的な響きとは対極にあるような実にシンプルで音数の少ないピアノを弾く。スティーブ・レイシーは個人的にはあまり好きなタイプではないが、本作の彼はとっても聴きやすい。過激でアヴァンギャルドな彼の側面は影を潜め、やや内省的な静謐な音世界を繰り広げる。深夜の静まり返った空間によく似合う音だ。

Nils Landgren / Ballads

2008年08月17日 08時51分16秒 | JAZZ

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6月14日に不慮の事故でエスビョルン・スヴェンソンが亡くなられてから、2か月が経ちました。彼を悼む思いは薄れるどころか、綿々と増幅され、僕は今でも感情過多の袋小路に彷徨っています。一人のアーティストの死に対してこんな思いを抱いたことは初めてです。

彼のピアノには技術以上の何か、才能という言葉だけでは済ませられない不思議な力を感じていました。まだまだ語られない言葉があったはずです。今となってはもう聴くことができません。

せめて、知られざる彼の過去の録音物を聴いてみたいと思いました。しかし検索してみても全くといって情報が得られないのです。存命中に彼は12枚のCDと1枚のライブDVDを制作しましたが、それらは全てE.S.T. というユニットでの活動の中で制作されたもので、ソロとしての作品もなく、コラボレート作品も皆無でした。唯一彼が共演したのが同郷スウェーデンのトロンボーン奏者、ニルス・ラングレンでした。

調べた限り、以下の3枚で二人は共演しています。

Nils Landgren 『 Ballads 』 1993 ( reissue 1998 ) ACT 9268-2  (本作)
Nils Landgren with Esbjorn Svensson 『 Swedish Folk Mordern 』1999 ACT 9257-2
Nils Landgren with Esbjorn Svensson 『 Layers of Light 』2001 ACT 9281-2

『 Swedish Folk Modern 』は、二人が Bengt-Arne Wallin (ベント・アルネ・バリン)の『 Old Folklore in Swedish Modern 』に感銘を受けて作ったデュオによるスウェーデン民謡集です。その後、二人はそれぞれのユニット(ニルスはファンク・ユニット、エスビョルンはE.S.T. )の活動の合間に、デュオ・コンサート活動も行っていたようです。

『 Layers of Light 』は『 Swedish Folk Modern 』の続編として制作されました。

『 Ballads 』は最初93年に発表されました。ピアノのBobo Stensson (ボボ・ステンソン)を中心としたバック・バンドを擁して、ニルスがハスキーに優しく歌い上げるバラード集です。ところが99年に、E.S.T. と共演した≪ You Stole My Heart ≫ ( Eddie Harris 作 ) が追加され再発されたのです。ライナーによると、98年5月に録音された音源のようです。この時にE.S.T. とニルスの録音した曲が他にもあるのではないでしょうか。まさか多忙な両者が1曲のためだけにスケジュールを調整したとは思えませんものね。 存在するならぜひともCD化してほしいものです。

『 When Everyone Has Gone 』を初めて聴いた瞬間のぞくぞくする感じが今でも忘れられません。死ぬべき人でない人の死って、ホント、堪える。

エスビョルンの魂に永遠の安らぎのあらんことを。


≪ You Stole My Heart ≫ のピアノはエスビョルンですが、≪ Killing Me Softly ≫ のピアノはボボ・ステンソンです。


Friday night, 9 : 15 p.m.

2008年08月15日 21時18分15秒 | JAZZ

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蒸し暑い夏の夜を涼しく過ごすための音楽を、棚からひとつかみ。
今宵も冷えた缶ビール片手に、いかがですか。

      
Jack Lee with Toninho Horta 『 From  Belo To Deoul 』  1997 Truspace
やっぱり夏といえばトニーニョ! 乾いたナイロン弦ギターの音色は、リオ・デ・ジャネイロの香りを運んできます。

      
Joyce 『 Music For Sunday Lovers 』  2006 
夏になると聴きたくなるのがボサノヴァ。なかでもジョイスは大のお気に入りです。本作はオーマガトキ時代の音源からのコンピレーションです。よくできています。お買い得です。彼女の透きとおった歌声を耳にすれば、きっと、暑い夏も涼しく過ごせるはずです。

      
Nara Leao  『 Meus Sonhos Dourados 』  1987 Philips
ナラ・レオンがジャズのスタンダードにポルトガル語の詩をつけて歌った作品。この季節になると毎年ひっぱり出してきて聴いている愛聴盤。僕にとっては夏の友達みたいな作品です。


Jeff Lorber / Jeff Lorber Fusion

2008年08月14日 21時58分23秒 | JAZZ
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言わずと知れたスムース・ジャズの大御所、ジェフ・ローバーの77年のファースト・アルバム『 Jeff Lorber Fusion 』とセカンドの『 Soft Space 』が初CD化され再発されました。

ジェフは現在までにベスト・アルバムを含め全部で21作品を制作してきましたが、今回の2作品の初CD化により、全作品がCDで聴けるようなったのです。このファーストとセカンドは当時Inner City という超マイナー・レーベルから発売されたため、再発は期待していなかっただけに、突然の吉報に驚いています。個人的には唯一所有していなかったのがこのファースト・アルバムだったので、これでジェフの作品は完全制覇できたわけです。全然自慢にはなりませんが。

で、再発してくれたのは米国の再発専門レーベル、Wounded Bird です。ジャズ系の再発専門レーベルとしては、32Jazz、Lonehill Jazz、Gambit、Blue Moon などなど、最近は目にする機会も多くなりました。知らず知らずのうちにその恩恵を受けている方も多いことでしょう。その中でもこのWounded Bird は一番 ‘ 痒いところに手が届く ’有難いレーベルです。

個人的には、もうこの再発盤を見たときには夢を見ているんじゃないかと思うほど興奮したジョン・クレマーの『 Finesse 』( 『 Magnificent Madness 』とのカップリング盤 )を筆頭に、エリック・ゲイルの『 blue Horizon 』( 『 Island Breeze 』とのカップリング盤 )や、ジョーザビヌルの『 Concert Retitled 』など、ゲリラ的単独契約で版権を手に入れた作品が思い出深いです。

それにしても、こんなの再発して採算とれるのでしょうか。あの有名なソニー・クラークの『 Cool Struttin’ 』は、再発に再発を重ね、いまだに年間1万枚以上売れているそうですが、それに比べるとジェフ君のこんな旧作、国内で100枚も売れればいいところでしょう、おそらく。

内容は今で言うところのスムース・ジャズっぽいラテン・タッチの曲もあれば、その後の“ Jeff Lorber Fusion ”の萌芽を孕んだゴリゴリ強力ビート物もあったりと、“ Jeff Lorber Fusion ”が産声を上げた瞬間ってこんな雑多なアイディアが詰まっていたのね~といった印象を受ける作品です。レトロスペクティブにこうして眺めると非常に興味深い内容です。ただ、客観的にみたら凡作です。ですが、思い入れの強い僕には涙が出そうなくらい愛おしい音です。

あのとき、聴けなかった唯一のアルバム。
青春の1ページを鮮やかに思い出させてくれる感動の作品です。


Lars Jansson / Worship of Self

2008年08月12日 18時10分50秒 | JAZZ
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≪ Giving Receiving ≫ の響きは、生涯を通じて、僕の中で鳴り続けるであろう。

ラーシュ・ヤンソンの4年ぶりとなる最新作が Spice of Life より発売になった。本作はラーシュ・ヤンソンのピアノトリオとアンサンブル・ミッドヴェスト9重奏団の共演だ。ラーシュはビッグバンドの作曲家としても有名で、現在までにボヒュスレン・ビッグ・バンドと『 One Poem One Painting 』、『 The Blue Pearl 』、『 Temenos 』などの作品を制作してきたが、室内楽団との共演は今回が初めてだ。全11曲が新旧のラーシュのオリジナル曲であり、その楽曲にラージ・アンサンブルのためのアレンジを施し、クラシックとジャズの融合を果たしている。

弦や木管をふんだんに使ったオーヴァー・プロデュース気味のアレンジは、おそらく好き嫌いの分かれるところだろう。しかし、なぜか最近、こんなラージ・アンサンブル、特にストリングスが好きになった。ジム・ベアードやダニーロ・ペレスの直近の作品も好きだった。歳のせいだろうか、ストリングスの持続音の上を哀愁美溢れるメロディーが流れ出すと、思わず、涙腺が緩んでしまう。

必死になって走ってきた。でも、たどり着いたところは、、、
なんだ、こんなところだったのか。
諦念。そして溜息。

ラーシュの音楽を聴いていると、いつのまにか、心の奥底にしまっておいた記憶が蘇ってくる。挫折。後悔。確かにあのときあったもうひとつの選択への未練。ラーシュの優しいメロディーがそれらを喚起させる。どうしようもない哀しさ、感傷を、でも、ラーシュはそれらを静かに忘れさせてくれる。

一本のピアノの奏でるメロディーに、ストリングスの複数の線が幾重にも重なりあう。さらに、浮き上がる木管のオブリガードが立体的な音像を結び、繊細な音世界が、淡く広がる。

まんざら捨てたもんじゃないよ、君の人生。

ラーシュの音楽は、僕に寄り添い、勇気づけてくれる。 あしたもまた、いい加減勘弁してほしい馬鹿馬鹿しい日常が始まる。

High Five Quintet / Five For Fun

2008年08月11日 21時10分07秒 | JAZZ
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昨日、パシフィコ横浜での専門医試験を終えたあと、せっかくなので帰りに関内のDisk Unionを覗いてきました。

関内のDUは一見すごく広く感じるのですが、すべてのジャンルがワンフロアにいっしょくたんに収められているため、実際にはジャズの売り場などそれほど広くはありません。そのあたりはちょうど池袋店と似ています。ただし、ドンキホーテを連想させるその煩雑で無秩序なディスプレイは、池袋店と決定的に違っています。

入荷した中古盤の多くは地面に直置きされた段ボールにぎっしり詰められ、新譜CDもフリーマーケットの露天のように陳列され、さらに、出窓のほんのわずかのスペースまでも商品を並べるという徹底したスペース活用にただただ驚いてしまうばかりです。ただ、あまりに通路が狭く、終始前傾姿勢での漁盤を強いられるため、ぼくのように腰痛持ちには耐えがたいものがあります。昨日も結局、Orchestre National De Jazz のCD を1枚だけ購入しただけで、そそくさと退散してきてしまいました。

それにしてもあのジャズCDの量の多さって、今に始まったことではないにしろ、いつも溜息がでてしまいます。あれは明らかに供給過剰ではないでしょうか。頼んでもいないのに、次々と新譜は出るし、誰が買うのか分からない超マイナーな旧作の復刻盤もでるし、米国のジャズを追っかけるだけでも体力がいるのに、最近は欧州モノもこれでもかというくらい入ってくるし、国内に目を向けてみても、和ジャズとかいう、ハッキリ言って犬も食わないような駄盤を再発してくるし、更には紙ジャケだ、果てはSHM-CDだと、膨大な量のCDを前に、眩暈を感じることもしばしば。

いったい自分は何を聴きたいのかすら分からなくなり、店内で完全に頭の中が真っ白になってしまうのです。自分の聴きたい音楽を自らの手で探し出し、積極的に選択し購入する、というごくあたりまえのことが、最近ではできなくなりつつあり、向こう側から押し寄せる膨大な情報の波にのまれ、つい望んでいないCDまでも買わされていることも多いのです。

そんな惰性的漁盤生活をただただ送っていましたが、やっと“待ちに待った”作品が登場しました。これは久しぶりに心底欲しいと思った作品です。2002年にファブリツィオ・ボッソを中心とするイタリアの精鋭たちが結成した High Five Quintet の4年ぶりの新作が遂にリリースされたのです。いや~、ホント、待たされました。前作『 Jazz Desire 』で一気にブレイクした彼らですが、以来、メンバー各人の活動が忙しくなり、バンドとしての活動が困難であったのでしょう。

さて、この待望の新作ですが、古巣V.V.J.を離れ、初のBlue Note からのリリースとなります。Blue Note からの発売と聞くと、万人受けする良質のジャズであることは保障されても、なんとなく荒々しさを奪われ、去勢されてしまったサウンドに変わっちゃうのではないかと心配してしまうのですが、まあ、なんとかHigh Five Quintet らしさは保持できたようです。

メンバーはファブリツィオ・ボッソ ( tp ) 、ダニエレ・スカナピエコ ( ts ) をはじめ、ベンバーは不動の5人です。楽曲は、メンバーのオリジナルが7曲のほかに、シダー・ウォルトンのマイナー・ラテン・ナンバー ≪ Ojos De Rojo ≫ やマッコイ・タイナーの≪ Inception ≫ などを取り上げています。個人的にはスカナピエコのオリジナルが1曲だけなのが少々寂しく思いますが、今回は5人のメンバーが平等にそれぞれ1曲から2曲づつ持ち寄って作った作品のようです。

リー・モーガン風のジャズ・ロックなタイトル曲M-1≪ Five For Fun ≫。作曲者不明の美メロ・バラード M-6 ≪ Estudio Misterioso ≫。マッコイ作曲の高速ハード・バップM-7 ≪ Inception ≫。それからシダー・ウォルトンのM-2 ≪ Ojos De Rojo ≫ など、これらの曲は、07年暮れにマリオ・ビオンディのバックバンドで彼らが来日 (前項あり) した際にも演奏されていました。本作の録音は08年の1月ですから、マリオ・ビオンディのツアーで散々演奏した曲を、その直後に録音しただけあって、どれもソロがよくこなれていて素晴らしです。特に、ボッソのソロなど、ライブで聴いたソロより、断然CDでのソロのほうが歌っています。

この機会に旧作2作品も聴き直してみました。あくまで個人的な感想ですが、旧作と比べて今回の新作は、それぞれのメンバーのオリジナル曲が弱い印象を受けました。皮肉にも一番盛り上がったのはマッコイの≪ Inception ≫であり、一番心に沁みたのが作曲者不明のバラード≪ Estudio Misterioso ≫でした。ボッソは今まで以上に饒舌によく歌っています。キュートな色気も相変わらずで、要所要所で信じがたい馬鹿テク・フレーズを披露し、技術的にはまだまだ進化の過程にあるのでは、と思ったりしまいた。ほんと、この人は凄いです。

最後にジャケットについて触れておきます。3人の子供が川に飛び込む一瞬をとらえた綺麗な写真が使われていますが、全くジャズとは無関係なジャケット・デザインですよね。High Five のCDでなかったらあまり所有したいと思わないデザインです。この写真はなんだろうと思い、リーフレットのクレジットを見ましたら“ Cover Photo : Corbis ”とありました。な~んだ、コービス社から仕入れた写真をそのまま貼りつけただけなんですね。リード・マイルスやフランシス・ウルフがこんなBlue Note のジャケットを見たら、ガッカリするでしょうね。

突然の雷雨

2008年08月04日 23時38分22秒 | 日常
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東京は、夜になってから突然の雷雨で、ホント、怖かった。こんな恐ろしい落雷の連射は初めて。近所に何発も落ちて、どこかで火事もあり、消防車も出動していた。こんな天気、絶対、おかしい。赤道直下の何処かのジャングルにいるみたいだ。

Stefano Sabatini / Melodies

2008年08月03日 09時52分04秒 | JAZZ
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イタリアの中堅ピアニスト、ステファノ・サバティーニの04年録音の最新作が、輸入盤取扱い店で手に入るようになりました。彼は70年代から音楽活動を行っており、今までに6作品をリリースしています。決して新しい人ではないのですが、聴くのは今回が初めて。ただ初見ではありません。以前にブログ仲間のrhoidaさん がステファノ・ディ・バティスタ+ダニエレ・スカナピエコ参加のYVP盤『 Dreams 』を紹介されていたので、以来、気になっていたアーティストです。なおこのYVP盤を含め、サバティーニの旧作はVENTO AZUL RECORDS さんで現在手に入るようです。

まずは彼の経歴を覗いてみましょう。(公式ホーム・ページより)

ローマ生まれのピアニスト、ステファノ・サバティーニ ( 出生年はおそらく54年前後 ) は長きにわたりイタリアのジャズ・シーンで活躍してきた。まず73年に彼はトニー・スコットの薫陶を受け、その後、程なくしてマウリツィオ・ジャンマルコやマッシモ・ウルバニらなど、イタリアン・ジャズ界の巨匠たちと共演を果たした。しかし、ステファノはジャズの本場アメリカのエキサイティングな環境で学びたくなり、1978年にロサンゼルスの“ Dick Grove School of Music ”への留学を果たした。そこで作曲と編曲を学ぶ一方で、地元ミュージシャンらと共演し貴重な時間を過ごした。82年には帰国し、盟友マウリツィオ・ジャンマルコ ( ts )、フラヴィオ・ボルトロ ( tp )、フリオ・ディ・カステリ ( b )、ロベルト・ガトー ( ds ) らと“ Lingomania ”を結成した。このバンドはイタリア国営放送主催のコンテストで「 Best Group of The Year 」を獲得した。さらにパリ国際ジャズ・フェスティバルやイタリアのウンブリア・ジャズ・フェスティバルなどの権威ある祭典にも参加した。その後はフリーのピアニストとして活動を行ってきたが、彼の格調高いスタイル、自然なスイング感、比類稀なるメロディー・センスにより、イタリア国内外で高い人気を博している。彼は素晴らしい即興演奏家であるばかりではなく、作曲家、アレンジャーとしても素晴らしく、現在までにリーダー作は6作品を発表している。

なお、彼のホーム・ページには記載がありませんが、HMVのレビューによると、サバティーニは70年代にイタリアのプログレッシブ・ロック・グループ、Samadhi (サマディ)のキーボーディストとして活躍していたようです。僕もプログレ好きで、イタリア産フログレをよく聴きますが、正直、サマディは知りませんでした。

PFMが73年に『 幻の映像 』でイギリス・デビューし、世界的にイタリアのロックが注目を浴びるようなったのが契機となり、バンゴ、イ・プー、ニュー・トロルスなど、数多くの名バンドがロック・シーンに登場し、70年代前半にはイタリアン・ロック史上最大の隆盛期を迎えました。しかし、技術的に優れたバンドが存在した一方で、ブームに乗っただけの未熟なバンドも多かったのも事実です。そんな玉石混淆のロック情勢のなかでサバティーニらもバンドを結成したのでしょう。しかし、70年代後半のイタリア経済の失速、パンクの台頭によりプログレシッブ・ロックは急速にその輝きを失い、彼らも自然消滅していったようです。

閑話休題。本作は彼の初のピアノ・トリオ作品です。ベースはフリド・ディ・カステリ、ドラムはロベルト・ガトーと、最強布陣です。誤解を恐れずに例えるならエンリコ・ピエラヌンツィ風。しかし、耽美なだけのエンリコ症候群患者では決してありません。インテリジェンスを放った空気感は確かにエンリコを聴いたときに受けるそれと同質ですが、温度感はエンリコよりもずっと高いです。熱くなるべきところでちゃんと熱くなれる。スイングすべきところで心地よくスイングしてくれる。そんなところがすごく良いのです。さらには彼のオリジナルの美メロ・バラードなどに、そのメロディーセンス、ソングライティング能力の高さが窺えます。抒情的なメロディー。スピード感溢れるアドリブ。おそらくメロディー指向派、アドリブ指向派、どちらもファンにも受けるでしょう。やはり現代のジャズ・シーンで食えるためには、アドリブが上手いだけではだめですよね。心に染みる印象的なオリジナルを書けないとリピーターは獲得できないのでしょう。

外は炎天下。
こんな暑い日には、エアコンのよく効いた涼しい部屋で微睡みながら、こんなジャズを聴いて過ごすのもイイものです。それにしてもこんな素晴らしいアーティストが埋もれているイタリア・ジャズ界の層の厚さって、ほんと凄い。



Stefano Sabatini Online からも試聴できます。

納涼屋形船

2008年08月02日 23時27分40秒 | JAZZ

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連日30度を超える真夏日が続き、夏本番を迎えています。そんな盛夏のころ、職場の方々と涼を求めて屋形船東京湾クルーズに出かけてきました。

浅草橋の船場を6時に出航。隅田川をくだり、レインボーブリッジの下をくぐり、たどり着いたのはお台場海浜公園沖。ご覧のように美しい夜景が楽しめ、波もほとんどないため、クルーシングの人気スポットで、昨日も数多くの屋形船が浮かんでいました。

納涼屋形船は15年ぶりでしたが、昔はこんな奇麗な夜景は楽しめませんでした。ほんと、湾岸周辺の都市開発はすさまじい勢いで進んでいるんですね。