雨の日にはJAZZを聴きながら

FC2 に引越しました。http://jazzlab.blog67.fc2.com/

ブログを引っ越ししました

2008年12月14日 09時43分05秒 | JAZZ
以前からなかなか実行に移せなかった「ブログの引っ越し」を
ついに始めました。
年末にかけて、少しづつ過去の記事をFC2 blog へ移していく
予定でいます。
まだ、全然、新ブログの体裁は整っていませんが、
お暇の方は覗いてみてください。


新ブログタイトルは「雨の日にはジャズを聴きながら」です。

アドレスは、http://jazzlab.blog67.fc2.com/  です。
今後ともどうかよろしくお願いします。


C.Baker & E.Pieranunzi / Soft Journey

2008年12月07日 21時01分57秒 | JAZZ
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Chet Baker & Enrico Pieranunzi / Soft Journey

エンリコ・ピエラヌンツィはその長いキャリアのわりには、日本で注目されたのが遅かったため、80年代の作品の中には既に廃盤となり、入手困難な作品も多々あります。その筆頭が幻の仏レーベルIDAに吹き込まれた諸作品です。

IDAには、ソロの 『 Parisian Portrait 』 (1990),マーク・ジョンソンとデュオで羽の生えたウサギ?のジャケが印象的な 『 The Dream Before Us 』 (1990),マーク・ジョンソン,ポール・モチアンとのトリオ 『 Untold Story 』 (1993)、そしてチェット・ベイカーを加えたクインテット作品 『 Soft Journey 』 ( 1980 ) の計4作品が残されていますが、全て廃盤のうえに、IDAそのものが短命だったため流通量も極端に少なく、たまにオークションに出品されても超高額で取引される商品でした。

そんなファン垂涎の作品をペルージャに本部を置くEGEA がここにきて復刻再発してくれているのは既にエンリコ・ファンならずとも周知していると思います。まず2006年7月に 『 Untold Story 』 が、ついで2008年5月に 『 Parisian Portrait 』 が再発されました。そしてこのたび EGEA Histrical Collection の pieranunzi series 第三弾として復刻されたのは、大方の予想に反して、チェット・ベイカーとの共演盤 『 Soft Journey 』 でした。

本作はフロントにチェット・ベイカーとマウリツィオ・ジャンマルコ( ts )、リズム隊にエンリコ、リカルド・デル・フラ、ロベルト・ガトーを配した最高のメンバーで臨んだ力作です。6曲中4曲がエンリコのオリジナルで、その陰影深いエンリコの楽曲が全体の雰囲気を支配しています。10分以上に及ぶエンリコとチェット・ベイカーのデュオ≪ My Funny Valentine ≫ では、翳りと孤独を内包したチェット・ベイカーのボーカルに心酔すること必至です。何故か古色蒼然とした香りが立ち込めてくるのは不思議です。レア盤というだけで中身を伴わない作品も多いなか、本作は非常に充実した内容だと思います。

惜しむらくは、前作同様、アートワークがオリジナルではなかったことです。本作は、もともと1979年に Edizione Pan からLPで発売されました。その時ジャケットがこれ↓。


そして、これを1995年に IDA がCDで復刻した際に使用されたジャケットがこれ↓。


本来なら復刻されただけで感謝しなければならないのですが、できたらアートワークもオリジナルに忠実に復刻してもらいたかったですね。権利の問題もあるのでしょうが、体裁に異常なくらい拘りを持つ日本と、そんなことに全く拘りのないイタリアとの文化の違いもあるのでしょうね。でも、このCDは6面デジパック仕様なのですが、観音開きの内ジャケに、オリジナルLPのジャケット写真が使用しれているのが、ちょっと嬉しいかも。

と云う訳で、残るはあと一枚。マーク・ジョンソンとのデュオ『 The Dream Before Us 』だけです。楽しみだ~。




あと、チェット・ベイカーとエンリコ・ピエラヌンツィの共演盤で復刻が望まれる作品は2枚。Philology の『 The Heart of The Ballad 』と、Space Jazz trio 名義の『 Little Girl Blue 』 でしょうか。「CDである以上、いつかは再発される!」という言葉を信じて、気長に待つとしましょう。

Paolo Di Sabatino / Atelier of Melody

2008年12月04日 18時48分24秒 | JAZZ

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2004年に High Five Quintet の『 Jazz Desire 』が発売されるや否や、輸入盤店を中心に火がついたイタリアン・ジャズ・ブームですが、一過性のブームと思いきや然に非ず。4年経った現在でもしっかりとファンの心を掴み、ジャズ界における新潮流を形成するに至っていると言っても過言ではありません。最近ではジャズ雑誌で特集を組まれることも珍しくなく、伊ジャズメンが来日すればライブ会場はいつも満員で熱気に溢れています。そんな状況を見ていると、ジャズ界の中心軸は少しづつ米国から欧州に移動しているのでは、と思えて仕方ありません。

さて、イタリアの技巧派ピアニスト、Paolo Di Sabatino ( パオロ・ディ・サバティーノ 、1970 ~ ) の新譜が発売されました。すでに10枚以上のリーダー作を吹きこんでいるサバティーノですが、今回は何と Atelier Sawano からのリリースです。今までサバティーノを聴いてきたファンは、サバティーノと澤野工房の組み合わせに違和感を感じるかもしれません。彼はラテン気質全開の熱いプレイで聴き手を魅了するタイプでしたから、優雅な抒情性を重んじる澤野の理念にはそぐわないのでは、と思っていました。でもそこは流石に両者ともプロ中のプロです。情熱と抒情のミクスチャー感覚が絶妙の、素晴らしい作品に仕上がっています。伊ジャズ・ファンにも、澤野ファンにもアピールできるサウンドです。

全13曲で収録時間70分。平均5分程の短めの曲ですが、どれもアレンジ、構成が非常に凝っていて、ジャケットのアートワークのように色彩感豊かな楽曲が並ぶ密度の濃い作品です。全くダレることなく最後まで一気に聴かせる魅力があります。5曲が彼のオリジナルで、その他はスタンダードやジャズメン・オリジナルなどです。ベースは Marco Siniscalco 、ドラムは Glauco Di Sabatino という方ですが、両者とも僕は初聴です。でも二人ともなかなかのツワモノです。サバティーノの右手から綺羅星のごとく繰り出される音連射は、ヴィヴィッドに聴き手の心を揺さぶるでしょう。

最近の澤野工房にマンネリ感を抱き、食傷気味な方にも、きっと満足していただける秀作です(キッパリ)。個人的には2008年Atelier Sawano のベストです。(ちなみに2位はロバート・ラカトシュの『 You and The Night and The Music 』。3位はトヌー・ナイソーの『 For Now and Forever 』。)

Paolo Di Sabatino / Atelier of Melody   2008 Atelier Sawano AS081
Paolo Di Sabatino (p)
Marco Siniscalco (b)
Glauco Di Sabatino (ds)


Paolo Di Sabatino / Paolo Di Sabatino  2001 Around Jazz

手許にあるサバティーノのコレクションは、澤野の最新作を含め以下の計7作品。『 Foto Rubate 』、『 Introducing Paolo di Sabatino 』、『 Threeo 』、『 Italian Songs 』、『 Paolo di Sabatino 』、『 ARK Trio 』。

とりあえずこの7作品の中でベストを選ぶとすると、やはり幻本にも紹介されたセルフ・タイトルの『 Paolo di Sabatino 』でしょう。本作はHigh Five Quintetの一連の作品にも負けずとも劣らないハード・バップの傑作ではないかと。ステファノ・ディ・バティスタ、ヤヴィエル・ジロット、ダニエレ・スカナピエコと、伊国の超ツワモノ達が参加しています。この三者が一堂に会するわけではなく、基本的には1管フロントのカルテット編成です。

これを聴いていると、ルカ・マンヌッツァには申し訳ないけど、High Five Quintetにサバティーノが加入していれば、より完成度の高い究極のバンドになっていただろうにと、思うのですが.....。


Walter Bishop Jr. / Speak Low HQ-CD仕様 ( 2 )

2008年12月02日 12時37分00秒 | JAZZ
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さて、今まで所有していたCDは1998年ころに発売された国内盤(現在廃盤)です。ジミー・ギャリソンのベースが全面にせり出し、ちょっと引いたところでピアノとドラムが鳴っているようなバランスです。とにかく、極太コリゴリベース音が耳につきます。3弦4弦の開放弦の音など地響きするほどの凄い箱鳴りがします。まあ、そこがいかにもジャズ臭くて心地よいのですが。まさにジャズ喫茶で映える音作りです。

では今回のHQCD盤はどうかというと、まず一聴して気づくのが各楽器のバランスの変化です。ベースが一歩引いた位置に定位し、さらにエッジの鋭く立ったすっきりした音色に衣替えしているのです。ビショップのピアノも輪郭がクリアになった印象を受けます。明らかに洗練された音として蘇っていますが、その代償としてジャズ特有の熱い空気感は損なわれたように感じられるのです。そして、音が変化したことは理解できるのですが、果して音質が向上しているのかどうかというと疑問です。単にマスタリングの違いを音質の違いと誤認している可能性もあるし。本当なら同じマスタリングを施された素材で比較検討しないとだめなのでしょうね。

というわけで、本盤一枚だけで判断するのは危険ですが、HQCD盤は音質が向上したか?という問いには、ちょっとビミョーとしか答えられません。 ただし、音の変化の傾向からすると、新しい録音作品をHQCD処理することはそれなりのメリットがあるのではないかと思います。今のところ、HQCD や SHMCD は旧作のリイシュー盤が殆どですが、これからは新録音もこれらの高音質CDでリリースしてもらえればありがたいですね。

12月24日には、ソニーから新たな高音質CD、Blu-Spec CD が発売されます。これは、Blu-ray で採用されているカッティング技術の導入と、Blu-ray 用に開発された高分子ポリカーボネートの使用を特徴としたディスクです。

上位規格のDVD audio や SACD、あるいは従来からあるXRCDなども巻き込み、ますます高音質CDの競争が激化しそうな気配です。はたしてCD売上向上の起爆剤となれるでしょうか。個人的には浅ましい音楽産業の罠にハマらないよう、しばらくは静観しようと思っていますが、それにしても消費者に散財させようとあの手この手で新規格を出してくるものですね。そのあたりの企業努力には素直に敬服いたします。

そんなCD販売合戦が熾烈化する一方で、すでにネットにおける24 bit / 96kHz のロスレス配信が現実化しています。近い将来、ごく当たり前にようにパッケージを介さない音楽視聴が可能となるでしょう。そんな中、ハイエンド・オーディオ・メーカーである Linn が昨年、Klimax DS というネットワーク対応DAC を発表しました。今月のジャズ批評 No.126 で後藤誠一氏もレポートされていましたね。値段が2,940,000円と、まだまだ一部の金持ちの愛玩具的製品ではありますが、いずれ低価格化が進めば、その時こそ世の中からCDが消え去る時なのではないでしょか。

Walter Bishop Jr. / Speak Low HQ-CD 仕様 ( 1 )

2008年12月01日 15時42分41秒 | JAZZ

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最近、店頭や雑誌等でやたら目につく  SHM-CD ( Super High Material CD )や HQ-CD ( High Quarity CD ) 仕様の作品ですが、これらはより高品位のポリカーボネートを基盤に使用し、読み取り時に生じるデータエラーを軽減した高音質ディスクのことです。これらのディスクは従来のCD規格内の製品であるため、SACDとは違い通常のCDプレーヤーで再生できることが売りです。

SHM-CD は、ユニバーサル・ミュージックが開発、商標登録したディスクで、最近になってワーナーやBMGなども参入し、リイシュー盤を立て続けに発売しています。

一方、HQ-CDは、EMI ミュージックがこの9月に発売開始したばかりの高音質CDで、液晶パネルに用いられている透明度の高いポリカーボネートを基盤材料に使用している点ではSHM-CDと同様ですが、さらに従来のアルミニウムにかえて特殊合金の反射膜を採用しているところでSHM-CDとは差別化を図っているディスクです。

これらの高音質CDについて、評論家たちは挙って激賞していますが、ネット上では賛否両論があるみたいです。大体、音楽データとしては従来と何ら変わっていないのですから、基盤や反射膜の素材を改良しただけで、そんなに劇的な音質改善効果があるとは到底思えないのですが。

基本的に僕は、< すでにCDで所有している作品に関しては、24bit digital remaster 化されようが、紙ジャケ再発されようが買い直さない > という主義を貫いてきましたが、先日、かつては幻の名盤と賞されてジャズ喫茶で人気のあったウォルター・ビショップ・Jr.の 『 Speak Low 』 の HQ-CD 盤を店頭で発見したのです。

実はこの作品は非常に思い出深い作品です。大学時代にLPで購入し、当時はMDもmp3プレーヤーもなかった時代ですから、当然カセットテープにダビングし、年がら年じゅう聴きまくった作品です。当時僕はベースを弾いていたのでこの作品は絶好の教材でした。なにしろベースのジミー・ギャリソンのベースラインが美しく、しかも図太くデカい音量で記録されていたので、耳コピーしやすかった。しかも収録曲が ≪On Green Dorphin Street ≫、≪ Speak Low ≫、≪ Milestone≫ と練習曲には最適なスタンダードが並んでいるのです。特に当時モード的楽曲でのベースライン作りに苦戦していた僕には ≪ Milestone≫のラインは非常に参考になったものでした。また、≪ Speak Low ≫も弾いてみると意外に難しいコード進行で、つまりはAメロでGm7-C7が8小節続くのですが、ここでケーデンスに則ったラインでは限界があり(当時はそう思った)、やはりモード的手法で音を選んでいった方がラインを作りやすいこともこの作品で知ったのでした。そんなわけで人一倍、本作には思い入れが強かったのです。

閑話休題。そんな愛聴盤ですから、反射的にこのリイシュー盤が目に飛び込んできたのです。そして僕はそのジャケットに貼られていた大きな赤いシールに目を奪われました。

“ この音! 今までの「 スピーク・ロウ 」は何だったんだ? 寺島靖国 ”

過去の LP や CD で発売された音を完全否定する寺島氏。僕はその完全否定された音を長年愛聴してきたのです。寺島氏独特の挑発的誇大表現なのは分かっていますが、でもそう言われちゃ、聴かずにはいられない。本当に音は良くなっているのか、自分の耳で確かめてみようと思い、買って聴き比べてみました。

このような場合まず重要なことは、僕のような平凡なリスナーでもその音質の違いを享受できるか、ということです。雑誌等で記事を書いている評論家諸氏は、高価な再生装置を用いて十分な音量のもとで評価を下しているのです。当然、彼らの耳は素晴らしい感度をもっているわけで、おそらく、そういう好条件下で両者を比較すれば、その差が歴然とするのは想像に難くありません。

しかし、問題は僕自身が感じるか否かであり、他人の評価など意味がありません。合計150万円程度の平均的オーディオシステムで、マンション住まい。そして元来音質に無頓着な性格の僕が、その差異を体感できなければ、いくら高音質を謳った SHM-CDであれ、HQ-CDであれ、その存在は全く意味を持たないのです。オーディオなんて、所詮、個人的世界の中で繰り広げられる妄想のようなものですから。

つづく