雨の日にはJAZZを聴きながら

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Renee Rosenes 『 Life on Earth 』

2006年02月11日 21時46分07秒 | JAZZ
あまり大きな声で「このアルバムが好き」とは言えないのですが,結構好きで聴いています。リニー・ロスネスは87年にOTBのピアニストとして脚光を浴びて以来,一貫してBlue Noteから作品を出してきました。最近では名プロデューサー,木全信(きまた まこと)氏のKEY'STONEから「ドラモンズ」名義で,いかにもお金になりそうな綺麗なアルバムをリリースしていますね。僕が好きなアルバムはほとんど90年代のBlue Noteの作品なんですが,一番はストリングスの入った『 Without Words 』。二番がニコラス・ペイトン,クリス・ポッターらとの『 Ancestors 』。そして三番がここで紹介する『 Life on Earth 』です。

このアルバムは,ちょっと変わった編成で,タブラ,バイオリン,貝,マリンバ,それに変な声まで入っていて,一般的には敬遠されがちなアルバムです。エキゾチック,オリエンタル,ワールド・ミュージック,などといった言葉が合いそうな曲が多いですが,中には映画音楽風のストリングス入りの曲もあったり,かと思うと,ごく普通のそれこそ「ドラモンズ」風のピアノ・トリオがあったりと,統一感のない内容になっています。そのあたりが酷評される所以なのかもしれません。でも,このごちゃ混ぜ感が楽しくて,つい手が伸びちゃうアルバムです。そしてなんと言っても僕のお目当てはM-3<Ballad of the Sad Young Men >です。この曲はロバータ・フラックの1969年のデビュー・アルバム『 First Take 』がオリジナルですが,原曲のとっても切ないバラードをそのままピアノに置き換えたような名演だと思います。この『 First Take 』には<First Time Ever I Saw Your Face >というこれまた切ないバラードが収められていて,なんとも言えない当時の空気感が詰まった名盤です。

というわけで,お勧めはできないアルバムですが,ジャケットは一見の価値あるでしょ。こんなに綺麗にリニーが撮られている写真,ないんじゃないの。まさに奇跡の一枚ですね。

William Ash 『 the phoenix 』

2006年02月11日 19時46分15秒 | JAZZ
一昨日,取り上げたオマール・アヴィタルのアルバムはグリニッジ・ヴィレッジのジャズ・クラブ「small’s」でのライブで,レーベルもsmall’sの経営するsmalls recordsでした。そう言えば昨年発売されたアリ・ホーニッグのDVD『 Kinetic hues 』もsmalls recordsからの発売でした。でもあれは「small’s」のライブではなく「fat cat」でのライブでした。何でなのと思って調べてみたら,なんてことはない,2つのお店は姉妹店でした。元々グリニッジ・ヴィレッジにsmall’sがオープンしたのですが,狭かったために店を閉めて,同じグリニッジ・ヴィレッジの近所により大きな箱としてfat catをオープンさせたんですね。Fat catにはビリアード,バックギャモン,チェスなども置いて,より快適にくつろげるジャズ・バーを目指した作りになっていたようです。でも人気が出てきたため,昨年,small’sを以前あった場所に再オープンさせたというわけです。両店とも安くて若手のマイナーなミュージシャンがほぼ日替わりで聴けるという点で共通のコンセプトを持っています。

今日はそんな流れで,smalls recordsからの一枚,ウィリアム・アッシュ(william ash)の2001年のアルバム『 the phoenix 』を取り上げてみました。彼は以前,古いsmall'sがあった頃,6年間にわたり毎週レギュラーで出演していたようです。彼のスタイルはウェス・モンゴメリー風というか,ウェスにそっくりに弾きます。ギターもgibson L-5 でこれもウェスと同じ。色はナチュラルですが。ピッキングまで親指弾きですから,ここまで徹底的に真似するとそれだけで脱帽です。おそらく,現在のNYの第一線で活躍中のジャズ・ギタリストの中でウェス・スタイルで弾くのは彼だけではないでしょうか。

こうも似てると当然,本家のウェスの演奏と比べてしまいますが,やはり全然ウェスの方が巧いんですね。特にオクターブ奏法などは,雲泥の差です。アッシュは音に切れもないし,アップ・テンポの曲では音の粒に乱れもある。あらためてウェスの凄さを再認識するという皮肉な結果になってしまいした。雑誌などでは彼は「若き天才ギタリスト」などと評されていますが,僕にはあまり天才を感じませんね。このくらいの上手いギター弾きはいくらでもいそうだし,日本人だってこのくらいはみんな弾けるんじゃないの。ウェスを真似させたら宮之上貴昭さんの方がよっぽど上手いと思うしな~。ギター・トリオで72分飽きさせず聴かせるにはちょっとテクニック不足な気がしないでもない。ということで,僕はこのアルバムしか持っていません。

William Ash 『 the phoenix 』2002 smalls records SRCD-0006
William Ash (g)
Dwayne Burno (b)
Mark Taylor (ds)