僕の家にも大量のLDがほとんど聴かれることなく保管されています。プレーヤーもパイオニアのCLD-919という往年の名機を所有していますが,最近は滅多に電源をいれることもなくなりました。すでにLDでしか発売されていないレアな音源はDVD-Rに焼いて保存していますので,今後LDプレーヤーを使用することなどないのですがね~。
安ければ2千円ぐらいで買えてしまう最近の音楽DVDと違って,当時のLDは1万円近くする高価なディスクだったので,捨てるのもったいないし,中古業者に出してもおそらく何十円にしかならないだろうから,今だに処分することができないでいます。でも,そのうちディスク面の化学変化が進行し読み取れなくなっちゃうんだろうな~。(すでにそんな不良LDが出始めています。)
昨日買ってきたこのスタンリー・クラークのDVDも2300円程ですから,ホント,安くなったものです。僕が買ったのは輸入盤ですが,6月20日発売の国内盤でも3500円ですから,ほとんどCDと変わらぬ値段ですね。
で,本作の話になりますが,これが凄い,凄すぎのライブ映像なんですよ~。もう,ベーシスト必見! 絶対買いです。
本作は,スタンリー・クラークが,若手音楽家を支援する奨学金制度「 Stanley Clarke Scholarship Fund 」の活動の一環として2002年(なぜか古い)のロサンゼルスでのライブを収録したものです。
いくつかのフォーマットで入れ替わり立ち替わり多彩な演奏が披露されているのですが,そんな中でも白眉なのは,スタンリー・クラークを含め総勢11人のベーシストがステージに同時に立って,それぞれ順番にソロをとる《 School Days 》。そのベーシスト達が凄い。というか信じられない集合体です。中には知らないベーシストもいますが,主だったところでは,ロック界からレッチリのフリー,ビリー・シーンなど。ジャズとロックのどちらにも顔を出す馬鹿テク親父のスチュアート・ハム。マニアックなところでバーニー・ブンネルや僕の大好きなジミー・ジョンソン。そして今やベース界のトップに君臨するブライアン・ブロンバーグとマーカス・ミラーなどなど。
こんな凄腕ベースマンがなんと小さなステージに横一線に並んで次々にソロを弾いていくんですよ。想像しただけでニンマリしちゃうでしょ。ソロをとるブロンバーグの後ろでリズムを刻むマーカス・ミラーなんて映像,おそらく前代未聞のレア映像だと思いますよ。
で,当然こんなに超絶技巧のベーシストが並ぶと,誰が一番巧いか,という品定めをしたくなるのですが,やっぱり強者達の中でもブロンバーグが頭ひとつ抜きん出ているように思われます。他のベーシストが普通にベースの音でソロをとっているのに対してブロンバーグは,ブリッジに(おそらく) Roland の MIDI ピックアップ( GK-B3 かな?)を付けて,ヘビメタ風のソロをとって観衆の度肝を抜いていました。
意外だったのが,レッチリのステージでは全裸になって大暴れするフリーが,終始ステージの左端で地味な演奏をしていたのが面白かった。ジャズ界の馬鹿テクベースマンに囲まれ,やや萎縮していたのでしょうか。
それ以外では,スティービー・ワンダーの《 Giant Step 》(あまりうまくはないけど,ちゃんとアドリブしています。)や,ポリスのスチュアート・コープランドとシーラ・E のツインドラムなど,楽しい映像満載です。
信じられないくらい巧いヴァイオリニスト,カレン・ブリッジス( karen briggs )などの新発見もあり,最後まで全く飽きさせないライブでした。
それにしても6曲目にレニー・ホワイト,パトリース・ラッシェン,ベニー・モーピン,ウォレス・ルーニーらの《 Why Wait 》という曲がクレジットされているのに,実際にはそんな映像が納められていないのです。結構,これが楽しみだったのに残念。Why!