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雨の日にはJAZZを聴きながら

FC2 に引越しました。http://jazzlab.blog67.fc2.com/

Aaron Parks @ Cotton Club

2008年11月24日 05時42分57秒 | ライブ
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Aaron Parks ( アーロン・パークス )のライブを、丸の内 コットンクラブに観に行ってきました。今回の公演は19日から22日までの4日間。僕が観たのは最終日22日の2nd show 。いくらメジャー・デビューしたとはいえ、まだまだ日本では知名度の低いアーロンですので、当日ぎりぎりの予約でも余裕で間に合うだろうと高を括っていたらどんでもない。当日に電話したらすでに 1st show は満席とのこと。仕方なく9時30分開演の 2nd show を観ることにしました。

あとでわかったのですが、どうやら某企業社員や某カード会員に優待券が大量に配られたようです。僕も Blue Note から送られてきた割引券( チャージ料金6.825円が4.200円に )を利用しました。おそらく正規料金で観た方はほとんどいないのではないでしょうか。

今回のメンバーは、最新作 『 Invisible Cinema 』 ( 前項あり )にも参加していた Mike Moreno ( g )、Matt Penman ( b ) を含むギター・カルテット編成。ドラマーだけが Eric Harland ではなくJochen Rueckert ( ヨッヘン・ルカート )に代わっている。

ヨッヘン・ルカートはほとんど馴染みのないドラマーですが、古くはマーク・コープランド、最近ではカート・ローゼンウィンケルのサポートをしています。NYの気鋭ギタリストMisja Fitzgerald Michel ( ミシャ・フィッシェジェラルド・ミシェル )の『 Encounter 』( 2006 ) でも叩いていました。75年ドイツ生まれのヨッヘンはNY のロック界でも活躍中で、しかもドラマーとしてではなく、ベーシスト、プログラマー、プロデューサーとしても名を馳せているようです。

アーロンがメンバーを簡単に紹介のあと演奏が始まりました。アーロンはどことなくニューハーフっぽいしゃべり口調で、ちょっと意外。ほとんどMCなく淡々とアーロンの世界観を綴っていくステージです。ガレスビーの ≪ Con Alma ≫ を除きすべて『 Invisible Cinema 』からの楽曲。アンコールにはタイトルは失念しましたがBe-Bop の曲を演奏してくれました。やっぱり全編にマイク・モレノの宇宙系ギター・サウンドが効いています。たとえアーロンのソロに短いオブリガートつけるだけでも、瞬時にホール内の空気を変えてしまう存在感が彼にはあります。やはりアーロンの理想とする音世界にはマイクのギター・サウンドは不可欠な要素なのだということが実感されるステージです。アルコールにより全身の知覚神経が軽く麻痺していることもあり、心地よいトランス感に浸れることができました。特に4曲目に披露した ≪ After Glow ≫ は、アーロンのテンポ・ルバートで始まるのですが、この導入部がただただゆっくりと聴き手を陶酔の花畑に誘うkeithy な美旋律満載で、うっとりしてしまいました。約80分のステージは全く退屈することなく、浮遊感漂う音場に身を任せながら、最高の時間を過ごさせていただきました。

というわけで、帰宅後、ライブの感動を思い起こしながら『 Invisible Cinema 』を聴き直していましたが、もう一枚、アーロンの名演が聴ける作品として、 Patrick Cornelius ( パトリック・コーネリウス )の『 Lucid Dream 』 ( 2006 ) を引っ張り出して聴いています。パトリックはNYで活躍中の新進気鋭のアルティストで、昨年、アーロン周辺のミュージシャンとしてマイク・モレノやローガン・リチャードソンなどの新譜を拙ブログで紹介した際、ブログ『 ジャズ新譜ナビゲーター 』のナカーラさんから教えてもらったミュージシャンです。ここでのアーロンのソロもかなり出来が良いです。

 2 songs upload from the album 『 Lucid Dream 』

ちょっと話は逸れますが、12月号のSwing Journal にアーロンの記事が掲載されていましたが、その中で、彼は「 以前の4枚のリーダー作( Keynote の諸作品のこと )は、誰も掘り出せないような地中の奥深くに埋めてしまいたい気持ちだ。」と話しています。彼の若い頃の折り目正しいスタイルも僕は好きですが、自身としては許せない過去なのでしょうね。なんだか気持ちは分かるような気がします。

Set List ( October 22, 2008 at Cotton Club, MARUNOUCHI , 21:35~ )

1) Nemesis
2) Con Alma
3) Riddle Me This
4) After Glow 
5) Harvesting Dance
6) Praise
< Encore >
7) Be-Bop の曲。タイトル失念。

Aaron Parks (p)
Mike Moreno (g)
Matt Penman (b)
Jochen Rueckert (ds)

Bohuslan Big Band feat. Jaqee @ B flat

2008年10月27日 22時34分40秒 | ライブ
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北欧一の実力を誇るスウェーデンのビッグバンド、Bohuslan Big Band ( ボーヒュースレン・ビッグ・バンド ) のライブを10月24日、赤坂 B Flat で聴いた。

7時30分開演のところ7時に入店。客席はほぼ満員。メンバーが徐々に店内に入ってきて、店の奥で各自思い思いの時間を過ごしている。スケール練習するミュージシャン、記念撮影をしているミュージシャン、家族同伴で来ているミュージシャン。僕の大好きなアルトのヨハン・ボルストレムはバナナに食らいついていた。

今回のB flat でのライブは、2ステージ制、入れ替えなしで7000円。なんと良心的なことか。しかもどこかのライブハウスのようにお客を詰め込めるだけ詰め込むようなことはせず、ゆったりとテーブルに座って食事もできる。

注文したピザとハイネケンを飲みながら、待機するミュージシャンたちを眺めていたが、お目当てのテナー、Ove Ingemarsson ( オーベ・インゲマールソン ) がいない! 森氏によると、今回は都合により来日できなかったとのこと。と、何処かで見たことのあるイケメン君がいるかと思いきや、なんとトランペットのKarl Olandersson ( カール・オランドルソン ) ではありませんか! サミュエル・オルソンが育児休暇のため代わりに加入したようだ。

定刻10分遅れでスタート。第一ステージはアフリカ(ウガンダ)生まれ、スウェーデン育ちの黒人女性歌手、ジャッキーをフューチャーしたライブ。華奢で小柄な女性だ。ネットで検索した限りではジャズだけを歌っているわけではなく、R&Bやポップスなども得意のようだ。声質は確かにあまりジャズ的ではない。美しいメロディーの曲を可愛らしくキュートに歌う美人歌手を好む日本のジャズ・ヴォーカル愛好家には、たぶんそっぽを向かれるであろう歌手だ。確かに巧いのだが、高音域での絶叫しながらの金切り声は個人的には受け付けなかった。

まず1曲目は昨年BBBがスティーブ・スワローと制作した『 Swallow Songs 』 の中から、スワローの名曲 ≪ Eiderdown ≫ を挨拶がわりに演奏した。

2曲目からはジャッキーが加わり、ビリー・ホリデイの愛唱歌を7曲歌った。彼女とBBBは昨年11月にビリー・ホリデイ集 『 Letter to Billie 』 を吹きこみ、つい最近発売したばかり。ライブで彼女の歌声を聴き、帰りにまだ日本には入ってきていないというその『 Letter to Billie 』を買ってきて何度か聴いたが、、、う~ん、何というか、巧い下手の前に、この声ではどうしても感じない。

BBBの演奏は、したがってオールドスタイルなので、それほど面白みはないが、バリサクのニクラス・リードとバストロのアルベルト・ピントンのヘビー級格闘技のような掛け合いがすごくスリリングな ≪ Lady Sings The Blues ≫ はよかった。≪ God Bless The Child ≫ でのカール・オランドルソンのソロも切れ味鋭く、ファンキーな歌い回しで驚いた。チェット・ベイカーを彷彿させるマスクと歌声でSpice of Life から売り出しているカールだが、どちらかというと歌に比重をおいた作風のため、いま一つ彼のトランペットの巧さが伝わりにくい作品ばかりだった。しかし、彼は非常にトランペットが巧い。チェット・ベイカーというよりリー・モーガンのようだ。すっかり惚れ直してしまった。


『 Letter to Billie 』 Jaqee & Bohuslan Big Band  2008 Vara Konserthus


Bohuslan Big Band feat. Nils Landgren & Jaqee
Friday, October 24, 2008. at B flat Akasaka, Tokyo
19:30~

1st set
1) Eiderdown ( Steve Swallow )
2) God Bless The Child ( A Herzog / B Holiday )
3) Me Myself and I ( Gordon / Roberts / Kaufman )
4) Speak Low ( K Weill / O Nash )
5) One for My Baby ( H Arlen / J Mercer )
6) Strange Fruit ( A Meerpol, B Holiday )
7) Lady Sings The Blues ( H Nichols/ B Holiday )
8) My Man ( C Pollock / M Yvain / A Willemetz / J Charles )

2nd set
1) Watermelon man ( Herbie Hancock )
2) Walk Tall ( Joe Zawinul )  
3) Sticks ( Cannonball Adderley )
4) Little Lullaby ?
5) Fragile ( Sting )
6) Red Horn ( Nils Landgren )
7) アルゼンチンの曲?
8) There was a Time ( James Brown )
9) Blues ( Everything I Have is Blues ~の歌詞で始まる曲 )
10) Soulful な曲
Encore
11) Nils' solo

Roy Hargrove Big Band @ Blue Note Tokyo

2008年09月20日 22時58分30秒 | ライブ
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9月18日木曜日、Blue Note Tokyo にロイ・ハーグローブのビッグバンドを聴きに行った。5年ほど前にRH Factor で来日した時は観られたが、昨年の今頃、Quintet で来日した際は仕事の都合で観に行けず、悔しい思いをした。だから今回は大好きなビッグバンドを引き連れてくるということもあり、絶対にハズす訳にはいかないと思っていた。しかも今回は驚異のイタリア人歌手、Roberta Gambarini ロバータ・ガンバリーニもゲスト出演するということで、なんとも贅沢なステージである。これだけギャラ高のメンバーのステージなのにチャージが8.400円とは有り難い。しかも僕は Blue Note のメンバーになっているので、10% off の 7.540 円 で観られる。さらに先日行われた東京JAZZ のチケットの半券を提示すると2.000円分のギフトカードが頂けるキャンペーンがあったので、実質 5.500年ほどでニューヨークの一流ビッグバンドが観られるわけであるから、かなりお得なライブである。 はじめ、ロイがビッグバンドを立ち上げるのは今回が初めてかと思ったが、調べてみたら2006年にリハーサルバンドを組んで、 NYC の Jazz Gallery を拠点に活動していた時期があるようだ。そして、そのライブは All About Jazz の2006年度 Performance of The Year に選ばれている。当時のメンバーの半数ほどが今回も参加しているようだ。 ところで、ロイとロバータ・ガンバリーニの共演とはちょっと意外だが、どういう経緯で二人は共演に至ったのだろうか。長年ロイのマネージャー兼プロデューサーをしてきた Larry Clothier ラリー・クロージェは、ロバータ・ガンバリーニの作品のプロデュースも手掛けていたので、彼がこの二人を引き合わせたのかもしれない。そういえば、ロバータのデビュー作にはロイのバンドのピアニスト、ジェラルド・クレイトンも参加していたっけ。 僕が観たのは 7時からの 1st set 。客席はほぼ満員。まずはビッグバンドのメンバーがステージに登場してくる。CDでしか聴いたことのない憧れのミュージシャンがこんな間近に座っている。それだけで早くも軽い興奮状態になる。リード・トランペットのフランク・グリーンは想像していたより大柄だ。 Bob Mintzer Big Band や Gerald Wilson Big Band 、それから Village Vanguard Big Band などなど、様々なビッグバンドにハイノートヒッターとして参加してきたビッグバンド界の重要人物だ。意外に日本での知名度は低い。4th トランペットの席には大好きなダレン・バレットが座っている。髪を伸ばしてかなりイメージが変わっていた。リード・サックスは、個人的にはかなり注目しているジャスティン・ロビンソンだ。ピアノも天才肌の新人、ジェラルド・クレイトン。長いドレッドヘアーを馬の尻尾みたく後ろで束ねている。まだまだ少年ぽさの残る若者だ。お、バリトンのジェイソン・マーシャルと目が合ってしまった。コワッ! タイトル不明のおそらくロイのオリジナルで幕を開ける。(結局最後までMCがなかったので演奏曲目は全てアナウンスなし。) テーマが終わるといきなりジャスティン・ロビンソンの長尺なソロ・パートが用意されていた。通常、ビッグバンドにおいては、ソロのコーラス数はあらかじめ決められているものだが、このバンドは決まっていないのだろうか? ジャスティンのソロは永遠と続く。熱く激しいソロ。やっぱりこの人は巧い。2曲目はスタンダード ≪ September in The Rain ≫。台風13号によるドシャ降りの東京に合わせて選曲したのだろうか。ロイはヴォーカルまで披露。決して巧くはないが妙に味がある。2曲目が終わり、ここでロバータが登場。まずはしっとりと≪ Everytime We Say Good Bye ≫ を歌う。同然、ロイもフリューゲルに持ち替えて情感豊かに歌い上げる。それにしてもロバータはめちゃくちゃ巧い。ほんとにイタリア人かと疑うほど英語も巧い。何となくカーメン・マクレイを彷彿とさせる。玉石混淆の女性ボーカル界にあって、彼女は間違いなく本物だ。4曲目は一転、ラテン・アメリカ系の哀愁漂うナンバーをスペイン語で歌い上げる。どうも ≪ La Puerta ≫ という曲らしい。一度聴いたら覚えてしまいそうな美しいメロディーをもった曲だが、ネットで調べたところメキシコの “ ロス・トレス・アセス ” というボレロ系のギター・トリオが歌っていた曲らしい。ロバータは2曲を歌ったところでステージを降りた。続いての演奏曲は95年のロイの作品『 Family 』に収録されていた3部構成の組曲 ≪ Triology ≫ 。8ビートで盛り上がるこのファンキーな曲に乗せてギターのソール・ルービンのソロがフューチャーされる。これがなかなかカッコいい。ジョージ・ベンソン系のフュージョン・ギターだ。 ギター~トロンボーン~トランペットとソロが続くが、そのソロを煽り、盛り上げるバックリフがこれまたカッコいい。決して構成やアンサンブルが複雑ではないのだが、観客を楽しませるツボを押さえているから否応なしに体が揺れる。組曲の最後には再びロバータがステージに登場し、ロイとスキャット合戦で盛り上がる。続く8曲目はミディアム・テンポのファンキーな4 ビート物(タイトル不明)。 3rd トランペットのターニャ・ダービィがビッグバンドらしい爽快なソロを聴かせてくれる。髪が短く小太りなのでちょっとわかりづらいがターニャは“ 女性”だ。最後は、高速ラテンにアレンジされたロイの名曲 ≪ Public Eye ≫ 。怒涛のテュッティ! 煽るバックリフ! ここでフランク・グリーンの脳天を突き抜けるハイノート・フレーズも炸裂する。ここでいったん演奏は終了し、ロイはステージを降りるが、当然、万雷の拍手は鳴りやまず、アンコールに応えるため再登場。曲はこれまた unknown 。どこかで聴いたことのあるスタンダードのような気もするが、思いだせない。 結局、アンコールを含め10曲を演奏。演奏時間はなんと1時間30分にも及んだ。Blue Note のステージでこれだけ長いセットは初めての経験かもしれない。ロイのトランペット・ソロはあまり聴くことができなかったが、あくまでビッグバンドが主役なのでその点は仕方ない。でも、ロイは、沢山歌い、バンドを指揮し、時々踊り、終始観客を楽しませることを忘れなかった。こんな楽しいライブは何年ぶりだろう。嬉しさのあまりビールを4杯も注文してしまった。鳥肌が立ち、そして目頭が熱くなった。

Nicholas Folmer Quartet @ Marunouchi Building

2008年08月26日 23時27分50秒 | ライブ

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仕事帰りに丸の内の丸ビルで行われたニコラ・フォルメルのミニ・ライブを観てきました。

メンバーの事前告知はありませんでしたので、どんなメンバーを連れてくるのか楽しみにしていたのですが、ベースとドラムはベルモンド兄弟のバンド・メンバーであるシルヴァン・ロマーノとドレ・パルメルトでした。で、ピアノはローラン・フィッケルソンかと思いきや、なんと、椎名豊さんが座っているではありませんか! これには思わず雄たけびを上げそうになりましたが、回りに座っているOLさん達に変な人と思われそうなので、叫ぶのだけはやめました。

椎名さんと言えば、ライブは何度も観ていますが、アルバムでいうとレジナルド・ヴィール、ハーリン・ライリーと組んだ『 Hittin' The Spirit 』 なんかは愛聴盤の一つです。全然話は横道に逸れますが、来月、大西順子さんがこのレジナルド・ヴィール、ハーリン・ライリーと組んで、Blue Note でライブやるんですよね。絶対、行きたい。なんとかせねば。

というわけで、馬鹿テクぶりを遺憾なく発揮して、丸の内美人OLさん達を魅了したニコラですが、演奏曲目は、これまでのリーダー作3枚から比較的スローテンポで美旋律をもった聴きやすい楽曲を5曲ほど演奏してくれました。まあ、TPOを考慮した選曲と言ってよいでしょう。壁一面のガラス窓に反射する綺麗な街中のイルミネーションを眺めながら、ニコラの超美メロを聴いて、一日の疲れも癒されました。

[ 演奏曲目 ]
≪ Iona ≫  from  1st album 『 I Comme I Care 』
≪ Le Chateau de Guillaumes ≫  from 2nd album 『 Fluid 』
≪ You Must Believe In Spring ≫  from 3rd album 『 Plays Michel Legrand 』
など。


Belmondo Quintet @ Apple Store, Ginza

2008年08月25日 22時20分46秒 | ライブ
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8月29日から3日間、恒例の『 東京JAZZ 2008 』が東京国際フォーラムで開催されます。それに先立ち8月から、関連イベントである 『 東京JAZZ CIRCUIT 2008 』 が丸の内エリアで開催されています。特に今年は、日仏交流150周年にあたり、それを記念してフランス人ミュージシャンが数多く出演する 『 FRENCH JAZZ QUARTER 』 というプログラムが、丸の内の丸ビルや銀座の Apple Store などで今週月曜日から開かれています。 『 東京JAZZ 2008 』 に出演する大物アーティストよりも、このフレンチ・ジャズのイベントの方が個人的には興味をそそられるというのが、正直なところです。 というわけで、今日は仕事帰りに銀座に寄り道して、ベルモンド兄弟のライブを観てきました。場所は銀座松坂屋の向かいにある Apple Store の3階イベント・フロアです。ベルモンド兄弟は、“ フランスのマルサリス兄弟 ” などと呼ばれ、母国ではかなり有名らしいのですが、日本ではほとんど知られていません。兄のリオネルはテナー、クラリネット、フルートなどを操るマルチリード奏者。弟のステファンはトランペット奏者です。ステファンは去年の銀座・インターナショナル・ジャズ・フェスティバルにエリック・レニーニのカルテットで来日しています。 ライブは午後7時開演。開始前に会場を見渡すと70席ほどの半分ほどしか埋まっていません。すいているのはうれしいのですが、これじゃあまりにミュージシャンが可哀想です。スタッフの方が部下に、「店先でライブ・イベントがこれからありますよ~と、宣伝してこい」と指示していました。とにかく、Apple Store の1階フロアには全くライブ・イベントの掲示がされていませんでしたので、僕も不安になり店員に本当にライブがあるのかどうか聞いたくらいです。これじゃ、通りがかりの音楽ファンは獲得できません。もうちょっとアピールすればいいのにな~。 メンバーの事前アナウンスはありませんでしたが、驚いたことにピアニストはShaiの幻盤『 Secret Mood 』で一気に知名度をアップさせた Laurent Fickelson ローラン・フィッケルソン!!でした。ベースはシルヴァン・ロマーノ、そしてドラムはバート・ヨリスやバティスト・トロティニョンらとの共演が記憶に新しいドレ・パルメルト! なんと贅沢なメンバーなんでしょ。ベルモンド兄弟は最近、ミルトン・ナシメントと新作を発表しているので、そこからの楽曲を演奏するのかと思いきや、やはりナシメントのヴォーカルがないと演奏できないようで、実際に演奏したのは40分にも及ぶ組曲形式の曲でした。基本的にはモード系ハード・バップですが、コルトレーン後期や60年代のマイルス、あるいはハンコックの『 処女航海 』あたりを彷彿とさせるテイストを持った楽曲でした。アンコールは≪ Round About Midnight ≫ を演奏してくれました。 スタイル的には決して新しいわけでもなく、また別段驚くほどの技術力の持ち主ではありませんが、二人とも優しさのなかに芯の強さを秘めた音色、メロディーは十分鑑賞に堪えうるものを持っていたと思いました。また、ローラン・フィッケルソンの随所に散りばめられた硬質的な美フレーズにも理屈抜きに惹かれるものがありました。

Steve Kuhn Live at Tokyo TUC

2008年07月20日 23時41分28秒 | ライブ

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July 19th 2008
Steve Kuhn (p)
Eddie Gomez (b)
Billy Drummond (ds)

※曲目については、公式のものではありません。

< 1st set >
01. If I Were A Bell
02. Two By Two
03. La Plus Que Lente / Passion Flower
04. Pavane pour une infante défunte (亡き王女のためのパヴァーヌ)
05. Round About Midnight ( intro ) / I Thought About You
06. Ocean In The Sky

< 2nd set >
07. Lotus Blossom
08. Love Letter To My Father
09. Slow Hot Wind
10. Poem For #15
11. Airegin

< encore >
12. Stella By Staright

日本のジャズ・ファンに愛され、毎年のように来日されているピアニスト、スティーブ・キューンのライブを、先週の土曜日、神田のTokyo TUC に聴きに行ってきました。

平日はビジネスマンで活気ある神田岩本町も、土曜日となるとたいへん静かな街に変わります。Tokyo TUCは、秋葉原駅から徒歩で5分ほど、初めて訪れる人は大概迷子になってしまうだろう裏路地に、ひっそり佇んでいます。

同店は、事前に料金を郵便振り込みした時点で予約成立となり、その順番で店内に案内されるというシステムです。僕は仕事の都合もあり、直前予約だったので74番でした。ですから良い席ははじめから諦めていたのですが、上手い具合にピアノの近くの席にすわることができてラッキーでした。

会場を見渡すとそれほど大きくない空間にもかかわらずざっくり計算して100人以上はお客が入っています。ギュウギュウ詰めの地下室は、酸欠を起こしそうなくらい熱気にあふれ、雰囲気も上々。ここは、Blue Note Tokyo や Cotton Club のように、入店してからライブが始まるまでの時間が長くなく、しかも食事のオーダーをせずに済むので非常に良心的で合理的です。

ビールを飲みながら待つこと15分。薄暗いステージにライトがあたり3人が静かに登場です。キューンは一曲目の≪ If I Were A Bell ≫ のあのイントロを弾きながらモニター音量を軽くチェックし、そのまま演奏に入っていきます。

演奏曲目は上記のごとくですが、M-01 ≪If I Were A Bell ≫、M-02 ≪Two By Two≫、M-03 ≪La Plus Que Lente / Passion Flower≫、M-07 ≪Lotus Blossom≫、M-09 ≪Slow Hot Wind≫、そしてアンコールの ≪Stella By Staright≫ などすべて、昨年発売された作品『 Live at Birdland 』( 2007 Blue Note ) でも演奏されていた曲です。ですので、大体の雰囲気は『 Live at Birdland 』と同じだと思ってもらって結構です。

M-4 ≪亡き王女のためのパヴァーヌ≫ は同名のVenus 盤からの選曲。M-06 ≪Ocean In The Sky≫ は言わずと知れたキューンの代表作ですし、ロリンズの M-11 ≪Airegin≫もたびたび演奏する彼の愛奏曲です。唯一M-08≪Love Letter To My Father≫ だけがエディー・ゴメスのオリジナルで、彼のリーダー作『 Next Future 』( 1993 Stretch ) に収められていたバラードです。普段はあまり観られないゴメスの美しいボウイングによるメロディーが聴かれました。

M-05 ≪Round About Midnight ( intro ) / I Thought About You≫ は、僕が勝手に曲名をつけてしまいましたが、≪I Thought About You≫に≪Round About Midnight≫のイントロを引用した曲です。途中に≪Round About Midnight≫のあのブリッジ部分も引用されたり、また≪ My One and Only Love ≫ を大々的に引用したりして不思議な世界を演出していました。このような引用(いわゆるコーテーション Quotation )のさりげない使い方は彼の得意技ですね。

M-10 ≪Poem For #15≫ はやはりキューンのオリジナルで、スティーブ・スワローとのデュオ作品『 Two by Two 』( 1995 Owl ) や、デヴィッド・フィンク、ビリー・ドラモンドとのトリオ作品『 The Best Things 』( 2000 Reservoir ) に収められていました。前者ではメロディーをバックにキューンが詩を朗読するといったヴァージョンでしたが、後者には詩の朗読は入っていません。今回のステージでは詩の朗読ではなく、詩をメロディーに乗せて歌っていました。誰しも彼の歌は上手いと思わないでしょうが、なかなか味があり、僕は嫌いではありません。僕の隣にいた中年の男性は、いきなりキューンが歌いだしたので吃驚していました。Venus あたりからキューンのファンになった方にはキューンのヴォーカルは驚きかもしれませんね。

この曲についてキューンは、「この曲は元ニューヨーク・ヤンキースの野球選手に捧げて書いた曲です。彼はキャッチャーをしていて、またチームのキャプテンも務めていましたが、不幸にも飛行機事後で亡くなられてしまいました。25年以上も前の話です(正確には79年のことです)。彼の名前はサーマン・マンソンといいます。」と話されていました。

全12曲。休憩をいれて、約70分のセットを2回。70歳のキューンにはかなりハードだったのではないでしょうか。アンコールの演奏の前に深く溜息をつかれていました。終演後にサイン会があり、大勢のファンが残っていましたが、僕は私用のためそれには参加せず、帰ってきました。ホント素敵な一夜を過ごすことができました。キューン、ありがとう。


Roberto Gatto Quintet @ Blue Note Tokyo

2008年05月18日 09時37分52秒 | ライブ

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 5月12日、月曜日。ウンブリア・ジャズが提供する 『 Top Italian Jazz 』 の一環として催された Roberto Gatto ロベルト・ガットのライブを Blue Note Tokyo に観に行ってきました。

    正式には 『 Italian Cultural Institute and Umbria Jazz present Top Italian Jazz 』 という名称で、今回はItalian Cultural Institute(イタリア文化会館、九段にあるあの赤い建物ですね )も主催者に名を連ねています。イタリアのミュージシャンが来日すると、都内のライブハウスでの演奏以外に、この文化会館でもライブを行うことが多いのですが、今回はなかったようです。ただし、京都にあるイタリア文化会館ではロベルト・ガット、ロザリオ・ボナッコルソ、ダニエレ・スカナピエコのサックス・トリオでライブをやったようです。

    ウンブリア・ジャズ・フェスティバルは、ウンブリア州の州都ペルージャで、毎年7月上旬の10日間開かれているイタリア最大のジャズ・イベントです。40年以上もの歴史をもち、チケット売り上げ枚数45万枚! 10日間でのべ300回のライブが街中で繰り広げられます。メイン・ステージは、8,000人収容の野外ステージ、サンタ・ジュリアーナで、今年は、マリオ・ビオンディ、ハービー・ハンコック、ゲイリー・バートン・カルテット( with パット・メセニー)、ジェラルド・クレイトン、ソニー・ロリンズ、ステファノ・ボラーニ、その他大勢の国内外のトップ・ミュージシャンがそのステージを飾る予定です。ところが、ネットでプログラムを眺めていて気がついたのですが、ロベルト・ガット・クインテットの名前が何処にもない! これってちょっとおかしくない?

  僕が見たのは7時からのファースト・ステージ。Blue Note は来店順に好きな席に座れる自由席制なのですが、6時30分に到着したのにもかかわらず、何と16番目に案内されてしまうという客入りの悪さ。完全にガラガラです。これじゃ客もミュージシャンも盛り上がれないな~と心配しているうちに、徐々に客が入ってきて、結局70席ほどが埋まりました。それでもこんな寂しいBlue Note のライブは、初めての経験かもしれない。月曜日で、しかもロベルト・ガットですから、仕方ないか。

   今回のテーマは ≪ Tribute to Miles Davis 1964 – 1968 ≫ 。つまり、ウェイン・ショーターが加わったの黄金のクインテット時代へ捧げたステージということで、当日演奏された曲目は次の通り。

1.JOSHUA
2.THERE IS NO GREATER LOVE
3.FOOTPRINTS
4.STELLA BY STARLIGHT ~ The Theme
5.SEVEN STEPS TO HEAVEN ~ The Theme
<ENCORE>
6.SO WHAT

     どの曲もマイルスの代表曲で、選曲としては非常にわかりやすい。みんなが知っているし。でも、僕が観る前にイメージしていた、あるいは期待していた楽曲とはちょっと違っていました。60年代黄金のクインテットといえば、やっぱりショーターの≪ E.S.P. ≫ とか、 ≪ Nefertiti ≫ とか、≪ Masqualero ≫ とか、ハンコックの≪ Riot ≫ とかがまっさきに思い浮かぶんですけどね。そのあたりは完全にスルーされちゃっているのがちょっと物足りなかったです。≪ So What ≫ や≪ Footprints ≫ はもちろんイイです。でも≪ Joshua ≫ や ≪ Seven Steps to Heaven ≫ はいくらマイルスのレパートリーといえど、ビクター・フェルドマンの曲ですからね。≪ There is No Greater Love ≫ に至っては、おそらく、ショーター加入後は演奏していないんじゃないでしょうか。( 『 Four & More 』 での≪ There is No Greater Love ≫はジョージ・コールマンでした。)別の日の演奏曲目はわかりませんが、もう少し、ショーター色の強い楽曲が聴きたかったというのが、正直な感想です。

    曲が曲だけに、ジャム・セッション風のノリで各人、伸び伸びとソロをとっていました。やっぱりダト・モローニは巧かった。そして体もデカかった。頭を前後左右に揺さぶりながら鮮やかなフレーズを連発していました。ボルトロは、昨年に銀座プロムナードで観た時とは別人のように素晴しい吹きっぷりで、これぞ本当のボルトロなんだと惚れ直しました。ただ、やや手癖フレーズが多い感じもしましたが、ライブですから仕方ないでしょう。黄金のマイルス・クインテットの、奔放でミステリアスな雰囲気は皆無で、全曲、元気いっぱいのイタリアン・ハードバップ化されていて、どこがマイルス・トリビュートなんだと、突っ込みを入れたい気持ちもありましたけど。

     ≪ Stella by Starlight ≫ だけは、とってもマイルス・バンドっぽい、ダーク&クールな演奏で感動的でした。ダト・モローニのソロから、2ビートでまずボルトロが緩やかにテーマを奏で、次いでサビでダニエレが受け継ぎ、4ビートで盛り上がる、というマイルスの生み出した手法をそのまま踏襲した劇的な構成に、思わず身震いしてしまいました。

飲食: 白州ロック・ダブル、一番搾りスタウト、スウィンギン・ポテト


Mario Biondi & the High Five Quintet @ Blue Note

2007年12月18日 21時42分29秒 | ライブ
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12月14日(金)に, Mario Biondi and The High Five Quintet のライブをBlue Note Tokyo に観に行ってきました。

正直なところ、直前まで観に行くかどうか迷っていました。今年の確か6月に舞浜イクスピアリにファブリツィオ・ボッソが来たときも、DJ須永辰緒氏の『 夜ジャズライブ 』というDJイベントの一環での来日だったので結局行きませんでしたが、今回も主役はマリオ・ビオンディであり、High Five Quintet はあくまでバック・バンドとしての来日でしたので、あまり気が進まなかったのです。がしかし、今、どうしても、どんな形でも、ボッソとスカナピエコをこの目で見ておきたいと思い、前日に予約を入れたというわけです。

願いはただ一つ。マリオ・ビオンディ抜きでのHigh Five Quintet の演奏が一曲でも多く観られますように、ということ。

僕が観たのは9時30分からの2nd stage。いつも開演ぎりぎりに入店するので,僕が座る席は決まって隅のほう。その日もステージ向かって左奥の,ちょうどPAの後方。ステージを左真横から観る位置。でもこの席、結構気に入っているんです。PAの手元がよく見えるからね。PAはいつもの若い女の子。客席は満席状態。マリオ・ビオンディのライブということもあり,クラブ好きのおしゃれな若者ばかりだったらどうしようと心配しいましたが,意外に僕のようなオジさん連中も散見され,ちょっと安心。

さあ、ライブの始まりです。拍手に迎えられてHigh Five Quintet のメンバーがステージに上がります。おっと、主役のマリオ・ビオンディが登場しません。徐にHigh Five Quintet だけでのハードバビッシュな演奏がはじまりました。のっけからフルスロットルでぐんぐん飛ばします。これはいい出だしです。スカナピエコのソロが凄くイイ。カッコいい。でもそのあとのボッソのソロがもっとイイ。ボッソは有無を言わさぬ存在感と説得力をもっているんです。スカナピエコだって相当上手いのに,そんな彼の存在が薄れてしまうほど,ボッソの存在感は絶大です。4小節ぐらいなら軽々とノン・ブレスで超高速パッセージを繰り出し,そのあとに切れ味鋭いタンギング・フレーズでアクセントをつけ,縦横無尽に駆け巡る。いや~、CDで聴くよりはるかに野性的なんですね、ボッソって。痺れる~。

2曲目は一転して美しいメロディーの地中海風バラードです。ボッソとスカナピエコがテーマを吹き分けます。クールダウンしたところで3曲目は彼らのオリジナル曲 ≪ Five For Fun ≫ 。BN4000番台リー・モーガン風のジャズ・ロック・スタイルの軽快な曲です。このあたりは、マリオ・ビオンディ目当てで来店したクラブ・ジャズ・ファンを意識した選曲でしょうか。まさに≪ 踊れるジャズ ≫ です。3曲目の終盤になり、やっとマリオ・ビオンディがステージに登場です。割れんばかりの拍手。やっぱりマリオ目当ての観客が大多数なのでしょうね。クラブ・ジャズ系の方々からすると、ボッソなんかは≪ マリオ・ビオンディといっしょに演ってる上手いトランペッター ≫ という位置づけですからね。

このマリオ・ビオンディという大男。71年生まれの37歳。歌いだしたのが33歳の時と言うからまだ4年程しか芸歴がないのに,このデビュー作『 Handful of Soul 』(前項あり)でイタリア国内で10万枚も売れたそうです。純ジャズ・ヴォーカルでもないし,どちらかというとソウルやAOR領域にいそうな声質,歌唱法なのです。そんな彼、なんとなく胡散臭さを感じでしまうのは僕だけでしょうかね。そんなわけで,始めから眉に唾をつけて聴き出したのですが,これが意外に心地よいのです。

AORでいうとクリス・レア。ソウルでいうとテディ・ペンダーグラスあたりを彷彿させるセクシーな濁声で、どことなくダニー・ハザウェイに歌い方がにているかもしれません。クラブ・ジャズ系の方々はこういうのを≪ 激渋・ヴォーカル≫ というのでしょうかね、わかりませんが。ただ,冷静に聴くと,それほど歌唱力があるわけでもないようです。もしかしたら一発屋で終わってしまうかもしれない?

マリオが歌いだした4曲目以降の曲名は以下の通りです。すべて『 Handful of Soul 』からの選曲です。Blue Note Tokyo のホームページにも当日の演奏リストがアップされていますが、たぶん間違っていると思います。以下のリストが正解です。

4. RIO DE JANEIRO
5. NO MERCY FOR ME
6. THIS IS WHAT YOU ARE
7. I’M HER DADDY
8. HANDFUL OF SOUL
9. ON A CLEAR DAY
10. NEVER DIE
ENCORE
11. SLOW HOT WIND
12. THIS IS WHAT YOU ARE

High Five Quintet だけでの最初の3曲中、曲名が分かったのは3曲目の
オリジナル曲 ≪ Five For Fun ≫ だけでした。スカナピエコがイタリア訛りで曲紹介したのですが、1曲目と2曲目は聞きとれませんでした。イタリア人の曲みたいなこと言っていたような、いないような。

マリオ・ビオンディの曲でもボッソのソロはかなりフィーチャーされていましたので、ボッソ・ファンも最後まで飽きずに楽しめたと思います。ホント、ボッソはCDで聴くより凄かったです。あんなに吹きまくって腹筋が割れないのか? 肺に穴があいて気胸にならないのか? 酸欠でぶっ倒れないのか? そんな心配を他所にこれでもかと言わんばかりに吹きまくってくれました。感謝感激であります。

最後のアンコール曲が終わり、メンバーがPAの女の子の脇を通ってステージを降りる際、(いいですかここが大切なのですが)ボッソとスカナピエコとマンヌッツァの3人は、そのPAの女性に頭を下げてお礼の言葉をかけているんですね。これには胸が熱くなりました。あれだけビッグ・スターになっても、スタッフへの感謝を忘れない、その真摯な姿勢に感激してしまいました。イイ奴らなんですよ、きっと。

CDでは決して味わえない高揚感に満ち溢れたライブでした。このところ仕事に忙殺され、日々、憂鬱な思いが蓄積していたのですが、そんな陰鬱さもすっきり中和し、心地よい充実感までも体感できた素晴らしいライブでした。

次回、来日の際は、ぜひ High Five Quintet 単独でお願いしますね。

ギンザ・インターナショナル・ジャズ・フェスティバル2007 (2)

2007年11月08日 18時57分13秒 | ライブ
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山野楽器本店のでエリック・レニーニのライブまで2時間程あったので,まずは久しぶりに松坂屋屋上ライブ会場すぐ隣の「銀座松坂屋屋上熱帯魚売場」を覗いてみました。興味の無い方には全然お分かりにならないと思いますが,熱帯魚や水草ファンにはまさにこのお店は聖地であります。南米から直接採取してきたワイルドのアピストグラマや超レア水草の品揃えは日本一です。でも値段も日本最高ですけどね。

さて,松坂屋を後にして向かったのは山野楽器本店。年に2,3回しか銀座に出向かない僕にとって,山野楽器での珍しいビッグバンド物を物色するのは至福の喜びです。今回は,Vienna Art Orchestra の『 All That Strauss 』 Big Phat Band の『 The Phat Pack 』を購入。ライブ会場への入場は整理番号順なので,早くから並ぶ必要も無く,銀座の街をブラブラして時間をつぶし,6時きっかりに山野に戻り入場。整理番号9番の僕はなんと最前列に案内されました。しかも中央。ベルモンドの唾がかかるほどの近距離での鑑賞が可能なポジションでした。この山野楽器本店7階のイベントスペースは思ったより小さく、客席は100席ほどしかなく、大勢の方が立ち見状態でした。薄暗いステージにライトがあたり,まずはエリック・レニーニ,マティアス・アラマンヌ,フランク・アギュロンが静かに登場。そして銀座松坂屋屋上でのライブと同様,レニーニの新曲《 New Boogaloo 》で幕を開けました。結局,演奏曲は前ステージから≪ Mojito Forever ≫を除いただけで、それ以外は曲順も構成も全く同じでした。しかし、小さなホールでしかも最前列で聴く演奏はまさにライブ。興奮度も全然違う別モノです。また、レニーニやベルモンドと何度も目が合って、凄く嬉しかったし。最初の2曲は,トリオでの演奏だったため、ベルモンドはステージの袖のイスに座って出番を待っていたのですが、旅の疲れからか眠ってしまい、3曲目でレニーニがベルモンドを呼んでもなかなか目を覚まさない。会場爆笑。というハプニングもあったりして、なかなか楽しいライブでした。

2007年11月3日(土)Eric Legnini Quartet @山野楽器本店 Jam Spot
18:30 ~ 19:40

1. New Boogaloo
2. Trastevere
3. Soul Brother
4. Darn That Dream
5. Unknown ( Fm7 one mode )
6. Big Boogaloo


ギンザ・インターナショナル・ジャズ・フェスティバル2007 (1)

2007年11月07日 21時16分30秒 | ライブ
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11月3日,4日の2日間にわたり,ギンザ・インターナショナル・ジャズ・フェスティバルが行われました。本フェスティバルは,全銀座会,銀座通連合会,GILC(国際ブランド委員会)がオーガナイザーとなり,毎年一回開かれている完全無料制のジャズ・フェスティバルで,今年で3回目になります。毎年,国内外の数多くのアーティストが銀座の各会場で熱いライブを繰り広げてくれるのですが,特に,毎回,欧州のちょっとマイナーでマニアックなアーティストが出演するので,個人的にはお金を払ってでも観たい程のお気に入りのフェスティバルです。今年はなんと言ってもフラビオ・ボルトロとエリック・レニーニがお目当てです。本フェスは,事前にインターネットか葉書での応募(抽選あり)が必要なホールライブと,事前応募の必要ない全席自由のショップライブ(デパート屋上)の2本立てで行われます。僕はインターネットで応募したのですが,10ほどのライブに応募したにもかかわらず,当選は3日のエリック・レニーニのライブ1つだけでした。妻の名前でも応募しましたが,そちらは全く当選なし。ちょっと悔しい気持ちはありましたが,まあ,一番観たかったエリック・レニーニが当選したので,まずはほっとしました。

山野楽器本店でのエリック・レニーニのライブは18時30分からだったのですが,すこし暇があったので,その前の15時からの銀座松坂屋屋上で行われたエリック・レニーニ・カルテット with フラビオ・ボルトロの屋外ライブも観てみようかと思い,14時30分頃に会場に到着。しかし,すでに長蛇の列。慌てて最後尾に向かって小走りに急いで行くその間にもどんどんと人が並んでいくのが見えます。400席ほどある座席はあっという間に満席となり,その他のお客さんは立ち見状態。僕は何とかぎりぎりセーフで最後列に着席できました。こんなにエリック・レニーニって,人気あったのか~と,驚きながら周囲の客を眺めてみると,どうみてもジャズ・ファンには見えない買い物袋を下げたおばちゃんや,高校生風のカップルなども大勢いるではありませんか。おそらく何の行列かもわからず並んだ人々も大勢混じっているのでしょうね。

さて,まぶしい西日に曝されながらも待つこと30分。エリック・レニーニ,フランク・アギュロン(ds),マティアス・アラマンヌ(b)の3人がステージに登場です。レニーニは終始笑顔で,日本語で「こんにちは」と軽く挨拶。巨漢にアマガエルのような愛嬌のある小さな顔がとってもチャーミングな方です。1曲目は《 New Boogaloo 》という彼の新曲でスタート。ハンコックの《 Watermelon Man 》を連想させる軽快な曲です。2曲目は最新作『 Big Boogaloo 』(前項あり)からいかにも“ Keithy ”らしい抒情的美曲 ≪ Trastevere ≫を披露。しかし,そんな素敵な雰囲気を乱すかのように上空をジェット機が爆音をたてて通り過ぎ,デパートの商品案内の放送が飛び交います。2曲目が終わったところで,ステファン・ベルモンド(tp)がステージに登場。レニーニが彼のために作ったという『 Big Boogaloo 』に収録されていた《 Soul Brother 》を演奏しました。ステファン・ベルモンドのリーダー作は2004年にB-flat から発売されたスティービー・ワンダー集『 Wonderland』(前項あり)しか聴いておらず,僕の中では今ひとつイメージが固定されていないトランぺッターでしたが,この吹き手が実に魅力的な人でした。質朴な中にも力強さを感じ,情緒の機微をきめ細やかに歌い上げる様は,まさにフランスのアート・ファーマーと比喩してもおかしくない逸材かと。日本ではほとんど話題にならない人ですが,本国ではかなり人気があるようです。まあ、そんなオブスキュアな現在の立ち位置に、逆に僕なんかは魅力を感じてしまうわけですが。4曲目は一転してスタンダード・バラード ≪ Darn That Dream ≫ です。ベルモンドはフリューゲルホーンに持ち替えて朗々と歌い上げます。それほど饒舌でないところがむしろ味があって良いのですね。量よりも質をひたすら追い求めているその姿勢に共感します。5曲目はタイトルのアナウンスなしで始められたモードの楽曲。Fドリアン,16小節,一発もの。マッコイ風に鍵盤を縦横無尽に駆け巡るレニーニ。多面体的才能を垣間見せる瞬間でした。ここでゲストのフラビオ・ボルトロが登場。僕は力いっぱい拍手したのですが、会場の反応はイマイチ。「だれこの人?もう一人トランペット?」みたいな反応でした。会場の一部では歓声が上がり、局地的に盛り上がっていましたが。7曲目はやはり『 Big Boogaloo 』に収められていた ≪ Mojito Forever ≫。ラテンタッチの陽気な曲。アルバムではジュリアン・ラウロー(its)とベルモンドの2管でしたが、ここではボルトロ=ベルモンドの2管で演奏されました。そして最後は『 Big Boogaloo 』のタイトル曲 《 Big Boogaloo 》をベルモンドとボルトロで熱唱し,楽しい70分間のライブは終了しました。

ライブ終了後に恒例のサイン会が行われました。レニーニの『 Antraigues 』と『 Big Boogaloo 』が販売されており、購入者にサインをしていましたが、ほとんどサインの列に並んでいるお客はいませんでした。ちょっとレニーニ、可哀そうだったかも。一枚ぐらい彼の写真を撮りたいな~と思い、スタッフに許可を求めましたが、基本的にダメ、との事。欧米ではコンサートの写真撮影や録音など、ほとんど規制がなく、録り放題なのに、まったく日本人は真面目と言うか何と言うか、も~。すでに持っている『 Antraigues 』でも買ってサイン貰おうと思ったけど、止めて会場を後にしました。

2007年11月3日(土)Eric Legnini Quartet with Flavio Boltro @銀座松坂屋屋上
15:00 ~ 16:20

1. New Boogaloo
2. Trastevere
3. Soul Brother
4. Darn That Dream
5. Unknown ( Fm7 one mode )
6. Mojito Forever
7. Big Boogaloo

つづく

Dave Holland Quintet Live At Blue Note Tokyo

2007年10月28日 22時57分24秒 | ライブ
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ラズヴェル細木のジャズ漫画『 コンプリート・ジャズ・コミック・コレクション 』(1992年 双葉社 )の中にこんな件があります。

「東京でジャズ・ファンをやっていると、ホントーに頭がぼけてくる。~今回は逃しても、またじきに来るだろうという安易な気持ちが心の底にあるのだ。もっと東京という街のありがたさに気が付くべきだ。ジャズ・ファンに関しては、地方の方々のほうがずーっと熱心で良質だろうと、自分は見ていて思う。~」

まさにラズヴェル氏が言われる通りで、僕も20年間も東京で生活しているのに、ライヴに熱心に通うようになったのはこの2,3年の話です。それまでは年に4,5回ライブを観ればいいほうでしたからね。せっかく高い物価に我慢し、高い住民税を払いながら東京に住んでいるのだから、少しはその恩恵に与ろうと、最近は小まめにライヴ情報をチェックしいています。

さて、先週の火曜日、念願だったデイヴ・ホランド・クインテットのライブを Blue Note Tokyo に観に行ってきました。僕が観たのはセカンド・ステージ。

僕が意識してデイヴ・ホランドのリーダー作を聴き始めたのはつい最近のことで、99年の『 Prime Directive 』だったと記憶しています。しかも『 Prime Directive 』は完全なクリス・ポッター狙いの後追いで購入しており、リアルタイムでは聴いておりません。はじめのうちはあまりその良さが分かりませんでしたが、03年に発売された2枚組ライブ作品『 Extended Play Live at Birdland 』が素晴らしい出来で、スタジオ盤とライブ盤がこれほどまで違うバンドは珍しいと、感激したものでした。このメンバーで来日したら絶対観に行こうと決めていたので、今回の来日は個人的に待ちに待った待望の来日だったわけです。

演奏はデイヴの新曲 ≪ Ebb & Flo ≫ からスタート。お得意の変拍子のラテン・ナンバーで、いかにもデイヴらしい癖のある楽曲。いきなりネイト・スミスが激しくドライブし、その凄さを見せつけます。ビリー・キルソンの後釜としてこのクインテットに参加したネイト・スミスですが、前任者に負けず劣らずの手数の多さと、瞬間的な爆発力でホールを熱気の渦に巻き込みます。スタイル的にはビリー・キルソンと酷似していますね。2曲目の≪ How’s Never ≫ もデイヴの新曲です。これもまたロック調の変拍子。ホームレス風の貧相な風貌のスティーブ・ネルソンが奏でるヴィブラフォンとネイト・スミスのドラムの長尺なかけ合いから始まります。クリスのソロのバックで激しく煽るネイト・スミスがめちゃくちゃカッコいいです。3曲目はクリス・ポッター作の新曲 ≪ Souls Harbor ≫。これも5拍子。しかもドラマティックにリズムが変化していく難曲。クリスのブチ切れソロは、決してスタジオ盤では聴けません。クリポタって、一見するとNOVAの英語教師風のごく普通のアメリカ人ですが、一たび吹き出すと手がつけられないくらい豹変して吹きまくるのね。4曲目はまたしてもデイヴの新曲≪ Veil of Tears ≫。陰鬱なベース・ソロから始まる7拍子。そしてステージ最後の曲は『 Extended Play Live at Birdland 』にも収録されていた ≪ Prime Directive ≫。途中のロビン・ユーバンクスとクリス・ポッターの無伴奏の掛け合いなどは、『 Extended Play Live at Birdland 』と全くいっしょ。そう言えば、今回のライブは、全体的にも『 Extended Play Live at Birdland 』と似ている雰囲気があります。アンコールでやっと『 Critical Mass 』から≪ Easy Did It ≫を軽く短めに演奏し、1時間30分のブルーノートのライブとしてはかなり長めのステージが終了しました。いつものブルーノートって、だいたい1時間程度の演奏で、ちょっと物足りないライブが多かったから、このくらい演奏してくれると丁度いいかも。満足です。店を出る際、店員が「このあとサイン会がありますよ~」と、アナウンスしていましたが、時計を見たら既に11時を回っていたので、後ろ髪を引かれながらも店を後にしました。

<ライブのまとめ>
1. これで、ジョシュア、エリアレ、クリポタ、の3人全員を生で観たことになるが、やっぱりクリポタが一番凄かった。
2. ネイト・スミス。大好き!
3. デイヴ・ホランドは素晴らしいコンポーザーだ!しかし、ベースの技術は並。
4. (スティーブ・ネルソンをみるにつけ)人は外見で判断しちゃ、いけないな。

横濱ジャズプロムナード2007

2007年10月09日 23時48分13秒 | ライブ
爽やかな秋晴れに恵まれた今週の日曜日、恒例の横濱ジャズプロムナード2007に出かけてきました。今年は待望のクリスチャン・ジェイコブが来日するということで楽しみにしていた同フェスティバルでしたが、逆にジェイコブ以外はわざわざ横浜まで行かなくても普段観られるバンドばかりだったので少々残念でした。

さて、今年はこんな感じでプロムナードしてきました。

12:00 ~ MAYA with 松尾明 Trio ゲスト:森里子(vln)( ランドマークホール)
13:50 ~ 早坂紗知(as) MINGA( 横浜赤レンガ倉庫 )
15:40 ~ ティネカ・ポスマ・カルテット( 横浜赤レンガ倉庫 )
17:30 ~ クリスチャン・ジェイコブ・トリオ( 横浜赤レンガ倉庫 )
19:20 ~ 宮間利之とニューハード( 横浜みなとみらいホール)

意外に良かったのが早坂紗知のMINGAというバンド。ドイツ人、セネガル人、そして日本の大宜見元さんら3人のパーカッショニストが参加したアフリカン・リズムなどを取り入れた民族音楽色豊かなサウンドでした。何しろパーカッションが3人もいるとサウンドがカラフルです。早坂紗知さんもコルトレーンっぽいフレーズでガンガン吹きまくるし、こんな情熱的な女性吹き手が日本にいたなんで今まで知りませんでした。ちょっと私、勉強不足だったようで、これからしっかりチェックしていこうと思いました。

さて、お目当ての横浜赤レンガ倉庫で開かれたジェイコブ・トリオのライブですが、しっかり3列目に席を確保。しかもジェイコブの手がしっかり見られるポジションということで、昼からレンガ倉庫のあの固い即席座席で待った甲斐がありました。17時30分丁度、ジェイコブ・トリオのメンバーがステージに登場です。ジェイコブが簡単にメンバー紹介した後、1曲目が静かに始まりました。ピアノとベースのユニゾンでテーマが奏でられる美しい曲。これは Jule Styne の ≪ Time After Time ≫ です。それにしても美しい音色です。早坂紗知のバンドのピアニスト、新澤健一郎、そしてティネカ・ポスマのバンドのロブ・ヴァン・バヴェルと同じピアノを使用しているのに、音色がみんな違うんですよね。もちろんジェイコブの音色がずば抜けて素晴らしのですが。同じ楽器でこれほど音色に違いがでるのは不思議です。

1曲目が終わり、ここでジェイコブのMC。

Tune is a ≪ Time After Time ≫ from my CD 『 Styne & Mine 』.
And now here is a new tune with jazz starting to play called
≪ It never entered my mind ≫.

≪ It never entered my mind ≫ は今まで録音歴がなかったと思います。

ついで3曲目が始まるのですが、MCがないので曲名がわかりません。50年代のウエスト・コーストのアルバムで何度か聴いたことのあるスタンダードだったと思うのですが。アート・ペッパーの音が頭に浮かんできますが、曲目までは思い出せません。

そして、3曲目終了後にまたジェイコブのMC。

This is a first time in Japan with the trio ,and we were very exciting to come ,so I thought I would do something special, so I asked a friend of mine from L.A. who is Japanese person. And I said what is melody something that every Japanese person knows. And so we came up with four seasons ….HANA….. I can’t ~.NATSU NO OMOIDE, YUKI NO HURU MACHI WO ~.

最後のほうはよく聞き取れませんでしたが、要は、日本の四季にちなんで、春、夏、秋、冬の名曲をアレンジして演奏します、と言って、< 春のうららの隅田川~ >で始まる滝廉太郎の ≪ 花 ≫。< 夏が来れば思い出す、遙かな尾瀬、遠い空~ >で始まる名曲 ≪ 夏の思い出 ≫。< 夕焼けこやけの赤とんぼ~ >の童謡 ≪ 赤とんぼ ≫。そして最後は ≪ 雪の降る街を ≫ で締めくくりました。どの曲のアレンジもロックビートやモード的アプローチなどで味付けされた素晴らしい曲に仕上がってして感激しました。おそらくこの4曲は、10月12日の Tokyo TUC のライブでも披露され、CDに収録されるのではないでしょうか。ぜひ、もう一度聴いてみたいものです。

8曲目は彼のオリジナルのようでしたが、よく聴きとれず曲名不明。9曲目は最新作『 Contradictions 』から、ペトルチアーニのオリジナル曲、≪ My Bebop Tune ≫ を演奏し、ひとまずステージは終了しました。当然、割れんばかりのアンコールの拍手(僕の隣に座っていた品のイイおじさんまで、脚を踏み鳴らし、叫んでいてビックリしました)に答えて、≪ Just In Time ≫ を演奏してくれました。もうこの≪ Just In Time ≫のイントロが流れだしたときは、心の中で、「やった~」と叫んでいしまいました。ジェイコブの演奏の中で一番好きな曲ですからね。このアレンジはかっこいいですよね。レイ・ブリンカーの素晴らしいアイディアが光った名曲です。


               つづく。

東京JAZZ フェスティバル 2007 三日目

2007年09月24日 22時29分21秒 | ライブ
9月22日、東京JAZZフェスティバルの3日目、夜の部を観てきました。

1. Benny Gorson Quartet
三日目の夜の部のオープニングを飾ったのはベニー・ゴルソンのカルテットです。ゴルソン以外のメンバーは、事前の告知がありませんでしたが、予想通りにレギュラー・メンバーであるマイク・ルドン、バスター・ウイリアムス、カール・アレンの3人を連れてきました。ゴルソンはもちろん楽しみではあったのですが、個人的にはむしろマイク・ルドンが生で聴けるのがなによりも嬉しかった。90年代のcriss cross 盤や最近ではエリック・アレクサンダーのバックで聴いていて、好きになったピアニストです。とってもよく歌い、よくスイングするハードバビッシュな弾き手、といった印象を持ってましたが、実際には古いスタイルのなかにも時折チック・コリアやキース・ジャレット風のフレーズが散りばめられた、意外に新しいスタイルも持ち合わせた人でした。もちろん技術的にも相当上手いです。ますます好きになってしまいました。ゴルソンは初めて生で聴いたのですが、もはや円熟を通り越して完熟の極みに達した感のある音で、流石、ジャズの生き証人!ってな感じでした。一曲ごとに簡単な曲紹介をするのですが、「昔、素晴らしいトランペッターがいましたが、若くして亡くなってしまいました。彼の名はクリフォード・ブラウン。そんな彼のために書いた曲です。 I Remember Clifford 。」なんて言われるとすごくリアリティーがあって、ゾクゾクってしちゃうんですよね。演奏した曲は≪ Whisper Not ≫、≪ Mr. PC ≫、≪ Along Came Betty ≫、≪ I Remember Clifford ≫、そしてアンコールは≪ Blues March ≫ と、日本人受けする名曲ばかりで、やや新鮮みに欠けますが、やっぱりせっかくだから聴きたい曲であるのも確か。たっぷり楽しませていただきました。

2. Mike Stern Band featuring Makoto Ozone, Dave Weckle and Chris Minh Doky
続く第二ステージはマイク・スターン・バンドです。小曽根真、デイヴ・ウェックル、クリス・ミン・ドーキーを引き連れての登場です。マイク・スターンは何度かライブで観ていますが、いつもにこやかに愛嬌を振りまき、サービス精神が旺盛な人です。それにしてもマイク・スターンの音って、一音奏でただけでその場の空気をがらりと変えてしまう、あくの強さ、個性の強さを持ってますね。そして偉大なるマンネリズムというか、いつものように盛り上がってくるとクリア・トーンから歪み系の音色に変えて山場を作る。わかっちゃいるけどまた聴きたくなるギターです。小曽根もスケール感のある素晴らしいサポートで盛り上げ、クリス・ミン・ドーキーも前日の“ Soul Bop Band ”の時とは打って変わってノリノリでヤマハのサイレント・ベースを弾きまくるし、デイヴ・ウェックルも世界最高峰の手数の多さで5000人の観客の度肝を抜いていました。分り切ってはいますが、あらためて目の当たりにするとデイヴ・ウェックルのドラムってとんでもなく凄いです。“ Chick Corea Electric Band ”のデビューから何度か観ていますので、昔ほど驚かなくなりましたが、やはりいつも心拍数がアップしていくのが分かるほど興奮しますね。演奏曲はどれも聴いたことがある曲でしたが、最新作『 Who Let The Cats Out ? 』から≪ KT ≫、≪ Who Let The Cats Out ? ≫、≪ Tumble Home ≫ あたりを演っていたと思います。

3. Tokyo Jazz 2007 Special Session
最後のステージは“ Tokyo Jazz 2007 Special Session ”と題した、ランディ・ブレッカーをはじめ、ボブ・ミュンツァー、マイク・スターン、ウィル・ブールウェア、アンソニー・ジャクソン、デニス・チェンバースなど、マイケル・ブレッカーにゆかりのあるミュージシャン達による豪華なセッションです。演奏曲はもちろんブレッカー・ブラザーズ時代の名曲ばかりで、≪ Shanghigh ≫、≪ Straphangin’ ≫、≪ Rocks ≫ ほか数曲を演奏してくれました。ボブ・ミュンツァーのソロは、眼を閉じるとまるでマイケル・ブレッカーがそこで吹いているかのような錯覚を起こさせるほど、似ていました。ランディが≪ Straphangin’ ≫の紹介の際、マイケル・ブレッカーの名前を出したとたん、僕の前方に座っていた30代ぐらいの男性が「うぉ~」と雄たけびをあげていましたが、僕の隣の席の若い女性二人組は冷やかに笑いながら「よほど好きなのね。」と言ってました。となりの席の女性らは、マイケル・ブレッカーが1月に亡くなられたことも、もしかするとマイケルの名前すら知らないのかもしれませんね。あらためてブレッカー・ブラザーズの楽曲の良さを再確認できたステージでしたが、そう思えば思うほど、マイケルが亡くなられたのが残念で仕方ありません。アンコール曲 ≪ Jean Pierre ≫ が終わりホールから出て、≪ Straphangin’ ≫のイントロを口ずさみながら、日比谷線の駅に向かう頃には11時を過ぎていました。休憩を挟みながらとはいえ4時間30分の長丁場のライブでした。前日の21日よりも数段楽しかったし、観客のノリも良かったと思いました。今年は全体にフュージョン・バンド中心のフェスティバルでしたが、来年はもう少しアコースティックなバンドをよんでほしいな。

東京JAZZ フェスティバル 2007 二日目

2007年09月22日 12時06分34秒 | ライブ
昨夜、東京丸の内の東京国際フォーラムで現在開催中の“ 東京JAZZ フェスティバル 2007 ”に行ってきました。

「東京発の音楽文化事業」と銘打って2002年に旗揚げされた本イヴェントも今年で6回目を迎えます。はじめは東京スタジアム(現 味の素スタジアム)で開催されていた東京JAZZも、アテネ五輪やサッカー試合などの諸事情により2004年からは会場を東京ビッグサイトに移し、さらに昨年からは東京国際フォーラムに会場を移して開催しています。

そんな訳で嬉しいことに個人的には非常にアクセスしやすくなり、出不精な私としてもやっと重い腰があがり≪東京JAZZ初鑑賞≫となった次第です。とは言っても仕事柄、その日の予定はその日にならないと分らないという事情もあり、いつものごとく仕事を早めに切り上げ、当日券を買うべく当直明けの眠い目を擦りながら日比谷線に乗り20分。日比谷で下車しさらに歩くこと5分で東京国際フォーラムに到着。急いで当日券売り場に走り購入しましたが、席はS席にも関わらず1階の41列目。まあ仕方ない。観れるだけでも幸せと、自分を慰めながら席につきました。

それにしても今年はイヴェント日程が例年とはかなり異なります。例年ですと8月から9月初旬の土、日曜日の2日間の日程で開催されていましたが、今年は9月下旬ですからね。もうちょっとあとにずれ込んでいたら、10月6日、7日の“ 横濱プロムナード2007 ”にくっついちゃうところでした。しかも今年は木、金曜日の夜のステージ、土曜日の昼&夜のステージ、そして日曜日は夕方のステージとかなり変則的なスケジュール。正直、平日7時からのステージなんて地方の方は観られませんよね。いろいろと事情があるのでしょうけど、来年はもうちょっと再検討、改善してほしいものです。


1. SOIL & " PIMP "SESSIONS
さて、東京JAZZ 2007 の二日目、幕開けを飾ったのは日本人若手で結成されたジャズ・バンド “ Soil & PIMP Sessions ”。恥ずかしながら私は全く聴いたことのない(聞いたこともない)バンドでした。サックス、トランペット、キーボード、ウッドベース、ドラム、そしての葉加瀬太郎似のMC (?)から構成された6人組みで、ロック・ビートに乗せて轟音アンサンブルを聴かせてくれるのですが、なにしろ音が途切れなく放出され、演奏が上手いのかへたなのか判断できないくらいデカイ音で、最後は耳を覆いたくなりました。「ほら、みんな立って~」「もっと踊れ~」「黄色い声だしていいんだぜ~」などと観客を乗せようと必死なのですが、それが裏目に出ているようで。当直明けの疲れきった40過ぎのオッサンに向かって、もっと踊れ~、なんて言われてもね~。こっちは良質のジャズを聴きに来ているわけだし。今年のイヴェントのテーマは「 JAZZ POWER 」。音楽が作り出す力に満ち溢れたイヴェントにしたいという意気込みは確かに感じられますが、私にはちょとこのバンド、肌に合いませんわ。私の後ろの席に座っている若い女性2人組みは、彼らがステージに上がるや否や、「いやぁ~ん、ふぁあ~」などと、溜息混じりの色っぽい歓声をあげていらっしゃったので、それなりにこのバンドにはファンがついているのでしょう。まあ、こういうバンドのライブは、こんなごった煮ジャズ・フェスでもない限り一生聴く機会がないと思うので、それはそれで収穫ではありました。それにしても若者の聴くジャズと私ら中年の聴くジャズとの間には、以前にも増して深い溝が横たわっているのかもしれません。

15分間の休憩。ロビーで一人、ビールを飲む。

2. Soul Bop Band featuring ランディ・ブレッカー、ビル・エヴァンス、ハイラム・ブロック、クリス・ミン・ドーキー、ロドニー・ホームズ
さて、続く第二ステージはランディ・ブレッカー率いる“ ソウル・バップ・バンド ” です。マイケル・ブレッカーが生きていたなら、おそらくランディーとの双頭コンビで来日したのかもしれませんが、今回、マイケルの代わりに参加したのは、“ ステップス・アヘッド ”でもマイケルのトラを務めたことのあるビル・エヴァンスと、マイケルやボブ・バーグ亡き後、彼らの意思継承の期待がかかるボブ・ミュンツァーの二人。このステージではビル・エヴァンスが参加し、一方のボブ・ミュンツァーは今晩の“ スペシャル・セッッション ” に参加予定です。演奏曲は、ハイラム・ブロックやビル・エヴァンスのオリジナル曲、それにブレッカー・ブラザーズの ≪ Above & Below ≫ など4、5曲。ランディ・ブレッカーのR&B、ブルース調のオリジナル曲(題名不知)ではヴォーカルも披露してくれました。ランディのヴォーカルは今までにも時たま聴くことができますが、なんだか昔よりも枯れ声になったような気がします。マイクのせいかもしれませんが、まるでドクター・ジョンみたいでした。それから、ドラム・ソロと言えば≪ Above & Below ≫、というくらいライブでの定番となった感のある同曲ですが、もちろん今回もロドニー・ホームズが物凄いソロを披露してくれました。

Naryさん が仰るように、まさに≪小デニチェン≫。デニス・チェンバースの4/5スケール・ミニチュア版みたいな感じです。もちろんデニチェン同様、ツインペダルで怒涛のバスドラ連打+両手X交差の乱れ打ちで観客は大興奮。ソロの組み立て方のアイディアも豊富で楽しいソロ・パフォーマスンでした。そしてこの人、とっても小柄なんですね。あの小さな体からよくそあんな音が出るもんだと、感心いたしました。

15分間の休憩。バー・カウンターでビール(500円)とレクエア(400円)を食べる。近くの若いカップルの女の子が彼の腕を振りながら、「生キャンディー、早く見た~~い。」と大声で騒いでいる。誤解を受けそうな内容だけに、ちょっとドキドキしてしまった。

3. Candy Dulfer and Band
さた、第三ステージは(私以外の大多数の観客にとっては)お待ちかねのキャンディー・ダルファーです。ツイン・キーボードを含む6人編成での登場です。お~、やっぱり可愛い。ステージは遥か彼方で表情までは見られないので、ひたすらステージ両脇に設置された大型スクリーンでその美貌を確認。美しいブロンドヘアーに黒のタイトミニスカート。笑うとまたこれが可愛いのです。と、お前は何を観に行ったのだと言われそうですが、音楽には何の興味もないので仕方ありません。で、僕はほとんど彼女の音楽を聴いたことがなかったのですが、確かにデヴィッド・サンボーンそっくりですね。と、思っていたら最後にサンボーンの≪ Love & Happiness ≫をやってくれました。そうそう、サンボーンのDVD 『 Straight to The Heart 』の中で≪ Love & Happiness ≫のギターを弾いていたのがハイラム・ブロック。飛び入りでハイラムがステージに上がらないかな~と期待していましたが結局それはなし。で、大体は予想していましたが、最後はスタンディング・オベーションで大盛況。どうして? 拍手のなか、一人落ち込む。音楽商業的に成功しなければならないというプレッシャーはあるだろうが、ここはライブなんだぞ。一曲ぐらい自分の信念に基づき、4ビートでも演奏してくれればオジサンは満足して帰路につけるのに。

再び15分間の休憩。またビールを飲む。昨夜は救急当直でほとんど眠っていないので流石に眠い。すでに10時。隣の若いカップルがワインを飲みながらキャンディー・ダルファー談義に花を咲かせている。へー、プリンスとも交流あるんだ。

4. Joe Sample & Randy Crawford
さて最後のステージはジョー・サンプルとランディ・クロフォードのステージです。てっきりエレクトリックな編成かと思いきや、シンプルなアコースティック・ピアノ・トリオで登場です。ベーシストはなんとジョー・サンプルの息子、ニック・サンプルでした。親父68歳と息子36歳の共演です。顔もよく似ています。正直、それほど腕の立つベーシストではありませんが、歌心は親父さん譲りで素晴らしく、好感が持てるプレーヤーでした。トリオで2曲を終えたところでランディの登場。その透き通った柔らかい歌声にみんなうっとり。会場のいたるところから溜め息が聞こえてきそうです。さっきまでの仕事上の憂鬱な思いを優しく中和してくれるような、そんな歌声です。と、その時、突然の睡魔が襲ってきました。あまりの気持ちよさにいつの間にか寝入ってしまったのです。そのあとは何曲演奏したのか覚えていません。最後は名曲 ≪ Street Life ≫で締めくくりステージを下りていきました。しかし鳴りやまないアンコールの拍手。アンコールに応えて一曲披露。すべて僕にとっては夢の中の出来事のように心地よく、程よい酩酊感を楽しみながら会場を後にしました。

さて、今日も行くぞ~。ボブ・ミュンツァー、アンソニ・ジャクソン、デニス・チェンバース、デイヴ・ウェックル…..。昨日よりもずっと楽しみにしています。では。

Enrico Rava Quintet at Blue Note Tokyo

2007年05月21日 22時01分53秒 | ライブ

先週はイタリアン・ジャズ・ファンには夢のような一週間でした。なにしろBlue Note 東京にエンリコ・ラヴァ,ステファノ・ボラーニ,ロベルト・ガットらがやってきちゃったのですから。「 Umbria Jazz Presents Top Italian Jazz 」と題して,一週間ぶっ通して彼らが演奏してくれたのです。しかし,ここに大問題が発生。なにしろ2日つづメンバー,フォーマットを変えて出演するということで,どこかで一日観れば済むというわけにはいかなかったのです。月曜日と火曜日がエンリコ・ラヴァとステファノ・ボラーニのデュオ。水曜日と木曜日がラヴァのクインテット。そして金曜日と土曜日がボラーニのトリオ。ということで,全部楽しむには最低3日間Blue Noteに通い詰めなければならなかったわけで,到底そんなことは時間的に無理。でも観たい。ということで,仕事の予定表とライブ・スケジュールを睨めっこしながら,何とか木曜日のラヴァのクインテットと金曜日のボラーニのトリオを観て来ました。

まずは5月17日,木曜日のエンリコ・ラヴァ・クンテットのライブについて。

観たのは9時30分からの2nd set。いつもの如く,全く予約なし(というか緊急の仕事が入ると行けなくなるので,予約というものをしてライブを観ることがいつもできないのですが)で9時過ぎに入店。カウンター席に陣取り,アサヒ黒生とジャック・ダニエル,それにコンビーフみたいなつまみを頼んで,あたりを見回すと所々空席が見られました。ラヴァと言えど満席には出来ないんだな~とちょっと寂しくなりました。

ライブは始まるまでの約30分間,ビールを飲みながら客席をウォッチングして時間を潰していると,そこに拍手に迎えられてメンバーがステージに上がってきました。ラヴァによる簡単なメンバー紹介の後,1曲目が静かに始まりました。

1曲目は最新作『 The Words And The Days 』に収められていた 《 Todamor 》。兎に角,熱い演奏でした。CDで聴くのと大違い。特にトロンボーンのジャンルーカ・ペトレッラが思いの他凄かったです。現在のラヴァ・クンテットのレギュラーですが,僕の所有するCDの中では上の写真の98年の『 Certi Angoli Segreti 』 (Label Blue LBLC6594 )には参加していましたから,ラヴァとの付き合いは少なくとも8年以上になるのですね。

実は,ジャンルーカ・ペトレッラの姿を見るのは初めてではありません。昨年発売されたラヴァのDVD 『 The Enrico Rava Quartet Live In Montreal 』で,その雄々しい姿を見ているのですが,その時,こいつは凄いと感じていました。JJジョンソンのように一音一音のきれがよくて,バルブ楽器のように吹けるわけではないのですが,何と言うか,トロンボーンの見せ方,聴かせ方を知り尽くしている感じなんです。体を捻り,大股でラッパを天井に向けて吹き鳴らすその姿は,まるで象の雄たけびのようでうです。ヴィジュアル的にとっても楽しいんですね,この人。ECMでの録音だけ聴いていると全く彼の凄さが分かりませんが,イイですよ,ペトレッラ。彼のバイオを見ますと,エレクトロニカやアシッド・ジャズにもその活動範囲を広げており,今最も注目されているトロンボーン奏者のようです。1975年生まれの32歳ですからこれから大いに期待したいものです。

2曲目は『 Easy Living 』( 2004 ECM 1760 )に収められていた 《 Algir Dalbughi 》。印象的なブギウギ・ピアノのリフで始まるラヴァのオリジナル。アルバムよりも速いテンポで演奏されていて,否応なしに気分が昂揚してきてビールを一気飲み。あ~~,最高。この曲,前述のDVDでも演奏していました。ライブの盛り上げ役といったところでしょうか。

3曲目はラヴァのお得意の 《 Nature Boy 》。好きなんですね。この曲。ラヴァの雰囲気にぴったりで,まるでラヴァのオリジナル曲かのように吹きます。

4曲目は幾度となく演奏し,記録されてきた翳りある哀愁美曲 《 Certi Angoli Segreti 》。そう,上の写真のCDのタイトル曲でもありました。いろいろなヴァージョンがありますが,僕はマウロ・ネグリのクラリネットが美しいこの『 Certi Angoli Segreti 』 が好きなんですよね~。このCDは愛聴盤ですわ。全員のソロ回しで長い演奏ですが,ポッツァのリリカルなソロも,怒涛のガットのソロも楽しく,全く飽きさせない構成。でも,いつも思うけど,ライブでのピアノの音ってどうしてあんなに汚いんでしょう。ポッツァの音って凄く綺麗なはずなのに。ライブ会場でのPAの限界なのででしょうか。

と,ここでライブ終了。え,もう。ホントBlue Noteの演奏時間は短いです。時計を見たら丁度1時間です。で,当然アンコールの拍手が鳴り止まず,メンバーが再度ステージに。

アンコールはアーマード・ジャマルの 《 Poinciana 》。最後はメンバーが演奏をやめ,観客だけに「あ~,あ,あ,あ~」と合唱させておいて,そこにラヴァが美メロを乗せてくるといった仕掛けで,思わず鳥肌がたつようなエンディングでした。

でも,あれ,これ,知ってる。そう,上記の2005年のMontreal Jazz Festival でも同じことやってたぞ。それに演奏した曲,《 Algir Dalbughi 》, 《 Certi Angoli Segreti 》,《 Nature Boy 》,それにアンコールの《 Poinciana 》と,全部 Montreal でも演奏していたしね。ということで,今回,ライブに行けなかった方はこのDVDを観て下さい。ほとんと今回のライブと同じですわ。

ついでに言うと,このDVDには,ジャケットだけ見ていると分かりませんが,あのフランチェスコ・カフィーゾが参加しているんですよ。知ってました? 現在,カフィーゾの動く姿が見れるのはこのDVDしかないのでは。

          
Enrico Rava   『 The Enrico Rava Quartet Live In Montreal 』 2005
Enrico Rava  (tp)
GIanluca Petrella  (tb)
Francesco Cafiso  (as)
Andrea Pozza  (p)
Enzo Pietropaolo  (b)
Fabrizio Sferra  (ds)
ピエトロパオロ=スフェラ のリズム隊が観られるのも嬉しいですね。
個人的には昨年のベストDVDです。

          
Tommaso=Rava Quintet  『 La Dolce Vita 』 2000 Cam Jazz CAM 497541-2
Enrico Rava  (tp)
Stefano Bollani  (p)
Giovanni Tommaso  (b)
Roberto Gatto  (ds)
あまり大きな声では言えないけど,本当は,このカルテットでの演奏が一番聴きたい。トマソ大好きなもので。