雨の日にはJAZZを聴きながら

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非常識。

2005年08月31日 22時02分23秒 | JAZZ
Carsten Dahl Trio 『 Message From Bud 』1998年、Copenhagen Storyville STCD4232
Carsten Dahl (p), Lennart Ginmman (b), Frands Rifbjerg (dr)


日々外来診療をしていますと、色々な人々に出会うわけですが、
非常識な患者さんも多く、世間では「ドクハラ」などと言われてますが、
実際には患者さんの非常識さに医者が切れた結果が「ドクハラ」と呼ばれる
行為に当たる場合が多いと思われます。
非常識といえば、今日、診察に来られた30歳代の男性は、
ヘッドフォンを耳にあてて僕の声が聞こえる程度の音楽を
聴きながら診察を受けて帰っていきました。
近日中に手術をしなければならない方でしたが、こんな患者さんにも笑顔で接し、
経過が少しでも悪ければ頭を下げ、機嫌を損ねぬよう対応しなければならないのです。
それにしても僕も長く外来診療していると、診察室で頬杖をついて話を聞いたり、
帽子を被ったまま診察を受ける患者さんは時々見かけますが、流石に音楽を聴きながら
診察を受けた患者さんは初めてで、びっくりすると同時に、自分の仕事が情けなくなりました。

今日紹介するアルバムはデンマークのピアニスト、カールステン・ダール。
エド・シグペンの『 That's Entertainment 』で弾いていたのが彼。
本作はタイトルからも察しがつくように、バド・パウエルへのオマージュになっています。地味ですが、DUの山本隆氏も推薦する、正真正銘の名盤です。お勧め。




猫屋敷に住む女の子。

2005年08月30日 21時10分42秒 | JAZZ
頻繁に僕のブログを訪問して下さる「ねこや雑記帳」のあずきさんは猫9匹と暮らしているようで、そんなにたくさんの猫達との生活、さぞかし大変であろうと想像しています。ところが、僕が以前勤めていた職場の女の子(30歳)は猫(アビシニアン)20匹と暮らしているというから驚きです。しかも2DKの賃貸マンションです。大家に内緒で飼っているといいますが、いつ見つかるんではないかと心配です。
はじめは雄雌の2匹だったようですが、避妊手術をしてなかったためにやり放題だったとの事。いつも避妊手術をさせるように注意していたのですが、根がルーズな女性(失礼)だったので、ほったらかし状態で気が付けば20匹。完全に猫屋敷化しています。
知らないうちに家から逃げ出して戻ってこない猫もいるかと思えば、留守中に風呂で溺れて死んでいる猫もいたりと、色々事件を起こしてくれるそうです。彼女は家に帰ると素っ裸になり生活しているそうです。いわゆる裸族ですね。それで寝るときは体中に猫がへばり付いてきて、それがたまらなく気持ちがいいので、猫との生活がやめられないと言います。
時々、体の色々な部分を引っかかれたり、噛まれたりして職場に来ます。
「いやー、昨日、喧嘩の仲裁に入ったら噛まれちゃってさ~。」
なんて言うもんだから、
「どこ噛まれたたの?」
とたずねると、
「えーとね、ここ。」
なんて言って、スカートをまくり上げて、太ももの傷を見せてくれたりする、とってもいい女の子です。
猫ちゃん、今度はもっといいとこ噛んでね。なんて心の中でお願いしてました。

JAZZとは関係無い話になってしまいましたので、せめて猫のジャッケトCDを紹介しておしまいにします。

右: エンリコ・ラヴァ(Tp)がエンリコ・ピエラヌンツィ(P)らと1990年に吹き込んだ「Bella」。
<Bella>とはイタリア語で<かわいい>の意味だそうです。ジャケットの猫はラヴァが飼っていたPillaという愛猫で、2年間一緒に暮らしましたが若くして亡くなってしまったそうです。その愛猫を偲んで書かれたタイトル曲<Bella>は悲しくも美しい霊歌。最近、ステファノ・ボローニと優れたアルバムを発表しているラヴァですが、このアルバムでのピエラヌンツィとの相性もばっちりで、地中海の香り漂う名盤です。(通称、「猫」)

左: ブロッサム・ディアリーの「Whisper for You」。ブロッサムは50年代にVerveから作品を発表した後、Capitolに移り、64年には英国Fontanaに移籍しています。この頃から盛んにポップス系のアルバムを制作するようになっていくのですが、本作はVerve時代の「Give Him The OOH-LA-LA」(1957)と、Fontana時代の「That’s Just The Way I Want To Be」(1970)のカップリング盤です。ポップス系とジャズ系の両方のブロッサムが聴けるお得盤です。


続 「Giant Steps」にもの申す。

2005年08月29日 21時32分20秒 | JAZZ
映画「モンローに恋するジョンの物語」より。  ていうのは嘘。

「Giant Steps」についてのつづき。


実は、フラナガンらとスタジオ入りする1ヶ月前に,コルトレーンはシダー・ウォルトンを呼び寄せ、<Giant Steps>を録音していたのでした。この音源はCDで聴くことが可能です。これを聴く限り,<シーツ・オブ・サウンド>とは到底呼べないとぎれとぎれの断片的フレーズばかりで,コルトレーンもさすがに練習不足と言わざるを得ない出来でした。おそらく、コルトレーンも練習のつもりでシダー・ウォルトンを呼んだのでしょう。当然、シダーのソロ・パートはありませんでした。もしかすると、シダーが俺にはできないとソロを拒否したのかもしれませんが。
結局、フラナガンがトホホなら、ウォルトンは練習台に利用されて更にトホホだったのでした。

練習といえば,<Giant Steps>は、僕の知る限りライブ録音はされていません(間違っていたらすみません)。あるインタビューでジョン・スコフィールドは「あの曲は、はじめから練習曲のつもりで書かれたもでのではないか。」と答えていたそうです。本作「Giant Steps」発表後,コルトレーンは急速にモード化を進めていったため,<Giant Steps>のようなコード・チェンジの激しい楽曲はレパートリーにしにくかったためかとは思いますが,<Giant Steps>をもって,頂点に上り詰めたコルトレーンは、一回きりのスタジオ録音のみでこの曲に封印をしたのでした。
いずれにしても,Giant Stepsはビ・バップ以降の和声進行の方法論が到達しえた最終地点の記録であったことは疑う余地はないのですが。



「Giant Steps」 にもの申す。

2005年08月27日 23時23分59秒 | JAZZ
よーし、今日は久しぶりにコルトレーンを集中的に聴くぞと、彼の棚から鷲掴みして数枚のレコードを聴いております。
うーん、Prestige の「Stardust」の<Then I’ll Be Tired Of You>、「Standard Coltrane」の<Don't Take Your Love From Me>は、今聴いても沁みるな~。
「Interstella Space」はやっぱり聴けないぞ。でも昔ほどラシッド・アリのドラムは煩くないな。それにしても、こんなアルバム、どんな心境の時聴いたらいいの?
「Crescent」は結構いいじゃん。<Lonnies’ Lament>なんて名曲じゃん。

などとブツブツ一人言を言いながら、聴いておりました。
でも、ひとつだけ、いつも引っかかるアルバムがあるんですよ。コルトレーンには。
「Giant Steps」。
これ、かなり評価が高く、今更取り上げるもの気が引ける大名盤なのですが、
僕としてはちょっと一言言いたい。
「コルトレーンくん、ちょっと性格悪いんじゃないの。」と。

その前にまず、「Giant Steps」という楽曲についておさらいです。
この曲はコルトレーンの作曲なんですが、そのコードプログレッションが変化に富み、要するに転調が多く、しかもそれをすさまじい速度で演奏しているんです。
ワン・コーラス16小節で、コード進行は

Bmaj7 D7 / Gmaj7 B♭7 / E♭maj7 - / Am7 D7
Gmaj7 B♭7 / E♭maj7 G♭7 / Bmaj7 - / Fm7 B♭7
E♭maj7 - / Am7 D7 / Gmaj7 - / C♯m7 F♯7
Bmaj7 - / Fm7 B♭7 / E♭maj7 - / C♯m7 F♯7

となります。
キーだけ拾い上げると

B/ G / E♭ /G / E♭ / B / E♭ / G/ B / E♭ / B~

と気が狂いそうな転調なんですね。

こんな難解な曲を密かに創って、密かに猛練習していたわけです。そして、録音当日に譜面を持ってきて、メンバーに渡したのです。メンパーはトミー・フラナガン、ポール・チェンバース、アート・テイラー。おそらくアート・テイラーはコード進行に関係ないので驚かなかったに違いありません。一番驚いたのはトミー・フラナガンだったでしょう。
(ジョンの奴、こんな難しい曲やれだなんて。しかも俺のソロ・パートも入っているじゃねーか。)
ほとんど、初見のままテープは回されたのです。コルトレーンは猛練習の甲斐あって、ミストーンもなく完璧なソロを繰り広げたのです。これに対してフラナガンは始めこそ頑張ってフレーズを組み立てましたが、ソロの後半は手が付いていかず、コード・トーンを<ジャーン、ジャーン>と弾くだけで、ソロを放棄してしまったのです。
(こんな曲、やってられねーよ。)
フラナガンがふて腐れている姿が目に浮かびます。
(こんな曲、どうせボツだな。)
録音を終えた時には、フラナガンはそう思ったかもしれません。
しかし、そんな予想に反して、レコードになってしまったのです。
なぜなら、コルトレーンのソロが完璧だったから。
フラナガンが下手であってこそ、コルトレーンが引き立つというもの。
コルトレーンにとっては、フラナガンは自分の引き立て役でしかなかったのです。
コルトレーンは自分のことしか考えていない自己中心的な人間だったのです。
こうしてコルトレーンの代表作は生まれ、フラナガンの恥ずかしいソロが記録されたのでした。

コルトレーンは自己中心的であったというエピソードは他にもあります。
61年のビレッジ・バンガード・セッションでは、エリック・ドルフィーの素晴らしいソロが聴かれる楽曲はレコード化されず、また、ドルフィーの参加曲でも、彼のソロ・パートを大幅に編集、短縮したりしてレコード化したのです。(インパルス・レーベル時には、コルトレーンはプロデュースも行っていたので、これらの操作にも彼が関わっていたはずです。)これらが没後の1970年代にコンプリートとなって初めて世に出たときはみんなドルフィーの出来の良さに驚いたはずです。

こんなこともあって、僕としてはコルトレーンに胡散臭さがぬぐいきれない印象を受けてしまうのでした。

~つづく~。




水が飲めるようになっても、

2005年08月25日 20時56分57秒 | JAZZ
昨日、『Red Garland の「 Groovy 」は、<名盤100選>といった記事には必ず紹介される名盤で~』などと書きました。
そうそう、先日買った「200CD ジャズ入門 聴き方、選び方マスターガイド」では、ガーランドのどんなアルバムが紹介されているのだろうと思い立ち、寝る前にパラパラめっくていたんですね。
<レッド、レッド、えーと、レッド?……、レッド・ミッチェル!!>
な、な、なんと、レッド・ガーランドの紹介が無いじゃないですか。ジャズの入門書にレッド・ガーランドが紹介されてないんです。セシル・テイラーは紹介されているのに。納得いかない。抗議の電話してやる~。と、言ってる僕もガーランドはほとんど聴かなくなってしまったので文句言う資格ありませんが、ごめんなさいガーランド先生。
これからジャズを聴こうとしている若者には、レッド・ガーランドなんか必要ないんですね。ちょっと寂しい感じ
<水が飲めるようになっても、井戸を掘った人々の事は忘れてはいけない。>
もう少し、ジャズの開拓者達にも敬意を払い、時々彼らのレコードにも針を落とそうと思い、寝る前にガーランドの「When there are grey skies」を聴きながら眠りにつきました。

今時のコルトレーン鑑賞法。

2005年08月25日 19時07分45秒 | JAZZ
昨日の Red Garland のように、ジャズを聴き始めた頃はよく聴いたのに、最近はめっきり聴かなくなったミュージシャンが多いことに気づきます。John Coltrane も昔はよく聴きました。Impulseの諸作品なんかは半ば義務的に収集したものです。今でもレコード棚の一角を陣取って<でかい顔>をしてます。Impulseのアルバムはダブル・ジャケットなので、かなり幅を取っていて、ほんとに赤と黒の<でかい顔>なんです。いつか処分してやろうとたびたび思いますが、処分するとColtraneの亡霊が出てきて呪われそうなのでなかなか処分できずに、今も聴かれることのない「Crescent」,「A Love Supreme」,「Ascension」らと一緒に生活しているのです
これらの一連のColtraneの作品(特に後期)は、聞き手にかなりの集中力を要求するんですよね。<仕事でへとへとになってやっと帰宅したのに、集中力を要する音楽など聴きたくないわ。>と思い、つい澤野商会のピアノ・トリオに手が出てしまうわけです。
でも、唯一、Coltraneの愛聴盤があるんです。それは「John Coltrane Plays Ballads」と題したバラードだけを集めたコンピレーション・アルバムです。これが実にくつろげる優美な仕上がりなんです。Coltraneのバラード集は他にもたくさん発売されているようですが、本作が優れているのは、Prestige録音からだけでなく、Impulse録音も収められているため、かなり贅沢な内容になっているという点です。
1) Say it From the album [ Ballads]
2) Violets for your furs From the album[Coltrane]
3) I want to talk about you From the album[Soultrane]
4) Soultrane From the album[Mating Call]
5) You leave me breathless From the album[Traneing In]
6) Like someone in love From the album[Lush Life]
7) Time after time From the album[Stardust]
8) Ruby, my dear From the album[Thelonious monk with J.C.]
9) In a sentimental mood From the album[Duke Ellington & J.C.]
10) Why was I born? From the album[Kenny Burrel & J.C.]
11) My one and only love From the album [J.C. & Johnny Hartman]

本作が洒落ているところは4曲目の「soultrane」が作曲者のTadd Dameron のアルバム「Mating Call」から選曲されている点です。制作者に“Good Job !!”
Impulseの「Ballads」より数段いい選曲です。昔はこんなColtraneの聴き方をするなんて考えられなかったです。時代は変るものですね。


レッド・ガーランド 「グルービー」。

2005年08月24日 20時55分30秒 | JAZZ
 今日は仕事帰りに浅草のジャズ喫茶「がらん」に寄ってきました。ジャズ喫茶に入るときにはいつも何を聴かせてくれるのか楽しみなのですが、今日は Red Garland の「 Groovy 」が流れていました。<名盤100選>といった記事には必ず紹介される名盤で、僕も多分に漏れずこのレコードを買い求めよく聴いたものです。軽音楽部でベースを弾いていた僕は、A-1のC-JAM BLUESの Paul Chambers のウォーキングを必死にコピーし、ブルースのジャムの時はラインをよく拝借したものです。ここ10数年、聴くこともなく棚の中に眠っているレコードです。しかし、あらためて「がらん」の高価な装置で聴くとそのすばらしさに身震いする思いでした。文字通り身震いするのです、Paul Chambersの音の迫力、音圧に。僕の貧弱な装置ではPaul Chambersのベースは<ボン、ボン、ボン、ボコ~>と聞こえるのに、「がらん」の装置ではエッジが立って、引き締まった輪郭を持ったゴリゴリ音なんです。 録音された1957年頃はPaul Chambersの最高に充実していた時期で、しかもこの時期にしてはベースの録音も優れていて、彼の最高のプレイを最高の録音で記録できた貴重なレコードだと思います。
 「がらん」は10年ほど前にできたジャズ喫茶としては比較的新しい店です。浅草雷門を背にして右斜め30度ぐらいに目線を移すとMonica Zetterlund の「Waltz for Debby 」をあしらった「がらん」のポスターが目に留まるはずです。この店の装置は今まで聴いたジャズ喫茶の音の中では最も好きです。なんと言っても音が大きいのにバランスが良くて、疲れないんですね。システムはマッキントッシュC34V+MC7300, オラクルのDELPHI MKⅡ、そしてスピーカーは馬鹿でかいJBL エベレストDD5500です。イラストレーターの前田マリさんの著書「猫はジャズが好き」の中でも2ページにわたり紹介されています。ぜひ浅草近くにお出かけの際は立ち寄ってみて下さい

怖い顔のラルフ・ピーターソン。

2005年08月23日 21時55分21秒 | JAZZ
Ralph Peterson 「 The Art Of War 」criss cross jazz 1206

先ほど、Ralph Peterson の話が出たので、大好きな彼のアルバムを紹介します。

80年代に新生ブルーノートの若手秀才バンド「OTB」のメンバーとして彗星の如くジャズ・シーンに登場したドラマー、Ralph Peterson 。当時はニュー・タイプのうるさいドラマーと思ってましたが、知らないうちにこういったスタイルが主流になってしまった感じです。Ralph が創り出す伸縮自在のリズム空間に先ほど紹介した新鋭Jeremy Pelt や Orrin Evans(p), Jimmy Greene(ts) らがニグロ・スピリチュアル臭を振り撒いて、非常にコアなハード・バップに仕上がっている秀作です。ジャッケトも迫力あっていい出来です。

売れっ子ペルト。

2005年08月23日 20時23分39秒 | JAZZ
 昨日イギリスのトランペッター、Byron Wallen の話をしたのですが、ヨーロッパ系の最近のトランペッターは非常に充実してますね。しかも、Avishai Cohen, Fabrizio Bossoのような若手ばかりではなく、Enrico Rava Dusko Goykovich なんかもどんどん新譜を出して頑張ってます。ちょっと米国の方が元気がないようですが、今日はその中でも一番熱く、今が旬といった感じの東海岸きっての売れっ子トランペター、Jeremy Pelt の新譜を手に入れたので紹介します。
 初めて彼を聴いたのは、2001年のRalph Peterson の「 The Art of War 」(これいいですよ)でした。その頃は全く無名(あるいは僕が知らなかっただけ)だったのですが、その後、リーダー作をCriss Cross から「 Insight 」、Fresh Sound New Talent から「 Profile 」を発表して有名になりました。この2作とも「 The Art of War 」の路線で、バックにRalph Petersonがいるので、かなりうるさい、熱いハード・バップ作品で、Ralph Petersonが苦手の人にはきついかもしれない作品でした。でも、この新作は大丈夫です。聴きやすいです。その分ちょっと元気がないかもしれませんが。レーベルはMAXJAZZで、これが2作目になります。前作は持ってませんので分かりませんが、Ralph Petersonと演っていた時とは明らかにコンセプトが違います。スペース系サウンドを目指しているのか、ギターもコーラス、ディレイかけまくり、フェンダー・ローズもフォワンフォワンしてます。全体に静かな楽曲が多いです。Ralph Petersonと演っていた反動でしょうか。数曲でバイブの新人、Warren Wolf やソプラノ、バスクラでMyron Waldenが参加してます。
 新人の時のような、激しさはなくなりましたが、貫禄と余裕ができて、これはこれで良いのではないでしょうか。

バイロン・ウォーレンが観られる映画。

2005年08月22日 21時37分15秒 | JAZZ
「The Talented Mr. Ripley」1999年 Matt Damon, Jude Law

以前に購入したのに、子供が生まれたばかりのため、家で大きな音も出せなくなり、しばらく仕舞われていたDVDを昨夜やっと見ることが出来ました。というのもパイオニアのワイヤレス・ヘッドフォンを購入したので、気兼ねなく大音量で映画が観られるようになったからです。それにしても最近のワイヤレス・ヘッドフォンは音が格段に良くなりました。ノイズなど皆無です。これなら使えます。数年前に購入したソニーのなんか、ノイズが気になり使い物にならなかった。

それで観た映画というのが「リプリー」という1999年の映画。アンソニー・ミンゲラの監督・脚本で、マット・デイモン、ジュード・ロウが出演しています。内容はこちらを参照してください。要は、貧乏人のリプリー(マット・デイモン)が上流階級の放蕩息子であるディッキー(ジュード・ロウ)に憧れ、惹かれていくうちに、ディッキーを殺し、自らがディッキーに成りすまし生活していく、といった内容です。ちょっとはらはらさせられ、まあ面白い映画ではあります。
万人受けする映画ではありませんが、所々にジャズが使われていて、ジャズファンには結構楽しめます。ディッキーはチャーリー・パーカーが大好きで、自分のヨットに「バード」という名前をつけています。リプリーは何とかディッキーの気を引こうと、ロリンズやガレスビーのレコードを覚えようとしたり、チェト・ベイカーの真似をして「マイ・ファニー・バレンタイン」を歌ったりと。
本物のジャズメンも登場します。僕が気に入っているのは<サンレモ音楽祭>での野外ライブのシーンで、なんとバイロン・ウォーレン(tp)が登場します。他のメンバーも欧州で活躍中の実在のミュージシャンのようですが、僕が知っているのはバイロン・ウォーレンだけでした。バイロン・ウォーレンを知ったのは1996年のMALTAの20作品目にあたる「U.K. Underground」というアルバムです。このアルバムは云わば<ジャズ・スタンダードのフュージョン化>で、かなりかっこよくスタンダードを料理していて、MALTAを見直したアルバムでした。今更MALTAなんかと思われそうですが、先入観無しに聴くとすごく良いアルバムですよ。

ところで、マッド・デイモンて、一歩間違えばジミー大西ですよね。

またペトルチアーニの話。

2005年08月21日 21時28分00秒 | JAZZ
Michel Petrucciani 「Au Theatre Des Champs-Elysees 」dreyfus FDM 36570-2


結局、ピアノ・ソロがつまらないのは、演奏者が下手だからなんだ。と、このペトルチアーニのソロ(シャンゼリゼ劇場で)を聴いているとつくづく感じでしまう。ペトルチアーニぐらいに無類のテクニックと色彩感豊かな音色を持っていれば、1時間40分のソロ・ライブも全く飽きない。ピアノ・ソロ嫌いの方もぜひ本作を聴いてみて欲しい。ペトルチアーニのベスト・フォーマットはソロであると感じずにはいられない最高の出来栄えである。特に40分に及ぶ <Medley of My Favorite Songs> は貴方に最高の感動を届けてくれるであろう。ペトルチアーニのベスト3に入る傑作であることを保証する。

ストックホルムの妖精、Lisa Ekdahl。

2005年08月21日 16時26分25秒 | JAZZ
ここ数年は、買うCDをはじめから決めてCD店に行くのではなく、ふらりと入って、CDに張り付いているポップを見ながら今までの経験と感を頼りに10枚くらいまとめ買いをしてくるのですが、家に帰って、買ったCDを見て気が付くのが, 知らないレーベルの多さです。すべて欧州の無名レーベルだったなんてこともザラ。どこの国のCDか分からないものもあります。今まで当ブログでも欧州レーベルの作品を紹介していますが、たとえば、
7月30日のEsbjorn Svensson (p) 『when everyone has gone』Dragon はスウェーデンですし、8月10日のSteve Kuhn 『 Oceans in The Sky 』と8月17日 のMichel Petrucciani 『 Days of Wine and Roses : The Owl Yeas 』 Owlなどはフランス、8月12日のLuigi Martinale Quartet 『 Eyes and Stripes 』DDQはイタリアなど。
杉田宏樹著「ヨーロッパのJAZZレーベル」(2002年)にはECM, Enja, Steeple Chase 以外の56レーベルを紹介していますが、今ではこれに載っていないレーベルも見かけます。もう何がなんだか分からず買っているといった感じです。しかも、アーティストの名前も「読めない」。したがって「覚えられない」といった始末で困ったものです。

今日、紹介するLisa Ekdahl は国内盤も出てますからご存知の方も多いと思いますが、レーベルはスウェーデンのBMG Sweden です。親会社のBMG はアメリカのメジャー音楽会社ですが、各国のBMGレーベルはそれぞれ独自の特色を出してます。BMG France は米国アーティストを起用して、BMG entertainment(USA)で扱いきれない部分を補っているのに対して、BMG sweden は自国の無名アーティストに眼をつけ、独自の企画で勝負しているようです。本作もはじめはBMG swedenで発売されましたが、その後、BMG entertainment(USA)やBMG Japan, BMG China Taipei などからも発売されています。それぞれジャケットが違いますので間違って買わないように注意が必要です。
彼女の声は<ストックホルムの妖精>と形容されるように、少し舌足らずなキュートな歌声で、巷ではブロッサム・デアリーに似ているなどと評価されているようです。僕ははじめて彼女の声を聞いたときには、ケイト・ブッシュを思い出してしまいました。ブロッサム・デアリーとは声質は似ているかもしれませんが、リサの歌はスイングしないというか、ポップス歌手の歌唱スタイルのようです。ただ、このアルバムが上品なジャズ作品に仕上がっているのは、一重にバックの Peter Nordahl Trio の名演に依る所が大きいと思われます。だからこのアルバムはPeter Nordahl Trio 狙いでの買いもありです。僕はPeter Nordahl Trio では「The Look of Love」が好きです。すごく明快なフレーズと、どんなリズムにも対応できる技量を持ったすばらしトリオです。
彼女は22歳で当時の27歳年上のマネージャーと結婚しましたが、2000年に離婚しています。同年にニューヨークのミュージシャン、サルバドーレ・ポーと再婚しているそうです。彼とは2000年に「sings Salvadore Poe」というボサノバ作品を出しています。

当て逃げ婆あ。

2005年08月20日 20時17分53秒 | JAZZ
67camper さんが愛車を当て逃げされたことを書かれていて、僕もいろいろ思い出したことがあったので、今日は当て逃げの話をします。

大学のときからかれこれ24年間車を所有していて当て逃げは、思い出しただけでも6回。
24年間で当て逃げ6回は多いんじゃないかな。
一番印象的だったのは大学の時、青のファミリアを乗っていた時のこと。
マンションの敷地内の駐車場に止めておいたら、夜間にわき腹をえぐるように当てられたんです。
警察に届けても全く犯人を捜す気配がなかったので、暇だった僕は町中を歩きまわって犯人探しをしたんです。僕の車は<青>で当時は結構めずらし色だったので、おそらくこれだけ僕の車が凹んでいるんだから相手のバンパーにも青の塗装が残っていると思い、一日中探し回りました。そしたら見つけたんです。青の塗装のついた小型バンを。家から500mほど離れた米屋の車だったんですが、恐る恐る米屋に入って聞いてみたら、そこにいた婆あはあっさりぶつけたことを認めたんです。こちらが怒って問いただすと逆切れして「明日、謝りに行こうと思っていたんだよ」だって。見つからなければそのまま知らん振りなのは見え見えでしたが、警察に言っても相手にしてくれないと思い、一応修理代を払ってもらい示談になったんです。どうも娘がうちのマンションに住んでいたようで、遊びに来てしかも他人の契約駐車場(僕の隣)に無断駐車したうえに、僕の車に当て逃げですよ。ひどい婆あでした。今でも思い出すと腹が立ちます、あの米屋の婆あ

もうひとつ、これは当て逃げではないのですが、最近あった事故。
僕のマンションの駐車場は立体駐車場で自分のトレーが降りてきて、鉄のゲートがあがり、バックで車を格納するのですが、なんと、バックで車を入れていったら途中でゲートが落下してきて、ルーフを直撃。修理代60万円。マンションの管理組合が払ってくれたので良いのでが、修理車になってしまうのでちょっと痛かった。それにしてもゲートが落ちてくるなんてあるの、と駐車場管理会社の担当者に聞いたら、「えー、たまにあるんですよね。」だって。これには驚いた。それ以来、命がけの車の出し入れを行っています。アー怖。

車の話が出たので、今日は車ジャケで、Duane Tatro の「 JAZZ FOR MODERNS 」contemporary c3514
ジャケットの車は1956年のGMモーターラマに出品された「 ファイヤーバードⅡ 」です。内容はというと、Lennie Niehaus(as), Stu Williamson(tp), Bill Holman(ts), Shelly Manne(ds) らが参加していてメンバーは一流なのですが、肝心のDuane Tatro(Direction) が3流なので、当然、メンバーを生かしきれず作品も駄作です。

ペトルチアーニは何故肺炎で死ななければならなかったのか(2)。

2005年08月18日 22時42分00秒 | JAZZ
Michel Petrucciani 「 Trio In Tokyo 」Dreyfus VACR-2039
Anthony Jackson (b), Steve Gadd(dr), 1997,Live in Blue Note Tokyo

ペトルチアーニは骨形成不全症(OI)にもかかわらず、幸運なことに難聴と上肢の筋力低下を免れたため、ピアニストとして大成できました。しかし、合併症の一つである呼吸器疾患は免れなかったのです。

OIは軽症から重症まで、タイプ1→タイプ4→タイプ3→タイプ2 と、4タイプに分類されています。タイプ2が出生時か幼少期に死亡する重症型で、タイプ1や4は生命予後が良好なタイプです。ペトルチアーニは主治医から<20歳まで生きれるかどうか>と言われていたという事実から考えると、おそらくタイプ3であったと考えられます。このタイプは運が悪いと成人前に死亡し、運が良いと中年まで生きれるというバリエーションがあります。そしてその最大の死因は胸椎変形や胸郭変形の進行による呼吸不全なのです。晩年の作品「Both Worlds」のジャケットを見ると、いわゆる「ビール樽胸郭」という異常(胸郭の前後径が横径より大きい)な胸の形が分かると思います。しかも、若いときより20kg近く体重が増加し、かなり呼吸機能が低下していたと考えられます。「ビール樽胸郭」は喫煙者に多く見られる肺気腫(COPD)でも認められる特徴で、呼吸時に胸郭の動きが制限されて十分な換気がなされず、気道感染も起こしやすいといわれています。
このようにいつ呼吸不全に陥ってもおかしくない状態であったにもかかわらず、ペトルチアーニは1999年当時、既に生活の拠点をニューヨークに移しており、その凍りつくようなニューヨークの冬を過ごしていたのです。当然のように風邪を引いたのではないでしょうか。普通なら風邪薬でも飲んで暖かくして3日もすれば治っているでしょう。でも、ペトルチアーニの体はそうはいかなかったのです。OIは咳きをしても肋骨が折れてしまうほど骨が脆いのです。おそらく風邪で咳をしているうちに肋骨骨折を起こし、それも多発骨折となり、呼吸自体も弱くなってしまったのではないでしょうか。そして、マンハッタンのBeth Israel Hospitalに入院し、抗生剤などの治療を受けたに違いありません。しかし、肋骨骨折のため痰も出せず、深呼吸もできず、徐々に細菌が肺にたまり(肺炎)、痰が肺の奥にたまり(無気肺)、呼吸不全に陥っていったと思われます。そこで主治医達は呼吸不全の治療ために、肺の中にチューブを挿入(挿管)し、人工呼吸器管理を行おうとしたかもしれません。しかし、挿管自体が「ビール樽胸郭」の患者には非常に困難な処置なのです。もしうまく挿管できたとしても肺気腫様の「ビール樽胸郭」の患者の呼吸器管理は困難を極めます。そしてついに万策尽きて、1999年1月6日、極寒のニューヨークで帰らぬ人となったのです。
生まれ故郷の南仏の町でピアノを弾いていたらもっと長生きできたかもしれません。しかし、彼の外の世界への好奇心はフランスに留まることを許さなかったのです。Owl レーベルを捨て、Blue Note での仕事を選んだのです。

「毎瞬々々の、今に生きていたいんだ。誰にも次の瞬間のこと、明日のことなど分からない。今に生命を燃やし、今を喜びで満たすことしか、人生にはないのではないか。」
                       ミッシェル・ペトルチアーニ