部活日誌

部活動(ひとり文楽部)の記録など

第二部◆義経千本桜・五十年忌歌念仏

2012-02-22 | 文楽
千穐楽も過ぎて「あーあ、終わっちゃったなー」って脱力中。
今更振り返ってもねぇ。と、投げやりな気にもなりますが、記録、記録。


【義経千本桜】
 椎の木の段
   口 : 芳穂・寛太郎   
   奥 : 咲甫・清友

 小金吾討死の段
   文字久・喜一朗

 すしやの段
   切 : 住・錦糸
       (源 休演につき)英・藤蔵
   奥 : 千歳・團七


正直申しまして、二部は意識失ってる時間が一番長かった。
小金吾討死で舞台が薄暗くなるとどうしても私の体内時計が
「お、夜。寝る時間。」
と勝手に睡眠準備態勢に入るみたいで、おかげでその後のすしやがもう…

でも、3回観た内、最後の1回は1秒も寝てないのでどうか勘弁してください。

その3回目、私は小金吾の討死の場面で思わず涙してしまいました。
文字久さんの「内侍さま… 六代さま…」でぼろっ、とね。
玉志さんの小金吾、真っ直ぐで忠義心に燃える若さや、志半ばで倒れた無念さに胸を打たれました。
ここで泣いたの初めてかも。

簑助師のお里は言うまでもなく、玉也さんの弥左衛門の一徹な爺っぷりや簑二郎さん女房の優しさ、後の嘆きもじんわりとよかったです。
欲を言えば玉也さんの権太がもう一回くらい見てみたいなー
もっと欲を言えば、すしやの段はせめて二人で語って欲しいなー

あと、これ3回観て3回ともなんだけど、権太のもどりの場で一番の泣かせどころなのに、舞台の上で笑ってる人が目に入って、これには興ざめ。
毎度毎度その場面になると屁でも出るんですかね。
でなきゃ笑うとこじゃないし。

もももーう腹が立って腹が立って、涙がこぼれて胸が裂くるわい!

って、弥左衛門にげんこつでももらっとけ。




【お夏・清十郎 五十年忌歌念仏】

  笠物狂の段
   呂勢・相子・咲寿・小住・亘  宗助・清馗・清丈'・寛太郎・錦吾


お夏・清十郎のお夏を清十郎さんが。お夏なのか清十郎なのかどっちやねん!

…と一応お約束を。

これ、確か勘十郎が清十郎を騙してお夏・清十郎は引き裂かれ、お夏狂乱。
みたいな話でしたよね。
もし上演されて清十郎を勘十郎さんが遣ったりしたら、もっとややこしいことになりますね。
もう、誰が誰やら…


浅葱幕がかかっていたのでワクワクして待っていたれば、バサっと落とされると
 ガラ~~~ン
舞台にはだーれもいなくて、ちょっとぽかーんとしてしまいました。
前段からの場面転換があるという設定なんでしょうか?

清十郎さんらしい儚げで綺麗なお夏でしたが、狂っては見えなかったな、清十郎さんは。
じゃないや、お夏は。 ああもうややこしや。










第一部◆彦山権現誓助剣(その2)

2012-02-18 | 文楽
全3行で、つっておいてなにこのロング日誌。
長いので、たたみます。

って言いたいところですが、記事をたたむってどうやるかわからないのでした。
ま、いっか。



◆毛谷村の段

中;咲穂大夫・清志郎

切:咲大夫・燕三


お園ちゃん(和生さん)が気もチカラも強い女から一転、でれでれの可愛い娘ちゃんにころっとかわるところも可笑しくてほのぼのするところですが、ワタクシ的にここはもう六助の強くて優しい男っぷりにやられました。

そもそも、毛谷村だけだとお園の女武道ぶりはそれ程披露されませんよね。
七段目 瓢箪棚での京極内匠と闘う場面ではきっと「お園強ぇ~」な部分や後につながる蛙丸の一件も出てくるので、そこまでの段もいつか見てみたいところです。

和生さんのお園ちゃんはキリっとして清潔な可愛らしさがありました。
いつでも色気過剰・演技過剰にならない和生さんらしいお園で素敵でした。


そして、私の心を掴んだハイパー善人・六助。
玉女さんの六助はいかにも正直で朴訥とした善人六助像にピッタリでしたねー
頼りがいのある大きさもあって、惚れました。
そもそも芝六とか六助とか、あの人形は無条件に好きだ。


えっと、ここでちょっと六助萌えがたりしてもいいですか。
ダメと言われようがするんだけど。

(萌え:1)
八百長試合を自分から頼んでおきながら、いざ試合で予定通り勝たせてもらうやいなや、恩人である六助に威張り散らす微塵弾正。

六助、額から流血しながら、ぽかーん。

ぽかーん、なんだけどそこは根っからの善人・六助どの。
見送りながら、ぽつねんと独り言言うてますよ。

 「コレ、必ず礼には及ばぬぞやー」
 「(親御を)必ず大切にさっしゃれやー」

て・・・

弾正、ひとっつも聞いてないと思います。聞いてないと思うけど!
六助カワイイから許す。

そうそう、ここで試合に立ち会う2人が、勘介さん、玉彦さん。
 「まぁまぁ、立派になって…(じぃ~ん)」
と誰もが親戚のおばちゃん化してしまうところですね。
ほんとにお二人ともびしっとした姿、立派でした。


(萌え:2)

「孝行心にほだされて(弾正に)負けてやったとはいえ、負けたと思えばまたがっくりとチカラない。
 はっ。そうだ、こんな時はもらい物のぼた餅食おう♪」 

「そうだ、孤児どん(=弥三松)にも食わそう、
 孤児どーん、孤児どーーん!
 あ、いやまてよ、戻ったところでぼた餅がなかったらいけない、
 その前に どれ、ぼた餅が有るかないか見て来よ」

って、もーもー、六助どんてば。
子供にまでそんな気遣い、しかもぼた餅ごときで! 
しくしくしく、優しさに涙がこぼれますね。


(萌え:3)

母を思って泣く孤児どん・弥三松(簑紫郎さん。弥三松カワイ~♪)を不憫に思ってもらい泣きしつつ、
 
 「ほれ、この前買ってあげた太鼓で遊ばっしゃれ」

と機嫌を取るのに、当の弥三松に 
 
 「太鼓はいやじゃ!おりゃ眠たい!」

て突っぱねられ。

そのくせ叔母であるお園と再会できたとたん、上機嫌で
 
 「コレ小父さま(=六助)、伯母さまがきたんだから、太鼓叩いてみせて!
  早く! 今、叩いて!」

と言われれば、はいはいと叩いてみせる。 弥三松、なんてツンデレ!
六助、なんていい人! 
国一番の強い男が子供に太鼓叩いて見せてますよ、奥さん!
あーー、たまらん!





いけね。

キリがありません。

とにかく、こんなにいい人は世の中見渡しても六助か藤岡弘、しかいない。
と断言しておきましょう。

なんでしたら藤岡弘、のいい人ぶりも詳しくお話ししましょうか?
いりませんか? 




【立浪館仇討の段】

三輪・南都・津國・文字栄  團吾


場面が一転白と青基調の明るい御屋敷へ。
ここではタイトル通り、仇討をします。
お園・弥三松が親兄弟の敵・微塵弾正こと京極内匠を六助の手助けによって討ってスッキリ、見得でキッパリ大団円。

こちらは中堅大夫さん達によって楽しく聞かせてくれました。




以上、初日はちょっとまとまってない感もあった一部の舞台も、2度目に拝見した時はさすがにキッチリ見せていて、たいへん楽しませて頂きました。

特に六助の善人っぷり、これはもう現代では藤岡弘、と言ってい…(最初に戻る)




















失礼

2012-02-17 | 文楽
間違えた、

 「六助 = 藤岡弘説」

っていいましたが、正しくは

 「六助= 藤岡弘 説 」

でした。てんが抜けてた。

御名前を間違えるとはなんという無礼。
謹んでお詫び申し上げる次第。

名前に句読点をつけるに至った経緯はWikiってみてください。 侍だ~

第一部◆彦山権現誓助剣 (その1)

2012-02-16 | 文楽
このお話、毛谷村だけ見てると びみょ~ なんて思ってたんですけど、そこに至るまでの物語を読んでみたらえらい面白かったです。
やっぱり予習大事。わかっちゃいるんですが根っから怠け者でねぇ…


【彦山権現誓助剣】
  
  杉坂墓所の段
  毛谷村の段
  立浪館仇討の段


◆杉坂墓所の段
  
“すぎさかはかしょ” って言いにくいな。 
私は十中八九、「すぎシャカはかしょのだーんー」てなる。 


口は希・龍爾さん。
希さん、よかったなー。 清々しい声に心洗われました。
 「喪に入って悲しみを」 なんてところではちゃんと声に悲しみがこもっているし。
ははぁ~、そうかそうか。
耳を澄まして聞いていたれば、こういった細かいところまできちんと表現されてることにも気がつくもんなんですね。

言っときますけど。 私だって常に劇場でうつらうつらしてるばっかりじゃないんですよ。
このようにシャキッと集中して聞いてるときだってあるんですっ
特に一部のしょっぱななんてそりゃあもう、 キリッ! びしっ! としたもんです。
気持ちはめっちゃ前のめり。
ただ残念なのは、開始15分くらいがその「キリッ!」のピークで、以後なだらかに下降する一方、ってところが、ねぇ… いかんともしがたい。


さて、舞台では六助(玉女さん)が亡き母の墓前で念仏をあげています。そこにきこり達三人が見舞いに登場。
そのきこり仲間達が、実は・・・・!!

なんてことはまったくなく、和気あいあいと麓をさして帰りけーるー


奥は英・清介さん。

微塵弾正(じつは京極内匠)がニセの老母を背負いて登場。
(ニセ老母は紋臣さん。紋臣さん、婆かー。 あの手の反り加減が見られないんだなー)

配役ですでに(じつは○○)ってあるから、毛谷村だけ観るお客にすら弾正は正体がすっかりバレバレだ。
しかし観客はそれは見ぬフリをしなければなりません。
ドリフなら「六助~、後ろ後ろ~!」ってな風に教えてしまうところだけど、お客さんは皆いい大人なのでそこはぐっとこらえて騙されたふりをして見守る。
大人の礼儀ってやつですね。

「親孝行したいからここはひとつ、試合に負けてくれんかね」
と微塵弾正(じつは京極内匠)が親思いぶった小芝居をするわけですが、その弾正殿、顔も白いしいかにも「いいもん」な風情なので、もし「(じつは京極内匠)」って知らなかったら、根っから気のいい六助だけでなくこの疑い深い私でさえもコロッと騙されていたかもしれません。ウソ泣きまでしてるしさ。
まったく玉輝さんの弾正は大きくて憎々しかったですね。

そして、お園ちゃんの亡き妹お菊の息子・弥三松(簑紫郎さん)を抱えて佐五平(勘市さん)登場。
その佐五平(愛称・べい by 弥三松)、年の割に頑張るんだけど、残念ながらファーベストを着た山賊風・実は敵の一味門脇儀平(玉佳さん)らに討たれてしまいます。
そこに戻ってきた六助、べいの亡骸にすがって「べいよべいよ」と泣くばかりの弥三松を抱き上げ
「ねんねんころろん ころろんや~♪」とあやしながらも だーーーっ!と2人の敵をぶっ飛ばしてやっつけます。
清介さんの三味線と共に六助のクソヂカラが火を吹いた!

六助、なんて強いの!  そしていい人!

あなた、もしやまたの名を 藤岡弘 といいませんか? 

わたくしの中で 「六助=藤岡弘説」はここからスタートしたのでありました。



あ。 

こんな調子でダラダラ記録してたら、おしまいまで辿り着くのに100年かかるわ。

いけないいけない、次の毛谷村からはぶっ飛ばして全3行くらいにまとめたいと思います。






2012年2月公演

2012-02-15 | 文楽
一部、二部、三部とひと通り行ってきました。

今回の公演はチケットが早々に完売するなど、第二部に相当な期待がかかっていたかと思います。
しかし、不詳わたくし文楽部(ひとり)部長といたしましては、ズバリ!
第三部がイチ押しでございました。

特に「寺子屋」はどうしてもハードルが上がると言いますか、泣ける話なだけに
「あたしゃちょっとやそっとじゃ泣けないよ?それでもやる気?」
な挑戦的態度で挑んでしまいがちです。

が、まんまと泣かされました。 鼻水の扱いに困るほどに。(劇場で鼻水出ると困るよね?ね?)
床も津駒さん・嶋さんと素晴らしく、人形も皆いい!
特に文雀師・千代、和生・源蔵にはやられました。
2010年でしたか、夏休み公演の三部でも今回と同じ寺子屋・日本振袖始セットの時がありました。
そう言えばその時の綱大夫(当時)&和生源蔵がワタクシ的大ヒットだっとことを思い出しました。

加えて「日本振袖始」は今回2010年版よりうんとバージョンアップしていて、
まさにビフォーアフター、なんということでしょう。

まだご覧になってない方はどうか三部を、特に寺子屋終わってはぁやれやれ、なんつって帰ってしまったりせず、だまされたと思って振袖始もぜひご覧ください。(懇願)
ご覧になるといいよ。(提案)
ご覧になれ。(命令)



さて、続いて一部、二部と感想を書いていこうと思います。
…と予告して自分を追い詰める作戦です。