部活日誌

部活動(ひとり文楽部)の記録など

「人間・人形 映写展」

2013-03-09 | その他文化部
渡邉肇 × 堀部公嗣 【人間・人形 映写展】

 (表参道ギャラリー5610)




「曽根崎心中」の天神森の段をテーマに、お初・徳兵衛とそれを遣う簑助・勘十郎をハイスピードカメラや3Dカメラで捉えた映像作品、とのことで、なにがなんだかよくわかってないけれどもいてきました。

見終わったあと、これはもっと多くの会場で多くの人に見て頂きたい、とくに関西方面で。
そしたら人形美に魅せられて文楽劇場のお客さんも増えるに違いねぇ、と思いましたことよ。
それ程、素晴らしい世界がそこにありました。


3室に区切られた会場で3パターンの作品が流れている中でも特に中心にある
「第一部・人形」「第二部・人間」
と題して映し出されていた作品には、ただただ圧倒されました。

静かなBGMが流れる部屋に ごくり、ごくり、と生唾を飲み込む音がとどろき渡っていたとしたら、犯人は私です。
そうです私がやりました!

それにしても、観た方皆が思ったことでしょうが、今まさに徳兵衛に刺されようかという瞬間のお初の顔を初めて見ちゃった。
徳兵衛と徳兵衛を遣う人形遣いだけに許されて来た特権を、こんなにあっさり頂いちゃっていいのでしょうか!
でも見ちゃったもんね~
という、なんだか後ろめたいような申し訳ないような気持ち。
お初はあんな顔をして死んでいってたんだねぇ


「第二部・人間」では簑助さん、勘十郎さんがびしっっと黒衣を付けるところから話題の「エアー人形」へ。
エアーの部分は左・足遣いも全員頭巾をとって真剣な表情で。
実は「エアー人形」って聞いたとき、不謹慎大王の私はちょっと「ぷっ」と思ったけど、そして見るまでは笑ってしまったらどうしようと心配もしたけど、実際は笑うどころじゃなかったですすみません。

お初は簑助・一輔・簑次、徳兵衛は勘十郎・勘彌・勘次郎。(一輔さんは残念ながらちらっと顔の半分くらいしか映ってないけど)

なんていうかそこら辺はもうプロモーションビデオ的かっこよさで、この映像でCM打ったら
「違いのわかる男」くらいいつでもいけるんちゃう、って程よ。


でも、なんとなく、ですけど。
あの映像の中のお初と徳兵衛はわたしの知っているふたりじゃない。
舞台で見ているお初と徳兵衛とは別のひとだ。 
という気持ちになったのも不思議なところ。
綺麗だし儚いし、哀しいけど嬉しい、という表情は一緒なんですけど。

義太夫節の中で 動く、泣く、ささやく、震える。
それこそがわたしのよく知る、
「ちょっとー、ほんっと情けない男だねあんた」という徳兵衛だし、愛しい愛しいお初、なのでした。

相変わらずロクに浄瑠璃も聞き取れないくせにそんな風に思うのってのも不思議なもんです。

単なるへんくつばばぁだという気もしないでもないどころかむしろするけどそう思ったんだもんいいじゃない別に!
これからは言い切っていくことにします。
攻めの日誌!  


   (表の看板)

 



開運ふんどし

2011-01-08 | その他文化部
行きたいのは山々だけど、やはり1月の大阪遠征は諦めました。
しょぼーん。

そんなウツウツな気分の中、観劇してきました。

作・演出 三谷幸喜 『ろくでなし啄木』
出演:藤原竜也  中村勘太郎  吹石一恵


いやー、面白かった! コメディーではないんだけど、端々に笑い満載。
思い切り笑って、おかげ様でウツウツ気分も晴れたよ。

勘太郎さんはさすがに間がよくて、しかも、ふんどし一丁の時間が長い!
やるなー

「三谷幸喜生誕50周年記念」と題して今年は舞台・映画・小説と怒涛の新作発表だそうだけど、まず一作目は大成功じゃないでしょうか。
少なくとも私のツボには ずぼり! ハマりました。

そういえば、去年の正月は国立劇場で赤いふんどし、今年は白いふんどし、と
一年の始まりをふんどし一丁の男を見ながら迎えている気がする。

これは神様の

「汝ふんどしを愛せよ、さらば道は開かれん」

という私へのお告げと捉えるべきでしょうか。
何の道かは知らないけど。 

・・・女相撲?  

ちっ。


文楽と土門拳

2010-03-04 | その他文化部
写真というかカメラが好きな夫が以前にオークションで落札した、

『文楽と土門拳』


  


これは写真集『文楽』(昭和47年刊)発行をうけて、昭和49年に小田急百貨店で行われた写真展の図録だそうです。

でかした、夫。 よくぞ見つけたり。


そして、一昨日のこと。
今度は、更に写真集の方の『文楽』が家に届きました。

と言っても初版の写真集ではなく、後に発行された「土門拳全集」の内の一冊、
「文楽」の巻なので廉価な古本ですが、それでも今度のは一層ずっしりと見応えあるねー




  



写真家・土門拳は文楽に魅せられて昭和16年から2年間に渡り劇場に通いつめて撮り続けたそう。

栄三、文五郎、古靱(山城少掾)、清六 等々、黄金期と言われる戦前の文楽の一時代を生々しく切り取った写真に圧倒されます。
空襲でほぼ焼失してしまった数々の首の貴重な記録でもありましょう。

写真集の方には若き日の(10歳位かな?)の簑助さんも写ってました。
舞台の写真の中には足遣いをする玉男さんもいらっしゃるでしょうか。それとも兵役についておられる頃でしょうか。
武智鉄二氏の栄三師匠を熱く礼賛する解説もついている豪華版。



夫は、「土門拳はなんとかをカントカするのでこういう写真なんだ」
みたいな技術的なことを言っていましたが、写真用語がちんぷんかんぷんの私には右から左、すぐに忘れました。
・・・というか、すみません、聞いてませんでした。


なんでも、先の図録の方を毎日一所懸命眺めている私を見て、ならば、とこちらの写真集も見つけて手に入れてくれたそうです。
なにそのいい人っぽい行動!

ちょうどひな祭りに貰ったので、それじゃあわたくしもお返しは端午の節句に・・・
とも考えましたが、40過ぎのおっさんが子供の日に祝われてもねぇ。
と思い直し、ならばせめて

「帰りが遅くなるならなるで、連絡くらいしてよねっ!」

とか、

「ほらー、よそ見してるから食べこぼすんだよもう!」

とか、いちいちガミガミ言うのはやめよう、と思います。
・・・当分の間は。




御名残にかこつけて

2010-02-21 | その他文化部
そういえば、正月に友達に招待してもらって夫婦で国立劇場の「旭輝黄金鯱」を観に行ったんだけど、オットはそれが人生初の歌舞伎観劇。

私もたいがい伝統芸能オンチだけど、オットはそれに輪をかけてまるでダメ。
でも、初の歌舞伎体験は、演目のおかげのせいか そこそこ面白かったらしい。

建替えになる前に今の歌舞伎座にも行ってみる?と聞くと、なんと、

「いいね」

って、行く気だよ、これが。
なので、急いで3月のチケットを取ったけど。
しかし、大丈夫なのかなー
この前は宙乗りとか千手観音とか赤ふんとかあって「ドリフみたいだね」なんつって楽しかったかもしれないけど、それ、いつもいつもあるわけじゃないんだからね。

まあ、お供としては一番気楽な相手なので一緒に観劇に出掛けられるならこちらもありがたい。

その勢いを借りて、

「5月の文楽も行ってみる?」

と聞いてみると、あっさり「行く」って言うから、

えっ。 あらあら、言ってみるもんねー、と。

連れて行きさえすればこっちのもんだ。きっと面白いはず。
これで文楽部員1名増、だ。 しめしめ。

こうやって近いところから地味~に地味~に、増員キャンペーン実施中。







今年一番の贅沢

2009-11-21 | その他文化部

今日は、友達が急遽誘ってくれて、歌舞伎座で仮名手本・夜の部。

なんとその席は、人生初、そしてきっと最後であろう、桟敷席!
ひゃ~~っ!
わたしのような庶民がこのような席に座っていいのでしょうか?
恐れ多くて、終始正座して座高1m超で拝見しておりました。(ウソ)



今日も時蔵お軽は品があって、身売りして勘平と別れゆく場などは
お軽の哀れさがしみじみ出てました。

が、福助お軽になってからは、いきなりお茶目なお軽になって
幸四郎の平右衛門ともあわせて、どうもこの兄妹の悲哀というか身の不幸がいまひとつ伝わってこないような・・・

が、友達の

「遊女になって世の中を知った後のお軽、ってことで、これはこれでありなんじゃない?」

という意見に、ははぁなるほどねー、と。


そんな私の今日一番の注目は、「馬」。 

「でかっ!高っ!乗ってみたい!でも恐っ!」

と、最後の最後に堂々登場の馬に、目ぇ釘付け。


・・・そんな歌舞伎オンチの人間を桟敷に誘ってくれた友達に
感謝、感謝。


今日は腹具合も平穏無事だったのもあり、心から楽しめました。

その代わり、隣の友の腹が

「ぐぅぅう~~~っ(成駒屋!)」

「きゅうう~~~っ(松嶋屋!)」

と私の分まで盛大に大向う叫んでましたけど。ぷぷぷ。