部活日誌

部活動(ひとり文楽部)の記録など

2012年5月公演◆第二部

2012-05-28 | 文楽
5月公演千穐楽おめでとうございます。
大入りも出たそうで、まことに目出度い。

文楽について、色々いろいろイロイロ、
 「うっせー!ちっと黙っとけ!」
…おっと、失礼わたくしとしたことが。
ともかく、聞きたくなくても色々と耳に入ってくる昨今。
それでもこうして無事に舞台を楽しませてもらえた事、今回、しみじみありがたいと思いました。

これからも(少なくとも私が死ぬまでの間は)舞台を見せてもらいたいので、わたくしもこうして細々ながら部活を続けて、少しでも部員の勧誘に努めたい、と思いましたね。

ええ。ちまちました我欲のカタマリなので、あくまで自分の楽しみのための応援です。



さて、二部は


【傾城反魂香】(けいせいはんこんごう)
  
  土佐将監閑居の段


【艶容女舞衣】(はですがたおんなまいぎぬ)

  酒屋の段


【壇浦兜軍記】(だんのうらかぶとぐんき)

  阿古屋琴責の段


以上の3本でゑす。 



私のツボは

・吃又の文雀師のおとくの鼓を打つ見事な手捌きといったら、んもう!
・玉女さんの滝のような汗。 又平、正清と昼夜の活躍お疲れ様でした。
・文司さん、出番それだけ…? がーーん
・酒屋の玉也さん・半兵衛と玉彦さん・お通の 通い合う愛
・松香さんの丁稚のあほうっぷりがチャーミング過ぎ
・紋臣さんの三勝がいつも席から遠かった。 無念なり…

そして、阿古屋。

勘十郎さんはもう予想通りの立派な阿古屋で、特に私が言うことなんてないので置いといて。
左の一輔さんについつい目が釘付け。三曲ともぴったり合っていて、粗探ししたけど見つけられなかったよ。
なんでいちいち意地悪く粗探しするんだかは、自分でもわかりません。
玉志さんの岩永、楽しかったー。玉志さんだからこそ、余計可笑し味が出ますよね。

それからそれから、一番楽しみにしていた寛治師の三味線。
頭から浴び倒しましたよ、ええ。
艶のある音に何度も何度も鳥肌が立ったさ。
お手元もじっくり観察したので、撥を逆さまにして弾く所もしっかり目撃。
いいもん見た。
寛太郎さんがこれまた素晴らしかったですねー 

終わって引き上げる時、寛治さんが一番最後にやっとのことで辛そうに立ち上がって行かれる様子に、うっかりじわっと来てしまった。
ありがとうございます、と手を合わせて拝みたいような気持ちになりましたよ。



5月の部活はこれにて終了。
次は6月の若手会。そうこうしている内に秋の地方公演の発売も始まるのかな。
1年があっという間だ。
しあわせなこってす。




号外

2012-05-22 | 文楽
やったーー!
11月の公演は、仮名手本忠臣蔵の通し上演ですってよ!


演目の発表がある度に期待しては裏切られ、期待しては裏切られ。
最近じゃあ「どうせまたなんでしょ」って期待すらしないようになりつつあった、このひねくれたファン心に、久々にぱぁーーっと火が灯りました。


ガツン!としたヤツ、見せたってください。




2012年5月公演◆第一部

2012-05-19 | 文楽

5月東京公演もとっくに始まってました。
わたくしひとり文楽部 兼 腹弱部長も、一部、二部ともに鑑賞済み。

日誌なんだから、活動したら記録する。
そんな当たり前のことがなぜできぬ、部長。
今後、部長は活動だけすることにして、記録はマネージャーにやってもらいたい。
マネージャー? 誰? どこに? 
犬? 

そんな奇特な人はどこにもいないので、
これからもちょっとずつ、サンゴが成長するぐらいのペースで記録したいと思っています。(※)

※めったに更新されないあるblogからのぱくりですすみません。


◆第一部

【八陣守護城】(はちじんしゅごのほんじょう)

  門前の段
  毒酒の段
  浪花入江の段
  主計之介早討の段
  正清本城の段


江戸の庶民に人気のあった、清正公こと加藤清正を主人公にした時代物です。
あらすじは、



えーっと、インターネットの宇宙をどうぞ検索してみてください。


この演目は東京でかかるのは33年ぶりとか。
もちろん私は初めてです。
33年前なんて、私は教室でピンクレディーを踊り狂っていて、制服のスカートを釘に引っ掛けて鍵裂きし、家に帰って母親に激怒されていた頃ですよ。

燕三さんは入門したての頃だとサロンで仰ってました。
燕三さんが厳しい芸の道の扉を叩いていた頃、ピンクレディーでスカート破いてたかと思うと、感慨もひとしおですネ。
ということは、ピンクレディーと燕三さんはほぼ同世代ということでしょうか?

いや、ピンクレディーの話はもういい。
大体、私が踊ってたのはキャンディーズだったかもしれないし。



「毒酒の段」

清十郎さんの雛絹と勘彌さんの清郷は若い美しさのあるナイスカポーでしたねー。
三左衛門(和生さん)の妻・柵(蓑二郎さん)が、夫の今際の際だってのに、その隣でフリ付きで長々嘆いてるのが、
「そんなことしてる場合か!」
と、いくら決まりごととは言え、わたくしとしてはつっこまずにいられない部分なのでございました。



「浪花入江の段」

ビロードの着物の正清(玉女さん)、 「・・・血だ」 の巻。

船の舳先で ふーふ、あーは、むーふ、あーは、あははははは!!って大笑いしてる場合でないよ、正清。吐血してますよー、あなた。
そもそも毒を飲んだはずなのに、なぜ生きている、ってところからしてアレなんだけど。

そうそう、正清が鎧櫃から現れた敵を斬った後、無言で刀を差し出すと、息子の嫁・雛絹もそれを黙って清める。
そのあくまで自然に寄り添うようなあ・うんの呼吸、そりゃ後で女中達が
「若殿より大殿が先へ心味遊ばすのぢやわいの」
「する気がなうて 何とせう」
と噂するのも無理ないで、って位、お似合いでしたよ。
やるな、義父。 
伊達に頭もヒゲもふっさふさじゃないね。



「主計之介早討の段」

出ました、玉也さんの灘右衛門(実は児嶋元兵衛)、でかい!
わ・ら・づ・と!って言う咲甫さんの声もでかい!

この灘右衛門、正清役同様、ベテランの人形遣いがつとめるべき重要な役どころであるが、結構ここではあっさり引っ込むので、その分正清本城の最後がメリヤスに乗っての「どうだ」とばかりの見せどころなのである。
というようなことを、燕三さんが仰ってました。

駕籠に乗って急ぎ帰ってくる主計之介、なんと裸足でした。
そんなに急いでたのか。
足の裏トゲ刺さると危ないヨ。
ここでの型、かっこよかったですね。あの美しさ、ちょっと十次郎みたい。



「正清本城の段」

百日鬘と同じくらいふっさふさの髭を生やしてどっちが髪の毛なんだかヒゲなんだか、しかも毒を飲んだというのに百日も生き延びている正清、なんという超人。
鼠に化けて現れる敵を「捻ぢ首手足もぎ」庭に放り投げる。
いったい何の草の根を食べたらそうなるのか、ぜひとも聞きたいところです。

雛絹が主計之介と添われぬならば、と自害すると
「じゃーーん」
と着替えて現れる正清。
アルミホイルをぎゅっとつぶして硬くしたような帽子、おろし金をアクセントにしたような鎧装束だ。

佐々木・児嶋の両大将を得て気が緩み、たちまち変わるその面色。
あっ。
顔色真っ青! 青いKISSのジーン・シモンズ!
被り物を取ると百日鬘が火山噴火のようになっています。 
います、ってそんな所に気を取られている場面じゃないんだけど、見ちゃうよね、あれは。

そんでもって、メリヤス。 カッコいーよー。
じゃん じゃん じゃんじゃかじゃん♪ で、玉也さんガッシガシ。
ファンとしてはできるだけ長くやって欲しいところです。

最後に立ち去る人々が拝む先、遠くの楼に鎮座ましますのは ちっちゃい正清。
ヒゲの分量が若干減っている。
そして、死した古今の英雄に向かってこんなこと言っちゃなんだけど、ちっちゃくなった正清は笑い飯の西田さん似だった。



そんなこんな(どんな)で、いやー、わたくし的に色々と見どころ、聞きどころ(聞いてないでしょ)満載の、たいへん楽しい演目でございました。
も一回観るよ。





【契情倭荘子】(けいせいやまとぞうし)

  蝶の道行

幸助さん、一輔さんのすけすけコンピと清治隊長率いる床チーム。
三味線が華やかで、舞台も花が咲き乱れる美しさ。
蝶の舞は思いがけず激しい動きで、すけすけコンビのお二方とも汗だくの熱演でしたね。
あのスピードでひらひら舞いながら優雅さを出すというのは、相当難しいと思われます。
ガンバレ、すけすけコンビ! 
いや、正確には、ガンバレ、左&足の人!




2012年4月公演

2012-05-01 | 文楽
部長、千穐楽ギリギリにオーサカで部活してきた!


後半一部は

【祇園祭礼信仰記】
  金閣寺の段 
  爪先鼠の段 

【桂川連理柵】
  六角堂の段 
  帯屋の段 
  道行朧の桂川

二部

【加賀見山旧錦絵】(かがみやまこきょうのにしきえ)
  又助住家の段
  草履打の段
  廊下の段
  長局の段
  奥庭の段


一日劇場に籠ってシリ痛いし新幹線まで猛ダッシュして腰ヨロヨロなったけど、楽しかったー
特に「加賀見山」はどうしても観てみたかったので、あたふたと大阪まで行った甲斐がありました。

今回、「草履打」の女中達・ツメガールズ(ブルーチーム vs. ピンクチーム)、特にピンクチームは個性的なツラ揃いで目が釘付け、一番のヒットでした。
わざわざ大阪まで行ってそこか。 そんなとこが一番か。

そして玉也さんと岩藤の口角が同じ角度であるというツボにもハマってしまい、今まさに尾上(和生さん)が人生最大の屈辱をうけている最中というのに、ニヤニヤしながら観てる羽目になってしもた。(ひどい)

松香さんと玉也さんの岩藤、予想通りの高慢なねちっこさで「これこれ、これが観たかったのよー♪」
と、ここで私の今回の目的は8割方達成したようなもんでしたね。

それにしても長局でのお初は素晴らしかったですねー。
特に楽前日に見たお初がそれはそれは生き生きとしていて、対して遣っている勘十郎さんの存在の薄さにちょっとびっくりした。いない人になってたもん。
それくらい、お初が自由自在に動き回っていて、純粋にお初(の人形)で泣かされました。
これはへそ曲がりな私にとって、相当珍しいことですよ。

そうそう、私の席の近くに外国人のカップルのお客さんがいたんだけど、その男性の方が感動でぽろぽろこぼれる涙をハンカチで拭いておられたのが印象的でした。
そのハンカチで鼻もかんでいたのは更に印象的でした。


「又助住家」、勘彌さんのお大が美しくて哀しくてよかったです。
でも、ここだけだと又助一家が全員命を落としてまで守りたかったものの大事さが今ひとつわかりませんでした。
不勉強部長。



一方1部の方、特に桂川は睡魔に敗れがちでロクに集中していなかったので、ああだこうだ言える立場ではございません。

が、嶋師の帯屋 儀兵衛の笑いには、もともとゲラであるわたくしはつられて本気で笑って涙出た。
さすがです。

文司さんの長吉もファン的には嬉しいところでした。


何にしろ、行けてよかった大阪。
連休価格でホテル高かったけど。
前日に席を取っても良席が残っている大阪公演だからこそ可能な突発部活動。
ありがたいような、哀しいような。