部活日誌

部活動(ひとり文楽部)の記録など

右コン左コン

2010-07-30 | 文楽
【雪狐々姿湖】


「親子劇場」だけあって、私の席のお隣も後ろも前も親子連れ。

始まるまでは「ちゃんと飽きずに見てられるのかねぇ」と、他人事ながら心配でした。

が、予想に反して子供たち、ちゃーんと大人しく食い入るように舞台を見ていたので感心。
特に前半、双子の狐・右コン左コンは子供の目を釘付けにしていましたね。
斜め前の席の姉弟など、ずっと真剣に口開いて見入っていて、可愛いかった。


この物語、悪い人がひとりも出てこない。
白百合の許婚の狐・コン平も、白百合が「人間の猟師に恋しちゃったの」と言うのを聞いて、

「(許婚である自分を捨てて)人間などに見返るということは、コ~ン輪際あるものか!」

とダジャレで不満の意を表するのですが、白百合の決意を知り、人間に飽きたら戻ってくればいいさ、と最後には大きな男ぶりを見せて送り出します。
コン平、あんたいいヤツだね・・・
しかし、白百合的にはそのダジャレがあかんかったのでは。


そして人間に姿を変えた白百合が嫁ぐ、愛する猟師・源左も、姑もいい人。
まったく悪意のない人たちなのにその後不幸な事故が・・・ 

和生さんの白百合は、針仕事が上手! 元・狐とは思えぬ針運び。
2部でお梶も縫い物してましたが、その手際では白百合に1票。

狐の精?の姿になった白百合がこれまた透き通るような美しさで。
嶋大夫の渾身の語りと相まって、最後の無念さ、哀しさが、見ていた子供たちにも思い切り伝わったことでしょう。

子供向けと侮るなかれ。単純かもしれないけど、それだけにダイレクトにしんみり来ます。


終わってから、隣の親子連れのお父さんが

 「あー、かわいそうだったねー」

と隣の息子さんに言うと、息子、

 「うん、かわいそう! コン平(=白百合の許婚)がかわいそうだった!」と答えていて、

「そこかっ。コン平かっ!」とお父さんがツッこんでいましたが、私も他人ながら心でお父さんと同時に同じツッコミを入れていました。
もっと、ほら・・・ 右コンとか、白百合とか・・・ ねぇ?



実はわたくし、配役表とか見ていて
 「右コン」「左コン」ってなんだ?
と思ってました。

「みぎコン」「ひだりコン」と読んでいたからです。

「ああ、『ウコン』『サコン』だったのか・・・そういうことか」
と気付いた時には、人知れず赤面。 誰かに知られたら恥ずかし過ぎ!

という事実を、今、あえて全世界に向けて発表する。

夏休み公演・第1部

2010-07-25 | 文楽
二日目は、寒さ対策万全で挑みました。
カーディガン、ストールぐるぐる巻き、そして腹巻、鉢巻き、ロング鼻毛!(うそ)



◆第1部:親子劇場

【解説 文楽へのごあんない】
【雪狐々姿湖】


ほんとは解説はパスする予定でした。おなじみのアレだろうし、子供じゃないしねぇ~、
と思って。

でも早く劇場に着いてしまったので、せっかくだからと参加しました。

ところで、例の体験コーナーですけどね。
客席から3名の方が選ばれて人形を遣うってやつ。
あれって、ほんとにそんなに難しいのかな? 
もし私がやったら、ものすごく上手でみんながドン引き、笑いも取れず終い、なんてことになりやしないか?

・・・などと誰もがチラっ と思ったことはないでしょうか。
ない?

脳内でのわたくしさむ田さむ子は、そりゃあもうすごいんだけど。
天才的テクニックで、団七だってうまい事遣いこなしまくってるくらい。

と言うと、たいがい、「ふっ。じゃあやってみればいいじゃん」と鼻であしらわれるので、その脳内の「天才人形遣い・さむ子」を払拭するには、実際体験してみる以外にないわ!

そう思って、紋臣さんの
「それでは、やってみたい方ー」
の呼び掛けに

「はーーい、はいっ、はいっ、はーーーい!」

と手を挙げ・・・

ているつもりでしたが、実際は小さく肩辺りでそぉっと手を上げたり下ろしたりしてるだけでした。ヘタレ。

結局、目も合わせてもらえず、当然3名に選ばれることもなく、私の天才的な人形遣いぶりを披露することなく終わってしまいましたけど。

次回こそ! 必ずやわたくしの真の実力を試してみたいものです。
なので、子供達。あんた達、ちょっと遠慮するように。



あ。 
またどうでもいい件を長々申し上げてしまいました。
【雪狐々姿湖】については、また。




夏休み文楽特別公演

2010-07-24 | 文楽
さて、本題の感想など。

まず、土曜の夜の三部から拝見しました。
ちょうど天神祭だったからか、客席はかなり空席が目立ちましたねー
あなもったいなや。 菅公様も複雑な心境なのでは。
大体、ちょっと広すぎるんだ文楽劇場は。


【菅原伝授手習鑑】 
  寺入りの段
  寺子屋の段


お馴染の寺子屋。
次にこうくる、どうなるとわかっていてもやっぱり泣ける。

小太郎が
「かか様、わしも行きたい」
と後追いする辺りから、徐々にわたくしの涙壺の栓が緩み始めるのであります。

そして、よだれくりが自分より体の小さい父親に甘えておんぶするも、
逆に自分が親を背負って帰る羽目になる場面、
そこでもじ~~ん。
「山家育ち」呼ばわりされようが、少々おバカさんだろうが、あんた幸せじゃないの、と。

和生さんの源蔵と勘壽さんの戸浪、素敵でした。

綱大夫・和生さんの源蔵はいかにも深い苦悩を抱えている男・源蔵で、
 「いずれを見ても山家育ち」
というむっとくる台詞にも
 「むっ。人さまの子供に対して「山家育ち」とは失礼なっ!」 
という腹立たしさ、半減ですよ。

そして、案の定「寺子屋」で千代が泣き口説く場面では、それまで堪えていた涙が津駒さんによってまんまと放出させられてしまうのでした。
津駒さんは松王よりも千代の部分がしっくりきて泣かされたな。


ところで、こういう事言うとまた「ふざけんな」と怒られるかすら?
松王が頭巾被って出てくると、頭巾の中にあの髪の毛がぎゅうぎゅうに詰まってぼこぼこしてる感、どうしても目が釘付けになりますよね?
「…よね」って求めても同意は得られないかもだけど。

あれをすぽっ!と脱いだ後、ぼわわわわ~~ん と髪が広がるに至っては、
「おおお~♪」
と心で松王の剛毛ぶりに賞賛を贈らずにはいられませんよね。
…としつこく賛同を求めてみる。 よね?

それはそうと、小太郎の首を討つ場面の「だーーーっ!」っていう声はどなたがされるんでしょう。
(「だーー」、じゃないか。「ばーーったり」?「でやーーっ」?「ふんがーーっ」?)

源蔵役の人形遣いの方が言われるんでしょうか?
・・・とすると、あれは和生さん?
だとしたら意外~。 えっらい大きな声やで、あれは。





【日本振袖始】

  大蛇退治の段


勘十郎さん、玉也さんは昼間も夜もご活躍で暑い中毎日大変なことです。

勘十郎さんの岩長姫には恐ろしさよりも哀しい色気があって、うっとり。
期待の玉也さんのスサノオは、なんだか立ち回りがずいぶんとやりにくそうな感じでしたねー
が、大蛇に負けないくらい激しい表情されていて、
(大蛇と玉也さんがおんなじ「ふんがーーっ」って顔してるツーショットを目撃したよ!)、
オロチが舞台に八体もいたらそりゃ思い切り刀を振るにも邪魔くさかったんでしょうよ、と。
邪魔くさい呼ばわりしてますが、大蛇役の方々も舞台を大きく使って大活躍でした。
あと、玉佳さんの爺もよかったな。 爺っぽさ満点!



そして、
三味線チーム、最高~ 

華やかで壮大、鼓や笛も舞台に登場し、岩長姫がだんだんに酔っていく場面では悲哀、緊張・・・
いかにも清治師匠らしい大曲感にワクワク。


正直、この演目についてはこれといって事前になんの予習も思い入れもなく向かったんですが、見終わってみれば「ブラボーー!」って感じ。

やっぱり生で見聞きすることの高揚感はいつ何時でもいいもんです。

例え劇場の寒さにお腹がぐるぐる言いっぱなしだったとしても・・・
(またか)
休憩のたびにトイレ往復したとしても・・・
(またなのか)



2010年大阪の旅

2010-07-23 | 文楽
行ってきました、大阪へ。目的はもちろん、夏休み文楽特別公演。

大阪は暑いでぇ~、と聞いてましたが、東京の不快な暑さをみっちり味わっていた身にとっちゃ、「なんのなんの。思ってた程でもないね!」と涼しい顔。
(うそ。やっぱり汗だらだら)

今回、2泊3日で行ったんだけど、2泊目に泊まったホテル、難波にあるホテルMントレー・グラ・・・ グラスミラ? スミア? スミダ? スミコ? スミエ?
とにかくそんな感じの名前のホテル、シングル一泊6500円ポッキリだってのに惹かれて予約したら、なんとコーナーツインにアップグレードしてくれたって言うではありませんか。

うわっ、広~い! 綺麗~! 新し~い! 
そして、20何階から見る夜景の美しさよ・・・

モチロン、到着するなりふかふかバスローブを羽織り、グラスを持ってぐるぐる回しながら(中身=水)夜景を眺めて、
「ふっ・・・ この街とも今日でお別れだな・・・ アディオス!」

などと悦に入ったことは言うまでもありません。

が。

そのままいい気になってベッドにどさっと横になったら、はっと気付けば朝方の4時。

お風呂にも入ってないし顔も歯も磨かず気を失っていたとは・・・
何たる損失! せっかくの素敵な部屋に泊まってる意味なし。

結局、もったいないので(小市民)眠くて死にそうなくせにお風呂にお湯を貯めて泡ぶくぶくにして入って、もう一回夜が空けかかっている夜景を見ながら

「ふっ・・・この街とも今日でお別れだな・・・アディオス!」

とバスローブでグラス(中身=水)をぐるぐる回しましたけど。

6500円で素敵なひと時をプレゼントしてくれたホテルMトレー・グラスミア(?スミダ?スミコ?)よ、ありがとう!
おかげで文楽公演の思い出とともに、大阪最後の夜のいい締めくくりとなりました。

次の大阪遠征のときにもぜひ泊まりたいと思います。


ただし6500円なら。