部活日誌

部活動(ひとり文楽部)の記録など

平成24年度国立劇場文楽賞・文楽協会賞

2013-03-18 | 文楽
国立劇場文楽賞・文楽協会賞の発表があったそうで。


受賞者はコチラ

文楽奨励賞の紋臣さん、靖さん、協会賞の希さん、清丈'さん の4名は私が選んだかと思いました。

どういう賞なのかわかってないですが、貰えるのはなんでもめでたい。

おめでとうございます。

2013年3月 地方公演

2013-03-17 | 文楽
【昼の部】

 解説:相子大夫

 桂川連理柵
   六角堂の段
   帯屋の段
   道行朧の桂川

【夜の部】

 解説:文字久大夫

 二人禿

 義経千本桜
   すしやの段


【配役表】


大田区民プラザでの巡業公演に行ってきました。
今回は日曜日開催だったので昼は満員御礼、夜もよく埋まっていたようで何よりでした。

実は、誰がご出演なのかも(演目すらも)まったく頭に入ってなかったので、もう、いちいち

「おおお~!」 「えええ!」

と驚きっぱなし、えらい新鮮でした。

だって、帯屋ではてっきり玉也さんが父・繁斎かと思ってたれば、まさかの儀兵衛!
おお~、ってにやにやしっぱなしよもう。
勘壽さんおとせとの悪親子ツーショット・白髪抜きなんて、なにこのサービスショット。
玉也さんが…  勘壽さんも… 
あの表情でチャリを…  くそ真面目に… しかしイキイキと…

ぶーーーっ

そんでもって、夜の部始まってまず解説に文字久さんが出てきて
 ええっ
とまたびっくり。
なんで? なんで文字久さん?
いや、別に文字久さんで全然OKなんですけども、思い切り意表を突かれました。

すしやでも、弥左衛門が勘壽さんで、え、弥左衛門女房じゃなく?
弥左衛門? とまたびっくり。
そこからも、あ、弥助は文司さんなんだ、梶原は玉佳さんなのか、とか、もう次々と予想外の配役で、この私も寝る暇がないほど新鮮な舞台でありました。

地方巡業ならではの楽しさはこういうところだよねー

帯屋の呂勢さんの嶋さんを彷彿とさせる笑いも立派で大奮闘、昼の部は特に楽しかったな


もういっそ、演目がありがちな時はこのように配役をまったく見ないで行けばドキドキして楽しいのではないか、などと思いましたことよ。

それから、禿ちゃんの人形を持って募金活動をされていた紋臣さん、写真だけ撮っている人には必ず禿ちゃんに募金箱を指ささせて
「オカネ、ココ↓ ココニ、オカネイレロ」
と無言の圧力をかけていたのが素晴らしいひとこまでした。
やるなー




「人間・人形 映写展」

2013-03-09 | その他文化部
渡邉肇 × 堀部公嗣 【人間・人形 映写展】

 (表参道ギャラリー5610)




「曽根崎心中」の天神森の段をテーマに、お初・徳兵衛とそれを遣う簑助・勘十郎をハイスピードカメラや3Dカメラで捉えた映像作品、とのことで、なにがなんだかよくわかってないけれどもいてきました。

見終わったあと、これはもっと多くの会場で多くの人に見て頂きたい、とくに関西方面で。
そしたら人形美に魅せられて文楽劇場のお客さんも増えるに違いねぇ、と思いましたことよ。
それ程、素晴らしい世界がそこにありました。


3室に区切られた会場で3パターンの作品が流れている中でも特に中心にある
「第一部・人形」「第二部・人間」
と題して映し出されていた作品には、ただただ圧倒されました。

静かなBGMが流れる部屋に ごくり、ごくり、と生唾を飲み込む音がとどろき渡っていたとしたら、犯人は私です。
そうです私がやりました!

それにしても、観た方皆が思ったことでしょうが、今まさに徳兵衛に刺されようかという瞬間のお初の顔を初めて見ちゃった。
徳兵衛と徳兵衛を遣う人形遣いだけに許されて来た特権を、こんなにあっさり頂いちゃっていいのでしょうか!
でも見ちゃったもんね~
という、なんだか後ろめたいような申し訳ないような気持ち。
お初はあんな顔をして死んでいってたんだねぇ


「第二部・人間」では簑助さん、勘十郎さんがびしっっと黒衣を付けるところから話題の「エアー人形」へ。
エアーの部分は左・足遣いも全員頭巾をとって真剣な表情で。
実は「エアー人形」って聞いたとき、不謹慎大王の私はちょっと「ぷっ」と思ったけど、そして見るまでは笑ってしまったらどうしようと心配もしたけど、実際は笑うどころじゃなかったですすみません。

お初は簑助・一輔・簑次、徳兵衛は勘十郎・勘彌・勘次郎。(一輔さんは残念ながらちらっと顔の半分くらいしか映ってないけど)

なんていうかそこら辺はもうプロモーションビデオ的かっこよさで、この映像でCM打ったら
「違いのわかる男」くらいいつでもいけるんちゃう、って程よ。


でも、なんとなく、ですけど。
あの映像の中のお初と徳兵衛はわたしの知っているふたりじゃない。
舞台で見ているお初と徳兵衛とは別のひとだ。 
という気持ちになったのも不思議なところ。
綺麗だし儚いし、哀しいけど嬉しい、という表情は一緒なんですけど。

義太夫節の中で 動く、泣く、ささやく、震える。
それこそがわたしのよく知る、
「ちょっとー、ほんっと情けない男だねあんた」という徳兵衛だし、愛しい愛しいお初、なのでした。

相変わらずロクに浄瑠璃も聞き取れないくせにそんな風に思うのってのも不思議なもんです。

単なるへんくつばばぁだという気もしないでもないどころかむしろするけどそう思ったんだもんいいじゃない別に!
これからは言い切っていくことにします。
攻めの日誌!  


   (表の看板)

 



若手素浄瑠璃公演

2013-03-04 | 文楽

義太夫節に親しむ会

【一谷嫩軍記】(いちのたにふたばぐんき)

 熊谷陣屋の段

 (前)豊竹睦大夫
    鶴澤清馗
  (後)豊竹希大夫
     鶴澤清丈'




なにっ、熊谷陣屋を弾く!?

と知ってからは、まるで自分が出演するかのごとく丸暗記する勢いでCDを聞きましてねぇ
毎日通勤電車で、家で夕飯の仕度しながら、寝る前に、
とリピート&リピート、まさに義太夫スピードラーニング。
なぜ? と聞かれても、 
…さぁ? 
としか言えない、この意味不明なやる気。

当日も、きっとご出演者より誰よりどっきんどっきんしてアガっていたのはこの私だと断言していい程、ド緊張して挑みました。
うっかりホテルのスリッパで劇場に向かおうとしたくらい。


しかし、幕があがってみたらこれがどうして皆さん堂々と立派でねぇ

こちらはにわかスピードラーニングの成果か、あっ。とか、あかん! とか、ところどころ勝手にハラハラしつつ、
それでも、ほんとうに難しいこの曲を皆さんがそれぞれの力を精一杯発揮して挑んでいる姿には胸を打たれました。

特に睦さんの熊谷は立派だったなー
アトの希さんの「十六年もひと昔」も予想以上にしみじみと響きましたし。
清馗さんはあごの下からずっとポタポタ汗が滴っていて、しまいには手拭いで顔拭っておられましたし、清丈'さんの大音量の掛け声なんてお客さんがびくーーてするほどでした。
て、肝心の演奏のことも言えよ、って話ですけど。

もちろん、細かいことを言おうと思ったら
色々色々色々色々色々色々色々色々色々色々色々色々色々色々色々色々色々色々色々色々…(そんなにか)
あろうかと思いますが、それでも技量・経験などの足りてない部分を補うだけのなにか、
聴く者の心を掴む「熱力」のようなものは確かにある。
と思いました。


思わず運動会で全力疾走して(たまにコケる)子どもを見るような気持ちで、めっちゃチカラ入れて聴いていたようで、終わってから膝がわらってガクガクでした。
ひと言も語っても、弾いてもいないくせに!

いやはやまったく、くたびれました・・・
勝手に盛り上がり、勝手に燃え尽きています。どうしてくれよう。

今回ご出演の皆さんが、いつか本舞台でこの難曲を演奏できる日が来ることを今から楽しみに待っています。

私が生きてる間にどうかよろしく頼みます。
そうそう時間残ってないよ、言っときますけど