渡邉肇 × 堀部公嗣 【人間・人形 映写展】
(表参道ギャラリー5610)
「曽根崎心中」の天神森の段をテーマに、お初・徳兵衛とそれを遣う簑助・勘十郎をハイスピードカメラや3Dカメラで捉えた映像作品、とのことで、なにがなんだかよくわかってないけれどもいてきました。
見終わったあと、これはもっと多くの会場で多くの人に見て頂きたい、とくに関西方面で。
そしたら人形美に魅せられて文楽劇場のお客さんも増えるに違いねぇ、と思いましたことよ。
それ程、素晴らしい世界がそこにありました。
3室に区切られた会場で3パターンの作品が流れている中でも特に中心にある
「第一部・人形」「第二部・人間」
と題して映し出されていた作品には、ただただ圧倒されました。
静かなBGMが流れる部屋に ごくり、ごくり、と生唾を飲み込む音がとどろき渡っていたとしたら、犯人は私です。
そうです私がやりました!
それにしても、観た方皆が思ったことでしょうが、今まさに徳兵衛に刺されようかという瞬間のお初の顔を初めて見ちゃった。
徳兵衛と徳兵衛を遣う人形遣いだけに許されて来た特権を、こんなにあっさり頂いちゃっていいのでしょうか!
でも見ちゃったもんね~
という、なんだか後ろめたいような申し訳ないような気持ち。
お初はあんな顔をして死んでいってたんだねぇ
「第二部・人間」では簑助さん、勘十郎さんがびしっっと黒衣を付けるところから話題の「エアー人形」へ。
エアーの部分は左・足遣いも全員頭巾をとって真剣な表情で。
実は「エアー人形」って聞いたとき、不謹慎大王の私はちょっと「ぷっ」と思ったけど、そして見るまでは笑ってしまったらどうしようと心配もしたけど、実際は笑うどころじゃなかったですすみません。
お初は簑助・一輔・簑次、徳兵衛は勘十郎・勘彌・勘次郎。(一輔さんは残念ながらちらっと顔の半分くらいしか映ってないけど)
なんていうかそこら辺はもうプロモーションビデオ的かっこよさで、この映像でCM打ったら
「違いのわかる男」くらいいつでもいけるんちゃう、って程よ。
でも、なんとなく、ですけど。
あの映像の中のお初と徳兵衛はわたしの知っているふたりじゃない。
舞台で見ているお初と徳兵衛とは別のひとだ。
という気持ちになったのも不思議なところ。
綺麗だし儚いし、哀しいけど嬉しい、という表情は一緒なんですけど。
義太夫節の中で 動く、泣く、ささやく、震える。
それこそがわたしのよく知る、
「ちょっとー、ほんっと情けない男だねあんた」という徳兵衛だし、愛しい愛しいお初、なのでした。
相変わらずロクに浄瑠璃も聞き取れないくせにそんな風に思うのってのも不思議なもんです。
単なるへんくつばばぁだという気もしないでもないどころかむしろするけどそう思ったんだもんいいじゃない別に!
これからは言い切っていくことにします。
攻めの日誌!
(表の看板)