部活日誌

部活動(ひとり文楽部)の記録など

2013年2月公演

2013-02-26 | 文楽
◆第一部
  摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)
    万代池の段
    合邦庵室の段 

  
◆第二部

  小鍛冶(こかじ)

  曲輪ぶんしょう(くるわぶんしょう)
    吉田屋の段

  関取千両幟(せきとりせんりょうのぼり)
    猪名川内より相撲場の段


◆第三部

  妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)
    道行恋苧環
    鱶七上使の段
    姫戻りの段
    金殿の段

 (配役表) 



今更2月公演てあんたナニ言ってんの? 12月は飛ばしてるし。
でも気にしない! 部長だから。



第一部

【摂州合邦辻】

「万代池の段」は初めて拝見しました。というか、そもそも合邦庵室しか見たことない。
なのでここがあることで初めて浅香姫の存在をちゃんと認識しました(ヲイ)
可愛らしいのねー、遠路はるばる俊徳丸を追ってきて。
台車に俊徳丸のっけて、「くっ」と引っ張る姿はお笑い要素ありつつもいじらしい。
でも。
できたらもうちょっと早く俊徳丸に気付いてやってもいいんじゃないかな。

それにしても、
「五体満足どこもかもぎん張り返った次郎丸、
 連れて去んで今夜から有難い目に合わしましょ」
とかエロいこと言ってる次郎丸、
それに対する入平の「太鼓の撥」以下発言…

なんなのあなた達そのオトナなやりとり! 

そんなエロいこと言ってる「獅子舞鼻の千松づら」の次郎丸(要するにブサイク呼ばわり?)
を、また玉也さんの合邦はイキイキとやっつけとりました。
三輪さん(俊徳丸)、南都さん(浅香姫)、津國さん(合邦)と語りも適任、
とても楽しかったです。

「合邦庵室の段」
和生さんの玉手、玉也さんの合邦、簑二郎さんの合邦女房、それぞれがもうしっくり。
和生さんの玉手、千穐楽では更に激しいヘッドバンキングで
もわぁあああっ と気迫が舞台から立ち上っていて、心打たれましたねー

そんでもって、ここでも奴入平。
合邦に可愛い娘をも一回刺すなんてできないから代わりにやって、とすがられて
「これはまた迷惑千万!」
「ネイ御免 ネイ御免 ネイ御免 ネイ御免」って、
ほんっとに迷惑そうで。もうちょっとさー、やんわりとした断り方ってもんがあるんじゃない?
とうっかり笑ってしまいした。
そんな奴がついつい幸助さんご本人に被ってしまうという。


第二部

【小鍛冶】

これはもう、刀を打つトンテンカンと足遣いの足拍子がいかにリズムよく決まるかが肝ですね。
たまにずれると、椅子の肘かけから肘が かくっっ と落ちるんだなこれ。
その点、簑次さんの足拍子は盤石、いつも気持ちよく決まるのですっきりしますねー
千歳さん、始さんが揃ってお元気そうな姿で床におられたのはほんとに嬉しかったです。

【曲輪ぶんしょう】

「吉田屋の段」
あかん… 苦手中の苦手演目でして。かつて寝なかったことがない鬼門。
案の定、餅つきが終わって仲居のお鶴さんが低い鼻をぴょこつかせると、わたしの吉田屋も終わる、という不甲斐なさ。

が、しかーし。
最後の最後に、その「じゃらじゃら睡眠」を乗り越えた!
夕霧の
「これ 死にかかっている夕霧ぢゃ 笑い顔見せてくださんせ」 
で、胸が くっ ときてねぇ。私もようようおとなになりんした。

だからといって好きになったかといわれたら、

そうでもない。


【関取千両幟】

めっちゃ面白かったです。
妖怪こどもばばあの私にはこういう話がお似合いとでもいいましょうか。
話は単純、でも三味線の曲弾きはあるわ、まわし一丁の相撲取りの取り組みはあるわ、
短い時間にモリモリで純粋に楽しみました。
玉也さんの猪名川と簑助さんの女房おとわ。
おとわがねぇ。もう言うことなしっす。
どこがどういいのか私ではうまく言葉にすることができませんが、とにかく心に残るおとわの姿。

それにしても、猪名川の家内で夫婦がしんみり話している場面の三味線と胡弓はいまひとつあの場面に合ってなくないですけ?
しんみりしてるのにやかましいんじゃー!と言いたくなったのは私だけでしょうか…
決して演奏してる人が、という意味ではなく、なぜもっとしっとりした曲じゃないのか、なぜあんなテンポのいい曲なんだ、ってことです念のため。
ああ、過去の偉大な作曲者にケチをつけてしまった。もうダメだ。伝統芸能ポリスに捕まる。

もとい。
どこがどういいのか私ではうまく言葉にすることができませんが、とにかく心に残る旋律であったよのう、ということで。

このフレーズ、使えるな。「どこがどういいのかうまく言葉にはできませんが」って。


第三部

【妹背山婦女庭訓】

道行の床はチーム清治がびしぃいっっと来て、キモチよかったです。
今回、求馬が清志郎さん、橘姫を清丈'さんが弾いていましたが、おおー、清丈'さん、この度いいんでない?
といつもの倍くらいウキウキしましたね。
どこがどういいのか私ではうまく言葉にすることができませんが(でたよ)とにかく心に響きました。
そんでもって、当然のごとく舞台を見るのを失念。

「金殿」では、後半のいじわる官女チームが相当ワルで、生き生きといじめてたのがよかったです。
お三輪ちゃんに相当同情しましたもん。
文哉さんを筆頭に、紋秀・玉翔・簑次さん、思い切りいじめくさってましたねー
そうでなくちゃ。




三部制のせいか、土日でも結構席が空いてたりしてもったいないなと思った今回の公演。
正直私もどうも今ひとつ盛り上がらないまま通ってたんですが、終わってみれば案外楽しんでたじゃない、なんだかんだ言ってもやっぱり長い年月綿々と続いてきたものってやつの底力はあるよな。ってね。
どこら辺がと聞かれたら、どこがどういいのか私ではうまく言葉にすることができませんが、とにかく面白いってことです。


って、なにもかも「うまく言葉にすることができないけど」で済ますなら
ブログ書く意味ないだろ!
ですね。

ネイ御免。