部活日誌

部活動(ひとり文楽部)の記録など

竹本義太夫三百回忌追善…勧進公演

2013-05-10 | 文楽
正しくは

「竹本義太夫三百回忌追善・竹本義太夫墓石修復資金勧進特別公演
 合わせて、浄瑠璃界先師墓石修復資金勧進」

です。
長い。 とてつもなく、長いタイトル。


公演の内容は以下の通りです。


●竹本義太夫追善演目
  近松門左衛門 作・鶴澤清治 復曲
 
 「用明天皇職人鑑」三段目 鐘入りの段 
   千歳 呂勢 咲甫
   清介 藤蔵 清馗
    室君: 勘十郎
    国師: 簑二郎
    脇僧: 玉勢  紋秀

●公演趣旨挨拶
   司会 : 山川静夫氏
  住大夫 源大夫 嶋大夫 咲大夫
  寛治  團七  清治
  簑助  文雀  紋壽

●「花競四季寿」(太夫三味線総出演)

   【配役表】


●ファン感謝祭:天地会(文楽座三業さかさまにて相勤めます)
 「義経千本桜」すしやの段

  【配役表:浄瑠璃】  【配役表:人形】


とまあ、このように盛りだくさんで満員御礼の大盛況でありました。

開場後、まず入り口両脇に技芸員さんがずらーっと並んでお出迎え。
汗だくベトベトの顔で向かったわたくしなどは、まるで飲み過ぎて夜中に帰宅したお父さんのようにコソコソした態度になってしまったことよ。
こちらでパンフレットと天地会の手書き人形小割帳を頂きました。

ロビーでは技芸員さんがあちらこちらで人形を持って写真撮影に応じ、たくさんのお客様に取り囲まれている様子が。
また、技芸員全員のサイン入り手拭い・二枚組1,500円也。や、竹本義太夫の芸紋入り特製干菓子・1,000円也の販売も行われていました。
大阪ではあっという間に売り切れとなってしまったようですが、東京ではふんだんに用意されていて、わたくしも札束を叩きつけて買わせていただきました。
2、3枚でも札束と言うのは我が家だけの習慣でしょうか?
手拭いは翌日、劇場の売店でも引き続き販売されていたようです。

それから、技芸員のサイン入り色紙の注文の受付もありました。
師匠方のものは10,000円、その他の方のは5,000円。
買おうと思えば買えない金額ではない。でもめっちゃ安くもない。
欲しい、でも微妙に奮発感がある。
といったファンの心を千々に乱れさすこの値段設定!
わたくしはここでは札束を叩きつけるには至りませんでした。 

そんなこんなでごった返すロビーで、今日もお客様の写真撮影を自ら買って出られる津駒さんのお姿に、じーーん。
足を一歩前に踏み出し、腰を落として真剣な構えで撮影をされていて、なんていい人!
しかも、津駒さんと写真を、と仰るお客様にも「はいはい、どうぞどうぞ」とカメラを取り上げ撮影の体勢に入り、
「いえ、あの、津駒さんと一緒に写りたいのですが」
と言われ
「えっ はっ、ああそうでしたか!」
と汗をかく津駒さん・・・
素晴らしいお人柄にますます じーーん、ですよ。ほんとにもう。


さて、肝心の公演ですが。

まず「用明天皇」。
こちらは復曲された清治さんが弾かれるのかと思っていましたが、清介さんでした。
内容は、不勉強なわたくしには

「へ~~」「ほほ~」

としか… 
もうしわけもございません。

続いて、山川氏の司会により師匠方が壇上でご挨拶。
住大夫が代表してお話をされました。リハビリの苦しさ辛さを乗り越えての復帰に、会場は大きな拍手に包まれました。じーん。

その後、「四季寿」の上演へと続きます。
「海女」と「鷺娘」では大夫三味線も舞台上に並びます。が、後方なのでライトの加減がいまひとつ、皆さん妙に陰影のあるお顔になっていました。靖さん、亘さんなんて半分暗いし。

「海女」のタコ役は幸助さんが出遣いで登場してびっくり。お腹痛かった。
なぜ出遣い… 

ちなみに「鷺娘」の配役表に「清芳」とありまして、
え。新しく入門された方?
と一瞬頭がパニックになりました。
舞台には清丈'さんが座っていたので安心しましたけども。
何かしら話題をもってくのはさすがです。


さてさて、いよいよ本日のお楽しみ、天地会。
いきなり清公さんのにっこにこの口上から勘十郎さんの三味線ですでに椅子から転げ落ちそうでした。
燕三さんにハリセンで拍子取られてましたけども、勘十郎さんのたどたどしさに笑い止まらず。
呂勢さんは本当にお疲れ様でした。
呂勢さんの三味線がなかったら、もうこの会、どうにもこうにもなっていなかったでしょうねー

さすがに三味線方は語りもお上手ですが、人形の方々は…
声が裏返るわ、棒読みだわ、咳き込むわで、もう爆笑の涙出た。

片や舞台上には嶋さんのお里ちゃん、清治さんの六代君、錦糸さんの若葉内侍が、もうねー、
やーめーてー!ですよ。笑い殺す気か!と。
清治さん、六代君の足をさするところが気に入ったのかずっと得意気になでていて、しまいには左の玉佳さんに止められてるし、錦糸さんは維盛にすがりつくところで後ろ振り気取りだし、維盛役の富助さんはどんな場面もずっと嬉しそうににこにこと維盛のカシラを小刻みにうなづかせているし。
嶋さんのお里に業を煮やした和生さん(左)は後ろから嶋さんごと遣っていましたし。
そして、権太。
咲甫さんが首なのはまだいい。そこでなぜ左も津駒さんが入るという大英断を!
おかげで権太、桶持って飛び出していくところもさっぱり進まない、いっこうに引っ込まないという事態に。
靖さんの梶原も舞台下駄が高いものだから、おっかなびっくりでこれまたギクシャク・・・

もうもう、いちいち涙出ましたね。
1年分笑った気がしたし、10年分顔のシワが増えた気がしました。


そんなこんなで、とても楽しませていただきました。
足や左、介錯などサポートされていた人形遣いの方々も、心から、お疲れ様でした。

会の趣旨も内容も素晴らしいものになったのは、技芸員さんはじめ実行に携わった方々の誠意と努力の賜物です。
ありがとうございました。

明日からの5月公演、半笑いで観てしまってもどうかかんべんしてください。



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