日々の出来事を写真と共に

身近に起こる出来事、感想を写真と共に綴ります・・・

これでいいのかな??

2013-03-07 | 読書
【2013.03.07(木)】
GNHを掲げる国ブータン

・3月上旬とは思えない暖かい日が続く昨今です。
雪の少ないシーズンでしたが、このまま本格的な春を迎えるのでしょうか?

・GDPの成長を追い求めるのは、必ずしも人々の幸せには繋がらない、という想いから国民総幸福量:GNH(Gross National Happines)を国是とする”ブータン”に関する書籍が多く出版されています。その内の何点かを読んでみました。

・ブータンの概略ですが、面積は九州位、人口約68万人=鳥取県と島根県の人口の中間位、標高2,300m近辺=富士山5合目位、言語は国語のゾンカ語の他、英語が主、経済の柱は水力発電と観光業、大国の中国とインドに挟まれた形で存在する立憲君主制の小さな王国です。

・2011年11月に5代国王夫妻が来日されたのは、まだ記憶に新しい。美男美女のお二人でしたね!!

<ブータン、これでいいのだ>:御手洗瑞子著/新潮社/2012.2.25発行


・ブータンの公務員(首相フェローの立場)として一年間を現地で過ごした筆者によるブータン紹介書籍です。
長期間滞在中の実体験に基づき描かれているのが、他の本に比べて説得力を持つところだと感じます。数々のエピソードが語られるのですが、ブータンに好意的に書かれていると思います。

・ブータンの文化や、日本との大きな違いはとても新鮮に映ります。特に大らかなブータン人の気質からくる驚きの体験が可笑しい。筆者が異文化を見る視点がユニークだと思うし、違いを率直に受け入れその文化の背景に有る物を自らの視点で考察されています。

・この小国が生き残っていく為に、どのように国際社会に向きあい交流を深めていくのか、又自主財源が70%、残りはインドを主とする他国からの助成金でまかなっている懐事情をどう改善していくのか、課題と国民性からくるジレンマにも触れられています。

・最後は、本の題になっているように肯定的な形で結ばれています。カジュアルで楽しめる本でした。

<日経ビジネスに御手洗瑞子さんが投稿された記事:ブータン公務員だより>←これで概要が分かります。

<幸福立国ブータン-小さな国際国家の大きな挑戦>大橋照枝著/白水社/2010.7.25発行
・発行年が少し古いですが、この本もブータンの国情を肯定的に捉えて紹介されています。GNHの独自性と、その国際的な拡がりについて述べられています。

・筆者はブータンの要職にある人物と接触できる立場のようで、GNHの推進、実行の中心的人物である<ジグメ・ティンレイ首相>の人となりが取材を元に紹介されていました。この首相はとても秀でた方なんですね!

・一方でこんな題名の本もあります。
<ブータン「幸福な国」の不都合な真実>:根本かおる著/河出書房新社/2012.9.20発行←私が読んだ中では一番新しい。

・題名からも推測されるように、この国がとっている施策がもたらす”光”の部分以上に”影”の部分が多く語られています。第4代国王が提唱した「GDPよりGNH」の施策により、国民の97%が幸せと答えたその一方で、ピーク時10万人超と言われる難民の存在についてその歴史的背景から詳細に綴られています。ブータンの公式発表の人口は68万人ですからこの難民の数は大変なものですね。
ちょっと難い内容の本でした。

・ところで、ブータンには花屋さんが無いんだそうです。ヒマラヤの美しい花に恵まれていると言うのが一つの要因ですが、生をまっとうしている花の命を絶ち切ることが仏教の教えに反すると言うブータン人の考え方が根底にあるそうです。

・美しい草花、ヒマラヤと、古くからの仏教信仰による独特な景色は魅力的で、訪れたい国の一つですが、なかなか敷居は高いようです。観光に力を入れてはいるものの、今はハイエンドに特化しており、観光客には一人一日約250米$が公定料金として課せられるそうです。4日滞在したら10万円近くかかりますね。ブータンへのツアーをちらほらと見かけるようになりましたが、お隣中国へのツアーに比べて高いのは、ここら辺に理由があるのかも??。気軽に出掛けられる環境になって欲しいものです。

では又

I.O
コメント
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