リゲル・１６

嘘で作った人生が
崩れていく
何もかもがうまくいくはずだった
偽物の人生が
壁に阻まれるように行き詰る

神の空から滴り落ちる
真実の雨がおまえを濡らし
派手に塗った人生の化粧を
溶かしてゆくのだ

ずるいことをして
美しい肉体を作り
美しい人間のふりをして
一生つらいことのない人生を
生きるはずだった

それなのにすべてが崩れていく
臓物の中に隠した
暗い記憶の中に
約束のように
痛い癌が発生する

逃げることのできない自分に
帰っていくための
迷路のような道への入り口が
運命の中に開く