月の痛く痩せた夜に
透明な鳥となって空を渡り
あなたの上に花を降らした
今にも消えゆくかに見えるあなたの
細月のような姿が
まるごと血を吹く傷のようだった
それでも生きようとしていたあなたを
暖かい手で抱きしめられないもどかしさに
わたしたちは
ついに
禁を犯したのだ
後ろからあなたの霊魂をつかみ
無理矢理引きずりもどした
もう二度と
その光を人に見せまい
誰も
あなたを愛しはしなかったのだから
月の痛く痩せた夜に
透明な鳥となって空を渡り
何度も何度も
空から花を降らした
あなたは
かすかにそれが見えるようになった目で
わたしを見ていた
それがわたしだとは知らずに
赤子のようにかわいい人よ
あなたを決して愛しはしなかったことを
後悔できるようになるまでは
わたしは彼らを見捨てはしまい
笛を鳴らし
虹を描き
花を咲かし
すべてのことをやるだろう
どんなに愛しても
決して届かなかった愛のかたみを
白飴の香りに秘めて
すべての人の前で
手品のように消して見せよう
もう二度と帰って来はしないと
何度も何度も
消して見せよう