<中国ブログ>中国サイコウ 元/上海駐在日本人が綴る日中経済の状況など

中国駐在時代の経験・知識をもとに、
最高(サイコウ)の日中関係の再構築を目指し、
日本と中国を再考(サイコウ)する

上海 加熱するコンビニ戦争5(セブンイレブン)

2012-01-09 | コンビニ戦争

今回は、日本での王者、セブンイレブンの中国展開について。



わざわざ「日本での」と断ったのは、中国、特に上海では最後発であるため。
このあたりは、後ほど言及するが、同社の堅実な経営姿勢の裏返しでもある。
自動車業界のトヨタのような感じかな。。。

まず、同社の中国進出の経緯から。
同社の中国展開、2004年の北京進出から始まっている。
きっかけは、米国セブンイレブンの建て直しにメドがついたこと、国内既存店の売上げが頭打ちとなる中で海外に成長基盤を確保する必要が生じたこと等にあると言われている。

同社も、前述の3社と同様、合弁での進出。
北京における会社設立は、現地流通企業、糖類酒類販売企業との合弁。
出店ノウハウ、商品仕入れを考慮しての組み合わせと推測される。

また、北京という地を選んだ理由は、大中国の首都であるという一面と、親会社のイトーヨーカ堂は北京を中心に店舗展開を図っているという面が大きかったのだろう。
やはり、商品仕入れや物流面で協業が図れますからね。

同社、上海進出は大幅に出遅れているが、これも戦略のうち。
中国進出に当たって、スピード感よりも「日本流のコンビニモデル」の構築に力点を置いた結果なのだ。
確かに日本国内においても、セブンイレブンは自社のブランドに強い拘りを持ち続けているように見える。
同社が導入・普及を図った「おでん」でも、流行に左右されることなく品質本位の姿勢を貫いているし、弁当やスイーツの品質はやはり同社が頭一つリードしている印象だ。

こうした姿勢は中国においても徹底的に貫かれており、最も端的な部分は「店内調理」。
ご承知のとおり、中国の消費者は冷たいものを食す習慣がないため、暖かい食品を提供することは大きな強みとなる。
最近では、どのコンビニチェーンでも珍しくないが、中国でのおでん文化の普及に一役買ったのは、同社であると言って過言ではない。
こうした動きを深化させ、最近では10種類ほどのできたて惣菜を提供し、ご飯と一緒に弁当形式で売るというスタイルで粗利益率を向上させている。



もっとも、中国の惣菜には結構な量の香辛料が使用されるため、店内がもの凄い匂いで充満するというデメリットもありますが・・・(中国の消費者はあまり関心なし?)
このほか、挽きたてのコーヒーを提供するという試みは、将来を見据えての展開と言える。

先日も言及したとおり、コンビニの大規模展開で最も重視すべきは「粗利益率の向上」。
同社の北京での粗利益率は、既に30%を超えると言われている。
また、1日の平均売上額も20,000元(約25万円)にまで成長しており、この金額は他の日系コンビニの2倍超に達している。
こうした実績は、今後の上海でのFC展開の重要な基礎となるに違いない。

上海での事業展開について、同社はFC(フランチャイズ)展開と決めた。
FCの相手先は、台湾の統一集団。
統一集団は、台湾でもセブンイレブンのFC展開を担っており、台湾地区内で約5,000店舗を運営している。
また、統一集団は中国国内で飲料、即席麺などの流通を展開しており、商品流通、物流等の面で豊富なノウハウを有している。
中華圏での実績面ではまさに申し分なく、展開手法はファミリーマートとダブる。

もっとも、出店ペースに関しては控えめで、急激な拡大を標榜するファミリーマートとは一線を画している。
同社は、年50~60店を開店させ、5年後には300店舗まで拡大させたいと語っているが、これはローソンと比べても5分の1、ファミリーマートと比べると15分の1の店舗数に過ぎない。
裏返すと、同社の「利益重視」、「丁寧なブランド構築」という経営姿勢を示すものと言えそうだ。

日本国内で業界トップに君臨するセブンイレブンが、上海においては最後発の位置。
しかしながら、経営姿勢は日本と同様のスタイルを貫く(横綱相撲を標榜)というところに、戦略の妙味、ひいては中国市場の面白さがある。
ただ、おぼろげながら感じるのは、同社の絶対的な自信のようなもの。自分たちのスタイルを貫けば、必ず中国の消費者にも受入れられるはず・・・というような雰囲気を感じずにいられない。

こうした同社の取組みを通じて、同社が中長期的にみて成功を勝ち取ることができるのか、今後も注視していきたい。

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