<中国ブログ>中国サイコウ 元/上海駐在日本人が綴る日中経済の状況など

中国駐在時代の経験・知識をもとに、
最高(サイコウ)の日中関係の再構築を目指し、
日本と中国を再考(サイコウ)する

上海 加熱するコンビニ戦争7(総括)

2012-01-11 | コンビニ戦争

これまで6回にわたって、コンビニ業界における競争状況をレポートしてきた。
今回は、その総括をしたい。

現在、上海市内には5,000店超のコンビニ店が営業していると言われているが、その数は今後も増え続けるだろう。
特に今後5年間は、コンビニ黄金時代と呼ぶ関係者もいるくらいなので、各社とも覇権を握るため、出店ペースを加速してくるだろう。

これまでのレポートの中でも言及したとおり、コンビニは各店舗の面積が小さく、取扱い商品にも限界があるため、「いかに個々の店舗の運営効率を上げるか」、「いかに粗利益率を向上させるか」が最大のポイント。

そして、来客率を高めるには、やはり「ブランド力の向上」というのも無視できない要因であろう。

こう考えると、日系コンビニチェーンが日本で経験してきたこととダブる部分がかなりあることが分かる。
「一日の長」がある分、日系有利の現状にあるが、戦場は中国だけに現地系がどのような策を繰り出してくるか、今後も目が離せないところだ。

各社が拡大路線を志向する中で、勝敗を決する要素は何なのか?
筆者なりの結論は、以下の4点だ。

まず一点目は、流通面での整備。
ご承知のとおり、中国は日本と違って広大な国土を有する。
コンビニの場合、個々の店舗が小さいだけにどうしても店舗数を多くする必要に迫られるが、店舗数が増えれば増えるほど問題になるのが「流通面の整備」。
中国では物流網の整備も十分ではなく、性急な店舗網の拡大はオンタイムの配送が確保できなくなる危険性を有しており、こうした事態を招くと売り逃し、ひいては消費者離れを招くことにも繋がりかねない。
中国の消費者は、日本ほどコンビニのブランドに拘りを持たないと言われている。
コンビニの原点である「いつでもどこでも便利」という原則を徹底的に追及できるか、基本的なことではあるが、非常に重要であろう。

二点目は、企業管理体制の構築。
拡大路線を図っている企業が陥りがちなのが、「管理体制の不備」。
文字どおり、企業の急成長に管理が追いつかないようなケースだ。
ここは、中国社会特有の難しさも関係してくる。
中国では人材の流動が激しく、管理部門の人材が長期にわたって定着する保証はないため、いかにして安定した管理体制を構築するかは大きな課題。
しかも、コンビニの高収益部門は「中食」に代表されるおでん等の店内販売。
苦労して店舗網を拡大させても、衛生上の問題などが発生した日には、せっかくの努力が水の泡になりかねない。
当たり前のことではあるが、上り調子の時ほど気をつける必要があるだろう。

三点目は、商品開発力の強化。
これまで、中国のコンビニは日本のモデルを参考にすればよかったが、概ねこの手法は導入済みのため、これからは中国特有の需要に合わせた商品開発、店舗開発というものが重要になってくるだろう。
日本でもそうだが、コンビニは最新情報の発信拠点となり得る。
こうした需要がどこにあるのか、情報収集能力も勝敗の分かれ目となりそうだ。

最後に四点目は、上記3点を支える人材の育成。
コンビニの店内は、商品と店員という二つの要素しかない。
良くも悪くも、非常にシンプル。
それだけに、優秀な人材をいかに確保するか、いかに成長させていくかが最も重要だろう。
また、日本でも見受けられるように、こうした店舗スタッフを管理スタッフにも登用するなど、個々人のスキルアップ、キャリアアップに繋がるような仕組みを構築していくことも課題と思われる。

以上、素人目線で中国のコンビニ業界を概観してきたが、筆者にとっても今回のテーマは勉強になる部分が多かった。
これまで国内型産業と思っていたコンビニ業界は、ひょっとしたら海外進出のトップランナーに躍り出るかもしれない。
そのような思いを強くした次第だ。
これからも日系コンビニの躍進を大いに応援していきたい。

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