<中国ブログ>中国サイコウ 元/上海駐在日本人が綴る日中経済の状況など

中国駐在時代の経験・知識をもとに、
最高(サイコウ)の日中関係の再構築を目指し、
日本と中国を再考(サイコウ)する

中国は日本人にとって住みにくい国になる?(為替編)

2014-02-04 | 中国社会学

今回から珍しくシリーズ編を展開しようか・・・と。
まあ、完全な思いつきではありますが。

第1弾となる今回のテーマは「為替」。
要は「円安・元高」についてです。
筆者は現在、駐在していないので直接的には関係ないのですが、阿部政権成立前後からの円安には正直、驚いたものでした。何と言っても円安のスピードが想像以上に早かったですから。。。
いま中国で暮らす日本人の方々、とりわけ1ドル75円台の生活を経験したことのある皆様にとっては、ホント「あのころはよかったなぁ・・・」という想いかと思います。
出来ることなら知恵を働かせて、人民元で資産形成しておけばよかったと後悔している面々も多いはず。そう、何を隠そう筆者もその一人。。。
まあ、後悔しても仕方ないですからね、次の機会を狙いましょう!

もっとも、人民元と日本円の関係については、そんなに楽観しできるような状況ではなさそうだ。
日本では、円安・円高の問題が「物価」を中心に報じられることが多い。
これ自体は間違いではないが、こうした物価に跳ね返ってくるというのは為替変動の効果に過ぎず、本質的にはその原因や傾向を掴むことのほうが重要だということに注目すべきだろう。


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では、今回の急激な円安はどのような要因でもたらされたのか・・・?
それを考える前に、少し頭の体操のようなことから始めたい。

まず、筆者の経験を例にとると、中国駐在当初は90円~100円のレンジで推移していたので、自分としてはこのレンジが基準となってるワケです。
その後、80円前後で推移したため、自分が感じている基準より円高ということになり、結果的に「おっ、何か得してラッキー」という気分になっているのです。
で、安部政権発足後、再び90円台に戻ると「円安で損してイヤになっちゃうよー」なんてコトを感じてたワケです。

ここで何が言いたいかと言うと、「人間は最初に見た風景に左右されがち」ということ。
筆者の例では、駐在当初から円高の恩恵を受けたものの、最終的には元の水準に戻ったという感じだが、2007年ごろに海外赴任した方々にとっては、駐在当初のレートが1ドル120円前後。つまり、単純比較ではあるが、いまの水準でもまだ円高だということになるのです(もっとも、一旦すでに円高の恩恵を受けているので、赴任当初と比べる人は少ないでしょうが・・・)。結局のところ、人によって運・不運もあるワケです。

人間は先入観によって大きな影響を受けがち。こうした為替に関する報道も、メディア各社は数日前、数か月前と比べて「円高」とか「円安」という報道しますからね。よく注意して見てないと、結果的に振り回されてしまうことになりかねません、自戒の念も含めて。。。

こうしたことは株式投資やFXなんかにも通じるところがありますね。
改めて、グローバル化の流れを受けて、経済の勉強はしっかりしないと!という感じです。


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全体の流れはこのくらいにして、本題の日本円・中国元の関係について。
いま「円安・元高」が緩やかに進んでいるが、今後はどうなるのだろうか?
あくまで推測に過ぎないが、筆者も多くのアナリストが予測しているとおり、この流れは暫く続くと考えている(最近は少し円高傾向ですが)。

その理由として、まず挙げられるのは、日本の金融緩和政策。
簡単に言えば、日銀及び日本政府は「デフレからの脱却」を謳い文句にして、金融市場に日本円をジャブジャブ供給しているワケです。これは、リーマンショック後に米国が米ドルをドンドン供給したのと同じ手法ですね。当時はこれによって「円高・ドル安」が形作られたんですが、今回は米国政府が金融緩和縮小、つまり金融市場へのお金の供給を減らす方向を明確にしているので、対ドルで考えると「円安・ドル高」の環境は整っていると言えます。

加えて、日本は東日本大震災以降、火力発電に使用する燃料の輸入急増を背景に大幅な貿易赤字が続いています。日本は元来「輸出国家」なので、ひと頃は当たり前のように貿易黒字を計上していたんですけどね。今となっては懐かしいです。

さらに、度々報道されているとおり、日本の財政赤字はかなり深刻。
国と地方の債務を合わせると1千兆円を超えており、その規模は刻一刻と増え続けているのです。もはや返済する術はないのではないか・・・と。

GDPに関しても、このところ横ばい状態。対して中国のほうは7%台に落ちたとはいえ、依然高い水準をキープしている。2010年に日本と中国の順位が逆転したワケだが、その後の円安・元高を反映して、2014年は中国のGDPは日本の倍に達すると言われている。日本人が思っている以上に、数字の面での差は拡がりつつあるのだ。

日本からみると暗い材料ばかりではあるが、これらは全て真実である。簡単に言えば、日本の経済力は緩やかに下降している過程にあるのだ。だが、この局面でもなおアベノミクスで財政支出を増やし続けているので、劇的に経済が中長期的に改善しない限り、持続可能でないことは明らかだろう。

要するに、日本円は比較的安全資産と言われているが、現状を精査してみると、とても安全とは言い難い状況にあるのだ。
したがって、日本円も弱含み、つまり円安傾向を辿ると筆者はみている。
しかも、今度の円安は下手をすると「日本売り」のような事態に発展しかねない。

翻って、中国のほうは内政問題を抱えつつも、基本的には貿易黒字を堅持していくだろう。しかも、人民元は未だに政府によって管理されており、ここ数年は「緩やかな元高」へと誘導する政策を続けている。中国政府は実にしたたかである。

以上、筆者の独断と偏見による結論は、「円安・元高」傾向は避けられないであろうというもの(まあまあ自信があります)。勿論、世界経済は色んな要素で激変しますけどね。

円安に進むとすれば、現地での生活は節約に向かわざるを得ないということになる。中国人の生活水準が改善される中、現地で暮らす日本人の意識も現地化していく必要があるのでは・・・と感じずにはいられない。大変なんですけどね。。。


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