<中国ブログ>中国サイコウ 元/上海駐在日本人が綴る日中経済の状況など

中国駐在時代の経験・知識をもとに、
最高(サイコウ)の日中関係の再構築を目指し、
日本と中国を再考(サイコウ)する

中国は日本人にとって住みにくい国になる?Vol.2(物価編)

2014-02-07 | 中国社会学

気まぐれで別の記事(為替関連)を挟みましたが、再びシリーズものへ回帰。
まあ、何だかんだ言っても、経済の動向は読みにくいですからね。
あくまで投資判断は個人責任ということで。

それにしても、「中国は日本人にとって済みにくい国になる?」というタイトルは読者の皆さんの心に響いたようで、いつもよりアクセスが増えております。
これは為替が原因だったのか、それともタイトルどおりなのか・・・?
ある意味、今回の記事のアクセス数が試金石となりそうです。
まあ、良くても悪くても、シリーズを打ち切るつもりはないんですが。。。

さて、第2弾となる今回のテーマは「物価」。
前回取り上げた円安も影響してくるテーマではあるが、ここでは現地でのモノの価格や品質を中心に論じていきたい。

筆者が駐在を開始したのが5年前。
その頃と比べると、物価は確実に上がってます!
もっとも、最低賃金の上昇っぷりはハンパないので、それと比べれば大人しいものですが、こうした物価の上昇傾向は一時的に緩やかになることはあっても、下落に転ずることはないと考えたほうがいい。だって、GDPが毎年7~8%もの率で成長している国ですから。。。


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ここで、具体的なモノの価格で検証していきたい。

一般的な世帯(夫婦+子ども1~2名)の生活を基準に考えると、日々の生活で必要不可欠なのは「卵」だろう。日本でも「卵」は物価の優等生として取り上げられていますよね。
この卵を取り巻く環境、日本と中国では随分と違うってこと、皆さんはご存知ですか?
中国の卵は基本的に生食はNG。そこまでの衛生状態が確保できないんですね。
対して、日本では生食が当たり前。生食できない卵なんて、そもそも売れませんから。たかが卵ではあるが、国が変われば常識がまるで正反対になるから、面白いと言えば面白いですね。
ちなみに、訪日した中国人に卵かけご飯を薦めると、恐る恐る口に運んだ後、その美味しさに感動するという場面に出くわすことがしばしばある。
このように日中で常識の違いがあるものの、駐在が決まったからといって長年続けてきた食習慣を変えるワケにはいかない。そこで、日系の事業者が現地生産をやって、いわゆる日本式の卵を販売しているのだ。
何とも現地の日本人にとっては有難い話だが、ここで問題になってくるのは「価格」。文字通り「安全」に食すことができそうな卵は、5年前で10個パックが24元前後(当時のレートで約300円)。日本では特売で1パック98円なんかで売っているので、その高さというものが分かるというもの。
これが現在、27元前後まで値上がりしているが、昨今の円安・元高で日本円換算すると約460円ということに。日本のプレミアム卵を上回る価格ですね。

次に、日々の食卓に欠かせないのが「牛乳」。
一部、牛乳嫌いの家庭もあると思いますが、ここでは考慮しないことに。
この牛乳に関しても、面白いことに日中で常識がまるで異なる。
日本では「成分無調整」が当たり前だが、中国では「復元乳」という濃縮還元のような手法で製造された牛乳が一般的なので、現代日本人の口に合うような代物ではない。
そこで、アサヒビールが立ち上がり、現地で一貫生産を始めた成分無調整の牛乳が「唯品」というブランドの牛乳。何でも土づくりから拘ってるというだけあって、味はなかなかのもの。
ただ、ここでも問題になってくるのが価格で、5年前で1Lが21元前後(当時のレートで約250円)、現在は24元前後(現在のレートで約390円)という具合に。日本国内での実売価格(200円前後)と比べると、2倍近い価格ということになるから、現地での生活は楽じゃない。

その他、生活に欠かせない米やパンといった主食、お菓子、ジュース、洗剤なども徐々に値上がりを続けている。


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あわせて、日本でも報じられているとおり、不動産価格の高騰も悩みの種。
こうした不動産価格の上昇は、賃貸物件の賃料上昇という形で跳ね返ってきており、駐在員は住まいレベルを落とす方向のプレッシャーに晒されることになるだろう。

中国で仕事、生活を続けていくには、以上のような物価高に対処していく必要があるワケだが、これを克服するには2点の「覚悟」をもつことが重要だと筆者は考えている。

一つ目の「覚悟」は、中国で生活する日本人の「現地化」である。
日本企業が中国への進出を始めた1990年ごろは治安も不安定だったので、日本人専用マンションに高いお金を払って住むというのも理解できたが、いまの上海では政治的リスクを除けば、現地のマンションに住んでも治安と言う面では何の支障もない。駐在員の奥様方から猛烈な批判を浴びるかもしれないが、ここは断言できる。現地に溶け込もうとしない限り、分からないというだけなのだ。
一般的にグレードが同等でも、日本人専用マンションでは賃料が2倍近くになるなんてことはザラである。これも大企業の総務担当者が知らない事実なのだ。
とりわけ大手企業(関連会社を含む)の従業員は無条件にこうしたマンションに入居する傾向が強く、かなりの割合で現地の生活を腰掛け気分で過ごすことが多いように感じる。しかも、ヒラ社員から管理職までほぼ同等の部屋を確保するワケだから、現地スタッフが不平不満を言うのもある程度理解できる。
ちなみに、こうした日本人専用マンションの賃料は2LDKで月当たり2万元(約35万円)、3LDKでは日本円で40万円を超えるというケースも多い。
少なくとも現地の状況を冷静に分析し、職責に見合った賃料の設定を行うべきと言えるだろう。まさに、駐在員自身、及びその家族の覚悟が必要なのである。

二つ目の「覚悟」は、中国でビジネスを展開する日本企業の「本気度」である。
卵と牛乳の例で取り上げたとおり、現在は日本と同等の食材を手にすることが可能となったが、その代償として高コスト負担という重荷を背負わされている。日本人ですら厳しいのだから、一部の富裕層を除く現地の人々には受け入れられる価格帯ではないことは明らかだ。
原材料の安全性や生産管理の難しさ、果ては土壌汚染といった問題を抱える中国で、安全・安心な食品づくりが想像以上に難しいことは理解できる。
でも、このハードルを克服しない限り、巨大な中国の消費市場を席巻することはできない。現在のように「必要なコストを転嫁し、必要とする消費者だけに買ってもらう」というスタンスでは大きな拡がりは期待できないのだ。言葉は悪いが、まさに「日本人の、日本人による、日本人のための食材づくり」となっていないだろうか?
難しいことは重々承知のうえで、現地の人たちが納得して購入できる価格帯で安全・安心がある程度確保されたモノづくりを目指すことを大いに期待したい。
何と言っても、ここは中国企業が最も苦手とする分野なのだから。。。

長きにわたってデフレが続く日本での生活に慣れた我々にとって、物価上昇が避けられない中国で生活を続けることは想像以上に容易ではない。だからこそ、自分たちの現地での向上させ、ひいては中国という国全体の生活向上に資することを目標にする姿勢が求められていると言えそうだ。


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