<中国ブログ>中国サイコウ 元/上海駐在日本人が綴る日中経済の状況など

中国駐在時代の経験・知識をもとに、
最高(サイコウ)の日中関係の再構築を目指し、
日本と中国を再考(サイコウ)する

人口問題に着手し始めた中国政府、その成否は・・・?

2013-11-26 | 中国社会学

超久々の更新となってしまいました。申し訳ないです。。。
約2ヶ月ぶりなので、このブログ、もう閉鎖じゃないか?と思った読者も多いかも知れませんね。
この間、途中まで書いた記事もあったんですが、どうも最後まで筆が進まず、諸事に手をとられるまま、更新できずに今日に至ってしまいました。
ということで、辞めたワケではありませんので。

ちなみに、今週以降はソコソコ時間が確保できそうなので、以前ほどではないですが、ボチボチ更新していこうと思っています。
お時間の許す方は時々覗いて頂ければ幸いです。

さて、本日は「人口問題」について。

中国は1990年代の改革開放政策以降、豊富な労働力を背景に「世界の工場」と呼ばれたが、それも今は昔のこと。
2012年、中国は遂に労働人口減少社会に突入することに。
先日開催された中国共産党第18 期中央委員会第3総会(3中総会)で、夫婦のいずれか一方が一人っ子であれば2人目の出産を認めるとしたのだ。
急激な人口増加、大げさに言えば人口爆発を回避するために導入された「一人っ子政策」。ここ20年で驚異的な経済成長を実現しつつも、その人口が13億人程度に抑制されているのは、まさにこの政策の功績と言えよう。
ただ、同時に「人口構造の歪み」という「罪悪」を生じさせたことも事実。
2年ほど前にも、夫婦双方が一人っ子の場合、2人目の出産が認められたが、その効果は今ひとつ。。。
その原因は、後ほど詳述することに。

もっとも、この政策、まずは全国統一とせず各省・自治区・直轄市など行政単位の裁量に任せるとみられている。
北京市が早ければ来年上半期にも全国に先駆けて先行導入する見込みで、まずは所得水準の高い大都市部での反応を見極めながら、全国展開を図っていくものとみられる。
中国の場合、国土がべらぼうに広いですからね。
田舎に行けば行くほど、政策は徹底しません。だって、政府の目が行き届きませんから。
よって、地方では今でも一人っ子政策は形骸化していると言われている。
「戸籍を持たない人」って、まさに農村部で生まれた第二子以降の人たちですからね。こうした人々が、中国の発展を「労働力」という形で下支えしていたワケでして。。。


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さて、今回の政策転換によって、実際のところ、どこまでの効果が期待できるのだろうか?

国家人口計画出産委員会の調査では、一人っ子政策が緩和された場合に2人目の子どもを産みたいと答えた女性は50~60%と高い割合を示した。
いまの子育て世代は、まさに一人っ子政策のもとで生まれた世代なので、兄弟や姉妹というものへの憧れが相当強い。このあたりの感覚は、日本人にはちょっと理解しにくいものがあるだろう。
余談になるが、こうした環境にあるせいか、中国人は懇意になった方々を「お兄さん」、「お姉さん」と呼ぶことが多い。大げさに言うなら、10年もすればアニキ、アネゴだらけといった感じである。
対して「お母さん」や「お父さん」はそれほど増えないので、その憧れの強さが分かるというもの。

こうした事象を鑑みると、今回の政策転換にかなり期待が持てそうな気がしてくるが、現実はそんなに甘くなさそうだ。
実際のところ、政府筋も意向と実際には大きな隔たりがあり、2人目の出産を選択しない女性が多いとみているようだ。俗にいう「理想と現実」というヤツか。。。

筆者なりに状況を分析すると、この理想を阻む要因は以下の3点と考える。

まずは、教育費の問題。
中国はいま、日本人が考える以上に「学歴社会」。
以前、日本社会が体験した「お受験戦争」に勝るとも劣らない世界なのだ。
経済発展著しい中国にあっても、希望する職業に就くことは至難の業。
大学進学率が上昇した現在、日本以上に就職戦線は厳しい。
よって、子どもに掛かる教育費もハンパではない。
月間の学習塾代が日本円で5万円を超えることも珍しくないため、簡単に二人目を生むことはできないのだ。


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次に、女性の社会進出に関連する問題。
中国は、日本と違って「共働き」が当たり前。
女性が若くして管理職に就くことも珍しくなく、日本と違って結婚しても姓が変わることもない。日本も変革の途上にあるが、そもそも女性の意識が違うのだ。
よって、都市部では母乳で育てるなどということは「夢物語」に近いものがある。
働く女性はギリギリまで産休を取得せず、産後半年もすれば、さっさと職場復帰するのである。コレ、現地で生活した肌感覚でいうと、中国人女性は子ども好きではあるが、四六時中、子どもの世話をするのはチョット・・・という方が多いように感じる。これも前述した独立心の強さが影響しているのだろう。
結局のところ、子育てはリタイアした祖父母の手に委ねられることになる。
祖父母にとって、孫は宝のような存在ではあるものの、二人となると世話する労力も倍増。しかも、二人同時に育てたという経験も有しておらず、お断りの姿勢を示す祖父母も多いようだ。

三つ目は、生む側の違和感。
上記の祖父母同様、兄弟・姉妹のある環境で育った経験がないため、どうやって育てたらいいのか、言いようのない不安があるようだ。
まあ、周囲にもそんな家庭が稀にしかないワケだから仕方ない。
だから、日本人が3人も4人も生んだ、あるいは3人もの子供たちと一緒に行動しているというと、中国人にとっては好奇以外の何物でもない。「年齢が近いと、案外、勝手に育つものだ」と言っても、中国人の頭の中は???だらけとなっているらしい。
筆者も駐在時、現地スタッフに「二人目を生むか?」と聞いたことがあるが、ほぼ例外なく「NO!」。
それほど現実は厳しいのである。

上海のような大都市部では、相変わらず不動産価格の高騰が続いている。
終の棲家と同様、二人目の子をもつというのは、まさに「高嶺の花」ということか。。。


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