CHIKU-CHANの神戸・岩国情報(散策とグルメ)

神戸・岩国の最新情報を中心に紹介していきます。歴史や時事について調べた結果を紹介。

NHKBSプレミアム生中継  闇と炎の秘儀 お水取り  〜奈良・東大寺修二会〜を視聴して

2021年03月31日 03時46分04秒 | 奈良情報

2021年3月13日、NHKテレビBSプレミアムで下記の番組を視聴しました。

 生中継  闇と炎の秘儀 お水取り  〜奈良・東大寺修二会〜

第1部 3月13日(土)午後6時30分~午後7時30分
 
第2部 3月13日(土)午後10時30分~3月14日(日)午前1時15分
 
 
東大寺二月堂修二会は、開山良弁の弟子実忠が天平勝宝四年(752)二月に観音像を
安置して十一面悔過の行法を修したのを創始とするといわれ、以来、治承四年(1180)
平氏の南都焼打、寛文七年(1667)の二月堂焼亡や先の大戦敗戦などのいくたびかの                  災禍があったにもかかわらず、1270年間継承され現在におよんでいます。

コロナ禍、感染症対策のため2021年は参観が制限されたが、NHKが特別な許可を得て                 ライブで修二会の秘儀が生中継されました。史上初めての出来事であった。                      秘儀の中でもインドやペルシャの影響があるといわれる聖なる炎の儀式「達陀(だったん)」             は圧巻であった。 天下泰安・万民快楽(けらく)・五穀豊穣・疫病退散を祈り、繰り広げ               られた伝統行事の中継は貴重でお水取りの意義や易しい解説は非常に役立ちました。

悔過(けか)とは誤りを悔い改めることを意味しています。

本ブログでは修二会(しゅにえ)の全体像を上記番組および奈良国立博物館の特別陳列

「お水取り」2015年3月1日~3月14日(資料1)を参照して纏めてみました。

出演者



東大寺長老 森本公誠さん(過去28回 参籠を経験 東大寺218世別当)
ゲスト:夢枕獏さん、和田彩花さん
司会:阿部陽子アナ  ナレーションは諏訪部順一さん

懴悔童子として5人の方がTwitterで感想などを述べられました。

東大寺二月堂修二会概要説明

お水取りは正式には修二会(しゅにえ)と言います。
御本尊の十一面観音に罪過(ざいか)を懺悔(ざんげ)し、五穀豊穣、除災招福
を祈る悔過(けか)の法会です。

3月1日から14日にかけて心身を清めた11人の僧(練行衆)が参篭(さんろう)し、
体を投じて懺悔する「五体投地」などの儀式に臨みます。

もとは旧暦の2月1日から行われていました。
「二月に修する法会」という意味で修二会(しゅにえ)と呼ばれるようになりました。
法会は一般には正月に行われ修正会と呼ばれます。
修正会(しゅしょうえ)は平安時代中期以降は諸大寺で一般的に行なわれるようになった。
二月堂の名前もこのことに由来しています。

行中の3月12日深夜(13日の午前1時半頃)には、「お水取り」といって、若狭井(わかさい)
という井戸から観音さまにお供えする「お香水(おこうずい)」を汲み上げる儀式が行われる。
また、この行を勤める練行衆(れんぎょうしゅう)の道明かりとして、夜毎、大きな
松明(たいまつ)に火がともされる。このため「修二会」は「お水取り」・「お松明」とも
呼ばれるようになった。

 

東大寺二月堂と周辺

上の写真はライトアップされた東大寺二月堂

 

上の写真はGoogle地図に修二会関連のお堂などを追記したものです。

 

上の写真は二月堂周辺の修二会関連施設 出典:資料1

上の写真は参籠宿所の平面図 出典:資料1

上の写真は二月堂内の配置図  赤はカメラのアングル

 

11名の練行衆

 修二会に参籠する練行衆は東大寺と末寺から11名が選ばれ、開山忌の12月16日に

 翌年の練行衆が発表されます。

 11名の練行衆は次の役目をするメンバーで構成されます。

  四職(ししき) 下記の4名

   和上(わじょう)  戒を司る

   大導師(だいどうし)法会執行の責任者

   咒師(しゅし)   密教作法を司る

   堂司(どうつかさ) 進行や事務的事柄を監督

  平衆(ひらしゅ) 四職以外の7名

          総(北)衆之一(衆之一) 北座衆の長であるとともに平衆の長
   南座衆之一(南衆)     南座(なんざ)衆の長
   北座衆之二(北二)     北座の次席
   南座衆之二(南二)     南座の次席
   中灯之一(中灯)      会中の記録役、かつては二人いた時代もある
   権処世界(権処)      処世界を補佐
   処世界(処世界)      堂内の掃除、準備等

練行衆に加えて童子(法会の雑事を担当)など28名を加え総勢39名により法会は進行
 
 
修二会行事次第
3月1日から3月15日までの行事が一覧表で纏められています。(下の表)
出典:資料1
 
六時の行法
 1)日中(にっちゅう)
 2)日没(にちもつ)
 3)初夜(しょや)
 4)半夜(はんや)
 5)後夜(ごや)
 6)晨朝(じんじょう)
 
五体投地(ごたいとうち)
「南無観(なむかん)」を唱え続ける「宝号」が終わりに近づくと、練行衆の一人が
 内陣から礼堂に進み出て「五体板」に右膝を激しく打ち付けます。
 上述の六時の行法の全てで五体投地が行われるので6回×14日で計84回実施。
 
 

2021年お水取りの日程

お松明
3月1日(月)~11日(木)   19時(10本)
3月12日(金)         19時30分(11本)
3月13日(土)         19時(10本)
3月14日(日)         18時30分(10本)
 
上の写真はお松明の場面
12日と14日以外は19時に大鐘が撞かれ、それを合図に「お松明」が始まります。
 

通常10本の「お松明」があがる。 ただ、12日だけは、全ての練行衆が上堂するので

11本の「お松明」があげられることになります。



走りの作法
3月5日(金)         24時30分(0時30分)
3月6日(土)         23時30分
3月7日(日)         23時30分
3月12日(金)        24時30分(0時30分)
3月13日(土)        23時
3月14日(日)        22時
 
走りは半夜の中で行われます。
 まず、7人の平衆が互為鈴で平衆の上役である四職を招き寄せるところから始まる。
 以下、四職入堂、発願、互為加持、四方加持、和上最上、次第最上、上座五体
 如来唄と続きクライマックスの走り五体へと進行していきます。
 次第最上のところで帳が上げられ内陣内の須弥壇を観ることが出来るようになり
 帳降ろせのの合図で走りの作法は終了します。
上の写真は走り五体の場面 2021年3月13日の23時40分頃
上の写真は下七日の須弥壇(2021-3-13 半夜 走り 走り五体)
須弥壇の中央には小観音の厨子が配置されています。
小観音(十一面観音)は秘仏で誰も見たことが無いはずであるが「類秘抄」【勧修寺
法務寛信(1084-1153)が保安4年(1123)に編纂した図集】に東大寺の小観音の絵が
収納されています。下の写真。
 
走りを始めたのは東大寺第一世別当、開山良弁の弟子実忠です。
 
上の写真は東大寺開山堂に祀られている実忠像(修二会の創始者)
番組では修二会の走りが開始された経緯について解説があった。
実忠が笠置寺に籠り修行している時に龍穴(こけつ)から異世界に飛び込んだ
上の写真は笠置寺の龍穴
 下記サイトに詳しい説明があります。
  院笠置0729 笠置寺 千手窟  東大寺・お水取り - アートプラス京めぐり (goo.ne.jp)
上の写真は異世界で天女が十一面観音の前で懴悔を行っている場面。
異世界は弥勒菩薩のおられる浄土、兜率天(とそつてん)であった。
実忠は人間の世界でも行いたいと天女に頼んだところ「異世界では一夜でも人間世界
では400年に相当し無理である」と天女が答えた。それに対し実忠は「ならば走って
行を行えば良い」と答えた。これが走りの作法が始まった由来である。
上の写真は十一面観音菩薩の最上の像を図示
 
  走りのキーワード
    大悲者  大いなる慈悲の者という意味で十一面観音のこと
    南無最上 十一面観音の一番上にある像に謹んで礼拝しますという意味

お水取り
3月12日(金)        25時30分(1時30分)
 
お水取りは若狭井(わかさい)という井戸から観音さまにお供えする
「お香水(おこうずい)」を汲み上げる儀式が行われる。
実施場所は閼伽井屋。

達陀(だったん)
3月12日(金)        27時30分(3時30分)
3月13日(土)        25時(1時)
3月14日(日)        23時30分
 
達陀は後夜の最後、晨朝の前に行われます
達陀では堂司と平衆が八天(火天、水天、芥子(けし)、楊枝、太刀、鈴、錫杖、法螺)
となり、手に持つ呪物で道場を加持し、内陣正面から礼堂に向けて交互に走り出ながら
躍動的な所作を行う。中でも火天は達陀松明を抱えて内陣を廻り、法螺貝、錫杖、鈴の
音が響き渡る中、水天と向かい合いながら跳躍、最後は礼堂に向かい松明が投げ倒される。
上の写真は後夜 達陀 松明加持の場面
密教系寺院の修正会での鬼踊りとの共通性を感じた。
(火天と水天が鬼に相当)
 
 八天加持の後、松明点火松明加持へと進む
 インドの言葉で「ハッタ」の合図で火天は松明の炎を消し、直立させます
 
 
お松明の動画紹介
 
お松明 on 2021-3-1
東大寺二月堂「お水取り」
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする