CHIKU-CHANの神戸・岩国情報(散策とグルメ)

神戸・岩国の最新情報を中心に紹介していきます。歴史や時事について調べた結果を紹介。

新型コロナウイルス禍のクルーズ船・ダイヤモンドプリンセス(Diamond Princess)号

2020年06月07日 05時08分08秒 | Weblog

まえがき

2020年1月20日に横浜港を出発したダイヤモンドプリンセス号は途中、香港や

ベトナムに寄港し2月3日に横浜に到着した。

しかし、航行中の1月25日に香港で下船した乗客が、1月23日から咳を認め、

1月30日に発熱し、2月1日に新型コロナウイルス陽性であることが確認された。

このことから船内にも新型コロナウイルスの感染者がいるのではと大変な騒ぎとなった。

そのため、日本政府は2月3日横浜港に入港したクルーズ船に対し、その乗員乗客の下船を許可しなかった。2月3日からの2日間、全乗員乗客の健康診断が検疫官により行われ、症状のある人、およびその濃厚接触者から新型コロナウイルスの検査実施のために咽頭ぬぐい液が採取された。2月5日に検査結果よりCOVID-19陽性者が確認されたことから、クルーズ船に対して同日午前7時より14日間の検疫が開始された。クルーズ船には、乗客2,666人、乗員1,045人、合計3,711人が乗船していた。

本ブログではその経過をファクトとして纏めることにしました。

 

長い間、横浜港に停泊していたダイヤモンド・プリンセス号は5月16日に横浜港を出港

(船は乗員を帰国させるためマレーシアに向かった)

5月31日現在、乗客・乗員の感染者数は712人、死者は13名である。

(死者数については12名~16名の報道がありハッキリしない)

参照資料

4月19日の20時、8ch(関西テレビ)で放送の日曜THEリアル!・シンジジツ

「豪華客船新型コロナ感染拡大舞台裏その時政府は」も参考にして纏めました。

特記の無い写真は上記の番組からのものです。

その他の資料ではダイヤモンド・プリンセス号現地対策本部報告書(2020-5-1)

 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000627363.pdf を参照

神戸新聞2020年4月25日 22面 「クルーズ船内で検疫ー学ぶことは」も参照

経過

1月20日  クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」が横浜港を出港

上の写真クルーズ船の日程(16日間のクルーズ)

感染源となった香港在住の80歳の男性は1月25日に香港で下船

 

乗客は56の国と地域から2,666人、乗員は1,045人、合計3,711人が乗船

1月31日 厚労省 那覇検疫所にダイヤモンドプリンセス船内に10人以上の発熱者が

    いるとの連絡が入る

2月1日 那覇港で検疫の実施、検疫で体温測定と問診しOKを出した乗客は沖縄観光

    (PCR検査は不実施)夜、那覇港を出港 2月2日は洋上

2月2日 未明に香港当局が香港で下船した男性の感染判明したと公表

                厚労省はIHR通報により把握

2月3日 横浜沖に停泊

    夕方、船内乗客へもこの事実は知らされた(しかし乗客の危機感は薄い)

    実際に船内でアナウスされた内容を添付しておきます。

   午後、厚労省は那覇検疫所より発行された仮検疫済証の失効を船長に通告

    夜(20時40分)、船内で検疫開始

2月4日 検疫は3時頃まで実施後、中断し朝8時頃より再開

    乗客は船内を自由に移動でき、イベントやビュッフェ形式の食事も通常どおり

    実施されていた。職員はマスクをしていなかった。

    厚労省は晩にPCR検査結果で陽性者(乗客、乗員)がいることを把握

    全員の検疫実施及び下船は延期の判断。

    横浜市より神奈川県庁に連絡(4~5人の救急搬送依頼)

2月5日 朝、検疫所の指示で乗客に個室に留まるよう船長よりアナウス

    (船長へは横浜検疫所長より説明、厚労省の正林審議官より要請)

    PCR検査の結果、31人中10名が陽性であることが判明(これで危機感高まる

     陽性者のうち日本人3人、外国人7名(この時点では重症者なし)

     中国人3人、オーストラリア2人、米国1人、フィリピン(乗員)1人

       2人は香港で降りた乗客の濃厚接触者

     香港で降りた乗客は1月22日、鹿児島で乗客39人と共にバスツアーに参加

     10人の感染者は横浜の病院に搬送

    これより、乗員・乗客ともにマスクをするようになる。

    厚労省より連絡を受けた神奈川県庁健康危機管理課の対応

    (受け入れ病院の探索と依頼、神奈川DMATの出動要請)

    政府は全員を船内隔離とする方針

乗客「当分帰れない」缶詰め状態、食事は客室に

乗客の検疫終了の要件は下記の3点

 1)個室管理における健康観察期間の経過

 2)健康観察期間中(潜伏期間を考慮し個室管理開始より5日目以降)PCR検査陰性

 3)医師による健康確認及び下船時の検温で健康状態に問題がない事

 

2月6日 PCR検査 71名中10名が陽性 61名が陰性

  陽性者(日本人4名、米国人2名、カナダ2名、ニュージーランドと台湾が各1名)

  Am8時55分頃、クルーズ船は横浜港に着岸(食料など物資補給)

  国立国際医療研究センターに搬送された3人の軽症の感染者(日本人2名、中国人1名)

  に対して抗HIV薬を投与した後に症状に改善がみられた。

2月7日 PCR検査 171検体中、41人が陽性 130人が陰性

    午前11時頃、船内アナウスで「41名の感染者が出た」

    薬不足が深刻と訴える日本人乗客の垂れ幕がニュースに流れた

 この時点で日本での感染者 86人(内 クルーズ船から61人) 

  参考:中国3万1,161人、米国12人、ドイツ12人、英国3人、仏6人、ロシア2人

DMATはDisaster Medical Assistance Teamの略で災害派遣医療チーム

その他、医学対応としては船内メディカルセンター、AMAT(全日本病院協会災害時

医療支援活動班)、JCHO(地域医療機能推進機構)、日赤医療班、自衛隊医官

と厚労省、検疫所が協力連携して実施。

 カテゴリーⅠ COVID19か否かによらず緊急医療を要するもの、船内生活困難者

 カテゴリーⅡ COVID19による健康被害が高いもの(ハイリスク者)

 カテゴリーⅢ PCR検査陽性者(無症状)

搬送先医療機関の調整は、DMAT、神奈川県、厚労省が連携して実施

自衛隊も派遣された。

2月8日 3人が陽性

    高熱を出す乗客・乗員が増加「野戦病院」化

    医療体制が追いついていない。

    医薬品の補充についても遅れが生じた

2月9日 6人が陽性

    衣服を回収して洗濯するサービスが再開(利用しない乗客も多い)

2月10日 65人が陽性

             DMATからの要請で日本環境感染学会から東京慈恵会医科大学の吉田

   教授(感染制御科)を含む専門家3名?が派遣、船内の感染症対策を実施。

   ただ3日間で下船(学会理事長からの指示)このことでDMATからは

   非常に怒りを買い非難された。

2月11日 厚労省現地対策本部を設置

     男性検疫官の感染判明(質問票の回収や体温の測定で2/3~2/4に勤務)

     

2月12日 39人が陽性

                   4人が重症に

2月13日 44人が陽性  この時点で累計218人

2月14日 持病がある80歳以上の下船開始(政府宿泊施設へ移動)

     2/14は11名、2/15は1名、2/16は15名、2/17は28名 計55名

     船室の消毒(10室) 請負業者は株式会社コーナン 2/15に48室

  この頃「恐ろしい公衆衛生の実験」「第二の感染中心地」など2週間の

  船内隔離に対して米国メディアを中心に論調が厳しくなった

  米国務省は米国人の乗客らを早急に退避させる準備に入った(実施は2/17)

  日本医師会の医療チーム派遣(国の要請による) 医師・看護師、約20人

2月15日 67人陽性

2月16日 70人陽性 この地点で1,219名を検査し355人の感染者となった。

     重症者は19人(この内、日本人は11人)

2月17日 99人陽性  米国人らが下船 329名(うち乗員4名)

       米国人の下船者で14名の陽性者がいたが飛行機内で隔離して搬送

       米国テキサス州のラックランド空軍基地で2WKs経過を看る

   この地点での国別感染者数は日本212人、米国71人、フィリピン37人、カナダ32人

   オーストラリア26人、香港13人、英国13人 イスラエル3人

2月18日 88人陽性

     DMATの男性看護師が感染

     この地点で542人が感染

     神戸大医学部の感染内科の岩田健太郎氏がDMATの支援で乗船

     岩田教授は2月19日には下船

     岩田教授は自身の著書(下に添付)でこの時の様子を詳述されています。

 

 関連として岩田教授に東洋経済の記者が取材した内容について記載のサイトへ

 リンクさせていただきました。

  https://toyokeizai.net/articles/-/335971

 

2月19日 検査で陰性となり健康観察を終えた乗客の下船が始まる

     2/19は443名、2/20は274名、2/21は253名の合計970名が下船

     79人陽性 この地点で621人が感染

     この地点での重症者数は29名

     韓国の乗客・乗員が下船 7名(うち乗員4名)

2月20日 イスラエルの乗客11名が下船

     香港の乗客195名が下船(3/20以外に3/21,3/23にも下船)

     オーストラリアの乗客・乗員が下船(うち乗員1名)

     日本人の乗客、80代男女の2名が死亡(乗船者の死亡は初)

2月21日 カナダの乗客・乗員が下船 129名(うち乗員3名)

     台湾の乗客19名が下船

     イタリア/EUの乗客・乗員が下船 37名(うち乗員20名)

2月22日 2月5日以降、同室者が陽性であった等、濃厚接触者89名を国内宿泊施設へ

     移送し、そこで検疫を継続

     イギリスの乗客・乗員が下船 32名(うち乗員11名)

     ロシアの乗客 8名が下船

2月25日 フィリピンの乗客・乗員が下船 445名(うち乗員441名)

2月26日 インドの乗客・乗員が下船 124名(うち乗員118名)

3月1日  インドネシアの乗員が下船 69名 この時点で乗客・乗員の全員が下船

 

関連サイト

  厚労省 報道発表の一覧(ダイヤモンドプリンセス関連)

   https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00108.html

  国立感染研究所による環境検査結果

 

厚労省・橋本岳副大臣「正直、何が起こっているか...」当時の状況語る

 

NHK ニュース しぶ5時で総括

上の写真は6月4日 17:04頃 NHK ニュース しぶ5時で岩田解説員が説明

されたパネルです。

政府としては封じ込め成功の評価を強調

 

神戸港に入港したダイヤモンド・プリンセス号

 

ダイヤモンドプリンセス(Diamond Princess)が神戸港に初入港 on 2014-4-13 その9

 

神戸においても横浜でおきた事象を十分情報を集め、どのように対処すべきか訓練や

体制を整えていく必要があります。

 

得られた教訓

個人的な見解も含まれるため的確な指摘かどうか自信がありません。

DMAT、厚労省など当事者は力の限り頑張って対処されたと思います。感染症に対する

経験不足やPCR検査体制の脆弱さ、医療チームの人出不足などで最善の対処が

出来なかったのも事実だと思います。

今後、どのようにすべきであったかを徹底的に議論することが必要。

1)感染者減には早期下船を 2次・3次感染の防止

2)CDCのクルーズ船への対処・指針を参考に日本の状況に準じた指針の作成

3)感染症の専門家を連携まとめる組織の創生

4)クルーズ船寄港地の地方自治体における体制整備

5)FETPのような訓練・教育プログラムを感染症の各分野で実施

6)検疫作業は船外で実施

  PCR検査の同意書は検疫官の聞き取りで実施

7)対策本部・医療チームなども船外に設置するのが望ましい

8)感染者とのコミニュケーションも出来る限りIT機器活用で実施

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする