「いっぽ」のつぶやき

健康に福祉にボランティアにと、自分らしい人生を過ごすために、一歩ずつ歩んでいる「いっぽ」のつぶやきです。

人工呼吸器をつけたオーナー

2007-07-18 06:39:23 | 感動した話
昨日、テレビで人工呼吸器をつけたフィットネスクラブのオーナーが紹介されていました。
鹿児島県薩摩川内市の迫 里深(さとみ)さん27歳です。
子どもの頃から活発で、中学校、高校とバスケット部に所属し、念願のフィットネスクラブのインストラクターとして働き始めた21歳のとき、バイクに乗っていて、わき見運転の車にはねられました。
当初、意識不明の重体で、一命は取り留めたものの、脳幹部に損傷を受け、まばたき以外、まったく動かない状態になってしまいました。
呼吸もできないので、人工呼吸器ですし、食べることもできませんので、栄養分はお腹に開けた穴からチューブで流し込みます。
回復の見込みもなく、生きていく望みも持てず、死にたい、死にたいともらしていたそうです。

しかし、リハビリ専門の先生に励まされ、必死で努力を続けるうち、顔の表情が出るようになり、車椅子にも乗れるようになりました。
声は出ないのですが、口の動きを見てお母さんが代行し、会話もできるようになりました。

首から下はまったく動かず、普通だったら寝たきりが当たり前なのでしょうが、持ち前の明るさと根性で、フィットネスクラブに自分に出来る仕事をしたいと訴えたのです。
車椅子に乗れるといっても、体はまったく動きませんし、会話もお母さんを通じてしかできません。
そこで会社は、彼女にできるものとして、フィットネスクラブのオーナーという仕事をくれたのです。
そんな彼女の頑張りに、多くの障害者が励まされ、兵庫から講演の依頼がありました。

もちろん、彼女はすぐに行くつもりになったのですが、ドクターストップがかかってしまいました。
そのころ体調が悪く、黄疸が出ていて、出発の一週間前に胆のうの手術をしたばかりだったので、3週間は安静が必要という診断でした。
鹿児島空港から伊丹空港まで行き、それから車と新幹線で乗り継いで、ホテルまでの長旅に耐えなければならなかったからです。
それでも、彼女はどうしても行きたいと反対を押し切って出発しました。

空港では人工呼吸器が外れたり、飛行機では体勢が安定せず、苦しそうな表情です。
新幹線では呼吸器がバッテリー切れを起こしたり、ホテルに着くとエレベーターで気分が悪くなったり、部屋に入ってほっとしたとたん、呼吸器が外れてしまったりと、なんども命の危険にさらされました。

それでも、講演会会場で、恩人のリハビリの先生に会えたり、会場に来られたみなさんから声をかけられ、とても嬉しそうでした。
今の目標は、フィットネスクラブの経営を安定させることだそうです。
毎日が命がけの暮らしで、どうしてそんなに明るくできるのか不思議なくらい、里深さんもお母さんも、とても笑顔が素敵でした。
人にはこんなにすごいエネルギーがあるんだなぁと感心させられます。
普通の生活をしていて、不平不満を言ったりしたら、恥ずかしいですね。

コメント
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