チャレンジ鍼灸師82歳:今、新しい医学・医療創造の志に燃えて生きる!

青春時代の社会変革活動の挫折をのりこえ、鍼灸の道へ。

はり灸健保推進:私の戦いの跡を辿りながら・・・・・21

2013年11月30日 | 鍼灸健保問題

岸・鍼灸健保裁判は、
宇都宮地裁での
平成3年10月31日の「第1回公判」から
「医療先行なし」という理由での不支給が全国的に皆無となり
「医師の即日同意」がOKとなった

平成9年11月1日の「保険発150号通知」の発行による
「訴訟取り下げ」まで6年間の取り組みでした。


この間、
10数回に及ぶ、法廷闘争と全国の同志の支援活動によって、
鍼灸の健保の問題点が浮き彫りにされ、
健康保険法上の「療養の給付」と「療養費」の法的意味が
鮮明となりました。


そして
「保険発150号発行」以後の業界の一致した行動により
多少の困難を残しながらも、
「療養費」として解決しうる問題点は、ほぼクリアし、
これからの課題を明確にしました。


しかし、残念ながら、
業界にも、この裁判を闘った仲間にも
この「これからの課題」は理解されていません。

私は、この裁判を簡明に総括して、
未来への展望を開こうと思います・・・・・


はり灸健保推進:私の戦いの跡を辿りながら・・・・・20

2013年11月29日 | 鍼灸健保問題

「公開審査」は、被保険者の代弁者も発言し、
いかにも公平な制度のように見せながら、
実は、
「国の考えを追認するに過ぎないインチキ制度」
であることが明白になりました。

いよいよ「行政訴訟」へのスタートです!

棄却された3件の事例の患者さんには
すべてこれ以上の取り組みは敬遠されてしまいました。

国との戦いは患者さん自身の戦いです。
心から、鍼灸治療への信頼を持ち
現行の理不尽な制度に怒りをもち行動してくれる
患者さんの選択が重要な課題です。


その後も、
同じ理由での何人かの「不支給処分」を受けた患者さんはいましたが、
ほとんど、そのまま諦めてしまい、
なかなか「不服申し立て」→「行政訴訟」を決意してくれる患者さんは
みつかりませんでした。

そして、やっとの思いで、I.Kさんがその気になってくれました。
県審査官・社会保険審査会の「棄却」決定を待って
いよいよ「提訴」という段階では、
彼女も動揺していまい、提訴は諦めると言い出されてしまいました。

私の女房の説得で、やっと提訴期限の土壇場で
決心してくれて、訴訟にこぎつきました!

しかし、
「訴状」の裁判所への送達が
「審査会の裁決書のI.Kさんへの到達の日付からみて、1日遅れた」
という難くせのような手続き上の理由によって
「提訴」は棄却され、すべての取り組みの努力は水泡に帰しました。

この、提訴にはいるまでに、
東京1名・宇都宮2名の3名の弁護士が献身的に協力してくださる
ことになり、「鍼灸健保裁判・弁護団」結成されました。

私は、「弁護団」に支えられ、アドバイスを受け
新しい観点から、再スタートしました。

今まで
「医師による適当な治療手段のないものとはいえない」という
「医療先行なし」という理由での「不支給」を対象として
取り組んできましたが、
これでは問題点が、一般の人にはわかりにくいから、
「医師の治療との併給が認められないのは違法だ」
として戦ったほうがいいのでは、
という弁護団のアドバイスに従い、
私の治療と医師の治療を受けている
はじめから戦う姿勢の明確な患者さんを探しました。


そして、私が「鍼灸師」になる前からの知人の奥さんが
「私が立ち上がる」と決意してくださいました。

この「岸イヨ」さんが「原告」になる
新たな訴訟への取り組みが始まりました。


医師にも治療を受けている「五十肩」で
「鍼灸療養費」の支給申請を提出し、
「不支給」の採決を受け、直ちに「不服申請」し
審査官の採決を待たず、60日の経過をへて、
「審査会」へ「再審査請求」をし、「棄却」の採決を待ち、
直ちに宇都宮地裁へ「訴状」を提出し
「行政訴訟」が、最短の時日でスタートしました!



はり灸健保推進:私の戦いの跡を辿りながら・・・・・19

2013年11月29日 | 鍼灸健保問題

平成元年3月30日の「社会保険審査会」で公開審査され
冒頭で「不支給処分を取り消された
4件の内の1件は

当時の不支給事例の中で一番多い
「即日同意」というものであり、
他の3件はどう考えても「不支給」とされる理由のないものとしか、
考えられない「事例」であった!


私は、この事例でのたたかいが「行政訴訟」への道につながると
考えていた。

これは、「即日同意」と言って、当時まず「不支給」となるのが
当たり前であった。

私が患者に紹介した近所の医師の「初診」によって発行された
坐骨神経痛の「同意書」を添付したもので
「医師の初診日、同意日、鍼灸師の初療日」が全く同一
のものであった。

これが、公開審査の場で「不支給処分」が撤回された意義は大きい。

当時厚生省自身が
「医師からなんらの治療も受けず、最初から鍼灸を必要とするような
同意は適当ではありません。」
と通知で行政指導していたからである。
これが
「医師による適当な治療手段のないもの」という「支給要件」とともに
「医療先行」の有無を問い
不支給処分」の根拠とされていたのである。


しかし、平成2年1月31日の採決によって
残った3件は、すべて「再審査請求棄却」とされた。

その理由は
いづれも「イチャモンつけ」としか言いようのない「屁理屈」であり
とにかく患者の言い分など「聞く耳を持たない」という
「社会保険審査会」の官僚追従の態度の表明であった。

3件のうちの2件は
「医師によって、永い期間診察・治療をうけたが、
治療効果が認められなかった」ので、
かかっていた医師から同意書を貰い、
鍼灸師の治療のみを行った”腰痛症”と”上肢神経痛”の患者の
県審査官の「不支給処分」への却下に対する「再審査請求」であった。

棄却の理由は
医師がX線検査と消炎・鎮痛剤の投与や局所麻酔剤の注射程度の
診療内容で同意したものは

「適当な治療手段がないため鍼灸治療に同意した」
とは判断できないとしている。

他の1件は、
リウマチと腰痛症で、3年もある整形外科病院で
消炎・鎮痛剤その他の治療を受けていてよくならず、
腰痛症ではさらにもう1軒の整形外科に行っていた患者で
別の内科医師から同意を受け、
「腰痛症」では整形外科医の治療を断ってやめ、
鍼灸師の治療を受けたケースである。

鍼灸師の治療の期間中
最初の整形外科病院で、関節リウマチ治療剤、消炎・鎮痛剤の投与
膝と頚部の運動療法と介達牽引療法等の治療を受けているので
「併用治療」となり、
内科医は「医師による適当な治療手段がない」と同意したものとは
判断できないという理由で不支給
となり
「不服申し立て・審査・再審査請求」したものであった。

この「社会保険審査会の採決」は3件とも
すべて、添付された「同意書」について
医師が「適当な治療手段がないため」同意したとは判断できない
という同じ理由での棄却であった!


はり灸健保推進:私の戦いの跡を辿りながら・・・・・18

2013年11月29日 | 鍼灸健保問題

日鍼会は、

「療養費の支給申請にたいする不支給」という権利侵害に対して
「不服を申し立てる」患者の「法的な正当行為」を、
まるで「過激な行為」とみなして、支援するなと
代議員総会において会長発言で言明した。

さらに、
私が支援して行った第1回目の患者の「不服申し立て・審査請求」が
自分らの「予想に反して」
患者が「不支給撤回・完全勝利」したことに対して
これは例外だからこれ以上やるなと
機関誌「鍼灸新報」に公表した!

(このことについては、★跡を辿りながら・・・⑮◆に
述べてある)。


全国保鍼連は、

結成後直ちに、
いずれも「医師による適当な治療手段がないとは判断されない」という
「医療先行」が問題とされ「不支給」となった、
4件の「不服申し立て・審査請求」の支援活動を開始した。

これはすべて、当然のごとく県社会保険審査官に却下され、
患者は、私を代理人として、
国の「社会保険審査会」へ「再審査」を請求した。


全国保鍼連は
4件の「不支給」に対する、社会保険審査会の「公開審査」へ向けて
動員体制を組み、平成元年3月30日の当日には、
東京・霞ヶ関の「社会保険審査会審査室」の傍聴席を満席にした。

4件の審査請求の「審査開始の冒頭」、1件の請求については
保険者(国)側から
「不支給処分を取り消し、鍼灸療養費を支給する」旨申し出があった。

これは、2度目の患者の勝利であった!


はり灸健保推進:私の戦いの跡を辿りながら・・・・・17

2013年11月27日 | 鍼灸健保問題

昭和61年(1986年)9月21日発足した「全国保鍼連」は、
健保情勢の厳しいいなかで
「既成業団」とはまったく別の視点と展望を掲げて行動した。

現在の「支給状況」は、
「業界」の努力によってかなり改善された部分もあるが、
基本的な「健保の仕組みと問題点」は、当時とあまり変わっていない。

会設立以来討議を重ねながら提示してきた
「-全国保鍼連の主張ー」を

現在の時点での改善点を示し、記録しておくことは、
今後の運動へのひとつの指標となると思う。

    -全国保鍼連の主張ー

◆ 私たちの基本的な観点の確立。
 《 鍼灸師は何をなすべきか?
  患者の立場にたつことは鍼灸師の社会的責任を果たし、
  同時に鍼灸師の立場を守ることである。》
 1、鍼灸健保全面適用は、被保険者(患者)の権利である。
 2、既成業団の考え方との相違点を明確にする。
  ◇ 鍼灸師等の治療は、「医業類似行為」ではなくて、国家資格者の
    行う「医行為」である。
    従って、診療所、病院、助産所とともに鍼灸師の治療所を
    「医療法」の中に、「医療機関」として規定し、健保法第1条に
    明記する保険給付の対象として正当に位置付ける必要がある
    と主張する。
  ◇ 国との団体協定を目的とするものではない。
    既存の社団や他団体との協力、相補関係を求めながら、
    鍼灸健保制度確立の運動を進める。
  ◇ 現行法のもとでは、「鍼灸療養費の支給要件」の改善・緩和を
    求めるだけでなく、「支給基準」そのものを患者の立場から
    検討・批判し基本的に変更する。
 3、「運動目標」と「当面の要求」を、明確に区別して運動を進める。

      ー全国保鍼連の主張ー

◎ 運動目標

最善の治療を求める患者の願いと権利の実現のために、
鍼灸師などの治療の健保全面適用をめざす。
 そのために、「健康保険法」を改め
鍼灸師などの治療所を健保の「保険指定機関」とし、鍼灸師などの治療を
「療養の給付」とする。

◎ 当面の要求
ー鍼灸師の治療が「療養費」扱いの現状においてー
「療養費」の法的定義は、
患者の権利である「療養の給付」を建前とする原則と異なり、
保険者がやむを得ないと認める場合」に、
国の定めた「支給基準」に従って現金で支給されるものであり、
基本的には「患者の権利」とされていない

しかし、「療養費」は「療養の給付」で果たすことのできない役割を
補完するものであり、患者の法的権利として給付されるべきものである。


◇鍼灸療養費の「支給基準」を改める。
国民・鍼灸師の側の「療養費」についての基本認識を確立し
鍼灸師の治療を受けた場合の「支給要件」を
「慢性病で、医師による適当な治療手段のないもの」ではなく、
患者が「自己の治療を選択する基本的な権利を実現できるもの」とする。


鍼灸師の治療を受ける患者を差別している現行の「通知に基づく」運用は
不当であり、憲法や健保法に違反している。
これを、法に基づく「不服申し立て・審査請求制度」や「行政訴訟」
を活用して改めさせる。

◇ 不当な期間・回数の制限をなくし取り扱い疾患を拡大する。
 (これは、業界の努力により現在解決されている。)

◇ 慣行料金に基づく、鍼灸・マッサージの適正な療養費料金の確立
を求める。

◇ 鍼灸師・按マ指圧師の治療を受ける患者の差別をなくす。
   受領委任の問題について、柔道整復師と同様に扱う。

4、全国保鍼連の事業 

① 全国各保険者との交渉を密にし、円滑な取り扱いを促進する。
②「不服申し立て」・「行政訴訟」などの法的行為を含むあらゆる可能な
方法を駆使し、創意性を発揮した具体的な活動の積み重ねによって、
患者の権利を守る会の目的を実現する。
③ 保険取り扱い実務指導、同意書取得・委任・請求事務の援助
④ 全国連絡網の確立・FAXなどの利用による情報交換の迅速、緊密化。
⑤ 機関紙・誌の発行
⑥ その他

5、組織原則

患者の立場にたって、
鍼灸師・按摩マッサージ指圧師の健保推進運動に取組む、すべての
個人と団体を結集する。
① 民主的な会運営
② 患者・市民運動との連帯・協力
③ 支持政党の自由・各党派の議員への協力要請

         ・・・現在の視点で書き換えた箇所があります・・・







                      

    


はり灸健保推進:私の戦いの跡を辿りながら・・・・・16

2013年11月24日 | 鍼灸健保問題

これまで記したように・・・・・

「患者の正当な権利要求の法的行動」にたいする
鍼灸師の支援を訴えた私に対して
「日本鍼灸師会」は
「お上にたてつく過激な行動」!と決め付け、私を非難中傷し孤立化を画策した。

そこで、私は、
この最初の患者の「医療先行なし」という理由での「不服申請」については
宇都宮の若い鍼灸師たちの協力をいただき
「鍼灸健保推進全国協議会」の名称で全国の日鍼会の会員に支援を訴えたが、
本格的な「全国組織」の設立の必要を感じた。

昭和61年春、東京の故山下良平先生を代表とし、「全国組織結成」へ向けての具体的行動を12名の有志で開始した。

私にとって、忘れ得ないのは、当時の「全鍼師会」の関野会長の温かいご支援であった。「日鍼会」と正反対の対応で、数名の重要メンバーが「組織結成」に協力してくださった。そして、次の藤井会長も常に私たちの力になって下さった。

12名で、スタートした「全国組織」は、22都道府県より100名の参加により、昭和61年9月21日「全国保険鍼灸師・マッサージ師連合会(全国保鍼連)」として旗揚げした。


はり灸健保推進:私の戦いの跡を辿りながら・・・・・15

2013年11月23日 | 鍼灸健保問題

はり灸健保推進:私の戦いの跡を辿りながら・・・・・⑨で、以前触れたように
私の患者の腰痛治療の「鍼灸療養費」請求への「不支給処分」に対する
「不服申し立て」に、業界は全面的に支持しないと表明し,取り下げを
要求した。

私は、これは、「患者の権利行使」であって、
鍼灸師がやるものでなく、
患者を支援することが「鍼灸師のとるべき道である」と
主張し、支援行動を進めると、代議員会で表明した。

この「不服申し立て」は、「再審査」の結果、
社会保険審査会により「不支給は取り消され(昭和59年10月31日)」
本人の請求どおり療養費は支給された。患者の完全勝利であった。

これに対し日本鍼灸師会は「日本鍼灸新報・昭和59年12月号」
「新報11月号などでご存知の通り、栃木師会の中川氏が
健保の療養費不支給を不服とし、栃木県知事と政府を相手に
社会保険審査会に異議を申し立てたところ
当初の予想に反し、この件については
栃木県の処分は適当でないので取り消しという異例の判断(取り消し処分は一般的には極めて稀)となった。・・・・・
とし、問題点を指摘した上、
ただ取り消し処分は本件のみで今後の拡大解釈は慎まなければならない」という蛇足までつけて報じた!

これに対し、

私は「既成業界と全く異なった新しい戦い」をスタートした。


はり灸健保推進:私の戦いの跡を辿りながら・・・・・14

2013年11月23日 | 鍼灸健保問題

私は、「現在の健保運動は、根本的に方向を誤っている」と
断言せざるを得ないと考えています。

問題の重大性は、
業界が、「健康保険法」の基本的な欠陥を正すことをせずに、
一種のごまかしで、運動を進め、
疑いもせずに、すべての鍼灸師がそれに従っていることです。

「現行法」での保険適用の方法は、原則として「療養の給付」。
例外として、「患者が自身で請求し、保険者が”やむをえない”と認めたとき
(患者の権利ではない!)、治療費を現金で還付してもらう「療養費」があります。

その受け取りを、
鍼灸師が患者の「委任」を受けて、患者の代わりに受け取り、

建前としては患者に渡すやり方を省略して、

「あたかも”療養の給付”のように取り扱う「委任払い」方式を行うことを、

業界は「健保運動」の本筋としています。

これは、国と「柔道整復師団体」が昭和11年に「医療上若干問題とされたが」協定を結んで、超法律的に(!)「あたかも”療養の給付”のごとく」取り扱う仕組みを作ったことを、鍼灸師にまで拡大し、「団体委任協定」を認めてもらおうという運動です。

これは、今日まで、「拒否」され続けている。
しかし、国との協定なしで、事実上「委任行為は黙認」されているのが現状。

そして、
「療養費取り扱いの要件も、ほとんど制限が撤去され、
「同意書問題」を残して、ほとんど「柔整並み」となっています。

これで、「取り扱い件数」が上がれば「健保問題」は前進している
といえるのでしょうか?

しかし、これは、
あくまで、

鍼灸患者の権利実現という「健保問題の本質的解決」を誤魔化した

便宜的な目先の解決に過ぎません。

「国家資格の医療従事者」の治療所を「指定機関」とし

「療養の給付」として正当な支給基準を定める以外に

解決はありません。







はり灸健保推進:私の戦いの跡を辿りながら・・・・・13

2013年11月15日 | 鍼灸健保問題

会長回答への反論・続き

Ⅱ「健保法」の問題点の捉え方

これについては、「会長回答」の中で会長は
「健保法が西洋医学による療養の給付を原則としている以上、
「偉業類似行為」である鍼灸は
療養費払いという特例によらざるを得ないわけです。
この原則をまず、明確に認識していただきたいと存じます。」と
言っています。

これこそ「明確な誤認であること」を明確にすることが、
いままでの固定観念を打ち破り
本当の健保推進運動をスタートさせる基本的なことだと思います。

前回、鍼灸は「医業の一部」であり、
「医業類似行為」ではないことを明らかにしました。

健保法で保険給付の「原則」とされていることは、
「西洋医学」「東洋医学」の区別とは無関係です。

「指定機関」であるかどうかです。
「西洋医学」の医師でも、「指定機関」として申請しなければ、
そこでの「治療」は「療養費」として、
患者が申請することになっています。

そして、
そもそも「医業類似行為」は「業として禁止」されているのであり、
保険給付の対象になりえません。
従って特例の「療養費」の対象にはなりえません。

本来禁止されてれるにもかかわらず、
公然と横行している「整体」や「療術」などの「医業類似行為」は、
「療養費」の給付が受けられないことは明白です。

鍼灸やマッサージ、柔整まどが「療養費」となっているのは、
「医療」であるにかかわらず、「指定機関」になっていないためです。

問題点はここにあるのです。     ・・・・・・続く


はり灸健保推進:私の戦いの跡を辿りながら・・・・・12

2013年11月14日 | 鍼灸健保問題

私の「患者支援の提案」と「厚生省への申し入れ提案」についての
会長回答の全文を
はり灸健保推進:私の戦いの跡を辿りながら・・・・・10~11」に示しました。

それに対する私の見解・反論を
当時と現在の私の考え方を入れ混ぜながら
書いていきます。

まず、私の「提案」を
1、「鍼灸は正式に医療の一種である」
2、「鍼灸を健保で受ける権利」
3、「鍼灸に対する差別行政」
の3つに「要約」されていることは、
会長のご指摘通りです。

しかし、
私の提案の内容・論点のとらえかたは不正確であり 
会長の考え方は、明白に誤りであり、
これが現在でも「業界の思考の根底にある」ことは
単に「基本的な認識の相違」で済まされない
重大な業界の問題点であると考えます。

まず、第1点は
自分自身の「業」としている鍼灸をどう考え、
健保制度にどう位置づけるか
という根本的に重大性をもつ問題です。

「医療・医業」と「医業類似行為」との関係です。
会長は
「医師の行う鍼灸は医療」であっても、
鍼灸師の行う鍼灸は施術であり医業類似行為であります。
健保法が西洋医学による療養の給付を原則としている以上、
医業類似行為である鍼灸は療養費払いという特例によらざるを得ない
わけであります。
この原則をまず明確に認識して頂きたいと存じます。」と言っています。

この発言は、会長が全く法的基礎知識がないことを自ら露呈しています。

そして、
この問題点への考え方が
「鍼灸師の未来」に繋がる根本的な「運動論」に繋がります。

ここでの法的問題点は、2点あります。
1 鍼灸は「医業類似行為」か、「医業類似行為」とは何かという問題
2 「健保法」の問題点の捉え方

「鍼灸師の未来」に繋がる根本的な「運動論」に繋がる
法的問題点の2点に」ついて検討してみます。

1 鍼灸は「医業類似行為」か、「医業類似行為」とは何かという問題
2 「健保法」の問題点の捉え方

1については、
「医師法第17条」によって「医師」以外の者による「医業」を
禁止されています。

そして
「あん摩・マッサージ・指圧・鍼灸・柔道整復業」については、
「あん摩・マッサージ・指圧師、鍼灸師、柔道整復師」などの「国家資格」を
あたえ「医業の一部」を行うことを認めています。
従って、これらの資格者は「医業類似行為」を行うものではありません。

そして、「医業類似行為」については
昭和29年仙台高等裁判所によって明確な「定義」が示されています。

医業類似行為とは
「疾病の治療又は保健の目的を以って光熱機械、器具その他の物を使用し、
若しくは応用し、又は四肢若しくは精神作用を利用して施術する行為であって
他の法令において認められた資格を有するものが、
その範囲内でなす診療又は施術でないもの、」
換言すれば
「疾病の治療又は保健の目的でする行為であって、
医師、歯科医師、あん摩師(現・あん摩マッサージ指圧師)、
はり師、きゅう師又は柔道整復師等
他の法令で正式にその資格を認められた者がその業務としてする行為でないもの


この明白な「定義」のもとで
「業界の会長」たるものが、
自らの「法的無知」をさらけだし、
自分たちは「医業類似行為」を行うものだと思い込んでいたのです。

現在私はこの点に関し、現行の「あはき法」を廃止して

「鍼灸医師法」「手技療法師」の制定を求めるべきだと考えています。

1についても、この低劣な認識の上に、
「問題点の把握を誤り、展望を欠いた「健保運動」をすすめてきたのだ
と断言できます。
 
そしてその、「健保運動路線」は、
現在もそのまま、殆どすべての業者によって、
何の疑いもなく踏襲し引き継がれています。
次にこれについて詳論してみます。    ( ・・・・・続く)


はり灸健保推進:私の戦いの跡を辿りながら・・・・・11

2013年11月14日 | 鍼灸健保問題

昭和59年日鍼会代議員会総会
会長回答・続き

次に行政差別の問題であります。

提案者によれば、
療養費の支給条件、同意書の簡素化、委任払い等の取り扱いの面で
国民が健保で鍼灸を受ける権利が侵害されている。

又は同じ医業類似行為である柔整と鍼灸とで大きな差別を設けているのは
行政の不公平であるから、行政訴訟も辞さない強い姿勢で行政と対決し、
健保制度の基本に斬りこみ鍼灸に対する行政の考え方を
根本的に変えさせなければならないというご意見である。

しかし、この様に行政と対決して問題が解決されることであろうか。

この問題に業界として一丸になって行けと言われるが
もう少し深く考えてほしい。
たとえ、70%でも勝てる見込みがあれば、
私は、討ち死にを覚悟でやることを惜しまない。

しかし、現段階においては
99%勝てないということを充分認識してほしい。

日鍼会は日鍼会として築き上げてきた長い歴史と伝統がある。
この点は行政当局にも、日本医師会にも高く評価されており
30年誌を見てもおわかりの通りであります。

一言で申し上げれば、日鍼会としては
正面切って大上段に振りかぶることはいたしません。

団体協定が出来れば鍼灸師も、公に話し合えることになります。
いま、日鍼会としてもまた、
鍼灸業界全体のリーダーとして私が
この問題を「厚生省はけしからん」と言って行政と喧嘩して
討ち死にをするわけにはいかないことをご理解願いたいと思います。

提案者初め皆様の主目的である団体協定と
柔整並みの事務取り扱いの簡素化んぽ推進は
私たちの目的と何等変わりはありません。

ただそのやり方、運動方法が誤っている事を理解して頂きたい。

鍼灸師会の名において行政と対決などという強硬な運動は、
マイナス以外の何物でもありませんので
鍼会としては反対であります。

ただし、国民サイドの立場から患者さんたちが、
保険料を払っているのになぜ健保で鍼灸が受けられないのか、
鍼灸師にかかれないのか、鍼灸による鍼灸治療の門戸を開け、
とアッピールし世論を盛り上げて頂く事は大いに歓迎いたします。

新聞・NHK等を通じ患者サイドにおいて鍼灸の健保を進める運動を
展開して頂きたいとは思いますが、
どこまでも運動は政治色を出さずに超党派的に行われる事が必要と思います。

例え結果において、鍼灸師の利益につながることであっても、
それを業団があからさまに表に出し対決姿勢で運動しては、
世論が取り上げないことを充分認識して頂きたい。

行政の締め付けを緩めるためには、
何といっても世論を高めること一番大切である。
またそのことが日鍼会のオーソドックスな運動の成功になることを
信じて頂きたいと思います。

次に保険局に対して、
鍼灸治療を保険でやらした方が医療費が大きくダウンすることを主張すべきだ
という説もありますが、
そうしたことは充分考えられるにしても、
現段階において、これを当局に充分説得するだけの資料を持っておりません。
しかし、我々は常々このことを社労関係の議員諸先生方に
充分お話いている事を承知しておいて頂きたいと存じます。

一方、権利意識が先走りして、
鍼灸師の行う鍼灸を療養の給付(現物給付)に組み込みたいという運動もありますが、
これは大きな間違いであります。

鍼灸が現物給付として取り入れられたとき
開業鍼灸師がどういう立場に立たされるか火を見るよりも明らかであります。
この点を充分考えて
鍼灸の現物給付に連なる運動は絶対にしてはならないことをつけくわえて、
私の見解とさせて頂きます。

以上が、当日の私の「提案事項」に対する長い長い会長回答でした。

これから、
「私の提案事項」を全然理解しえていない、会長の法意識・健保認識の低さを明確にし、私の「主張」を提示しようと思います。


はり灸健保推進:私の戦いの跡を辿りながら・・・・・10

2013年11月13日 | 鍼灸健保問題

私の「患者支援の提案」と「厚生省への申し入れ提案」に対する
小川(当時)日鍼会・会長の発言内容は、
現在でも「業界」の医療制度・健保制度への基本的認識の根底にある考え方です。

私の戦いの原点も、
この業界の考え方に正面から挑戦し、
「鍼灸に携わる者の根本的な意識変革を基に、
鍼灸患者の権利を守る医療制度・健保制度を実現すること」であったし、
現在も、更に確信と明確な展望をもって・・・・・
「鍼灸医師制度」実現への新しい戦いの志を燃やす薪となっています。

小川(当時)会長の長い長い「発言」を、そのまま再現し
克明な反論を書いていきます。

会長回答

現在地方の会員の皆様が
鍼灸に対する健保の現状に強い危機感を持っておられること、
また、中央のみにまかせてはおけないというお考えは
痛いほど察しておりますが、
大変重要な問題ですので私なりの検討を基にお答え申し上げます。

お申し出での点を要約すると
その一は鍼灸は正式に医療の一種である。
次は鍼灸を健保で受ける権利。
三番目は鍼灸に対する差別行政。
この三点はお気持ちとしては分からないものでもありませんが、
基本的に健保に関する認識の相違があります。

先ず、現行制度の下にあっては、
医療は医師でなければ行うことができないということです。
残念ながら医師の行う鍼灸は医療であっても鍼灸師の行う鍼灸は
施術であり、医業類似行為であります。
健康保険法が西洋医学による療養の給付を原則とている以上、
医業類似行為である鍼灸は
療養費払いという特例によらざるを得ないわけであります。
この原則をまず、
明確に認識していただきたいと存じます。

では、柔整のみが健保の団体協定や同意書の省略ができて
何故鍼灸ができないのか?
この点については私も大変重要なこととして受けとめ、
これをどの様に打開して行くか日夜心を痛めているところでもあります。

そこで考えて頂きたいことは、
柔整は昭和11年頃から運動を進めており、
当時は大学においても整形外科を設けているところは殆どない
という状況でありました。
従って整形外科が極端に不足していた中で、
柔整の取り扱う患者は緊急性が高く、
医療の延長上ある柔整として取り扱われたという事情があります。

また、柔整は国技とされ、
戦前戦後を通じ柔道整復師と政界、官界とは強い連携によって結ばれてきた
ということもあります。
柔整が健保運動に成功した裏には
以上のようなことがあったということも承知して頂きたいと存じます。

何れにしても鍼灸と柔整とは全く異なるものでありますが、
我々は当面柔整並みの健保取り扱いを目標として、
これからも強力に諸般の問題に取り組まなければならないと存じます。
(続く・・・)


はり灸健保推進:私の戦いの跡を辿りながら・・・・・9

2013年11月09日 | 鍼灸健保問題

私は栃木会長に代わり、
平成59年5月5日の日本鍼灸師会・代議員総会に代理出席し
発言の機会を得ました。

「一般質疑」に入り、いくつかの質疑・応答の後
まず、私の「患者の審査会への不服申請支援の訴え」に対する
富山・岩手・新潟代表からの「日本鍼灸師会」の考え方の質問に
井垣保険部長が答えました。

(昭和59年6月発行「日本鍼灸新265号」の全文を引用し、批判を加えます。)

井垣保険部長

全国の鍼灸師に健保推進のため立とうという檄文をもって
諸問題打破を訴えたが非常な矛盾(どんな?)がある。
健保の再審査請求に十分戦って場合によっては行政訴訟も辞さない
という激しい内容であり、勝つ要素があるようにみえるが、
現在の社会体制、医療体制、医療保険体制からみて
鍼灸師によってこの様な戦いを挑んだとしても勝ちを得ることは非常に難しく
却ってやぶ蛇となるおそれがある。

公開審査で却下されれば
全国的に波紋が及び、これが行政訴訟まで進み
”鍼灸に費用を支払うべきでない”との結論が下されたならば、
現在取り扱い中のものは非常な危険に晒されるので、
この様な行動を起こされることは絶対に反対である。
日鍼会は支援すべきではない。

われわれは強い力もなく、
保険については行政と真っ向から立ち向かう何もない。
只ただ、
我々は当局の理解と患者の支援と要請によって費用が支払われているのであって、
正面きって戦いを挑むならば必ずや敗北することも明白である・・・・・。


これが、当時の最高健保指導者の記録的発言!
「お粗末過ぎて!」まともに批判するのも馬鹿馬鹿しいくらいです。


しかし、
基本的には、現在の健保問題についての「業界中央のレベル」も大同小異。
殆ど変わっていません。

井垣部長は、根本的に「健保問題」の本質が分かっていない
としか言いようのないことを
恥ずかしげもなく、平気で言っています。
まず、
鍼灸師が保険に取り組むのは
「当局の理解と患者の支援と要請によって費用が支払われるため」ではありません。
患者が「鍼灸師の治療」を健康保険で受ける権利を実現するためです。

そして、
「不服申請」や「行政訴訟」は、鍼灸師がするものではなく
患者が患者の権利を主張して行うもの・・・・・
こんな、「初歩的認識」すら欠けています!

この発言の底にあるのは、卑屈な「業者」の保身のみです。
医療専門家としての誇りも確信もありません!

しかし、
私の「患者支援の提案」と「厚生省への申し入れ提案」に対する
小川(当時)会長の見解は、
さらに「愚劣そのもの」でした!


はり灸健保推進:私の戦いの跡を辿りながら・・・・・8

2013年11月06日 | 鍼灸健保問題

その後、
Nさんの「不服申し立て」の言い分には
全くの顧慮もなく

県の支給担当者の「不支給理由」を
そのままオーム返しに、当然のごとく
「県社会保険審査官」は却下しました。

それで、国の
「社会保険審査会」に「処分撤回」の
「再審査請求」をし
更に一歩進めた取り組みとして
審査会へむけた行動を開始しました。


現在、民主党参議院議員の谷博之先生には
絶大なご支援を戴きました。

「審査会」でも、
Nさんの「代理人」として証言して下さいました。


次の
「日本鍼灸師会・代議員総会」には
私自身が県の「代議員」として出席し
「審査会」へむけた行動を呼びかけ
他の何県かの代議員」も支援の発言・質問をしてくれました・・・

ところが
それに対する
当時の小川晴通会長・井垣博夫保険部長の
答弁は、
全く許しがたい
お粗末業界の本性まるだしの詭弁でした!


はり灸健保推進:私の戦いの跡を辿りながら・・・・・7

2013年11月05日 | 鍼灸健保問題

全鍼師会・関野会長の温かい励ましのお手紙とカンパが
すべての始まりでした!

私は、
宇都宮市の若い鍼灸師たちに
「患者の審査請求の行動を支援する運動」を起こしたいと
支援を呼びかけました。

7人が集まってくれました。

それで、グループ名称を
「鍼灸保推進全国協議会」と名づけ
みんなで、力をあわせ
全国の「日本鍼灸師会」の会員6000名と全鍼師会系の各会長に
手紙を送りました。

反響は約300名からありました。

そして
北海道・秋田・岩手・宮城・東京・神奈川・静岡・新潟・
京都・大阪・兵庫・広島・島根・富山・福岡・宮崎・高知
などから
応援があり
素晴らしい仲間との連帯が生まれました・・・・・

集まった「カンパ」を元に「通信」を何度か続けました。

そんな中で
「日本鍼灸師会」の総会を迎えました。

宇都宮から数人が、張り切って参加しましたが、
「総会」では、前日の代議員総会の報告だけで
一般参加者は発言も出来ませんでした!!!