私は、「現在の健保運動は、根本的に方向を誤っている」と
断言せざるを得ないと考えています。
問題の重大性は、
業界が、「健康保険法」の基本的な欠陥を正すことをせずに、
一種のごまかしで、運動を進め、
疑いもせずに、すべての鍼灸師がそれに従っていることです。
「現行法」での保険適用の方法は、原則として「療養の給付」。
例外として、「患者が自身で請求し、保険者が”やむをえない”と認めたとき
(患者の権利ではない!)、治療費を現金で還付してもらう「療養費」があります。
その受け取りを、
鍼灸師が患者の「委任」を受けて、患者の代わりに受け取り、
建前としては患者に渡すやり方を省略して、
「あたかも”療養の給付”のように取り扱う「委任払い」方式を行うことを、
業界は「健保運動」の本筋としています。
これは、国と「柔道整復師団体」が昭和11年に「医療上若干問題とされたが」協定を結んで、超法律的に(!)「あたかも”療養の給付”のごとく」取り扱う仕組みを作ったことを、鍼灸師にまで拡大し、「団体委任協定」を認めてもらおうという運動です。
これは、今日まで、「拒否」され続けている。
しかし、国との協定なしで、事実上「委任行為は黙認」されているのが現状。
そして、
「療養費取り扱いの要件も、ほとんど制限が撤去され、
「同意書問題」を残して、ほとんど「柔整並み」となっています。
これで、「取り扱い件数」が上がれば「健保問題」は前進している
といえるのでしょうか?
しかし、これは、
あくまで、
鍼灸患者の権利実現という「健保問題の本質的解決」を誤魔化した
便宜的な目先の解決に過ぎません。
「国家資格の医療従事者」の治療所を「指定機関」とし
「療養の給付」として正当な支給基準を定める以外に
解決はありません。
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