鍼灸健保推進の未来は?
私は40数年前、開業と同時に県鍼灸師会に入会し、誰も手がけていなかった
「保険部」を担当した。
何をやるべきか「中央」の指導を受け、具体的行動に入った。
最初に、指示されたことは県との「委任扱い」の交渉であった。
「療養費」ということも、「療養の給付」との関係も全く知らず、
ただ、「中央の指導」を信じ、従った。
しかし、県との交渉は、県会議員の仲介で行ったが、
難航した。
それは、
昭和25年1月に出された![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/db/e51ba7b1c9aaa255fff6bdcdc7a45cbc.png)
「按摩、鍼灸術にかかる健康保険の療養費について」という
業者団体と契約して積極的に支給することを禁じ、
「すべて医師の同意書を添付すること」を義務付けた
「保発4号」(保険局長通知)があるからである。
さらに翌26年3月には、これに追い討ちをかけるように、
「契約を締結している場合は、事情の如何を問わず、
至急これを破棄するよう措置せよ」と「保発14号」が出された!
この「保険局長通知」は現在も厳然と生きているのである。
しかし今では、
「民法上の委任」ということで「協定なしに委任払いが実施」されている
ところが多くなっている。
だが問題は
柔道整復師とは、
「医療上は若干問題とされたが昭和11年に各都道府県ごとに
所在の柔道整復師会と協定を結び料金表を定めて
委任払いの方式をとって以来現在に至っている・・・」ことである。
国自身が
「療養費を
あたかも療養の給付のごとく扱ってはならない」
といいながら、柔道整復師には、当時は整形外科医が少なかったからと、
今日では通用しない屁理屈をつけて合理化し、
まさにこのような扱いを行うよう全国に指示しているのである。
この一方では国が奨励し、他方では禁止するという許すべからざる差別は
現在も厳然と存在している!![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_kaze.gif)
私は、そのため「委任」の交渉はやめて、
業団の指導には無関係に「療養費」として患者に治療費が戻る扱いを
している。
その中で、
「不支給」事例と取り組み、裁判を含めた取り組みを進めてきた。
そして、業団の取り組みもあり、
「委任払い保険者の増加」「期間・回数制限撤廃」や「取り扱い病名の拡大」など
「療養費」の枠はかなり緩やかになっている。
しかし、鍼灸建保の未来は「療養費」では開けない。
鍼灸建保推進の未来を開く道はただひとつ!
今までたびたび言及したように
「療養費」は「保険者がやむを得ない」と認めたときに、「償還払い」として支給される。
これは、患者の自由な選択によって鍼灸治療がなされ、
患者の権利として
健康保険が適用されるのではない。
支給も不支給も「保険者の裁量」なのである。
患者の権利として鍼灸治療が保険適用されるには
「鍼灸師の治療所が、保険医療機関として指定・登録される」必要がある。
それには、
「健康保険法」第36条の2項以下及び「国民健康保険法」第39条の
「保険医療機関の指定」「登録」に関する条項を改正し
鍼灸師(あんまマッサージ指圧師・柔道整復師も同じ取り扱いが必要)を
指定機関・登録機関にしなければならない。
技術を正当に評価した適正な「料金規定」を定め、
この法改正を行う国民的な取り組みを、どう構築するか・・・・・
鍼灸健保推進の未来を開く道はこれしかない
と私は信じている!![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/db/e51ba7b1c9aaa255fff6bdcdc7a45cbc.png)
「現行法」が憲法の「健康権」「基本的人権」を満たしていないのは、
国家資格を持った「医療従事者」の治療を
患者の権利として正当に治療選択できないからである。
この法改正を明確な目標としてこそ
憲法精神の実現を掲げる
鍼灸健保推進運動は、新しい一歩を踏み出せるのである。