チャレンジ鍼灸師82歳:今、新しい医学・医療創造の志に燃えて生きる!

青春時代の社会変革活動の挫折をのりこえ、鍼灸の道へ。

「鍼灸医術」をなぜ復興させる?  A

2014年01月30日 | 鍼灸医師制度への取り組み

「鍼灸医術」の独自性・特異性はどこにあるのか

現代医学と並び立つ制度を構築する意義は

これを明確にしなければ主張し得ない。

 

まず第一に考えることは・・・・・・

「東洋医学」「伝統医学」としての独自性の主張についてである。

「鍼灸医術」が「東洋医学」として捉えられ、何の疑問もなく世間に流布している。

しかし、

その捉え方はおかしいと思う。

そもそも「東洋医学」とはなんだろう?

「西洋医学」に対峙するものとして考えていると思われるが

現在そんなものがあるのだろうか。

西洋近代医学の歴史を踏まえている現代医学はもはや「西洋」のものでなく

「世界」のものであり、地域性を主張する意味がどこにあるのだろう。

それに「東洋」とはどこを指すのか?

インドもチベットも中国や韓国も、それぞれ独自の医学・医療をもっている。

「東洋医学」などという不明確な言葉で「鍼灸医術」を表現することは

誤りであると言い切れると思う。

 

正確には、「鍼灸医術」とは

「中国古代医学の一分野」であり、その発展のすべてを含む医学・医療である。

当然「中国伝統医学」としての側面をもっている。

 

しかし、日本では

日本に根付いた多種多様に分化した「日本鍼灸」である。

日本伝統医学」というものの存在は不明確のようである。

 

この「日本鍼灸」が、

鍼灸師ではなく「鍼灸医師」に担われる意義と必然性を

どう明らかにすべきかが大きな課題である。

 

 

 

 

 


「鍼灸医術」を開花させる新たな道とは・・・・・D

2014年01月27日 | 鍼灸医師制度への取り組み

「鍼灸学」の学問的確立、その土台としての

「鍼灸の現代科学的解明」に合わせて必要なことは

「鍼灸医術の復興」である。

 

今までの「鍼灸師」制度ではなく

「鍼灸医師」として新しくスタートする道を探るためには・・・・・

 明治以前、医療制度の中心にあった「鍼灸医師」がおこなってきた「鍼灸医術」を

現代医学・医療の一部ではなく

これと並び立つ、

もうひとつの「鍼灸医師」の行う独自の医学・医療として確立する

意義を明確にしなければならない。

 

ただ「効果」があるから国民医療に貢献している

というだけでは不十分である。

 

「鍼灸医術」を復興させ

その独自性・特異性を明らかにしなければ

鍼灸医術を行うものを

医師制度として「復興」させる意義は主張できない。

 

 

 

 


「鍼灸医術」を開花させる新たな道とは・・・・・C

2014年01月27日 | 鍼灸医師制度への取り組み

「鍼灸医術」の開花をめざすためには

ひとつには「鍼灸学」の学問的確立が必要である。

 

しかしその根底として、

学問的確立とは何かを明確にしなければならないと思う。

 

「日鍼会」の設立要旨決議の中に

「鍼灸科学化の方向に邁進する」とあったが、これはどういう意味だろうか?

「科学」と言うことは

当時の指導者たちが

「鍼灸」は「科学的根拠」をもたない、摩訶不思議なもの」「東洋の神秘」とでも

考えていたのだろうか。

「古典」に基づいて築かれた訓詁学的「鍼灸学」を絶対視すれば、

「現代科学」の観点とかなり違って見える。

それを拠り所にして「伝統医学の特異性」を主張し

「存在意義」とすることは誤りであろう、として

当時の先駆者たちは

現代科学の立場から解釈し、見直そうという意味で「科学化」と言ったのであろうか・・・・・

 

しかし・私は、「科学化」という言い方は不正確だと思う。

「鍼灸という医術」が明確に効果がある

ということは、神秘的でもなく、

伝統医学の考え方が正しいとか、こじ付けだとかいう議論

の問題でもなく

現実に効果があるという事実である。

この事実の「実態」の「現代科学的解明」

これからの「鍼灸学の学問建設」の土台となるべきである

とすべきであろう。

 

「鍼灸大学は

その専門研究機関および「鍼灸医師」の教育・養成機関としての

存在意義があると、私は考える。

 

 

 

 

 


「鍼灸医術」を開花させる新たな道とは・・・・・B

2014年01月25日 | 鍼灸医師制度への取り組み

既成の「鍼灸師」の概念を土台にしたビジョンでは

新しい道は開けない。

 

鍼灸師としての身分は、

現行の「はり師きゅう師あん摩マッサージ師圧師に関する法律」に基づいている。

この法律を元にした「鍼灸師」は明確に二分化されている。

 

マッサージのつけたりとして鍼灸を行うものおよび

または鍼灸は資格だけというものと

「鍼灸マッサージ」でなく

「専門医術としての鍼灸」専業に生きようとするものである。

鍼灸専業で生きようとするものは

決して自らを「鍼灸マッサージ師」とは称しない。

この鍼灸専門従事者にとって、「あはき法」は欠陥法であり、

「鍼灸単独法」は悲願である。

 

そしてその悲願達成を含みながら

専業鍼灸師の全国統一法人組織の結成をめざし

生活保護法や健康保険の取り扱い、関係法規の改正の善処、

鍼灸科学化への邁進などを掲げ

「社団法人・日本鍼灸師会」

昭和25年(1950年)11月30日設立された。

 

しかし、設立以来今日まで

その悲願への道のりは困難の連続であり

光明は全く見えてこない!

 

 

 

 

 

 

 

 

 



「鍼灸医術」を開花させる新たな道とは・・・・・A

2014年01月24日 | 鍼灸医師制度への取り組み

今既成業界では、若い「鍼灸師」を中心に

「国民のための鍼灸師法」を模索しているようである。

これは、素晴らしいことである。

討議が広がり深まることを、心から歓迎する。

 

しかし、

既成の「鍼灸師」の概念を土台にしたビジョンでは

新しい道は開けない。

残念ながら、「鍼灸新報」を見てみると

どの議論も、その熱意は高く評価できるが

過去の業界の

既成の考え方・展望・運動論と全く軌を一にしたものの域を出ないと思う。

 

明確な「将来展望」と「当面の運動目標」が区分けされ

はっきりとした戦略・戦術が打ち立てられなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「鍼灸医師法」の下でしか「鍼灸医術」は開花しない!

2014年01月22日 | 鍼灸医師制度への取り組み

既成鍼灸業界の「単独法」制定への目標は、実現できるのか・・・・

私は、鍼灸師専門団体のこの悲願の実現は極めて困難だと思う。

 

現日本鍼灸師会の仲野先生が「鍼灸新報(NO.614)」で

『関連団体との協議会や会議の席では、

ぶれることなく「単独法」の)必要性を繰り返し訴え続けますが、各団体が掲げる事業方針は

それぞれ特色があり、所属会員の思いがあります。

その中で本会のみが独走しないよう協調路線で進め、機運到来の「時」を見極めながら、

目標に向けて歩を進めたいと思います。』と書いています。

 

これは、紛れもなく「できない」し「する気もない」という表明であり、

常に繰り返されてきた目標放棄の弁解である。

 

そもそも、「現あはき法」の下で

”三療”としてあはき一体を唱える団体と、”分離”悲願の鍼灸専門業者団体が

協議・協調して「鍼灸単独法」を成立させることができるはずがないのである。

 

では、どうするか

「鍼灸医術」とそれを担うものの

未来を開く道はあるのか・・・・・・・・・・

       

 今こそ

鍼灸医術を開花させる新たな道を

切り開かなければならないのだ!

 

 

 

 

 


鍼灸医師制度の確立へ

2014年01月19日 | 鍼灸医師制度への取り組み

鍼灸医師制度の確立が、はり灸健保推進の展望を開く!

現在の、
「医師の治療」と[鍼灸師の治療に対する療養費」の
「併給」の禁止は

現行の健保制度が、
鍼灸師の治療を受ける患者の権利を
侵害している

ことを明らかにしています。


鍼灸が現代の医療制度:健康保険制度の中で
正当に位置づけられる道は
ただひとつです。

それは、
現在の「鍼灸師」制度を
根本から変えることです。



今、正式に「大学」として認可されている「鍼灸大学」は
10校を超えています。

従って、鍼灸に従事する「資格」には
大学卒専門学校卒
があります。

この「二重構造」は固定してはならないと思います。

早急に
大卒のみの鍼灸医師制度

を確立すべきです。
時限を定めて「経過措置」を定め
現在の「二重構造」を廃止することです。

既成団体の一部には、
現行の「あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師等に関する法律」
(あはき法)から
「はり師・きゅう師」を分離して
鍼灸師法」の単独法を制定することを悲願とした
60年を超えた動きがあります。

しかし、これは今までの経緯から考えれば、

可能性は絶対にない
と思います。

これまでの動きと一切かかわりない
全く次元の異なる制度を確立する運動目標・・・

むしろ、ここにこそ「活路」があります。

これが
「鍼灸医師」制度です。

そして
当面、この制度とはかかわらず

健康保険の問題を解決するために

直ちにしなければならないことは
「健康保険法」を改正して
鍼灸治療所を、健保での「保険指定機関」とすること
です。

これ以外に
鍼灸・健保問題の「根本的な解決法」はないでしょう。




ハリ治療は、夢のようだ・・・・・患者に言われた!

2014年01月16日 | 最近の治療体験から

例年になく低調なスタートで、がっかり!

患者数の激減に、心は暗い。

しかし、めげないで、一人一人の治療に全力を注ごう。

 

こんな現状のなかで、嬉しい体験もあった。

 

インターネットで検索しての来患である。全くのラッキー。

 

患者(67歳・女性)は、アメリカ在住の航空機乗務員。

昨年11月11日、左足を捻挫し、足底が痛くて歩行困難

飛行機内を歩く仕事で困惑しているとのことであった。

彼女は、捻挫後すぐに、よくテレビにもでるロサンゼルスの有名医師にかかった。

X線撮影では、「骨折なし、捻挫」と診断され、爾後続けて通院したが全然効果なし。

その後、上海でも、中国マッサージを受けたが、やはり無効。

友人から「ハリ治療」をすすめられ、日本に帰り宇都宮の弟さんのところで

「鍼灸治療所」を「検索」し、私の治療所を知り、1月6日に来診。

 

もう腫れもなく、内出血の痕跡もないし、「歩行時以外は痛くない」と言われ、

問題は「腰」にあると考え、問診すると、腰に「違和感」があるとのことであった。

アメリカでは、自分でも気になり、医師に訴えたが、

これも診察した結果、

腰は何ともなく「腰の違和感」と足底の痛みは無関係ということだったということであった。

しかし、私が腰部を触診すると、第4腰椎の左傍に明瞭な緊張と圧痛があった。

そこに、私の「快浅刺法」(管を使わず、水平に刺し、置鍼する)を行うと、かなり改善された。

 

抜鍼後、歩いていただくと、まだ痛みは残るが、全然今までとは違う、との応答であった。

次の日は、やはり「足底」が気になるというので、左右の足底を比較してみると

左の外側縁の一部に、右とは違う小さな「硬結」があった。その周囲を囲むように

斜刺で置鍼し、抜鍼後、周囲に点灸をしてみた。熱い、熱いと大騒ぎだったが、何となく

痛みが軽くなった、と帰った。

翌日も、お灸は「懲りた!」と言うのでお灸以外の同じ治療をした。

4日目(木)、80%よくなったと、来診。腰・第4椎骨傍の過敏はなくなり、

「左足底外縁」の硬結の周囲の置鍼だけにした。

金曜日は、来診の予定だったが、用事のため来られず、土曜日に、来診。

95%よくなり、これでアメリカに帰れると喜んでいた。

足底の硬結も、ほとんど取れていたが、さらに治療をしてみると「完全に」なくなった! 

治療後、治療室を歩きまわり、

「100%治った。全然痛くない。夢のようだ。アメリカの有名医でなおらなかたのが

ハリでよくなるとは思わなかった!これで、仕事も続けられる。」と喜んでくれた。

翌日、アメリカへ元気で帰った筈だ。

 

ちなみに、

治療費は、完全治癒で全額、18、000円。

アメリカ・中国で治らず数十万円!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


開業鍼灸師の将来は、輝くか?・・・4

2014年01月13日 | 鍼灸医師制度への取り組み

開業鍼灸師のおかれた現状を考える・・・4

現在、健康保険の取り扱いについては、
3で述べた「基本的な問題点」の解決はないが
実務的には、ほとんど問題は解決されています。

1) 医師の「同意書」の添付があれば

期間・回数の制限は「撤廃」され
ほとんど問題なく支給されるようになりました。

2) 医師の治療との「併用」については

通達に
「医師の治療との併用は認められない」と明記されています。
しかし
「同意書」の添付があれば、
「療養費」を給付する「”支給要件を満たしている”とみなしてもよい」
「特別な場合を除いて患者の経済的負担等を考慮すれば
できる限り速やかに償還手続きをすべきである。」
とかなり緩やかな「指導」もされています。

3) 取り扱い「疾患」は、「疼痛」に限定されているが、
「病名」については
厳しい「制限」はなくなりました。

4) 料金は、標準よりかなり低く、これは大きな「ネック」です。

5) 本来の「償還払い」、つまり、
治療を受けるときに支払った治療費の一部を「返してもらう」のではなく、
治療者などに「保険適用額」を払い込み
自己負担額を治療者に支払う「委任払い」方式も了解してくれる場合が多くなっています。


しかし、
鍼灸師の治療に対する「健康保険の適用」は、
このように手続き上の「緩和」がえられるまで、長い困難な道のりがありました。


これについては、はり灸健保推進:私の戦いの跡を辿りながら 1~30」に移ります


開業鍼灸師の将来は、輝くか?・・・・・3

2014年01月11日 | 鍼灸医師制度への取り組み

開業鍼灸師のおかれた現状を考える・・・3

現在、健康保険は、被保険者の権利として、
自由に自分の選択した医療機関によって
自分の望む検査や治療を受けられることになっている。

しかし、
鍼灸師の治療を受ける患者には、
健康保険の利用がきわめて困難である。

それは、
基本的には、2で書いたように、「医療の一端」を担いながら、
「医師」を頂点とする「医療保険制度」から排除されているからである。

健康保険では、
被保険者が指定された「医療機関」で、「被保険者証」を提示すれば、
決められた「自己負担金」を支払い「医療」を受けられる。

鍼灸師の治療所は、
健康保険法で「指定機関」となれないのである。

そのため、
患者が鍼灸師にかかった費用を自分で請求し、
”保険者がやむをえないと認めたとき(患者の権利ではない!)”、
その費用の一部を還付してもらう「療養費」という制度を
利用することができることになっている。

しかし、「還付」には
種々な「制限」があるうえに
極めて「少ない金額」しか返ってこない。
そればかりではない。

★ 「医師の治療」との「併用」は認められない。

★ 鍼灸にほとんど理解がない医師に
「同意書」を書いてもらって添付しなければならない。

★ 還付適用「病名」が限られている。

〇 さらに、数年前までは

★ 「同意書」を書いてもらう前に、
一定期間医師の治療をうけていなければならない。
★ 「期間・回数」の制限がある。

というものであった。

この2件については、長い業者・患者の取り組みにより

現在は「解除」されている。

 


開業鍼灸師の将来は、輝くか?・・・・・2

2014年01月10日 | 鍼灸医師制度への取り組み

       開業鍼灸師のおかれた現状を考える・・・2

鍼灸は、江戸時代までは医師によって行われ「医療」の一翼を担っていた。

明治維新により、新しい「医制」が制定された際に「西洋医学」を学んだ者のみが
「医師」となれることになった。

国会でのたった1票の差で、「漢方医の存続運動」は潰えた!
この「漢洋医学闘争史」の経緯を辿ることは、歴史の教訓となるが、後の課題としよう。

ところで、古来の鍼灸は、「医制」確立の後は
「医学」としての価値は全く否定され、
「盲人の生活手段」として残され、盲人教育のなかでの職業として確立された。

そして盲人を含め鍼灸業者は、「医師の指図」のもとにおかれた。

明治20年代、
当時の「神経学説」を中心に西洋医学的に理論付けられた
大久保適斉の「鍼治新書」は見事な著書である。

こうした先駆的な医学者の努力もあり、
明治の終わりに「鍼術、灸術取締規則」が制定され
「医師の指図」でなく、「警察」の鑑札により営業
できるようになった。

第二次大戦後、新憲法の下に
鍼灸師は「あん摩、はり、きゅう、柔道整復等営業法」(昭和22年)により、
免許を受けた「営業」を行う者として認められた。

その後
「あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法」(昭和26年)と改められ、

単なる「営業」ではなく
医師、歯科医師と並ぶ、医療の一端を担う「身分」
として確立された。

その後
柔道整復師は
「柔道復師法」(昭和45年)が制定
され、単独専門法により身分が明確となった。

しかし鍼灸師は
「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律
という変な「法律」で括られることになり

「鍼灸師法」制定をめざす鍼灸師悲願の運動は、
それを目標とした鍼灸師専門業者の組織である
「日本鍼灸師会」創立いらい
60年を超えた今日いまだに、全く実現の見通しも立たない



開業鍼灸師の将来は、輝くか?・・・・・1

2014年01月09日 | 鍼灸医師制度への取り組み
開業鍼灸師のおかれた現状を考える・・・1


私は、50年ちかく開業鍼灸師として生きて、健保問題や身分法などを含め、現状をこのままにしては、「開業鍼灸師」の将来の展望を開く道は、極めて険しいと感じている。

私は、
鍼灸の素晴らしさ、凄さを感じ、確信を深めて毎日を生きている。
そして
現在の「鍼灸」の置かれている状況とそれに対する業界の対応に”もどかしさ”を感じている。
開業48年・82歳の現役鍼灸師として何をなすべきかを考え根本的な制度改革 への意欲を燃やしている。

私の48年は、
古来、独自な治療体系を確立して医療の一角を支えてきた、わが愛する鍼灸の価値を活かしきる制度をいかに確立すべきかを考え続け、闘い続けた険阻な年月であった。

私は、これからの生涯をかけて、この道を開き続ける戦いに生きたい。


年頭の言葉・・・医道の日本・投稿

2014年01月05日 | 鍼灸健保問題

 

年頭の言葉・・・医道の日本・投稿


      日鍼会・元代議員      

             中川 節

  健保問題の根底には、現在の「医療制度」

にある歴史的な歪みの重みを明確に見据えた

上での根源的な変革を要する問題点がある。

それは、鍼灸医術が、患者の健康を守り維

持できるための医療技術として正当に評価さ

れた「医療・保険制度」の確立である。

この根源的な制度変革のスタートが「鍼灸

医師制度」と「手技療法師制度」の法制定で

り、これを土台にした「健康保険法」の改

正である。

資格者の「医療行為」を、健保法上の「指

定医療機関」として位置づけずに「療養費」

に固定したままで、目先の「かかりやすさ」

を求める療養費委任払いの推進によって解決

しようとして来た、これまでの業界の健保運

動のあり方は明確に誤りである。

業界がめざす「医師との連携を図る日本型

総合医療」も、法的土台を固める観点と目標

を鮮明にせずに進める取り組みでは、所詮画

餅に過ぎず、未来の展望は切り開けない!