■ 「な、なんじゃこりゃ~!!」無骨な卓上スピーカー!!
2020.5.28、SONYから、なんとも無骨で近未来ロボの武器みたいな(笑)アクティブスピーカー(*)『SA-Z1』が発表されました。
* アクティブスピーカーとは、アンプが内蔵されていてプレーヤーとケーブル(または通信電波)でつなぐだけで音が出せるスピーカーのこと。 アンプ内蔵なのでアンプは要りませんが、別途電源の確保が必要。 (公式記述の『パワードスピーカー』も同じものを指します。 当記事ではより一般的な方で記述しています)
こちらは昨今にわかに注目され始めている、"ニアフィールド・リスニング"用に設計されたもの。 "ニアフィールド"とは狭い範囲の意で、オーディオにおいては、"ヘッドホン・リスニング"、"オーディオルーム・リスニング"に続く、第三の視聴スタイルとして成長が期待されているもの。
まぁ簡単に言えば、上の公式画像のように、デスク上でPCを操作しながらハイレゾや配信動画、またはゲームの音声を再生させるという使用方法ですね。
このところPCをプレーヤーとしたハイレゾ鑑賞の趣味が確立してきたり、また2020年初頭の新感染症を契機とした、在宅勤務・自宅待機・籠り趣味が増えたことで、『音楽をイイ音で聴きたいけどヘッドホンでは物足りない、だけど大きいスピーカーではセッティングが面倒だし近所への配慮も必要だし…』というニーズに合った機体だと思います。
■ 先進技術を惜しみなく搭載??
以下にひよこが注目する仕様を抜粋。
・ アンプに『S-Master HX』
・ 高域再生ユニットを『I-ARRAY System』配列
・ 複数のユニットを完全独立&同期で駆動
・ 自らの形状も音に悪影響が少ない、むしろ効果的にする機体設計
・ 最大 DSD 22.4MHz、PCM 768kHz/32bit のデジタルデータ入力に対応
アンプ部にはひよこの大好物デジタルアンプのS-Master HXが使われてます、ヒャッホイw 本機ではさらに独自のアナログ手法による音質改善機構も備えているとのこと。
高域再生ユニットにはSONY本格スピーカーでお馴染みのI-ARRAY System配列を導入。 音圧(音量)が低くなりがちな高域を(片側)3つのユニットで支え、しかも各ユニット同士の音波が不要なうねり・干渉を起こさないないように綿密な測定の上で配置している模様。 (これは程度の差はあれ、NAシリーズ、CSシリーズも類似の設計思想)
SA-Z1は普通のスピーカーでいうと片チャンネル『4way 5ユニット』ともいえる仕様。 ですが、ここも奢られていて、1つのユニットに1つのアンプがあてがわれている豪華な構造。(アシストツイーターだけはアンプ1つが2つのユニットを担当) 加えて、これをDSP(当機ではより精密なFGPAを使用)で完全同期駆動。 他のマルチウェイスピーカーの多くに組み込まれている、周波数を選り分ける"ネットワーク"部材による位相変化(ユニットの駆動タイミングのズレ)が起こりません。 例えばAVアンプの自動補正にあるような『位相補正』をそもそも必要としない仕組みとなっています。
筐体(機体)設計&組み立ても高精度(開発者談^^;)。 低域音が影響を受けやすい、室内反響特性問題、特に"背後の壁"問題を、スピーカー内に反響板&音道を作ってコントロールすることで解決したとのこと。 音波回折の悪影響を極力少なくする全体形状・構造設計にも注目です。
"多彩なフォーマットのダイレクトストリームに対応"…するわけではありませんが、DSDは22.4MHz、PCM(WAV)は768kHz/32bitまで対応する深度を持っています。 オーディオエンスージアスト(マニア)なら、音源はDSDかPCMの二択になるでしょうし、そもそもPCのオーディオコントローラーやプレーヤーアプリには、アップ・ダウンコンバーターやFLAC→PCM(WAV)変換機能があるので、当機を選ぼうとするユーザーなら特に操作・設定に困るようなことはないのではないかと推察します^^;
なお、XLR、RCA、ステレオミニジャックからのアナログ入力にも対応しており、プレーヤーのアナログ出力と繋いで再生させることも可能となっています。 (プレーヤー側のゲイン調整が面倒ですが…w)
■ そのお値段…
では本題、当機のお値段公式通販価格780,000円+税也。 …とても気軽に買える代物ではないですね!!^^;
これも高精度な素材の製造&組み立てや、独自機構を実現するための専用部材の製造(発注)による原価上昇、これまでの研究開発費&人件費、そしてイロモノ製品であること(失礼w)でおそらく製造出荷台数を低く見積もっているであろうために、メキメキ売価も上がっているのだと考えられます^^;; (この項の記述は推測)
しかし仮に導入できたとしても、機体の大きさ自体、片側最大、幅199mm×全高207mm×奥行326mm、質量10.5kgというドデカイもの。 別途アンプが要らないので理屈上ではコンパクト(フットプリント面積狭)ではあるものの、普通のアクティブスピーカーと比べたらちと大き目でデスク上がゴチャることは確実…。 と、片側それぞれにゴツくぶっとい電源ケーブルを接続する必要があり、コードの取り回しやコンセントの確保も難ですw
ただ、今後の見通し的に、PCハイレゾオーディオ趣味の裾野が増えていることは確か。 当機のようにここまで高精度&超ド級でなくとも、この開発過程で得られた技術をもとに新たなプレミアムな卓上アクティブスピーカーが出てくると予想できます。 サウンティーナの技術がLSPXシリーズで花開いたコトを忘れず、弟機にわずかな期待を持つことといたしましょう!!w
画像 ©SONY