「ルポ 貧困大国アメリカ」堤 未果著 岩波書店刊 700円+税
初刊の時に話題となり、読みたいと思っていた本のひとつ。
この本を読んで、まずはアメリカの医療費の高さに驚いた。以前より高いとは聞いていたが、これほどとは。
中間層でも医療費が払いきれずに自己破産しているという。
もう8年前のことになるが、身内が生きるか死ぬかの大病をしたことがあって、今でも思い出すとゾッとする。
あの時は自分も仕事を頻繁に休まざるを得ず、勤務先には多大な迷惑をかけた。
結局のところ、設備の整った病院と腕利きの医師に恵まれて助かったが、いずれにしてもカネの心配をする必要はなかった。
公的医療保険でほとんどカバーされることが分かっていたから。
この本を読むと、今の日本の公的医療保険制度は療養が必要な人に手厚いことが分かる。医療費の自己負担は以前の1割からいつの間にか3割になってしまったが、これが更なる負担増あるいは医療保険制度自体がなくなってしまったら大変だ。
この本は、貧困と兵役の関係にもふれている。
前にNHKでも放送されていたが、貧困から抜け出す方法の一つとして軍に志願する構図とか。
産業空洞化もその要因の一つで、アメリカの地方の若者の就職も大変なようだ。このあたりは日本も他人事ではない。
近未来の日本を考える上で、かなり参考となる一冊であった。