自戒を込めて本ブログに書き留めておきたいと思います。
変形性膝関節症の主訴で定期的に来院してくれている75歳の男性患者さん。
ある時、慢性腰痛の痛みが強いとのことなので、膝の治療終了後サービスのつもりで腰部の筋緊張部に寸6-3で単刺してあげました。
翌日に電話があり、治療当日の夜から痛み出し一夜明けたら歩行困難であると。そこまで強い治療はしていないのになぜだろうと疑問に思いました。
その日は定休日で外出予定があったので翌日に来院してもらいました。
前傾姿勢で歩行はかなりつらそうです。所見をとるとどうやらL5の椎間関節性腰痛の模様。遠隔から刺鍼して最後に局所に単刺するも体動痛は改善せず。
これ以上は刺激過剰と判断して治療を終了し、コルセットをつけて安静にするように指示しました。そして翌日の治療を予約。
その後電話があり、痛みがさらに強くなっているので明日は様子をみたいと。
こうなると原因は刺激過剰により椎間関節の炎症が悪化したとしか考えられません。
その後自分でいろいろ分析しましたが、最初の疼痛部付近への刺鍼で脊椎を保護していた筋緊張が緩和してしまい、椎間関節に余計なストレスがかかって悪化してしまったと思われます。そして翌日の治療ではなかなか痛みが改善しないので単刺とはいいながら刺し過ぎた可能性があります。
これで思い出したのが学生時代の卒後研修で担当した患者さんです。腰痛で定期的に付属臨床施設に来院していましたが、僕が担当のときは腹痛と下痢が主訴だったので腰の治療はせずに腹部の治療だけしたんですね。そしたら治療終了後に腰痛により歩行困難となり、タクシーを呼んで帰宅してもらったことがありました。あとで指導の先生に指摘されたのは腹部の治療により腰の筋肉も緩んでしまい、腰椎を保護できなくなって痛みがでた可能性があるとのこと。
今回の件はある程度経験を積んで自信がついていたことから、痛みが取れないので躍起になってしまったような気がします。
あらためて「やり過ぎ注意!」と自戒した症例でした。
私も授業で、「腰を緩めすぎると支えられなくなることがある」と聞いたのを思い出しました。
この方のような慢性腰痛ではない患者さんでしたが…
80代の女性が脚立から落ちて腰を打ったのですが整形ではレントゲン撮っても異常なく様子見るように言われたといらしたことがありました。
鍼灸しても痛みが取れないので、MRIも撮ってもらうよう話しましたら骨折が判明したことがありました。
どの程度がやり過ぎなのか…判断難しいですね…。
ホント!ドーゼは難しいです。ま、少なめにやれば安全サイドなんですが、少しでも楽にしてあげたい!という気持ちが勝っちゃうんですよね~。
特に今回の患者さんの場合は長い付き合いだし、自分が自信のある治療だったのでつい深追いしちゃいました。やっぱり余計な私情は一害あって百利なしでした。反省です"(-""-)"